■イベリコ豚 - スペイン語 : Iberico -

イベリコ豚とは豚の品種名で,スペイン西部地方だけで飼育されるイベリア種というスペイン原産の黒豚で,黒い毛と蹄を持つ黒豚で野生に近い種のため自然放牧で肥育し上質の脂肪と赤身が特徴で,赤身には霜降り牛のようにサシが入り,生ハムのハモン イベリコに仕立てると長期熟成によって一層輝きを放ち,フルーティーな香り,濃厚な旨み,なめらかな口溶けをもった一品に仕上がる。

スペイン語では『 黒足の豚 - pata negra - 』と表現され,2003年まではスペインでの豚コレラ流行の影響から日本への輸入が禁止されていたが 2004年より輸入解禁となっている。

イベリコ豚は,『 デエサ 』と呼ばれる広大な樫の木やコルク樫の森の中の牧草地で『 モンタネーラ 』という伝統的な飼育がなされ,自然の恵みであるどんぐりや牧草を食べ脂肪を筋肉組織内に浸透される能力に長け,通常の豚の何倍もの時間をかけて160 - 180kgまで太らせ肥育するため味わいは,ほかの種類の豚とは大きく異なり,イベリコ豚はその飼育方法により等級は3段階に分かれる。

1. ベジョータ − 樫の林で放牧してドングリだけで肥育し,飼育密度は 1ヘクタールあたり 1 〜 2頭。

2. レセボ − 樫の林でドングリで肥育し,飼育密度は 1ヘクタールあたり 1 〜 2頭だが,体重が足りないため穀物飼料で補給。

3. ピエンソ − 特別な飼育はせず,穀物飼料を与えて出荷重量まで飼育したイベリコ豚。

以上に分けられ,イベリコ豚としての血統も重要で生肉であれば 50%以上,生ハムであれば純粋なイベリコ豚の血が 50 〜 75%以上の純血度でないといけない規定があり,イベリコ豚の特色は,肉質が良く脂身はさらりとして甘味があるのが特色で,脂身には餌であるドングリ由来のオレイン酸を多く含む。

■イベリコ豚の飼育と特色

この特色は餌や飼育法に拠るところが大きく品種的な特徴ではない。脂肪分は霜降り状に付いているが,この特色は飼育法と品種的な特徴の両方から成り,イベリコ豚は品種名だけでなく特別な飼育法で育てられるが最大の特徴は放牧を行うことである。

生,冷凍の生肉各部位,生ハム,チョリソーなどの加工品が日本に入って来ているが,認可を受けたものだけが『 イベリコ 』を名乗ることができ,加工品でも上記のランク付けがされているのでラベルなどで判断できる。白豚の生ハムはハモン セラーノ,イベリコ豚はハモン イベリコとなり,ハモン イベリコ ベジョータやレセボと表記される。

イベリコ豚の肉質は白豚と異なり,脂身にはドングリを食べることで不飽和脂肪酸のオレイン酸が多く含まれ,脂肪の融解温度が低く,サラリとしていて,ほのかに甘味を感じる事ができ,ビタミンB群,ビタミンE,抗酸化物質などを含み,『 脚のついたオリーブ 』とも呼ばれ,動脈硬化を防ぐなどの効果があるとされている。

ピレネー山脈に生息していたヨーロッパの在来種のビゴール豚がイタリア地方に生息するようになったものがイベリア種になったのではないかという説もあります。

イベリコ豚の特徴である旨み成分の豊かな赤身,オレイン酸をたっぷり含んだ脂は決まった飼養管理方法で育てられ,イベリコブタは生まれると 50 〜 60日くらいまでは母豚の母乳で育てられイベリコ豚の飼養方法の第一段階で,体重が 90 〜 100kgを超えるくらいになるまでは,健康的な身体を作るために広い放牧地でどんぐり,木の根,牧草を食べて育ち,穀物の飼料は必要に応じて与えられるが,基本的には太らないように必要最小限のみを与える。

最終段階は,放牧肥育期間で『 モンタネーラ 』と呼ばれ,どんぐりを主に食べさせるために 10月から 2月か 3月まで樫やコルクの森で肥育される。平均的にみて,どんぐり 7 〜 9kgで 1kgの体重の増加が見られ,この期間に肥育が始まる前の体重の 50%以上体重を増加させられるイベリコ豚が良いとされている。このモンタネーラに使われる放牧地には豊かな森が必要である。

■生ハムの ハモン イベリコ - Jamon Iberico -

イベリコ豚の生ハムは,イベリコ豚自体が希少のため生産量がスペインの全生ハムの 1割程度で,本国スペインでも大変珍重されている。

最高級の生ハムでは,イベリコ 100%ではなく純血度 75%を理想とするが,イベリコ 100%では脂肪が多くて赤身が少なく,成長にも時間がかかるので,赤身肉の豊富なデュロック種を掛け合わせ,程良い量の脂身と霜降り状の厚い赤身を作り出し,最高級の生ハムとして使用されるイベリコ豚が誕生する。

『 ハモン イベリコ - Jamon Iberico - 』は,スペインだけで作られる黒豚の生ハムで,ハモン イベリコはどんぐりを食べさせた黒豚のイベリコ豚を使い,熟練した製法と長期熟成により作り上げられた薫り高い最高級の生ハムである。

ハモンはラテン語で後脚,イベリコはスペイン語で,ピレネー山脈以南のスペイン国とポルトガル国を含む『 イベリア半島の 』という意味で,単独で用いられる場合は例外なくスペイン産で,牛肉のような濃い赤色ときめ細かな『 サシ 』と呼ばれる脂肪が特徴で,白豚から作られるハモン セラーノとは区別される。

