25系  


25系解説
 25系客車は、25/25A/25B/25C/25G/25K/25T/25Zなど数多くの派生形式に分けられ、現在の中国国鉄の主力客車となっています。外見的に全く似ても似つかない、一見なんの共通点も見当たらない各形式が全て25系を名乗っているのは日本の感覚でいえば不思議なことです。唯一これらの客車群に共通していることは、全長25.5m車体を持つということだけ。それもそのはず、25系の「25」という数字、実は客車の車体長を現すもので、今の中国国鉄では車体長さえ同じであれば、性能や外観にはお構いなしに全て25系と総称してしまっているようです。その意味では25は形式名というよりも単に車体規格を現す記号ととらえたほうがいいかもしれません。

 従来の22系客車の車体長23.6mという規格を一回り大型化し、より輸送力を高めようという試みは意外に古く1967-69年にかけて硬座、餐車、発電車からなる試作車一編成が登場したことにはじまります。この試作25系客車、車体幅は従来の車体幅を100mm拡げた裾絞り車体を持ち、160km/h運転を念頭において空気バネ装備の新型台車、電空併用ブレーキを装備するなど、当時中国が持ちうる限りの各種新技術を盛り込んだ意欲作でした。ただ、折り悪く登場時期が文化大革命の時期に重なったため、その後量産化されることはなく、いったん25系客車の開発史は文革終了まで途切れてしまいます。

 再び25系の開発が再開されたのは1979年。新たに登場した25系客車は、全長こそ25.5mと試作25系客車と共通していますが、車体幅は裾絞りなしの従来の22系客車と共通サイズ、また車体構造、材質を変更してリブ無しのすっきりした外観となり、台枠も軽量化に念頭を置いた新規設計のものとしたため、試作25系とは全く異なる外観の車輌となりました。

 この新25系ともいうべき車輌は、当時西側社会に唯一開かれた窓口であった香港と広州を結ぶ直通列車専用に製作されました。そのため、外国人、華僑も数多く乗車することを念頭に置き、当時中国では一般的ほとんど普及していなかった空調を装備、また座席もリクライニングシートを採用するなど、西側世界の水準にも耐えられる設計とされました。製造された車種は、短距離用ということで日本でいうグリーン車にあたる軟座車(RZ25)と餐車(CA25)、特殊車(TZ1)と名づけられた電源車のみ。一編成12両の固定編成を組み、電源車で発電された電気を各車輌の空調に給電する集中電源方式を採用しています。車体色は、中国の客車としては唯一、ダークグリーンではなく、白に窓周り水色という明るい塗装を施された、まさに外人専用のスペシャルカーと言うべき存在でした。登場後しばらくは軟座車のみ製作されていた25系客車ですが、その後87、88年に硬座車、硬臥車、軟臥車など、長距離用の車種も製作され、主に広州付近で当時貴重な空調客車として運用についていたそうです。

 登場時は広州と深セン.香港を結ぶ花形運用についていた25系客車ですが、この区間に次々に新形車輌が投入されると、次第に広州地区の地味なローカル近距離運用へとその活躍の場を移し、登場後20年以上が過ぎた現在ではそろそろ引退の時期を迎えつつあるようです。現在は広州〜韶関を結ぶ管内快速列車として最後の活躍をしています。

 さて、最後に冒頭で記述した試作25系の行方を語って、この項の筆を置くとしましょう。
 試作25系は登場後、北京〜天津間、後に軟座車に改造され広州〜深セン間、最後は南昌〜九江間を結ぶ近距離列車として運用され89年に廃車されました。ただし役割を終えた現在でも南昌車輌段に保管され、その姿を留めているそうです。 


DATA

製造年 1979〜80年
車体長  25500mm
車体幅  3106mm
車体高  4285mm
自重   46.0t
定員   68
軟座車 RZ25 110303 広州站 
 1979〜80年に登場した25系客車の中では現存最古のグループで、客用窓が8枚になっていることが外観上の特徴です。登場時は広州〜九龍を結ぶ準国際列車として使用されていた車両で、定員は68名、シートピッチは1150mmと後の25系客車に比べるとかなりゆったりした構造になっています。
 現在も一部車両が広州〜韶関間の管内快速列車にて他の25系や25B系に混じって使用されています。


