新着宝石展示室 (New Gemtone Gallery)

September 15  2014
 : レアストーン (Rare Gemstones)


 0.43 - 5.70ct

ギルソンの合成トルコ石 (Gilson Synthetic Turquoise)

  フランスのカレーにてセラミック・タイル製造会社を経営していたピエール・ギルソンがアメリカのキャロル・チャザムによるエメラルド合成のニュースに刺激を受け、10年余の研究開発の末に1963年、遂に独特の構造に拠るフラックス法合成エメラルドの製造技術を確立しました。
 数多の合成エメラルドの中で、もっとも高品質の合成エメラルドでした。 
 しかしギルソンは、その後は、家業を家族に任せ、スイスのローザンヌにて、セラミック系の合成宝石の研究を続け、1971年にトルコ石、1972年にオパール、1974年にラピスラズリ、1979年に珊瑚、と多彩な合成宝石を世に送り出して来た天才でした。
 紀元前から無数の偽造品が世界中で作られてきたトルコ石ですが、唯一本物の合成トルコ石の商業化に成功したのがギルソンでした。
 ギルソンは1990年に引退し、合成トルコ石の供給は途絶えました。残された在庫からオパールとトルコ石がときたま宝石フェアやネット市場に姿を見せます。
 30年ぶりに入手した5.7カラットのギルソンの合成トルコ石、しかも珍しいスパイダーと呼ばれる、包有物により蜘蛛の巣状の模様を見せるもの。
 ギルソンの合成トルコ石にこんなものがあったとははじめて知りました。
5.70ct 14.50x10.78mm

メキシコのダンベリー石 (Mexican Danburite) 


   メキシコのサン・ルイス・ポトシ州、チャルカスの4つの銅、亜鉛、鉛鉱山から採れるダンベリー石は時に5cmにも達する透明な美しい結晶が各地の鉱物フェアにてよく見かけます。 
 その他、ロシアのダルネゴルスク、ビルマのモゴク、マダガスカルからは金色のトパーズのような色合いの結晶が発見され、稀にルーストしてカットされることがあります。
 メキシコ産は大半が無色透明なので、ルースとしてカットされることは滅多にありません。 が、5.44カラットのマーキーズ・カットの石は透明度の高さと優れたカット技術とが相俟って、あたかもダイアモンドのように眩く煌きます。
 かつて宮崎県の土呂久鉱山と、大分県の尾平鉱山の錫鉱床産のダンベリー石が、当時の日本では高嶺の花であったダイアモンドの代用品としてカットされたとのことでしたが、確かにそれもあり得ると、思わず納得した次第。
 
5.44ct 19.30x8.68mm
Charcas, San Luis Potosi, Mexico

タンザニアのエデナイト (Tanzanian Edenite)


 角閃石族の鉱物が宝石になる等とは、不透明な軟玉を除いてはかつては思いもよらないことでした。
 が、この10年、アフガニスタン、ビルマ、ヴェトナム、タンザニア等にて、エデン閃石、リヒター閃石、パルガス閃石等、透明な宝石質の結晶が発見され、カットされたルースを見かけるようになりました。
 いずれも聞き慣れない名前の鉱物ですが、角閃石族の、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、珪素、アルミニウム等の成分の組成が少しづつ異なる変種です。
 エデン閃石はニューヨークのエデンヴィル(Edenville)に因む命名です。
 宝石質の結晶は、ビルマから金色と無色のもの、タンザニアのモロゴロからは鉄による暗緑色ー褐色の発色のものが知られていますが、今回出会ったのは鉄成分が少なく、パステルカラーのなかなか魅力的な色合いのルースです。
0.57ct 6.07x3.77mm
Morogoro, Tanzania


ブラジルのヘルデライト (Brazilian Herderite)

 ヘルデライトは世界で最も稀産な鉱物の一つ。 水酸基と弗素基とを伴う、カルシウムとベリリウムの燐酸塩鉱物です。
 アメリカ、メイン州とニューハンプシャー州のペグマタイトと近年ではパキスタンとアフガニスタンのペグマタイト、さらにフランス、オーヴェルニュ地方からはベリリウム資源として商業採掘が可能なほどの鉱床が発見されたそうです。
 ほんの10年昔には、大きな鉱物辞典にさえ載っていなかったほどの鉱物が、資源鉱床として発見されるというのは稀有な出来事で、どんな産状なのか興味津々。
 かつて、ツーソンで淡緑,淡紫、無色のヘルデライト・ルースを入手して以来、今回30年ぶりに淡い金色のルースに出会いました。
 産地はブラジル産としか分かりませんが、しかし宝石質のヘルデライトはブラジルでもミナス・ジェライス州のヴィルジェン・ダ・ラパ地域、シャンダ鉱山の燐酸ペグマタイトが唯一の産地ですから、おそらくこれもXanda鉱山産と思われます。
0.52ct 6.10x4.67ct
Brazil

スリランカのルビー (Srilankan Ruby)

 ルビーとサファイアとはコランダム(鋼玉)と呼ばれる同じ鉱物の色違いのものです。
クロムにより赤いものをルビー、それ以外の色は、全てサファイアです。
 即ち、同じクロム発色でも、十分に赤が濃いものだけがルビーと呼ばれ、濃いピンクではサファイアと、宝石商は厳密に区別します。
 ところが鋼玉の結晶の場合は、ほんの少しでも桃色味を帯びていれば鉱物商はためらわずにルビーとして売るのですから面白いものです。
 宝石商がルビーとサファイアとを厳密に区別するのは、値段が10倍も違うからということですが、実際には赤と濃いピンクとの中間の色合いのコランダムはルビーであれ、サファイアであれ、透明度が同じであれば値段に大きな違いはありません。
 昔はともかく、現在では、ルビーかと思われるような濃いピンクのサファイアは高く評価されているからです。
 さて、この0.43カラットの石ですが、十分に濃い赤で、ルビーと呼んで差し支えないでしょう。 
 実はスリランカ産のルビーに出会ったのは初めてです。 
 現在はスリランカではルビーは殆ど枯渇してしまいました。  
0.43ct 5.24x3.61mm
Srilanka

タジキスタンのスピネル (Tajikistan Spinel)

  タジキスタン産のピンク・スピネルとラベルにはありましたが、ピンクというより紫色です。
 10年前と比べるとスピネルの人気が沸騰し、とりわけ濃いピンクや赤はカラット当たり2000ドルを超えるような水準になって来ました。
 美しさと稀少さとを勘案すれば上等なスピネルがようやくにしてサファイア並みに評価されるようになったと言えるでしょう。
 さてピンクか紫かはともかく、タジキスタン産ということが最も重要です。
 ビルマ、スリランカ、タンザニア、このところ重要な産地として台頭してきたヴェトナムと比べて、タジキスタン産のスピネルは圧倒的に量が少なく、滅多に見かけません。
 かつて Gems & Gemology 誌に掲載された146カラットの息を呑むようなルースを見て以来、ずっと探していたものの、20年かかってこれでようやく2個目です。
 透明度が高く、プロポーション、カットの水準共に申し分のないルースです。
 20万円もするピンクであったなら如何にパミール産でも到底手が出ませんが、紫なのでごく普通のスピネル並み、手軽に衝動買いができる水準です。
1.00ct 7.15x5.65mm
Pamir Mtns. Tajikistan


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