月長石(Moonstone)


世界のムーンストーン 0.63 - 71.35ct


 

  手塚治虫の“ジャングル大帝”の主題はライオンと共に不思議な力を持つ石、月光石(ムーンライトストーン)を求めてアフリカの赤道直下、雪と氷に覆われた高山へ向かう壮大なロマンとなっています。
 フェルスマンの”石の思いで”と、この月光石の物語に出会わなかったなら、私の鉱物と宝石への興味が育まれることはなかったに違いありません。
 さて、月光石を喚起させるムーンストーンとはどんな石なのか、後に実物を見た時は、想像とは全く異なる地味な宝石で、いささかあっけにとられた思いでした。
 ”月長石”と題されたW.コリンズの小説があります。かのT.S.エリオットをして、最初の、最大, 最良の推理小説と言わしめた1856年に書かれた推理小説の古典です。しかしこの推理小説の何処にも”月長石”は登場しません。
 何故なら、原題の ”The Moonstone” とはインドの寺院から盗まれた巨大な黄色いダイアモンドのことです。 即ち “ムーンストーン” と命名された世の中に二つとないようなダイアモンドであるからこそ固有名詞を指す定冠詞の ”The” がついているのです。それを普通名詞の“月長石”と翻訳するのは英語を習い始めた中学生並のお粗末さですね。
 この程度の語学力で700ページもの原書を翻訳するとは大した度胸ですが、内容とはまるで無関係の大誤訳の題名を訂正もせず平然と出版し続ける出版社にも恐れ入るのみです。 


 せめて“月光石”とすれば上出来だったのに惜しいですね。これこそジャングル大帝に登場する石に相応しい。
 月光石が出たついでに、宮崎駿の”天空の城ラピュタ”に登場する”飛行石”にもぞくぞくさせられます。
 わくわくさせられる不思議な石のパワーは、ファンタジーの世界でのみ絶大な魅力を放つのだと心得るべきでしょう。

月長石とはどんな鉱物か ?

 月長石(ムーンストーン)とは日長石(サンストーン)同様、鉱物名ではなく宝石名です。その名の通り月の光のような効果を示す宝石の一般的な呼称ですから、例えば石英の一種の白濁した玉髄、大量の石綿を含み不透明なスター水晶,繊維質の石膏等のカボションカットされたものも時にムーンストーンと呼ばれることがあります。

 鉱物の正式な名称は現在ではIMA(Intwernational Mineralogical Association : 国際鉱物学連合)によって命名されます。
 しかし宝石の名称についてはそのような機関が無く、新種の宝石の名は発見者や扱い業者が適宜命名し、一般的になった名前が通用するのが慣例となっています。
 古来から使われているムーンストーン(月長石)とは,しかしその日本名が示すように、一般的には月の光のような効果を示す長石族の鉱物の宝石名です。とりわけアルカリ長石属の鉱物(正長石、氷長石、玻璃長石)が代表的なものでした。
 しかし近年では斜長石系の曹灰長石(ラブラドール石))で同様の効果が現れるものがむしろ市場で多くなり、美しさも遜色がない為、こちらも月長石として認知されるようになって来ました。

月長石の色合いと発色の原理

月の光と言っても、それは時と場合により一様ではありません ;

春といへばなべてかすみやわたるらむ雲なき空の朧月夜は  小侍従 

淺みどり花もひとつに霞みつつおぼろに見ゆる春の夜の月  菅原孝標女

五月雨に花橘のかをる夜は月澄む秋もさもあらばあれ     崇徳院

思ひ出づやひとめながらも山里の水と月との秋の夕暮     清原元輔

露は霜水は冰にとぢられて宿借りわぶる冬の夜の月      二条院讃岐

天の原空さへ冴えやまさるらむ冰と見ゆる冬の夜の月     惠慶法師

ましろの月は森に輝く ・・・・・ しづけさは 月の光の色に侵む 

            La lune blanche    P.Verlaine : ましろの月 ヴェルレーヌ 

またもおぼろの光もて 森をも谷をも静かにつつみ、・・・     

            An den Mond      J.W. Goethe  : 月に寄せて ゲーテ          

 等々、春の朧月夜、冴え冴えと輝く秋の月、冷え冷えとした冬の夜空にかかる月,そして恋人達の森を照らす白い月・・・

月長石が,月の光を放つのは、その結晶構造によります ;


