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※※※ 「収集」2010年6月号から12月号まで掲載された、読者投稿の原稿を一部書きなおして載せています。 ※※※

「古いコインはどれくらい残っている?」 コインの残存推定指数式 y=1/(1+0.1x)について。

コインの残存推定数=発行枚数x{1/(1+0.1x発行後経過年数)}
上記式をエクセルシートに入れています。このリンクをクリックするとDLできます。 発行数、西暦発行年、現在の西暦を入力するだけです。

 以前、ギザ10を積極的に集めていた時期があった。まだ銀行での両替は無料だった。ギザ10を集めるだけならロールを横から見ればすぐにわかる。しかしそれだけでは重たいロールを持ち帰る労力がもったいないので、年銘別に枚数を記録していた。両替は1回250〜2000枚、平成10年7月〜11年6月までの間に17回、合計13000枚の10円玉を調査した。ギザ10は合計85枚見つかった。状態は並〜美品程度だった。中にはギザが擦り切れて無くなってしまい、危うく見落としてしまいそうなものもあった。

 13000枚中のギザ10存在率は85/13000で0.0653%。1000枚に6〜7枚有ることになる。もし今まで造られた10円玉がすべて現存し流通しているなら、10円玉中にギザ10の占める割合は、ギザ10の製造枚数/現在までの総10円玉製造数になるので、平成9年では17.73億/270.6858億で、ギザ10存在率は6.55%。100枚中に6〜7枚存在するはずだ。しかし10円玉がすべて現存し流通している訳ではなく、実際にはその1/10の量が流通していることになる。ではこの差の原因は何であろうか。推測してみた。

1 長期間流通によりくたびれてしまい、回収されてしまった。

2 貯金箱の中で眠っている。

3 自動販売機の下へ潜り込み、見つからないでいる。

4 コイン商の在庫になっている。

5 ギザ10コレクターによって、大事に保護されている。 

 他にもまだ原因があるだろうか。これだけの理由で存在しているはずの90%が姿を消してしまうだろうか。 コインは製造後、増えることはなく、理由が何であれ減り続ける。しかし無くなってしまうことはほとんどない。では一体どれくらい残っているものだろうか。前述の10円玉13000枚のデータから、古いコインの残存数を推定することができれば、今はよく見かけるコインでも将来希少化する品が分かるかもしれない。逆に存在数が想定できれば、あわてて購入する必要も無くなるのではないかと思う。計算ソフトを使って、コインの残存式を考えてみた。

 【計算方法】

 ’銘ごとに、総発行枚数に対する存在比率をだす。

◆…敢困靴13000枚中の年銘ごとの存在比率をだす。

 「13000枚中の年銘ごとの存在比率÷総発行枚数に対する存在比率」を計算して、年銘ごとに指数を出して表に示す。

ぁ”舛れた表の曲線と似た曲線を持つ式をカット&トライで導いてみる。 

総発行枚数に対する存在比

 ’銘ごとに、総発行枚数に対する存在比率 縦軸:% 横軸:年銘

注:平成元年と昭和64年は同じなので、合算している。昭和31年銘の製造はないが、正しく表示させるため入れてある。

13000枚中の年銘ごとの存在比率

◆…敢困靴13000枚中の年銘ごとの存在比率 縦軸:% 横軸:年銘

注:平成元年と昭和64年は同じなので、合算している。昭和31年銘の製造はないが、正しく表示させるため入れてある。

 270億枚製造に対して、13000枚は圧倒的に少なすぎる調査数だ。発行年後、時間がたっていない部分の存在比は少し高めに出ている。上表2つの形はよく似ている。調査数13000枚でも信頼できそうだ。

13000枚中の年銘ごとの存在比÷総発行枚数に対する存在比

 13000枚中の年銘ごとの存在比÷総発行枚数に対する存在比。縦軸:% 横軸:元号年

注:平成元年と昭和64年は同じなので、合算している。昭和31年銘の製造はないが、正しく表示させるため入れてある。

 上表で大まかな傾向はわかる。一見したところ、左上から右下へ真直ぐ直線で減少しているように見える。昭和33年以前のギザ10に該当するところは一段低い値になっている。ギザ10については、先の1〜5を考慮すれば、もう少し高い値になるはずだ。この棒グラフに近似する曲線は、カーブの緩い反比例曲線ではないかと考えられる。

 そこで y=1/x からカット&トライで y=3/(1+0.1x) の式を割り出した。

 下表は、上記「13000枚中の年銘ごとの存在比率÷総発行枚数に対する存在比率」に、y=3/1+0.1xの反比例曲線を被せたものだ。(但し、xはコインの発行後経過年数が入る。)

描かれた表の曲線と似た曲線を持つ式y=3/(1+0.1x)

ぁ”舛れた表の曲線と似た曲線を持つ式y=3/(1+0.1x) 

注:横軸は、発行後経過年数。

 発行後7〜8年を過ぎると、曲線と計算値が近付いている。ギザ10が製造されていた頃は曲線から下へ離れている。この差が先の2〜5に相当すると考えられる。 この傾向は10円玉だけだろうか。

 またまたサンプル数が少なくて恐縮するが、5円玉、500枚でも同様にやってみた。

5円玉の指数

注:横軸は元号年。

 この曲線に近似する反比例曲線を被せると、下表のようになる。式はy=2.5/(1+0.1x) xの値は先と同じだ。

5円玉の指数と式

注:グラフ横軸は、発行後経過年数。

 10円と5円では似た傾向がある。式右辺の分子がとる値は3と2.5で違っていた。少し乱暴であるが、コインの残存式は、y=2.5〜3/1+0.1x で近似できるのではないだろうか。 下表は、全てのグラフを重ねたものだ。

