「漢字質問箱」より (ほんの一瞥、走り書き) ↑(HOME)
さて、ついに人名漢字追加(案)が出ました。
PDFファイルだからめんどうなのですが、一瞥すると、「さもありなん」で、普段目にすることもない字も多数含まれます。とくに「第2水準以下」の表なんか「???」です。=== 赤字が追加案に含まれる字 ===
表の上から、顎(あご) 喉 など身体の部分。肋 は「肋膜炎」にしか使用しないでしょう。腺(せん:国字 分泌腺・汗腺くらいにしか使わない) 唾 口腔(コウコウ)の腔、「口腔外科」以外あまり使わない。 腎 痔 尻 股 撫 勃 濡 雫(しずく:国字) 拭(払拭の拭) 閨房の閨 仰臥の臥 枕 吻(接吻と熟して使用) 狙 惚(ほれる) 淫(みだら) 姦 覗(のぞく) 玩弄(もてあそぶ) 廓(くるわ) 娼婦の娼 妾 耽溺 寵愛の寵 刹那の刹 「病膏肓に入る」の膏 嫉妬 侮蔑の蔑 罵倒の罵 詫(わびる) 悲歎の歎(なげく) 吊(つるす) 纏足(てんそく)の纏(まとう) 怨恨の怨(うらむ) 呪(のろう) 復讐の讐 蝕(むしばむ) 発疹の疹 膿(うみ) 淋(りん病、したたる) 癌(がん) 労咳の咳 畏(おそれる) 萎縮の萎(なえる) 脆弱の脆挫折の挫 悶絶の悶 忽然の忽 泡沫の沫 骸(むくろ) 屍(しかばね) 匂
お酒に関して、饗(うたげ) 肴(さかな) 呑(のむ)など・・・
動物の 犀(サイ) 狗(いぬ:天狗の狗) 吠(ほえる) 狼 兎 鷺 雉 蛙(かえる) 蟻 蛭(ひる) 蛋(鳥やヘビのたまご) 蹄(ひづめ) 疋(いっぴき、にひき と、獣・魚・虫などを数えるときにしか使わない:動物以外には織物、一疋=布二反) 禽獣の禽 ・・・
苛酷の苛 誹謗中傷の誹(そしる) 億劫の劫(おびやかす) 卑怯の怯(おびえる) 塵(ちり) 屑(くず) 垢(あか) 糞(くそ)
搾取の搾 掠(かすめる) 漏洩の洩 「嚢中之錐」の嚢 訣別の訣
髭(ひげ) 禿(はげ) 剃(そる) 砥石の砥 鍬(すき) 鋸(のこぎり) 釘(くぎ) 梯(はしご) 杵(きね) 餅(もち) 醤油の醤 鍋 釜 餌(えさ) 外套の套 賄賂の賂(まいない) 贋作の贋(にせもの) 嘘(うそ)! 破綻の綻 潰滅の潰 洞窟の窟 無知蒙昧の蒙、同じく冥(くらい) 晦(くらい) 疎(うとい) 阿呆の呆とは、藪から棒に、そんな筈では・・・
これが「人名漢字」とは、目から鱗。一瞥しただけで、その杜撰さかげんに狼狽します。とうてい審議しつくしたものとは思えません。
こんなヘンな字が「使用可」ということであれば、わざわざ「人名用漢字」を選定して「規制」をかける意味は全くありませんね。国費と労力の浪費もいいところです。こんな漢字を「使用してもいいですよ!」といわれたところでねえ。(嘆息)
また、難解な文字のオンパレードで「人名用漢字」選定の趣旨から大きくはずれています。どこが「常用平易な文字」なのでしょうか???
