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DJJ2型 中華之星-ZHONG HUA ZHI XING |
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画像提供 伊藤様
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車両解説 |
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中華之星は動力集中型、270km/hでの営業運転を目指した高速電車試作車で、2002年11月27日、秦瀋旅客専用線において時速321.5km/hを記録した中国鉄道のかつてのスピード記録のタイトルホルダーである。中華之星開発プロジェクトは、中国鉄道部、中国の二大車両メーカーである北車集団と南車集団及び車両メーカー直属の多くの研究所が参加するという、一連の国産高速電車の開発の中でもっとも大掛かりなものとなった。まさに現在の中国鉄道が持てる技術をその一身に結集した車両といえる。
中華之星は、両端に動力車、中間に9両の客車を配置したプッシュプル方式を採用。2両の動力車は、南車集団の株洲電力機車廠と北車集団の大同機車廠で1両ずつ製作、9両の客車も5両が南車四方機車車輌廠製、4両が北車長春軌道客車廠製と、南車と北車でほぼ半数ずつ動力車と客車の製造を請け負っている。
動力車には、先頭部にイルカを思わせる独特の形状の流線型を採用。中国の技術では生産できない高速での使用に耐えるパンタグラフや、真空遮断器、GTOサイリスタなどの一部機器に輸入品を使用した以外は、VVVFインバーター制御の制御機器、交流モーター、ブレーキ装置などの主要機器に全て国産品を使用しているのが大きな特徴であり、製造時や中国最高速度記録を出した時には、正真正銘中国で自主開発した高速電車としてマスコミでも大々的に報道された。
9両の客車は、2~6号車を四方機車車輌廠、7~10号車を北車長春軌道客車廠が担当。四方製の担当車両は普通鋼製だが、長春製については中国国鉄向け車両としては初のアルミ車体を採用しているのが大きな特徴。編成構成は、2両が一等軟座車、6両が二等軟座車、1両が酒吧車(バー車)となっている。一等軟座車の座席配置2+2の集団お見合い式リクライニングシート。最大の特徴として、最近の飛行機のように前面にある椅子の背面にVCD用のテレビが備え付けられており、走行中にビデオ放映を楽しむことができるサービスがついていることがあげられる。二等軟座車は、集団お見合い式のリクライニングシートという点は同じであるが、座席配置2+3で、ビデオサービスはない。
性能面でも車内サービス面でも当時の最高技術を投入して製作され、二年後の量産化を目指して華々しい活躍が期待されていた中華之星であったが、その末路は悲惨であった。2003年1月より2004年12月までの約2年間に渡る秦瀋旅客専用線での走行試験の間にフランス製の信号システムが列車システムに適合しないなどの運用上のトラブルや、高速電車としては致命的な電気系統、ブレーキ系統の故障を頻発したことにより、鉄道部の信用を失った中華之星の量産計画は中止。こうして1.3億元もの国家予算を投じたと言われる中華之星プロジェクトは失敗に終わった。
その後、中華之星は瀋陽鉄路局に所属し、2005年8月1日より瀋陽と山海関を結ぶ城際列車として運行をはじめたが、営業最高速度は当初目標よりも110km/hも低い160km/hに下方修正され、欠陥車を使用していることが明るみにでることを恐れた瀋陽鉄路局の思惑もあってか、マスコミに宣伝されることもなく、時刻表にも載らない臨時列車としてわずかな乗客を乗せてひっそりと走るその姿に、かつての面影は微塵もなかった。
中華之星は約1年間同区間で運行されたのち、2006年8月2日の運行を最後に運用を離脱。現在は瀋陽の車両基地で放置中である。
中華之星プロジェクト以後、中国独自技術での高速電車は登場していない。
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DDJ2型データ |
製造初年 |
2002年 |
製造所 |
株洲電力機車廠(動力車)、大同電力機車(動力車)、長春軌道客車(客車)、四方機車車輛(客車) |
製造量数 |
1編成11両 |
車体材質 |
アルミ合金・普通鋼 |
制御方式 |
GTO-VVVF |
編成定員 |
771名 |
編成出力 |
9600kw |
車体長 |
先頭車21290mm 中間車25500mm |
車体幅 |
3300mm |
車体高 |
3840mm |
運転最高速度 |
270km/h |
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中華之星編成表
号車 |
1◇ |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11◇ |
形式 |
DDJ2 |
RZ225DT |
RZ225DT |
RZ225DT |
RZ225DT |
RZ225DT |
RZ225DT |
RZ225DT |
RZ125DT |
RZ125DT |
DDJ2 |
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●●●● |
○○ ○○ |
○○ ○○ |
○○ ○○ |
○○ ○○ |
○○ ○○ |
○○ ○○ |
○○ ○○ |
○○ ○○ |
○○ ○○ |
●●●● |
車種 |
動力車 |
二等
座 |
二等
座 |
二等
座 |
二等
座 |
酒吧
車 |
二等
座 |
二等
座 |
一等
座 |
一等
座 |
動力車 |
定員 |
- |
98名 |
98名 |
98名 |
98名 |
45名 |
92名 |
98名 |
72名 |
72名 |
- |
◇はパンタ付き車両。
●●は動力台車。
○○は付随台車。
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動力車 DDJ2型 画像提供 伊藤様 |
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動力車DDJ2型。
イルカを思わせる流れるようなフォルムは、一連の国産動車組の中では最も洗練されたものであろう。
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DATA
製造初年 2002年
車体長 217000mm
車体幅 3300mm
車体高 3840mm
自重 78.0t
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動力車 DDJ2型 画像提供 伊藤様 |
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編成の両端に位置する動力車DDJ2型のサイドビュー。
車体構造のベースになったのはドイツのICE2型だと言われている。
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DATA
製造初年 2002年
車体長 25500mm
車体幅 3300mm
車体高 3840mm
自重 46.3t
定員 45 |
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酒吧車 RZ225DT 110981 画像提供 伊藤様 |
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編成の中央に連結されるバー車。
なぜか餐車ではなく二等座車の車体表記を持つ。
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一等座車 車内 画像提供 伊藤様 |
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一等軟座車車内。座席配置は通路を挟んで2+2。
リクライニングシートが集団お見合い式に配置されている。
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一等座車 車内 画像提供 伊藤様 |
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集団お見合い式のため、中央の1ボックスのみ向かい合わせ式となる。
このボックスのみ大型テーブルが設置されている。
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一等座車 車内 画像提供 伊藤様 |
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一等座車は、座席の背面に液晶モニターが取り付けられ、DVDを鑑賞できるのがウリだが、実際に乗った方の話ではまともに機能していない模様。
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二等座車 車内 画像提供 伊藤様 |
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一等座車と同じく集団お見合い式の座席配置。
ただし座席は通路を挟んで2-3人がけ。
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酒吧車 車内 画像提供 伊藤様 |
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編成の中間に位置するバー車。
短距離専用列車にもかかわらず一両をまるまる割いて供食スペースにあてるとは豪勢だが、実際には厨房設備はなく簡単な飲み物やお菓子を提供するのみで、従業員休憩スペースとして使用されている。
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酒吧車 車内 画像提供 伊藤様 |
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バー車のカウンタースペースとバースタンド。
車両中央のカウンターを挟んで写真手前のバースペースと、写真奥の食堂車スペースに分かれている。
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中華之星 台車 画像提供 伊藤様 |
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写真は四方機車車輌製、台車形式SW-300型。
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