新着宝石展示室

( New Gemstone Gallery )


December 2013 : 様々な水晶 (Quatz varieties)



カメルーンのシトリン (Citrine from Cameroun)

 私の知る限り、カメルーン産の宝石はこれが初めて。
GIAの80年間の資料を探しても、カメルーンの情報は皆無です。
 産出する鉱物や金属鉱山情報が掲載されているので今でも重宝している高校時代の教科書の世界地図を見るとカメルーンにはカドミウム鉱山がありますが、アフリカでは珍しく鉱産資源の乏しい国です。
 市場で見かける黄水晶は、ほぼ全てが紫水晶を加熱処理したもので、天然には極めて稀にしか採れません。
 敢えてカメルーン産と記してあるからには、おそらく正しい産地なのでしょう。
 余り見映えのしない色合いですが、むしろ、それ故に、これは紫水晶を加熱したものではなく、珍しい天然の黄水晶と思われます。
 マダガスカル産の天然の黄水晶もこんな色合いです。
23.17ct  23.4x16.6mm

ボリビア・アナイ鉱山の紫水晶 (Bi-color ametyst from Anahí Mine, Bolivia)

  ブラジルと国境を接するボリビア側のマト・グロッソ湿原中に世界で唯一天然のアメトリンを産するアナイ鉱山があります。
 金色と紫と二色の水晶が有名ですが、実は金色と無色、無色と紫と、多様な変種があります。
  もちろん原石からの切り出し方法で無色、金色、紫の単色もあります。
 このルースは中央右側部分が無色の紫水晶で、特に珍しいというわけではありません。
 が、その真価は日本の職人の手になる素晴らしいカットの技術にあります。
 全体のポロポーションの良さと、稜線の切れ味の鋭さ等々、反射した光の有様からもその技の冴えが見て取れます。
3.16ct 12.1x7.1mm

ブラジルのデンドリティック・水晶 (Dendritic Quartz from Brazil)

  デンドリティック水晶とは、水晶の亀裂に入り込んだ酸化鉄や酸化マンガン等の金属鉱物が樹枝状の模様を見せるものです。
 決して珍しいものではありませんが、山水画を偲ばせるような模様があるので人気があります。
 世界中で広範に発見されますが、市場ではとりわけブラジルのバイア州産をよく見かけます。
27.18ct 32.1x19.1mm

金を含む石英 (Gold in quartz)


 金は一般に他の元素との化合物としてではなく、自然界では単独の元素として発見されることが多い金属です。
 風化作用で母岩から分離して川に流れ出た金が川底に砂金として発見される例が一般的ですが、鉱脈に石英等の母岩に含まれる場合は、肉眼では金と認識できないほどの微粒です。
 鹿児島県の菱刈鉱山は母岩1トン当たりの金の含有量が200gを超える世界屈指の高品位で知られます。  これは他の金鉱山の10〜100倍の品位の高さですが、それでも含有量は0.02%に過ぎず、金が肉眼で見えるほどの集積度には至りません。菱刈鉱山産の最高の品位の金を30%も含む10p角の鉱石を見たことがありますが、含まれる金は細粒のため、鉱石は金色ではなく、白くしか見えません。
 写真の石は石英の母岩中に目で見える大量の金が含まれている例です。
黒い部分は銀黒と呼ばれる銀鉱石(銀と硫黄や塩素との化合物)でしょう。 
 珍しく、美しいので、このように母岩ごと研磨されて装飾用に使われることがあります。
1.79ct 13.0x5.5mm

彫刻された水晶 (Carved quartz)

Citrine 5.9ct 26.3x7.0mm 合成水晶 21xØ10mm 合成水晶 15.7x11.6mm
 これらは装飾用に彫刻が施された水晶です。 
 金色の水晶は変形のペアカットの底面の稜線に平行な溝を刻んだだけですが華やかな印象を醸し出しています。ペンダント用に穴が穿ってあります。
 次の二つはハイドロ・クオーツなる名前でしたが、これは熱水法(ハイドロサーマル)で作られた合成水晶です。
 天然には稀にアホ石や青いトルマリンの微晶を内包物として含む不透明な水晶以外には、青く透明な水晶はありません。
 淡青色の水晶はやはりペンダント用に穴が穿ってあり、底の部分はやや深めに抉って内部に溝を刻むかなり手の込んだ作りになっています。
  金属球のセパレーターのために昆虫のように見えますが、貝の彫刻です。
 濃い青色の水晶は女性の肖像を彫ったものです。お揃いの指輪かイアリングにできるような仕上げになっています。
 モース硬度が7と比較的に柔らかな水晶ですが、このような彫刻を施すのは手間と根気の要る仕事です。
ツーソン・ショーでは愛好家の手になるこうした作品も少なからず見られます。

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