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「黒帯への道」

 

平成22312

 

実戦空手道 虎徹 権田浩康

 

 押忍。神の倉道場の権田浩康です。この度は昇段審査に挑戦させて頂くチャンスを頂きました

水野先生に心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

 

 さて、私が虎徹に入門して、早いもので3年が経ちました。

当初は、運動も苦手であまりスポーツをした事の無い私は・・・

体力は続くのか?怪我をしないか?仕事に影響が出ないか?と不安ばかりでしたが、

今ではすっかり空手の魅力に取り憑かれています。

 

そもそも、私が入門するには色々な思いがありました。

息子達も小学生になり、親として将来の為に何をしてやれるのかと考えた時、

せめて丈夫な身体を作ってやりたい、心身共に「タフ」な男になって欲しい・・・

そんな思いから空手道場の情報を集めるようになりました。

と言っても、私自身空手については無知でしたから、どんな道場が良いのかわからず、

とにかく「近く」の道場を探していました。それから半年くらいたった頃でしょうか、

虎徹のチラシが目につき、「神の倉・・・近っ!」と、すぐに見学にいき ました。

 

私にとっては初めての見学で、ただただ、適度の緊張感と気迫が満ちたその空間が

新鮮で数名の道場生の活き活きとした姿に感動し見学を終えたことを今でも 覚えています。

いろいろ考える事無く、これも何かのご縁だと思い「一期一会」の思いで、

その後すぐに息子達の入門のお願いの電話をさせて頂きました。

 

・・・そうです、息子達だけ入門させるつもりでしたが、そのときです

「先生、私もいいですか?」と言ってしまいました・・・。

 

考えてみれば、仕事や各方面との付合いに日々忙しくしていて

息子達との時間が作れなくなっていた自分自身に不満をもっていたのでしょう。

この機会に息子 達と同じ時間を過ごせ、且つ親父の背中を見せれる、

尚且つ運動不足の解消になる・・・と様々な思いがありました。なにか刺激が欲しかったのかもしれません。

 

30代半ばを過ぎて、新しい事に挑戦すること、それこそ空手に挑戦する事は勇気が必要です。

 

恐怖におののき腑甲斐ない自分を曝け出し、

いままで積み上げてきた自分のイメージやプライドをズタズタにされるかもしれません。

でも「強さ」への憧れが、一歩踏み出せた本当の理由だと感じます。

 

「今日は残りの人生の最初の日」私はこの言葉が大好きです。

 

私も男です。何歳になっても強くありたい・・・それが正直な思いでしょう。

やるからには、中途半端ではいけません。子供達が見ています。

毎週金曜日の稽古は何よりも優先し時間を作るようにしました。目標は「黒帯」です。

 

 真新しい道着に白帯をしめて、「エイッ!」と気合いを入れて稽古に励む日々

がはじまりました。運動不足の私には筋肉痛に打撲、突き指などに苦しむ時も

あり、日々の稽古は少々辛いものでしたが、

しっかり汗をかいた稽古後の爽快感は何ものにも変えがたいものでした。

 

そんな中、一緒に稽古に励む子供達には大きな刺激をもらう事ができました。

苦痛に耐え、涙を流しながらも頑張る子供達、試合で何度負けても

挑戦し続ける姿には大人の私から見ても感動させられ、

「私も試合に挑戦しよう」と思う事 ができました。

 

ですが、最初の試合は恐怖そのものでした。

相手はどんなに強いんだろう?どんなに痛いんだろう?

