舌癒着症とは
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舌癒着症とは

心身の健康は呼吸から!!
〜舌癒着症をご存知ですか?〜

「舌癒着症」・・・、初めて聞く方も多いと思います。「舌小帯」とは違うのでしょうか。
字を見ると、「舌」が「癒着」している「症状」のことですよね。舌がくっついていると、
一体何の不都合があるのでしょう。話が出来たり、食べ物を食べられたりすれば、
何も不都合はないように思います。多少おっぱいが飲みにくくても、
その子の持って生まれたものなのだから、そのままにしておいた方がいいのでしょうか?

舌癒着症とは
 舌癒着症とは、先天的に舌のつけ根が前に位置するため、
舌の後ろにある喉頭(こうとう)蓋(がい)・喉頭(こうとう)(気管の入り口)が前上方に
引っ張られ曲がっている状態を言います(図1)。
医学的には、舌・喉頭蓋・喉頭偏位症といいます。程度の差はありますが
9割以上の人にみられます。
舌小帯(舌の裏にある蛙の水かきみたいなヒダ)がつっぱっていて、
舌を前に出そうとするとハート型になったり動きにくいのは舌小帯短縮症といいます。
舌小帯短縮症も舌癒着症の一部ですが、舌小帯がなくても舌癒着症なのです。
舌癒着症は、小帯の有無ではなく舌の付き方が前にあることが問題なのです。
乳幼児の症状には、哺乳障害(上手に飲めない、乳頭痛、乳腺炎他)、夜泣き、
疳の虫、のけ反ってよく泣く、抱き癖、眠りが浅い、寝相が悪い、腹部膨満、冷え性、
よく風邪を引く、頭がいびつ、おねしょをよくする・・・他、いろいろです。

なぜ「舌癒着症」だとおっぱいが飲みづらいのか?
 おっぱいの正常な飲み方は、舌を突き出して乳首を包み、乳輪部を咬んでは反射を起こさせて 、
口腔内にあふれ出てきた乳を咀嚼して飲みます。
このとき(舌を前に突き出すと)喉頭蓋・喉頭は上に持ち上がって鼻腔とつながり
、飲みながら呼吸が出来ます。
しかし、舌癒着症の赤ちゃんは、舌全体が前についていて、
喉頭蓋・喉頭・気管が前方に引っ張られて傾いているため、おっぱいを飲もうとして舌を出すと、
鼻と喉頭がズレて息が出来なくなるのです。おっぱいが飲めないのは、
舌の動きが悪いだけではなく、呼吸が苦しくて飲めないということも原因です。

「舌癒着症」の子供の症状・行動
舌癒着症の子供の主な身体的・行動の特徴と行動は以下の通りです。

身体的な特徴(新生児・乳児)

頭蓋 ⇒ いびつ・三角・絶壁
毛髪 ⇒ 薄い・立っている・M型
顔面 ⇒ こめかみ陥没・眉薄い・頬部下膨れ・眉間に皺
喉頭 ⇒ 声帯ポリープ・黄疸
皮膚 ⇒ 顔色悪い・黄疸遷延・大理石様皮膚・手足冷たい
駆幹 ⇒ 胸部陥没・腹部膨満・ガスっぽい
手  ⇒ 指を開いている事が多い・物を握ってもすぐ落とす
足  ⇒ 足指が反る・股関節が硬い・あまり動かさない

行動の特徴(新生児・乳児)

生活  ⇒ 不活発でコミュニケーションがとりにくい・抱き癖・鼻閉様呼吸音・あくびが多い・視線が合わない
哺乳  ⇒ 寝てしまう・母親の乳房に障害を与える・母乳が出なくなる・よく吐く・むせる
睡眠  ⇒ 寝つきが悪い・置くとすぐ目を覚ます・眠りが浅い・いびきをかく・睡眠中無呼吸・指やおっぱいなどをしゃぶりながらでないと寝ない
泣く  ⇒ 頻回に泣く・いきむようで苦しげ・長泣き・ 泣く理由が不明・泣く時無呼吸になる
その他 ⇒ 筋の異常緊張・抱きにくい・喋り始めが遅い

舌癒着症手術
この手術の目的は呼吸を改善することです。
舌の裏の舌小帯とその奥の頤(い)舌筋(ぜつきん)(オトガイ舌筋)の一部をレーザーなどで切除する
数十秒から数分の簡単な手術です。出血はほとんどなく、手術直後から多くのお母さんが、
おっぱいの飲み方がソフトになったり、顔色が良く手足が暖かくなったり、身体が柔らかくなるなどの変化を感じます。
表1は舌癒着症手術1ヵ月後の各症状の改善率、図2は術後1ヶ月の哺乳に関する母親の感想です。
これらは、神奈川歯科大学の山本伊佐夫先生が433名を調査され学会で発表されたデータです。
(改善率90%というのは、仮に100人症状を持つ人が手術を受けて1ヵ月後90人に改善がみられたということ)術後、
舌癒着症の症状はほとんど改善されていること、また多くのお母さん方は、
術後のおっぱいの飲み方に満足していることがわかります。