ハモン イベリコの生産数はハモン セラーノより非常に少なく,その飼育にも手間がかけられ,出荷されるまでの熟成期間も長いため,本物は非常に高価で,前脚で作られる『 パレタ - Paleta - 』は,脂肪が少なく熟成期間も比較的が短い。

ベジョータ レセボ セボは,イベリコ豚の生肉を塩漬けにした後,余分な塩分を洗い流し,気温の低い乾いた場所に約 2年から 4年程吊るして乾燥,熟成させ,主にイベリア半島西部に広がるデエサ ( 西:Dehesa ) と呼ばれるオークまたはコルクの林で放牧されるイベリコ豚はどんぐりの実などを食べて育つ。

どんぐりを主体に育った豚の中で認可を得たものだけが『 ハモン イベリコ デ ベジョータ - Jamon iberico de bellota - bellota:どんぐり 』と名づけられ,味,品質ともにより優れているとされ,イベリコ豚のうち,ドングリ豚にしかベジョータ (Bellota)の表示がつけられない。

『 イベリコ豚 = ドングリ豚 』ではないため,虚偽表示に注意する必要がある。ハモン ベジョータの中ではサラマンカ産が広く知られているほか,南西部ウエルバ県のハブーゴ(西:Jabugo)産が知られている。

一級品のベジョータ以外のハムは単に『 ハモン イベリコ 』,または豚のランクによって呼ばれ,どんぐりで体重を増やしきれず飼料が与えられた豚(レセボ)から作られたハムは『 ハモン イベリコ デ レセボ 』(Jamon iberico de recebo) として出荷される。ドングリを一度も食べなかったイベリコ豚は『 セボ 』と呼ばれ,ハムも同様にハモン・イベリコ・デ・セボ (Jamon iberico de cebo)となる。

■イベリコ豚の肉質

イベリコ豚の肉質は,肥育期間中に自然のどんぐりや牧草を食べているため,イベリコ豚の豚肉には独特の香りとオリーブオイルにも含まれている『 オレイン酸 』を含む脂肪が特徴で,このイベリコ豚の脂肪に豊富に含まれるオレイン酸は,高血圧や動脈硬化の予防に効果がある体に良い脂である。

スペインのイベリコ豚を昔から食べている地域の人の心臓の疾患が少ないのは,イベリコ豚のオレイン酸の効果とされ,イベリコ豚が広い牧草地を歩き回りながらどんぐりを捜すため毎日の適度な運動量があり,筋繊維の中に細かい脂肪が入り込むことで霜降り状の上質な豚肉になる。

脂肪の溶ける温度が,一般的な豚肉では36度前後であるのに対し,イベリコ豚の脂肪は20度前後で溶け始めるためイベリコ豚の脂肪は身体にやさしい脂分といえる。

イベリコ豚には独自の3つのランクがあって,『 モンタネーラ 』という放牧肥育の期間中に何を食べているかということでイベリコ豚のランクが決まり,イベリコ豚の肉質は世界的に有名で最高級といわれ,イベリコ豚から作られるイベリコハムには,後ろ足を使った『 ハモン イベリコ 』と前足を使った『 バレタ イベリコ 』などのイベリコハムがある。

長期の熟成で霜降りになった良質の脂はオレイン酸のほかにビタミンB郡を多量に含んでいるのでドロドロ血液をサラサラ血液にする働きがある生ハムで,イベリコ豚の中でもどんぐりを使った最も良質のイベリコ豚を使ったハムは『 ハモン イベリコ デ ジョベータ 』という。

■イベリコ豚 レシピ

イベリコ豚といっても,他の豚と変わりなく,様々な料理に使えますが,脂が身にも浸透している事を考えると長時間の加熱は,折角の脂が台無しになるので,避けた方が良いと思います。生ハムは,冷したものより,少し常温に戻し,脂がトロッとした感じで食べると,美味しくいただけます。

▼ハモン イベリコ ブルスケッタ

ハモン イベリコは,どんぐりを食べて育ったイベリコ豚の後ろ足から作られる生ハムで,オリーブ油に似たオレイン酸が豊富。

作り方は,

1. フランスパンを1cm幅に切る。噛むダイエットが食感もありお勧めだが,固くなったら水で周囲をぬらしてから焼くと柔らかくなる。

2. 軽くトーストしてから,半分に切ったにんにくと完熟トマトの断面ををこすりつけ香りをつけて,生ハムをのせる。

3. 粗挽きの黒胡椒をふり,パセリをのせ,好みでオリーブオイルをたらす。

ハモン イベリコは,どんぐりや木の実主体の飼料のため独特の香りが良質の脂に閉じこめられ,密度の高い香気として口からあふれる。

ハモン イベリコは,放牧による運動で脂が霜降り状になり,サシと呼ばれるきめ細かな脂肪が赤身肉の中に入り込み,口中で溶けるような食感で,生ハムが乾燥され熟成されている間に飽和脂肪酸よりも低い温度で溶ける脂肪に変化し体に残らないため太りにくい。


Copyright © 2008 学習と音楽の里 にこにこ村

当サイトは、第三者配信による広告サービスを利用しています。このような広告配信事業者は、ユーザーの興味に応じた商品やサービスの広告を表示するため、個人を特定する情報を除いた当サイトや他サイトへのアクセスに関する情報のみを使用することがあります。このプロセスの詳細やこのような情報が広告配信事業者に使用されないようにする方法については、ここをクリックしてください。