と不安で頭がいっぱいでしたが、2分5ラウウンドのミッ ト撃ちに比べれば・・・

水野先生との組手に比べれば・・・と日々の稽古のおかげで、

恐怖も少々払拭され、適度の緊張感で試合に望む事ができました。

試合 内容・結果とも決して満足できるようなものではありませんでしたが、

試合後の爽快感や達成感、そして充実感は稽古後のそれを上回るもので新鮮なものでした。

この感覚は仕事でも感じた事の無い感覚・・・「頑張るっていいな」と改め

て思った瞬間です。

 

大人になるにつれ「クールに・・・」「スマートに・・・」なんてことばかり考えていた私でしたが、

がむしゃらに自分を曝け出して「頑張る」ことで、

より 大きな充実感を得る事が出来る事を、空手を通じ一番に感じている事です。

 

 今回の昇段審査、難関10人組手では自分を出し切る事に全力を尽くし、

「黒帯」を頂く事ができれば、今まで以上に皆の模範になるように・・・

いや目標 とされるような「黒帯」でありたいと思っています。

ですがまだまだ自分の空手に自信を持っているわけではありません

。現状に満足する事無く、自分自身への挑戦、試合への挑戦を続け、

強い心・切れのある技・強靭な肉体・・・

そう心技体の揃った、背中で指導できる「生涯現役の黒帯」を目指したいと思いま す。

 

昇段審査を終えて

 

想像以上にキツかった・・・それが率直な思いです。

 

3月12日(金)通常の稽古日に、多くの道場生が見守り、心地よい静寂で張りつめた空気の中、

私の昇段審査は始まりました。

 

前半は拳立てから始まり、一本組手までの約60項目の基本動作です。

まずは拳立て50回をなんとかやり遂げて、次は基本動作です。

右左を間違えてしまう程の極度の緊張で、頭の中は真っ白。

とにかく声を出し「気合い」だけは忘れずに、立ち方・突き・蹴り・受け・・・

額からは大粒の汗が流れてきます。

 

あちゃ・・・もう息があがってる・・・。

 

10人組手の事ばかり考えていた私は、この時点で昇段審査の恐ろしさを感じていました。

すでに体力の80%を使い切った感を身体に感じながら、「バ シッ!バシッ!」とゆう音につられ周りに目をやると、

一般部の皆さんが、鬼の形相で組手の準備をしています。

 

いったい私はどうなってしまうんだろうか?

 

そんな不安・・・いや恐怖が頭を一瞬よぎりました。

10人組手は体力勝負。最初のうちは手数を抑えて、距離をとって、相手をしっかり見ながら有効打を打って、

後半に体力を温存しなければ・・・そんな事をいろいろ考えてはいましたが、

普段の稽古で出来ない事が、いきなり出来る訳ありません。

とにかく自分を出し切ることを念頭に、「気持ち」を前面に出し、

最初からガンガン行って最後までやり遂げてやろうと改めて気持ちを奮い立たせました。

 

そしていよいよ10人組手の始まりです。最初の相手はいきなり水野先生です。

 

「始めっ!」の合図と共に強烈な突きと蹴りが容赦なく跳んできます。

1人目でいきなりノックアウトされては情けない・・・とにかく上段だけは貰うまい と、

頭を下げずしっかりガードを上げる事に集中し、後ろに下がらず前へ出ようと・・・

実際はそれが出来ていたのかもわかりませんが、なんとか乗り切る事 ができました。

 

2人目は、植田道場の茶帯の綿内君です。私よりも遥かに高い身長で、

最近メキメキと実力を付けているので、私を倒す気満々で向かってきます。

私も本気で行かないと倒されてしまいます。容赦ない攻撃を身体で受け止めながら、

強くなった彼の姿にうれしさも感じていました・・・私はとゆうと、

この時点でもうヘロヘロです。正直「まだ2人目か・・・」

と気が遠くなるように感じた事は否定できません。

 

そして3人目・・・。

 

実は3人目以降はあまり記憶が有りません。

体力もほぼ使い切り、頭の中は真っ白。とにかく前へ前へと脚を踏み出し、握りしめた拳を突き出す。

それだけしか出来ていなかったような気がします。ただ ただ 身体が重く、

思うように動けない・・・そんな事だけが思い出されます。

 

