=終章=
「ところでさ。」
新しい家に一歩踏み込んだところで、宮は足を止めた。暫く無人だった建物には、白い靄がかかって見える。ところどころにある銀色に光る糸は、8本足のある生物の巣の名残りか……。宮と同じことを思ったタカが、はぁーっと盛大な溜め息をついた。戸口から中を覗くなり、翔は外に踵を返す。皆思ったことは同じはずだ。その証拠に、宮がいいかけた続きをタカがいう。
「オレ達、さっきも大掃除したよな……結構かけて……。つーか、あれより時間かかりそうだぞ、こりゃ。第一、クモの……」
「ストップ! その名前を出さないでっ」
翔が両手で耳を塞ぐ。戸口の外で蹲る彼女を見て、タカは声を顰めた。
「もしかして、翔、クモ苦手か?」
「かなり」
眉を顰めて宮が答える。ということは、
「ここの掃除を二人ですんのか…………」
先刻よりも酷い部屋を、先刻より少ない人数で……。気が遠くなる話だが、片付けなければ彼等は一夜を埃の海で過ごすことになる。しかも、クモだのなんだの得体の知れないおまけつきだ。
「しゃーねー、やるか」
「おー」
腹を括って二人が今日二度目の大掃除を開始するころには、夕暮れは夜へと変わっていた……。
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