 図はテクト珪酸塩と呼ばれる網の目状の構造を持つアルカリ長石の結晶構造です。4個の珪酸イオンが形成する四面体の一部をアルミニウムイオンが置換し、そのために崩れた電荷バランスをカリウムかナトリウムが補って網の目状の構造となっている様子が示されています。 斜長石の場合はカリウムの代わりにカルシウムが入ります。
 長石族の結晶は地下深く高温マグマや熱水中ではカリウムとナトリウム、あるいはカルシウムとナトリウムとが共存した網目構造の結晶を形成しますが、溶岩や熱水液が地上に近づくにつれ温度が下がってくると、それぞれナトリウムとカリウム,カルシウムの融点が異なるために、カリ長石分とナトリウム長石、カルシウム長石分とが薄層となって分離し、その境目が平面状,波局面状、菱型粒状となります。斜長石の場合には、微細な繰り返し双晶面によっても同様な形状となります。
 こうした構造のために光の分散や干渉が起きますが、それは非常に稀な例で、層の厚さが偶然、光の可視波長と重なった時に月の光のような効果となって現れます。

 この効果はカリ長石のアデュラーリア(氷長石)に因んでアデュラレッセンス,あるいはドイツ語で閃光、光彩,
玉虫色などを意味するシラー(Sciller : 因みに詩人のシラーも同じ綴りです)、英語でも同じ意味のシーン(sheen)と呼ばれます。
 薄層の厚さの違いによって冴え冴えとした秋の月のような青、凍てつく冬の白い月,春の朧月夜の白等々、多彩な色合いとなります。
層の厚さが薄い場合に波長の短い青となりますが、代表的な産地であるスリランカのMeetiyagoda産の月長石の分析では下記のような結果が出ています ;

色合い K2O(カリ長石)成分比 ナトリウム長石成分比
Blue   7.9 〜  9.5 % 最大 51%
Semi Blue   9.5 〜 10.9 %    45〜37%
White  10.1 〜  14 %     38% 以下

 この結果によると、青い色合いはナトリウム長石(曹長石)成分比が多いと顕著になることが示されます。 それは恐らく原子のイオン半径がカリウムの0.133ナノメートルと比べてナトリウムでは0.097ナノメートルと小さいので層が薄い曹長石成分が多くなり波長の短い青の周波数成分が強調されるためと考えられます。
 こうした内部構造に加えて、結晶内に存在する微細な粒子の大きさが青と白の光にも大きな影響があるとされています。白い光は結晶内部の小さな粒子によって, 雲が白く見えるのと同じ、レイリー散乱の原理で光が乱反射されるために白っぽく見えます。
 青い光の場合は昼の空が空気中の微細な埃などによる光の散乱で青く見えるのと同じ原理の、結晶に含まれる微細な粒子や構造によるミー散乱で波長の長い光が吸収され,短波長の青が強調されるということです。
 結晶内部の小さな粒子あるいは構造が何なのかは現在のところ明確な説明はありません。

 このような内部構造によって光の吸収と散乱とが起きるため結晶には月光のような煌きが顕著な方向性があります。
したがってカボションやファセットカットの際には研磨面の軸が慎重に選ばれます。

 南インド産の月長石には淡い緑や橙色,淡黄、ピンク等多彩な色合いがありますが、これらは銅片のインクルージョンや銅イオンによる発色、電荷移動等によって起こる光の吸収と考えられています。即ちサンストーンの発色原因が一部含まれています。

 

インド産のムーンストーン(Moonstones from Southern India)
ラブラドール石
(Labradorite)
13ct 21x13mm
top 15.54ct
bottom (Blue moonstone)
8.34/7.38ct
 Bihar
曹灰長石のルース
(Labradorite)
4.08ct 12.2x9.4mm
ファセット・カットされたルース
(Faceted labradorite)
2.64ct
10.7x8.6mm
2.98ct
12.2x9.4mm
Orissa