体中の激痛と疲労。今にも倒れそうでフラフラしながら、なんとか9人目を終え、

いよいよ最後の1人、相手は再び水野先生です。

細かな事は覚えてはいませんが、道場生の大きな声援に背中を押され、最後の力を振り絞り、

入門から今日までの感謝と私の空手に対する思いを拳にのせて突 き出し、

それをしっかり受け止めて頂いたように感じました。

 

「止めっ!」の合図の瞬間、私の身体は他の何者にも変えがたい達成感と感謝の念で満たされていました。

・・・が、今になって考えれば自分の課題もはっき り見えてきました。

「スタミナ」「柔軟性」「間合い」。どれをとっても基本中の基本ですが、

それが出来ていない自分自身に腑甲斐なさも感じています。

 

 

 今回の昇段審査で改めて強く感じた事があります。それは「声」の力です。

体力の限界を越えていても、「声」を出す事で拳を出す事ができました。「声」

を出す事で脚を上げる事ができました。皆さんの「声援」で立っている事もで きました。

今までは「気持ち」が「気合い」になり「声」が出てくると思っていましたが、

実はその逆で「声」をだすことで「気合い」が入り「気持ち」を強くもてるんではないかと・・・

そしてその「声」から始まった「気持ち」が自分を前へ前へと押し進めてくれたように思います。

 

空手において、技術を磨く事は重要でしょう。

しかしその技に「気持ち」がのっていなければ、その意味は半減してしまうのではないでしょうか。

稽古におい ても試合においても常に「自分を出し切る」とゆう強い気持ちがあれば、

結果はどうあれ充実した時間を得る事が出来るように思います。

「気持ち八割・・・ いや九割九分かも・・・。」

そんな思いが私の身体に染み付いたように感じています。

 

 

 そしてこの論文を読んでくれるであろう後輩達に私から2つのお願いがあります。

一つ目は「自分に負けない心」を忘れてはならないという事です。

稽古の前は怖いもんです。お腹も痛くなります。

休みたい、逃げ出したいと思う事もあるで しょう。

それは私も同じです。

でもそんな自分自身の弱さから逃げないで下さい。

勇気をもって一歩踏み出し真剣に稽古することで、必ず一日分上達します。

そしてその勇気の積み重ねで大きな成果を得る事ができるでしょう。

私でもできたんですから、みんなにも必ずできます。

 

そしてもう一つのお願いが「感謝する心」です。

今、空手を学べる事に感謝して下さい。

ご指導して頂ける水野先生、いつもあなたを支えてくれる家族、共に励まし合い大きな声援を送ってくれる仲間、

そして試合相手・・・あなたに関わる全ての人に感謝して下さい。

感謝できる人にはこの先どんな困難にあったと しても、必ず手を差し伸べてくれる人が現れますから・・・

この2つの心を忘れず、共に成長していきましょう。

 

 私は考えます。「黒帯」はゴールではありません。ここから新たなスタートだと。

虎徹の名に恥じぬよう、「初志貫徹」の精神のもと、明るく楽しく・・・

そして厳しく稽古に精進し、空手家として人間として成長できるよう、

道場生と共に 空手道に邁進していきたいと思います。

 

最後になりますが、共に厳しい稽古で汗を流してくれて、

忙しい中10人組手の相手をして頂いた一般部のみなさん

見守ってくれた少年部のみんな、

そして力強い声援で私をささえてくれた全ての 道場生、

虎徹を支えて頂いているご父兄の皆様、

そして何よりも、こんな私に暖かくご指導頂きました水野先生に心より感謝いたしまして、

乱文ではありますが、昇段審査論文とさせて頂き ます。

今回の昇段審査で得たこの経験をふまえ、結果、黒帯を締めても「黒帯」に驕らず謙虚に、

続く後輩達に伝えながら共に空手道に邁進してい きたいと思います。

 

乱文ではありますが、昇段審査論文とさせて頂き ます。

 

ありがとうございました。押忍。

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