渾沌のはしりがき
※人名用漢字追加案原案(PDF)【法制審議会・人名用漢字部会】
※のちに原案から削除された字(88字)
糞・屍・呪・癌・姦・淫・怨・痔・妾・腫・腺・膝・顎・脊・尻・叩・喉・狙・鼠・疹・股・斬・腿・潰・蛋・痕・覗・膿・咽・呆・乞・歪・洩・萎・塵・賭・唾・狐・妬・苛・吊・仇・嫉・餌・悶・怯・髭・剃・叱・厭・綻・狗・蔑・弄・垢・牢・挫・娼・溺・廓・罵・爺・吠・贋・蛙・姑・狽・煽・禿・蟻・蜘・狸・蝕・噛・蕩・誹・蛭・賂・掻・脆・牝・嚢・嘘・剥・骸・咳・妓
※人名用漢字(じんめいようかんじ)とは、人名に用いる事が出来る漢字として法務省により指定されたもの、つまり、戸籍法施行規則別表第二(人名用漢字別表)に掲げられた漢字を謂う。
※戸籍に記載される氏名に用いる事が出来る文字は原則として常用漢字、人名用漢字、片仮名及び平仮名(変体仮名を除く)のみ。
戸籍法
第50条 子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。
2 常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。
戸籍法施行規則
第六十条 戸籍法第五十条第二項 の常用平易な文字は、次に掲げるものとする。
一 常用漢字表(昭和五十六年内閣告示第一号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)
二 別表第二に掲げる漢字
三 片仮名又は平仮名(変体仮名を除く。)
附則 (昭和五六年一〇月一日法務省令第五一号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 当分の間、子の名には、この省令による改正後の戸籍法施行規則第六十条各号に掲げる文字のほか、附則別表に掲げる漢字を用いることができる。
3 この省令の施行の日前十三日以内に出生した子の名には、出生の日から十四日以内に出生の届出をする場合に限り、この省令による改正前の戸籍法施行規則第六十条第一号から第三号までに掲げる漢字をも用いることができる。
附則別表 人名用漢字許容字体表 (附則第二項関係)
一 常用漢字表に掲げる漢字に関するもの
亞(亜)惡(悪)爲(為)(逸)衞(衛)(謁)(縁)應(応)櫻(桜)奧(奥)(横)(温)價(価)(禍)(悔)(海)壞(壊)懷(懐)樂(楽) □(渇)卷(巻)陷(陥)(寛)(漢)氣(気)(祈)(器)僞(偽)戲(戯)(虚)峽(峡)狹(狭)(響)曉(暁)(勤)(謹)勳(勲)(薫)惠(恵)□ (掲)鷄(鶏)藝(芸)(撃)縣(県)儉(倹)劍(剣)險(険)圈(圏)檢(検)顯(顕)驗(験)嚴(厳)廣(広)恆(恒)(黄)國(国)(黒)(穀)碎(砕)雜(雑)(祉)(視)兒(児)濕(湿)(社)(者)(煮)壽(寿)收(収)(臭)從(従)澁(渋)獸(獣)縱(縦)(祝)(暑)(署)(緒)(諸)敍(叙)將(将)(祥)(渉)燒(焼)獎(奨)條(条)(状)乘(乗)淨(浄)剩(剰)疊(畳)孃(嬢)讓(譲)釀(醸)(神)眞(真)寢(寝)愼(慎)盡(尽)粹(粋)醉(酔)穗(穂)(瀬)齊(斉)靜(静)攝(摂)(節)專(専)戰(戦)纖(繊)禪(禅)(祖)壯(壮)爭(争)莊(荘)搜(捜)(巣)裝(装)(僧)(層)騷(騒)□(増)(憎)藏(蔵)(贈)臟(臓)(即)帶(帯)滯(滞)單(単)(嘆)團(団)彈(弾)晝(昼)鑄(鋳)(著)廳(庁)(徴)聽(聴)(懲)鎭(鎮)轉(転)傳(伝)(都)燈(灯)盜(盗)稻(稲)(徳)(突)(難)拜(拝)賣(売)(梅)髮(髪)拔(抜)(繁)(晩)(卑)祕(秘)(碑)(賓)(敏)(侮)(福)拂(払)佛(仏)(勉)(歩)(墨)飜(翻)(毎)默(黙)藥(薬)與(与)搖(揺)樣(様)謠(謡)來(来)(頼)覽(覧)(欄)龍(竜)(虜)(緑)(涙)壘(塁)(類)(暦)(歴)(練)(錬)(郎)(朗)(廊)(録)