71.35ct 22.3x19.3mm
Trichy, Tamir Nadu
12.55ct 17.8x12.0mm スタームーンストーン
23.6ct 16.5x14.5mm
9ct Ø14.8mm 6.45ct (2 pcs) 10x8x4mm
Orissa, India
  オリッサ州、アーンドラ・プラデーシュ州、カルナータカ州、タミール・ナードゥ州、ケラーラ州等、インドで広範に宝石質のムーンストーンが発見されたのは1979年頃でした。  1980年代半ば頃までは各地で零細な採掘が行われていましたが、次第に産出が増え,現在では世界で最大のムーンストーンの産地となっています。
 インドの月長石は鉱物としては斜長石族の曹灰長石(labradorite)と亜灰長石(Bytownite)成分を持つものが多く,市場では一般にラブラドール石としてロイヤルブルームーンストーン,あるいはレインボー・ムーンストーンの名で流通していました。
 写真のようにまぎれもなくムーンストーンなのですが、長年スリランカ産のアルカリ長石族のムーンストーンが主流で,それ以外は亜流として低く評価されていたためです。
 しかしながら1980年代末にスリランカの鉱床が枯渇して産出が激減したため次第にインド産のムーンストーンの評価が高まって来ました。実際、スリランカ産の最上級のブルームーンストーンと比べて、ファセット・カットが可能なほどの高い透明度のルースもあって、しかも大きなルースがとれるため、劣るどころか,むしろより高品質と言って差し支えありません。
 このため市場での評価も高まり、1980年頃はカラット当たり2ドル程度だったものが、1990年代になると最上級のレインボームーンストーンでは2〜3カラット級が10倍の25〜45ドル、量が少ない3〜5カラット級では85〜150ドル、稀な5カラットを越える大きさとなると200〜350ドルと様変わりです。スリランカ産の最上級のブルームーンストーンでも10カラット超がカラット当たり80ドル程度ですから、長石族の宝石としては恐ろしい高騰振りです。
 しかし美しさの評価は微妙なもので、とりわけムーンストーンは評価が困難な宝石です。 時には透明度も発色も最上級品と遜色ないようなルースが二桁も安い全く手頃な水準で求められこともあります。
 スリランカのムーンストーン (Moonstones from Srilanka)
ホワイト・ムーンストーン
 1.4〜3.8ct
ブルームーンストーン 
1.6〜ct
”Royal Blue”
ムーンストーン 9.52ct
3.58ct 13.65x7.20mm
Wellawaya
    スリランカは長年に渡り代表的なムーンストーンの産地でした。
主要な産地は島の南西部のMeetiyagodaと中央部Kandyの北のMataleで、いずれもスリランカとしては珍しいペグマタイトの初生鉱床からの採掘です。
 その他に島の最南端西部,海岸近くのEliptiya、Pitigala、Horton Plains、Weligam、島の中央部のMataleやElahera付近から北東に流れるMahawelli Ganga川流域、恐らくBalangodaのペグマタイトを原鉱床として島の南南東へ流れるWalawa Ganga川流域の漂砂鉱床地帯にも発見されます。
 Balangoda周辺にもペグマタイトの源鉱床があり、中級のSemi BlueからWhite級のムーンストーンが採掘されていましたが、1988年に採掘が停止されています。
 主力鉱山だったMeetiyagodaの鉱床も1987年に枯渇し生産は激減しましたが、1990年にはColomboの東40kmのYatiyantotaとBalangodaの東35kmのUva地方のHaputaleに新たな鉱床が発見されました。Haputaleからは青いシーンが強く発色する”Royal Blue”と呼ばれる月長石です。 
   スリランカの月長石は成分分析の結果ではアルカリ長石系列に属します。 しかし産地が属する異なる地質帯により、成分が大きく異なります。 Meetiyagodaは島の南西部のSouth West Group地質帯にありますが、カリ長石分が60%、ソーダ長石分が30%、灰長石分が3%と、曹長石よりの成分構成です。一方島の中央部のHigh Land Group地質帯に属するBalangoda付近の月長石はカリ長石分が82%と高く、ソーダ長石分が15%、灰長石分が2%と、より正長石に近い成分構成です。
 スリランカの月長石は一般に透明度が低いためカボション・カットされます。が最近登場した島の南部 Balangoda から凡そ50kmほど東のウェラワヤ産のムーンストーンはまるで水晶のように透明でファセット・カットされています。屈折率が1.525と低い玻璃長石です。