全てのグラフを重ねたもの

注:横軸は、発行後経過年数。

 さらに表示方法を変えてみる。これは棒グラフの頂部を線で結んで表したグラフだ。4つの線は絡み合っていて、似た傾向を示している。コインの残存式、y=2.5〜3/1+0.1x は結構、真実味がありそうだ。

上のグラフの表示方法を変えたグラフ

注:横軸は、発行後経過年数。

 分子が1以上を取るということは、コインが増えていることを意味する。しかし実際にはあり得ないことだ。新しいコインは市場に潤沢に供給されるので、統計を取ると発行の新しいものは、実際より見かけ上多く見えるのではないだろうか。コインが増殖することは無いので、実際の13000枚中の「年銘ごとの存在比率÷総発行枚数に対する存在比率」は1.0を超えないはずだ。もし10円玉全数を調べることができたなら必ず「総発行枚数に対する存在比率÷総発行枚数に対する存在比率」となる。5円と10円の調査で導き出した式は、発行されたコインの減少傾向を示していると考えれば、分子を1として減っていくコインの割合をかけてやれば、古いコインがどれくらい残っているか想像できると思う。

 コインの残存式は次のようになる。y=1/(1+0.1x)

 コインの製造数記録はいつから残っているだろうか。わからないが、3000年まで表を作ってみた。

残存指数のグラフ、50年後まで

注:横軸は、発行後経過年数。

50年後〜400年後

注:横軸は、発行後経過年数。

400年後〜3000年後

注:横軸は、発行後経過年数。

 では実際にコインの推定残存数を考えてみる。先に導き出した式 y=1/(1+0.1x) は、コインの残存推定指数が求まるので、実際に残存数を推定するときは、次のようになる。

コインの残存推定数=発行枚数×{1/(1+0.1×発行後経過年数)} 赤字のところへ数を入れて計算する。

 昭和33年銘10円、発行枚数2500万枚。今は平成22年。式にあてはめるとxは52、yは0.16、推定残存数は400万枚。13000枚の調査から推定値の1/10なので、流通には40万枚が存在することになる。1枚も発見できなかったのでうなずける。しかし360万枚もどこかに眠っているのかと疑問が残る。

 ギザ10全体ではどうか。ギザ10の総発行枚数17.73億枚。yは概ね0.15。推定残存数は2.6595億枚、流通には約2700万枚、どこかに2.39億枚眠っている。本当か???

 ギザ10コレクターは世の中に何人いるか?10万人とすると人口1億2千万として1万人に6〜7人、これくらいならいそうだ。一人平均100枚所持しているとしても、1000万枚2.39億枚には遠く及ばない。

 明治8年銘、1圓銀貨はどうか。発行枚数139323枚、yは0.068965…。推定残存数9811枚。この銀貨は貿易銀として輸出されている。海外で現存しているものもあるだろう。また、銀地金として潰されているものもあるだろう。たぶん推定数より現存数は少ないと思う。即売会では状態無視ならば、必ず1枚はある。オークションにも年に何度か登場する。そんなことを考え合わせると、推定数の1/10、1000枚くらい有りそうではないか。

 外国コインで、有名なゴチッククラウンはどうか。発行数8000枚、yは0.057803…。推定現存数462枚。このコインは美麗なプルーフ仕上げでデザインも秀逸なので、一部流通してしまったものもあるが、大切にされたのか目にするコインは概ねEF以上だ。国内の業者も複数枚の在庫を持ち、年に何度も見かける。世界中に散らばっていると思われる。明治8年銘、1圓銀貨よりもよく見る。4000枚は残っていそうだと見るがどうであろうか。

 香港2ドル白銅貨、1978年銘は製造数が50万4000枚だ。yは0.303030…、推定残存数120000枚。まだ現地で流通している。旅行の記念品として一般にも持ち込まれている。探しているが、一度も見たことがない。近い数字が出ていると思う。KMカタログの評価はEF $1、UNC $10となっている。以外と低評価に驚いた。

 香港10セント黄銅貨、1980年銘は特年として評価され、EF $15、UNC $35となっている。しかしこれはよく見かける。香港2ドル白銅貨、1978年銘は近い将来入手難となるかもしれない。

 元文小判金で考えてみよう。元文金製造数1743.5711万両、うち1/3は一分判であったとされている。元文小判の製造数は、1162万枚となる。元文金は文政改鋳時、天保3年(1832年)までに1427.8215万両が回収されたとされている。小判と一分判が製造時と同じ比率で回収されたとすると、1832年での元文小判の残存数は205万枚。1832年以降にコインの残存式を適用すると、推定残存数は109000枚となる。幕末に金貨の海外流出があり、新通貨への切り替えで回収もされているので、実際はすこし少ないと思われる。

 即売会ではどこの業者も複数在庫を持ち、オークションや入札には大抵出品がある。コレクター持ち分と合わせれば、1万枚くらいは残っていそうだ。

 取り上げたコインにはそれぞれ事情があり、式を適用すれば即残存数推定可能かと言えば、そうではないようだ。説得力のない理屈と適用事例であった。また、突っ込みどころ満載の文章だと思う。しかし残存数を推定するためある程度参考にならないだろうか。

 もっと信憑性のある、裏付けのある理論をお持ちの方はぜひ教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。

 

参考文献

「貨幣の語る日本の歴史」山口和雄

「日本史小百科 >貨幣> 」瀧澤武雄 西脇 康

「日本貨幣カタログ」日本貨幣商協同組合

「Standard Catalog of World Coins」19世紀、20世紀版

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