新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)


July 2016  : ベリリウム鉱物 (Beryllium Minerals)


   
   
  Heliodor (India), Pezzottaite (Madagascar), Euclase (Colombia), Emerald (Australia)
0.41 - 2.10ct

 今回はいずれもベリリウムを主成分とする稀産の、あるいはほぼ絶産となった宝石を紹介します。




インド産ヘリオドール(Indian Heliodor)
           
             インドでは1990年代頃からオリッサ州やアーンドラ・プラデシュ州にてペグマタイト鉱床が次々と発見され、アクアマリン等の宝石が市場に姿を見せるようになりました。
 2.10カラットのヘリオドールの詳細な産地は不明ですが、インド産としては透明度が高く、発色の鮮やかな、なかなかの水準のルースです。
 この金色は緑柱石の酸素と不純物の三価の鉄イオンとで電子を交換し合う電荷移動という仕組みで起こります。
     2.10ct 9.24x9.13mm      

マダガスカルのペツォッタイト (Malahgassy Pezzottaite)
     2002年末にマダガスカル中西部のペグマタイトで発見されたペツォッタイトは当初その結晶形と成分から緑柱石の一種と考えられ、ラズベリーの様な色合いからラズベリル、あるいは成分に因んでセシウム・ベリルと呼ばれていました。
 事実、化学組成と結晶構造は殆ど緑柱石なのですが、緑柱石の主成分であるベリリウムの11~15%がセシウムに置き換えられていて、2003年9月に国際鉱物学連合により、発見者のミラノ自然史博物館の専門家、F. Pezzotta 博士に因み、新種の鉱物ペツォッタイトとして認定されました。
 普通の緑柱石でも産地によってはセシウムが3~11%も含まれていますが、マダガスカル産のペツォッタイトのセシウム含有率は遥かに高く、そのうえモルガナイトの様な美しいピンクの新鉱物とあって注目を集めました。
 しかし、マダガスカルの産地からはただ一つの晶洞から数十kg の結晶を産しただけで絶産となりました。 
 
 
0.725ct 5.9x5.4mm   
ほぼ、同じ頃ビルマのモゴクにて、さらに2006年にはアフガニスタンでもペツォッタイトが発見され、それぞれ数個のルースがカットされていたことが判明しました。
 産状からすれば、緑柱石を産する世界のペグマタイト鉱床にて新たな発見の可能性が無いわけではありませんが、マダガスカルも含め、大半のペツォッタイトは多くの内包物や亀裂等を含む透明度の低い結晶として産します。
 したがって宝石としてカットされる品質のものは滅多にありません。
 写真のルースは1カラット未満で包有物もありますが、それでもペツォッタイトとしては最上級の品質です。

コロンビアのユークレース (Euclase from Colombia)


     ユークレースは極めて稀産の宝石で、世界的にはブラジルとジンバブエの3つの鉱山から発見されたものが稀に市場に姿を見せるのみです。
 実は世界で最も高品質の大きく美しい色合いのユークレースを産するのはコロンビアのエメラルド鉱山、それもチボール地区のガチャラ鉱山とチボール鉱山です。
 この二つの鉱山からは稀に10㎝を超える透明度の高い素晴らしい青や青緑色の結晶が発見されます。
 あらゆる鉱物結晶の中で最も印象に残る大きさと美しさですが、値段も天文学的な水準で、ロールスロイスとフェラーリをまとめて買うようなものです。
 したがって、博物館でも手が出ず大富豪のコレクターのみが入手できるという代物ですから、ポスターや鉱物雑誌の特集号で見て楽しむのみ。 実物はツーソンやミュンヘン・ショーの特別展でしか見られません。
 写真のルースはごく小さなものですが、3年前にやっと巡り合ったチボール鉱山産です。

 0.41ct 5.48x3.35mm
Chibor Mine, Colombia


トリントン鉱山のエメラルド (Emerald from Torrington Mine, Australia)


         オーストラリアにはかつてエメラルドを産した鉱山が2,3ケ所あります。
 ごく稀にツーソン・ショー等で見かけるのは New South Wales の主にタングステンを採掘していたトリントン鉱山から副産物として発見されたエメラルドです。
 オーストラリア宝石学会誌に掲載された写真の濃いエメラルド結晶は最上の標本と思われます。
 時々見かけるルースは写真のようにアクアマリンの様な淡い水色で、チェルシー・フィルターに反応して淡い赤みを帯びることから僅かにクロムを含むエメラルドであると確かめられます。
 さらに結晶のC軸に垂直に、並行する無色の帯が入るのがトリントンのエメラルドの特徴です。
 この鉱山は20世紀半ばには閉山となっています。
    1.10ct 10.4x4.3mm          母岩中のエメラルド
Torrington Mine, New South Wales, Australia   


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