準国際列車仕様の25系客車の車内です。
ゆったりとした間隔でリクライニングシートが並び、窓も二重構造になっていて静粛性にも優れています。
軟座車 RZ25 110303


座席は三段階のリクライニング角度の調節が可能。
また座席を回転させて向きを変えることもできます。
軟座車 RZ25 110303


DATA

製造年  1987年
車体長  25500mm
車体幅  3105mm
車体高  4285mm
自重   45.5t
定員   80
軟座車 RZ25 110063 清遠站 
 25系客車の中でも110055〜110064の10両は日本の川崎重工と四方工場の共同設計車両で、川崎重工は車体の製造を、四方工場が台車及びブレーキ装置関係を担当しています。車体各部に錆びにくい耐候性鋼やステンレス鋼を採用し、車内からは木材を徹底的に排除した不燃構造の車両となっています。
 現在は外されてしまっていますが、車内のドアに中国で初めて自動ドアを採用した車両だそうです。


車内の基本構成は通常のRZ25形と変わらずシートピッチ970mmのリクライニングシートが並びます。
軟座車 RZ25 110063 車内 
シートピッチが狭いためリクライニングは一段のみ。
座席は足踏み式のペダルで方向転換が可能です。
軟座車 RZ25 110063 車内 
DATA

製造初年 1988年
車体長  25500mm
車体幅  3105mm
車体高  4285mm
自重   45.5t
定員   80
軟座車 RZ25 110074(画像提供 ボーゲン様)
 25系軟座車は、1979年〜1988年まで長期に渡り製作されたため多くのタイプが存在しますが、これはその中でも末期に製造された車輌です。
 車内には一方向に固定されたロマンスシートが並び、そのシートピッチは970mmとなっています。


DATA

製造年 1989年
車体長  25500mm
車体幅  3106mm
車体高  4285mm
自重    44.0t
定員    118
硬座車 YZ25 341012(画像提供 ボーゲン様)
 25系の硬座車です。
 25系硬座車は試作車は1980年に登場しましたが本格的な量産は1989年からになります。
写真の341012号は90年代に入ってから製造されたシートピッチ改善型で初期の25型硬座車と異なり、窓数12枚となっています。また屋根高さも4433mmと初期型よりも高くなっていますので純正な25系客車とは言えないかもしれません。上のRZ25形の写真と比較すると屋根高さ、及び屋根部分のRの違いが分かるかと思います。


DATA

製造年 1987年
車体長  25500mm
車体幅  3106mm
車体高  4285mm
自重    44.7t
定員    66
硬臥車 YW25 663767(画像提供 ボーゲン様)
 25系硬臥車です。
 当初は数両の試作車を除いて、軟座のみが製作されてきた25系ですが、1987年よりその他の車種も作られ始めました。
 後の25系客車に比べて車高が低く、三段ベットの居住性に難あり。
 車体中央に載せられた大型クーラーとアルミ製の窓枠を使っていないことが、25系客車に共通する外観上の大きな特徴になっています。


DATA

製造年 1988年
車体長  25500mm
車体幅  3106mm
車体高  4286mm
自重  47.3t
定員    36
軟臥車 RW25 550327(画像提供 ボーゲン様)
 1988年に18両製造された25系軟臥車です。
 4名コンパートメント×9室で定員36名の室内構成は後の軟臥車と同様ですが、車高は、他の25系客車同様、後の車輌に較べると低く抑えられています。


DATA

製造年 1987年
車体長  25500mm
車体幅  3105mm
車体高  4283mm
自重  46.0t
定員    48
餐車 CA25 890347(画像提供 ボーゲン様)
25系の食堂車CA25形。
 CA25形は1979-80年、87年、89年の三次にわたり25両が製造されていますが、写真の890347号は87年製の二次車になります
 窓枠がアルミ支持ではないこと、車高が低いこと、空調装置が車体中央寄りに設けられていることなど、初期の25系客車の特徴をよく残している車両です。


餐車 CA25形 車内 
餐車 CA25形 厨房