 

その他の産地のムーンストーン
曹灰長石(labradorite)
月長石 10.8ct 12.5mm
曹灰長石(labradorite)
1.13ct 7.8mm 
曹灰長石(labradorite)
1.15ct Ø7.12x4.95mm
ペリステライト(Peristerite)
2.86ct 12.1x8.1mm
   1.05ct 7.0x5.5mm
Madagascar Zambia Tanzania


透明度が高くファセット・カットされた
玻璃長石(Sanidine)の月長石

   4.39ct            3.63ct
Black Range, New Mexico, U.S.A.
マダガスカルの月長石

 インドとスリランカに続いて多様な長石族の宝石を産するマダガスカルのムーンストーンは斜長石族の曹灰長石(ラブラドール石)に属します。透明度が高くファセットカットされることもあり、ブルーのシーンや虹色のイリデッセンスを示すもの等があります。

ザンビアのラブラドーライト(Labradorite from Zambia)

 最近タンザニアとザンビアからファセット・カットできるほど透明なラブラドーライトが登場しました。いずれも虹色のシーンを見せるため、レインボー・ラブラドーライトと呼ばれています。

タンザニアのペリステライト ( Tanzanian Peristerite )

 
 
ペリステライトとは鉱物名ではなく、宝石名です。
 斜長石の一種、曹長石97−98灰長石2-3とほぼ純粋な曹長石に近い種類ですが、前述のムーンストーンの発色の理由で説明したように、時に真珠状の光の散乱効果を示します。
ギリシア語で鳩の石を意味する”perestere”に因む鳩の首の部分の虹色のような効果を示すペリステライトと呼ばれます。

アメリカの月長石 

   アメリカのニューメキシコ州には50年ほど昔からファセット・カット級の玻璃長石(Sanidine)のムーンストーンを産出してきました。
 場所は州の南西部、キシコ国境に近いBlack山脈です。 ムーンストーンは新生代,第三紀(200〜6500万年昔)に流紋岩層にシート状に貫入した主に石英と玻璃長石からなる小規模な高温型のペグマタイト脈に、黒雲母、クリーヴランド石、チタン鉄鉱、磁鉄鉱等に伴い、透明な玻璃長石が採れます。
 産出は断続的で量もごく僅かですが、素晴らしく透明で、”Cool Blue”や”Silver White”と呼ばれる良質のファセット・カットが得られることで名高い産地です。

メキシコの月長石

 
月長石(玻璃長石)マトリクス
14x13x7mm
玻璃長石(sanidine)
16x16x11mm 
0.63ct 7.3x4.7mm
Pili Mine, Chihuahua, Mexico


 最近鉱物フェアで良く見かけるのがメキシコ,チワワのピリ鉱山産のやや褐色を帯びた半透明の月長石の結晶マトリクスです。
 月長石が美しい結晶形を示すのは大変珍しく、その上見る角度により結晶が見事なシーンを示すためにムーンストーンとして売られています。 前述のように月長石と言うのは鉱物名ではありません。この正体が何か ? 
幸いなことに分離結晶がありましたので調べたところ比重が2.54と得られましたので、これが玻璃長石であると判明しました。
 素晴らしく透明なメキシコ産のファセット・カットされたルースが市場に登場しました。屈折率が1.528ですからPili鉱山の玻璃長石と思われます。がひょっとするとアメリカ、ニュー・メキシコ州 Black Range産の可能性があります。
 アジュリサイトと命名されていました。スペイン語等のラテン系の言葉で青を意味する(Azur)に因んだと思われますが、この名は全く一般的ではありません。

 

スリランカ Meetiyagoda鉱山のムーンストーン

 