手術後一カ月 乳児舌癒着症の改善率

乳頭トラブル 88.3%
乳房トラブル 88.2%
哺乳中むせる 87.2%
哺乳時嘔吐 92.3%
腹部膨満 87.0%
よくあくびをする 78.6%
抱き癖 68.2%
手足冷たい 77.9%
顔色悪い 97.7%

向き癖 75.8%
反返り 79.7%
視線合わず 98.3%
よく泣く 85.0%
呼吸苦しい 95.1%
睡寝つき悪い 86.9%
眠時無呼吸 96.5%
寝息荒い 90.4%
眠り浅い 88.8%


手術後一か月 哺乳に関する母親の感想



そろそろ寝たかなと思い下に置くとギャーッと泣き出すのでまた抱っこという経験はないですか?
一日中抱っこというお子さんの子育ては大変ですね。
術後は、睡眠障害が改善されよく寝てくれるため、
赤ちゃんにあまり縛られず家事などをこなすことが出来るようになるため子育てがしやすくなります。
また視線がよく合いやすくなりよく笑うようになるので、あらためて愛しく思われる方も多いです。
この手術を受ける方は、おっぱいが上手に飲めないため助産師さんから紹介されるケースが多いのですが、
最近ではインターネットなどで自ら調べて、自閉症、多動症、アトピー性皮膚炎、
引きこもり(不登校)の改善目的で手術を希望される方も増えています。
舌癒着症の最大の問題はコミュニケーション障害でもあるのです。
赤ちゃんに手術と聞いて心配するお母さんもおられると思いますが、
太い血管や神経のない場所なので特別な危険性はありません。
また月齢が小さい赤ちゃんは、知覚神経が十分発達していないので痛みの心配は不要です。
ただし傷がふさがるまで数日間の感染予防は必要です。
また大人の場合、頭痛、肩こり、腰痛、冷え性、疲労感、いびきなど改善され、心身ともに楽になるようです。

術後のあれこれ
手術後にはケアが必要です。全てがその日から100%改善するわけではありません。
1ヶ月、半年、中には1年以上経ってから、手術をして良かったと思える人もいるようです。
実際に手術をされた方の中でも、手術後の変化に気づかない人や、
おっぱいの飲み方が深くなったため奥のほうの母乳を飲めるようになり、
一時的にはかえって症状が悪化したように感じる方もいます。
また、1歳前後の赤ちゃんの中には舌の位置が変わった事による違和感から、
卒乳してしまったというケースもあります(月齢の小さい赤ちゃんは卒乳の心配はまずないようです)。
劇的な改善を求めて手術に望んでも直ぐに効果が上がらない場合は術後のケアを受けたり、
生活習慣などを見直したりすることが大切です。

賛否両論
中には積極的にこの手術を勧める小児科医もいますが、一般的にほとんどの小児科医が(猛烈に)反対しています。
小児科学会の小委員会の報告書によると、舌癒着症そのものがないという否定的な見解です。
その内容は、池川クリニック(内科・産婦人科/横浜市開業)のHP(http://www1.seaple.icc.ne.jp/aikegawa/shita/shita.htm)で、
舌癒着症・舌小帯短縮症に関する公開シンポジウムと併せて全文掲載されています。
一方、自然育児・母乳育児に熱心な助産師さんは舌癒着症をよく理解していて手術を推奨されています。
自然育児法研究会元会長でよこはま自然育児の会の名誉顧問でもあられる故山西みな子先生(助産師)は、
「育てにくい子は99%舌癒着症が原因よ!」と、常々言われており、著書の中にも述べられています。
現在、ご子息様(耳鼻科医)が母の意志を引継ぎ、東京で舌癒着症手術を行っています。

最後に
ほとんどの人が舌癒着症であると言うことになると親としては悩んでしまいますが、
手術の適否はその子によりけりです。手術は必ずしも全員が受けなければならないものではありませんし、
手術しなかったら、まともに成長しないわけでも決してありません。
また全ての症状が100%治るわけでもありません。手術はあくまでも、一つの選択肢に過ぎません.
ただ、呼吸は一生の問題。切る切きらないは別にして、呼吸が様々な育てにくい症状の原因の一つであることは事実です。
このような症状で苦しんでいるお子さんやお母さんは、
こういう方法もあるのかとちょっと自分自身で考えてみてはいかがでしょうか?