新着宝石展示室(New Gemstone Gallery)

 February  2018   : パキスタンの宝石 (Gemstones from Pakistan) 


 
Topaz (11.60ct), Pollucite (3.48ct), Petalite (1.27 - 2.27ct) 

トパーズ(Topaz)
 
 
  一見、淡いピンクに見えるので、パキスタン産トパーズとしてネット上の写真を見た時はカトラン産のピンクのトパーズかと思いました。
 が、この10年余り、カトランのトパーズが市場に姿を見せることは全くないし、値段もカラット当たり400円では普通のトパーズであろうと入手しました。
 実物は淡い茶色で、光の具合によってはピンクのようにも見える、ペグマタイト性のトパーズです。
実は、パキスタンのペグマタイト性のトパーズは結晶標本は多いのですが、カットされたルースを見るのはこれが初めてです。
 近年はこれくらいの大きく透明なルースがとれる結晶標本が高騰してしまっているので、手ごろな価格水準で稀少なルースに巡り会えました。 
 11.60ct 17.42x10.92x7.55mm  


ポルックス石(Pollucite)とペタル石(Petalite)
   
 
 
     
Pollucite        Petalite 
3.48ct 10.7x8.7x6.2mm         1.27ct 8.0x5.8mm  2.17ct 11.4x6.1mm 2.27ct 11.3x7.6ct 

 ポルックス石【(Cs,Na)AlSi2O6-nH2O】はペタル石【LiAlSi4O10】の軽アルカリ金属1族に属するリチウムを同族のナトリウムと質量が133と重いセシウムとに置き換えたような組成の鉱物です。
 1846年にドイツの鉱物学者、ブライトハウプトがイタリア、エルバ島のペグマタイト鉱床で初めてこれらの似通った二つの鉱物を発見した時に、ギリシア神話の双子の英雄、今はふたご座の主星となっている、カストールとポルックスとに因んで命名したのも肯けます。
 残念ながら、カストール石は、1800年に既に発見され、ペタル石と命名されていたことが判明し、幻の名前となりました。
 この二つの鉱物は、結晶系こそ異なりますが、屈折率と外観とから区別することは困難です。 
セシウムを含むポルックス石の比重が少し高いので、識別には多少手間がかかる静水法で比重を慎重に量るしかありません。
 1955年発行、粗末な紙に印刷されたアレクサンドル・フェルスマン著 ”石の思い出”に、ほんの数行書かれていたこの二つの稀産の鉱物がどんなものか長い間想像するしかありませんでした。
 最近でこそ、ネット市場にも時々姿を見せるようになりましたが、20年ほど昔は、ツーソンやミュンヘンといった大規模なフェアで、2,3の稀少石専門業者が扱っているのみでした。
 いずれも、アメリカのメイン州、ブラジルのミナス・ジェライス、パキスタンとアフガニスタン、ビルマのモゴク、シベリア・チコイ川等のペグマタイトから稀に発見され、カットされるルースを30年余りかけて、集めてきました。
 パキスタン産のポルックス石は、これが初めて、ペタル石もこれまでは一つのみと、時間をかけてこつこつと探し求めてようやく主な産地の標本が揃ってきました。
 いずれも、とりわけ何の変哲もない、無色透明なルースですが、1.
50-52 という、水晶並みの低い屈折率の割りには、何故かきらきらと眩い煌きが印象に残ります。
 これらはいずれも前述のトパーズ同様、パキスタン北西部、山岳地帯の標高3000~4000mにあるペグマタイト鉱床から採集されたものです


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