 
  月長石産地の地質図
海岸近くの湿地帯の月長石鉱床
風化した崩積鉱床から選鉱
された月長石の原石
シーンを示す方向
ペグマタイトの初成鉱床から採掘された
ブルー・ムーンストーン原石 100x60mm 
ペグマタイト深部、暗色の石英と
白い玻璃長石とのマトリクス
ムーンストーン(玻璃長石結晶)
のバヴェノ双晶
 シーン無しの方向
22x22x11mm
Meetiyagoda, Srilanka
  かつて世界市場を席捲したスリランカの月長石ですが,その主要な産地は島の南西部の海岸近くの湿地帯にあるMeetiyagoda鉱山でした。 
 Meetiyagodaの月長石は1906年に畑を耕していた時に偶然発見されました。湿地帯の風化が激しいカオリンの土壌中に発見された典型的な漂砂鉱床と思われましたが、掘り進めるに従い、地下20m付近にペグマタイトの初生鉱床が発見され、スリランカでは稀な原鉱床から直接宝石が採掘される鉱山として注目されました。
 鉱床は大きさがおよそ4000平方メートル(64m四方)と小さなものですが1987年に採掘が停止されるまで80年余り、世界に高品質のムーンストーンを供給してきました。
 図の地質図のように、ペグマタイト鉱脈が南東から北西の方向に向かっておよそ30度の角度で上昇し、北西部では20m,南東部では35mの深さに初生鉱床があり、その上部は風化してカオリンとなっています。風化した層の10%にムーンストーンの原石が含まれていて,25%の高い歩留まりで宝石質のルースが得られました。一方源鉱床から得られるルースの歩留まりは1〜5%と低く、地下深部採掘が困難で費用がかかる上に、この歩留まりの低さのために1987年に採掘が放棄されるに至りました。 Meetiyagoda鉱山産の月長石原石には興味深い数々の特徴があります ;

  風化された層に残る原石のソーダ長石部分が低い硬度のためより多く磨耗し、結果として青いシーンを発するカリ長石部分が広く露出して上質の青い月長石が得られた。
  ペグマタイト原鉱床の原石は鉱脈の南西方向の部分がナトリウム分が多く、北西方向に向かうに従いカリウム分が豊富になる。したがって、南西方向深部の月長石は青みが強く北西方向の浅い地層に向かうにしたがって青みが薄れて白くなる。
  月長石の結晶には無数の罅と亀裂がみられる。このために厚さが薄く,平べったく小さなルースしか得られない。この罅と亀裂の原因は鉱山のある地層がSouth West Groupに属し中央部のHighland Groupに近いため、地殻変動の際の大きな圧力を受けたためと考えられる

 月長石は月に寄せる並々ならぬ愛着が強い日本で人気があるのは当然ですが、実はドイツとスイスでも人気が高い宝石です。
スリランカ産の月長石の大半はドイツとスイス向けに輸出されていました。
恐らくアデュラー山から採れた氷長石のムーンストーンが昔からスイスとドイツとで人気があった,その名残かと思います。
 アデュラー山(Mons Adular 標高 3402m)は現在はドイツ語でラインヴァルトホルン(Rheinwalthorn)と呼ばれている山です。正確な場所はスイス南部、グラウビュンデン州のサン・ベルナルディーノ峠から東に10km程のアデュラー山塊の主峰です。

 アデュラーとは、スイスの人口の1%程度が使っているのみですが、公用語でもある古いレトロマン語の呼び名です。
この言葉は,スイス東南部のイタリア側から峠を越えたアデュラー山塊の東側のサンモリッツ地方、それに北側のライン川上流の渓谷沿いのごく僅かな一帯に残されています。
 かつてユリウス・カエサルがガリア遠征に率いた軍団の一部がこの地に住み付いて、当時の世俗ラテン語の直系として残された言葉です。

 

ビルマのムーンストーン

 玻璃長石結晶 10x8x7cm  
6.99ct 15.6x10mm 23.15ct 18.6x19mm
Mogok, Burma

 宝石市場ではエメラルドやルビー等、ごく一部の宝石を除いて,一般にその原産地が云々されることはありません。
したがって専門家や宝石業者など一部で知られているのみでしたが,かつてはビルマは筆頭に挙げられるほどの古来から有名なムーンストーン産地でした。 
 豊穣で多彩な宝石鉱脈のあるモゴクのペグマタイトが現在でも量は少ないものの、ムーンストーンの主要な産地です。