注 括弧内のものは、つながりを示すために添えた改正後の戸籍法施行規則第六十条第一号に規定する漢字である。
二 別表第二に掲げる漢字に関するもの
亙(亘)巖(巌)彌(弥)(渚)(猪)(琢)(祐)祿(禄)(禎)穰(穣)
注 括弧内のものは、つながりを示すために添えた改正後の戸籍法施行規則第六十条第二号に規定する漢字である。
別表第二 人名用漢字別表 (第六十条関係)
丑 丞 乃 之 也 亘 亥 亦 亨 亮 伊 伍 伎 伶 伽
佑 侃 侑 倖 倭 偲 允 冴 冶 凌 凜 凪 凱 勁 匡
卯 叡 只 叶 吾 呂 哉 唄 啄 喬 嘉 圭 尭 奈 奎
媛 嬉 孟 宏 宥 寅 峻 崚 嵐 嵩 嵯 嶺 巌 巳 巴
巽 庄 弘 弥 彗 彦 彪 彬 怜 恕 悌 惇 惟 惣 慧
憧 拳 捷 捺 敦 斐 於 旦 旭 旺 昂 昌 昴 晃 晋
晏 晟 晨 智 暉 暢 曙 朋 朔 李 杏 杜 柊 柚 柾
栗 栞 桂 桐 梓 梢 梧 梨 椋 椎 椰 椿 楊 楓 楠
榛 槙 槻 樺 橘 檀 欣 欽 毅 毬 汀 汐 汰 沙 洲
洵 洸 浩 淳 渚 渥 湧 滉 漱 澪 熙 熊 燎 燦 燿
爽 爾 猪 玖 玲 琢 琉 琳 瑚 瑛 瑞 瑠 瑶 瑳 璃
甫 皐 皓 眉 眸 睦 瞭 瞳 矩 碧 碩 磯 祐 禄 禎
秦 稀 稔 稜 穣 竣 笙 笹 紗 紘 紬 絃 絢 綜 綸
綺 綾 緋 翔 翠 耀 耶 聡 肇 胡 胤 脩 舜 艶 芙
芹 苑 茉 茄 茅 茜 莉 莞 菖 菫 萌 萩 葵 蒔 蒼
蓉 蓮 蔦 蕉 蕗 藍 藤 蘭 虎 虹 蝶 衿 袈 裟 詢
誼 諄 諒 赳 輔 辰 迪 遥 遼 邑 那 郁 酉 醇 釆
錦 鎌 阿 隼 雛 霞 靖 鞠 須 頌 颯 馨 駒 駿 魁
鮎 鯉 鯛 鳩 鳳 鴻 鵬 鶴 鷹 鹿 麟 麿 黎 黛 亀
口腔(コウコウ)
「口腔外科」(コウクウゲカ)など、医学関係用語では「コウクウ」と読む習わしがある。
嚢中の錐(のうちゅうのきり)
戦国時代、趙の皇族で大臣をしていた平原君は食客(門下生)数千人というのが自慢であった。強国である秦に都邯鄲(かんたん)を攻められた。そこで、平原君はみずから使者となって南の楚の国に援軍を頼みに行くことになった。食客(門下生)の中から文武兼備の者二十人を選んで連れていこうとした。ところが十九名はすぐに決まったのだが、どうしても一名足りない。すると毛遂(もうすい)という男が自己推薦して、自分を二十名の中に加えてほしいという。平原君は言った「役に立つ人物というものは錐(きり)が袋の中にあるようなもので、その先がすぐあらわれるものである。あなたは門下に三年もいるが何ら評判にもならない」と。
毛遂は「私を袋の中に入れてくれないからです。袋の中に入れさえすれば、先が出るどころか、全部つきぬけてとび出してしまうでしょう」といった。そこで毛遂はピンチランナーとして一行に加わることになった。豪語したように毛遂は、楚へ行って、外交談判に大功を立てたので、平原君は毛遂を上客とした。
後に平原君が絶体絶命のピンチに陥ったとき、他の食客は逃げてしまったが、毛遂だけは残り、ふんばってみごとに平原君を支えることになる。(続く)
平原君曰:「先生處勝之門下幾年於此矣?」毛遂曰:「三年於此矣。」
平原君曰:「夫賢士之處世也,譬若錐之處嚢中,其末立見。今先生處勝之門下三年於此矣,左右未有所稱誦,勝未有所聞,是先生無所有也。先生不能,先生留。」毛遂曰:「臣乃今日請處嚢中耳。使遂蚤得處嚢中,乃穎嚢而出,非特其末見而 已。」
平原君竟與毛遂偕。十九人相與目笑之而未廢也。
※人名用漢字追加案(PDF)![]()
※人名漢字案:意見交換
※人名用漢字意見募集
※戸籍法施行規則別表第二(人名用漢字別表)
※「人名用漢字」488字追加、最終決定
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