新着結晶標本展示室
(New Crystal Specimen Gallery)


August 2015



            板チタン石(Brookite)   デマントイド(Demantoid)柱石(Scapolite) 石英中の藍晶石 22x21x12cm
Minas Gerais, Brazil
 頑火輝石 (Enstatite)  燐灰石 (Apatite)




藍晶石(Kyanite/Cyanite)

 これは透明度の高い鮮やかな色合いの藍晶石の結晶群が20cmを超える水晶団塊を貫いている標本です。
 その見事なこと、博物館級の標本と言えるでしょう。
 スミソニアンやヒューストンの博物館で見て以来、藍晶石のこんな標本が欲しいと30年来探していましたがようやく出会いました。
 ブラジルならではの結晶標本ですが、幸か不幸か、こんなに美しい結晶であっても藍晶石は宝石としてカットされることは滅多にありません。
 写真のように長さが10cmを超える透明度の高い結晶でも厚さが数ミリメートルしかなく、しかも結晶内には無数の罅や亀裂があるので到底カット出来ないのです。
 手持ちのブラジル産の藍晶石のルースは30年以上昔に入手した、淡い色合いの2.2カラットが一つあるのみ。
 となると、10カラット近い濃青色のチベット産のルースはいったいどんな結晶からカットされたのか ?
10年以上もチベット産の藍晶石の結晶標本を探しているのですが、一向に姿を現しません。



板チタン石 (Brookite)
 ルチル(金紅石)やアナテーズ (Anatase :: 鋭錐石)と同じく、酸化チタン : TiO2 から成る板チタン石はその名のとおり、鏡のように光る薄い平板状の斜方晶系の結晶として産します。
 滅多に見かける機会の無い鉱物ですが、水晶と共に成長した大きさが1cm余りの鏡のような結晶の佇まいには思わず感嘆させられました。
 不透明な薄い平板状の結晶からは宝石質のルースを期待することは出来ませんが、しかし見事な結晶ではあります。
 板チタン石 (Brookite) 55x40x25mm
Pakistan

頑火輝石 (Enstatite)


 エンスタタイトは世界中至るところで発見されるごくありふれた造岩鉱物です。
  全てが暗褐色や真っ黒な団塊や結晶として産しますから、宝石としてカットできるとは思いもよらないことでした。
  が、さすがにツーソンのような世界的な鉱物・宝石ショーではカットされたルースを出品している稀少石専門の業者がいて運がよければルースを出品していることもあります。
 ルースはほぼ全てがスリランカの川底から水磨礫として発見された原石をカットしたものです。
 20世紀末になってようやくタンザニアから宝石質の結晶が発見されました。
 15年余り待って、この度、ようやくタンザニア産の宝石質の結晶を入手できました。 
 後は同じ産地のルースを気長に待つのみです。
頑火輝石 14.4x10.7x8.6mm
Mpwa, Tanzania

柱石 (Scapolite)
  この結晶は小さいながら端正な結晶面を持ち、かつ褐色と淡い紫の二色です。
 アフガニスタン産とのことですが、恐らくはパミール山脈の5000mを超える鉱山で採集された結晶がアフガニスタンの業者を経由して市場に出たものと思われます。
柱石 (Scapolote)  10.0x8.6x6.2mm  Afghanistan

燐灰石 (Apatite)

  モース硬度が低く傷つき易い燐灰石のルースはかつては専らコレクター向けにカットされるくらいでした。 
 が、ブラジルのパライバからネオン・ブルーやエメラルド・グリーン等の輝かしいトルマリンが発見され、その美しさと希少性からダイアモンドを凌ぐ値段に高騰するに至り、代用品としてそっくりの色合いの燐灰石が注目され、いまや宝石店でもネオン・アパタイトとして頻繁に見かける時代となりました。
 柔らかく亀裂の多い結晶から得られるのは大半が1カラット未満の小さなルースでしかありませんが、しかし鮮明な色合いは、宝飾品に使うと、パライバ・トルマリンと殆んど見分けがつきません。
 ネオン・アパタイトの産地はブラジルとマダガスカルのみですが、写真のような輝かしい色合いのアパタイトはマダガスカルでも極めて稀にしか採れません。
  この鮮やかな青の発色は燐酸基(PO43-)の一部がマンガン酸基(MnO43-)に置き換えられたためと解明されています。
18.1x10.6x7.7mm  Madagascar

デマントイド・ガーネット (Demantoid Garnet)

   スイス、サンモリッツのベルニナ山群の南側に広がるイタリアのマレンコ渓谷では高さが数十メートルもの巨大な蛇紋岩の壁から建築用の蛇紋岩が採掘されています。
 時折その岩脈中に石綿に包まれてデマントイド・ガーネットの結晶が発見されます。
 大半は結晶標本質ですが、稀に宝石質の結晶が得られ、最大では1カラット余りのルースがカットされることがあります。
 ただしクロムの含有率が極めて低いため、ウラル産の最上の濃緑色ではなく黄色味の強い色合いが大半です。
 しかし極めて稀に、クロム成分比の高い濃緑色の結晶が発見されます。
 この小さな結晶は黄緑ではなく、クロム含有率がやや高い、緑のデマントイドです。
19.5x12.2x11.6mm  Val Malenco, Italia



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