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サルの目の生理は、まさしく人間の目に似ている。
サルの場合にも、目は周囲の対象に焦点を合わせるのに同じ機能を果たすように、頭蓋の中で真っ直ぐ前方を見詰めるのに都合のよい位置を占めている。
サルはあくことのない好奇心の持ち主であり、しかも他の動物との交渉で如才なさや外交的配慮を示すことがない。
そのため高等哺乳類とくにイヌやネコにとっては、ひどくその神経にさわる。
それらの動物のサルに対する反応の形は、人に対する態度を忠実に反映している。
人に対して素直で従順なイヌは小さいサルのうちでも最も小さなものにさえ完全に言いなりになる。
私は例え最も強くて野蛮なイヌであっても、それからサルを守ってやらねばならぬという事は無かった。
反対に屡イヌの側に立って割って入らねばならなかったのである。
私が飼っていた小さいサルは、疑いもなくそれなりの流儀でイヌを愛してはいたのだが彼をウマにするか湯タンポにするかして利用していた。
しかし、イヌがこの生意気な小さい生き物の意志に些かでも逆らう素振りを示そうものなら、彼はすぐさま殴ったり引っ掻いたりして懲らしめた。
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イヌは彼を寝床暖め器として必要なうちは、ソフアのきまった場所から動くことは許されなかった。
それで私は食事時にはいつも連れ出さればならなかった。
さもないとつましいイヌの食事に手をつける気などさらさらないのに、不運なイヌをしつこく悩ますからである。
そうして、イヌのサルに対する振る舞いは、甘やかされて根性の曲がった子どもに対する様なものだった。
そうした子どもたちは、周知のように、善良なイヌを苛めてもなんの罰を受ける事は無いしお返しとして噛みつかれても当然なのに、怒りの唸り声すら頂戴しないのである。
イヌが子どもに対してどんな反応を示すかについて私が言った事は、わが家のネコについても大部分当て嵌まる。
しかしながらネコは子どもに対して、大人を相手にする場合に比べれば余程辛抱することは確かだがさほどがまん強いというわげではない。
所がサルに対しては、唸ったり脅したりすることを決して躊躇わなかったし、ネコが尻尾を引っ張ったりしたときには、手厳しい仕返しをした。
そしてわか家の他のネコたちも、サルに対しては同じようにそれぞれ自分の立場を守っていた。
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