新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)


December 2015 : 苦礬柘榴石・パイロープ (Pyrope)



パイロープ 1.67 - 2.02ct

化学組成
(Formula)
 比重
 (Density) 
屈折率
(Refractive Index)
Pyrope 苦礬柘榴石 Mg3Al2(SiO4)3 3.58-84 1.720-761
Almandine 鉄礬柘榴石 Fe3Al2(SiO4)3  3.84-4.32 1.763-840
Rhodolite ロードライト  (Mg,Fe)3Al2(SiO4)3  3.74-94 1.75-77
 冒頭の写真のガーネットは右手前がタンザニア産、残りはスリランカ産の、単にガーネットとして入手しました。
  色合いだけではその種類を確定できないのがガーネットですが、比重と屈折率の測定の結果、これらはいずれもパイロープであると判断しました。
 パイロープの多くは、アルマンダインやスペッサータイン成分を含み、赤紫の色合いのものは躑躅や石楠花の花を指すロードデンドロンに因む、ロードライトと呼ばれます。

タンザニアのパイロープ (Pyrope from Tanzania)

   これはネット市場で見かけて入手したガーネットです。
この業者はなんでもないありふれた石に、フレグランス・ブルーやら、マジェスティック・シルバー等々、奇怪な名前を付けて、過剰なまでの補正をかけた写真でルースを売っているので要注意です。
  が、品物自体は粗悪品ではなく、普通のルースですから、値段との兼ね合いで見分ければよいのです。
 このガーネットも正体不明の名前と、過剰な色補正はともかく、不思議な色合いに何だろうと好奇心を駆られて調べたところ、色合いとは裏腹に、ほとんど純粋なパイロープに近い値が得られました。
 パイロープとしても、下限に近い値なのでヘソナイトの成分を含んでいるのかもしれませんが、高度な分析機器を持たない素人ではパイロープと判断するのみです。
1.87ct 7.4x6.2x4.5mm
R.I. 1.729 S.G. 3.683

スリランカのパイロープ (Pyrope from Srilanka)
1.87ct 8.4x6.2mm 1.56ct 6.9x6.3mm 1.67ct 7.12x6.60mm 1.88ct 8.4x6.3mm 2.00ct 8.1x7.0mm
業者のネット画像 R.I. 1.745 S.G. 3.768 R.I. 1.727 S.G. 3.722 R.I. 1.735 S.G. 3.918 R.I. 1.724 S.G. 4.032 R.I. 1.722 S.G 4.082

  これらの5個のガーネットはいずれも同じネット販売業者からスリランカ産として入手しました。
左の見映えのしない写真はこの業者のネットの写真です。その右が同じルースの写真ですが、自然光で肉眼で見たのと同じように見えるように最低限のコントラスト補正をかけたものです。
 補正など全くかけてない、ほぼ実物大の実直そのものの写真は、小さくて全く見映えがしませんが、これでもガーネットであると、確認は可能な水準に改善されているのです。 
 昔はもっとお粗末な水準でした。何故かファセット面に金、赤、緑等の色が反射していて、到底まともな宝石には見えませんが、実際に入手してみると、唖然とするほど美しいルースなのです。
 さらに驚かされるのは、これらが1個100円から200円と、ガラスかと思うような値段なのです。 5個で合計710円 
!!!
前述の、こてこてに色補正をかけた業者の全く同じ大きさのパイロープの実に30分の1の値段ですが、比べれば、こちらの200円のほうが魅力があります。
 小さな結晶しか採れないガーネットのような宝石は、一般に20%程度の歩留まりしかありません。 
すなわち1カラットのルースを得るには4〜5カラットの宝石質の結晶が必要です。
 如何に人気のないガーネットとは言え、深い井戸の中での重労働による採掘と選別、カットの手間をかけたものが、日本で100円の売値とは呆然とするしかありません。
 これが、アジア、アフリカ、中南米等での宝石採掘の現実なのだと、そして、彼らの収入と、世界の市場で売られる宝石の値段との天文学的な差に改めて、世の中の経済の仕組みの不条理を考えずにはいられません。

Top Gemhall