緑簾石族(Epidote Group)

 

 
 緑簾石と斜灰簾石(Epidotes and Clinozoisites) 0.06 - 5.60ct

 

緑簾石のルース(Faceted epidotes)
0.94ct Ø 6.3mm 1.16ct 8.2x5.6mm Caperinha, Minas Gerais 1.66ct 8.7x6.5mm
Brazil Brazil Brazil
 
 
 
 
 8.25ct 14.8x9.7o 1.23ct 7.4x5.4mm 0.52ct 5.6x4.2mm  緑簾石結晶(Epidote) 6.2cm
Srilanka  福島県塙町長久保久木矢塚
(Yazuka, Hanawa town, Fukushima, Japan)

0.06ct(0.24mm) - 0.62ct(0.56mm)
Brazil
0.40ct(6x4mm) - 0.61ct(6x4mm)
Pakistan
3.82ct 10.2mm
Madagascar

世界のエピドート族の結晶(Epidote group crystals of the world)
緑簾石(Epidote) 4x4cm
Knappenwand Untersulzbachtal
Austria

W.Larson Collection
緑簾石(Epidote) 7X6cm w/Quartz
Copper Mtn. Prince of Wales Island,
Alaska

スミソニアン自然史博物館
(Smithsonian Institute)
緑簾石(Epidote) 7.8cm
Vitoria de Conquista
Bahia Brazil

F.Pough Collection
緑簾石(Epidote)& Quartz 幅 4.8cm
Plumas Co. California
F.Pough Collection
     
緑簾石(Epidote) 8mm
Ghiacciaio di Cassandra
緑簾石(Epidote)多色性の結晶 12cm
Kybar Pass
Pakistan
Paris 鉱山大学(Ecole des Mines)
緑簾石(Epidote)
28X20mm
Jaramosh Pakistan
  緑簾石(Epidote) 30x5mm
Val sissone,
Val Malenco, Italia


葡萄石を伴う緑簾石
Epidote(43x21mm) with Prehnite(50x35mm)
Diakon, Nioro du Sahel,
Rep. of Mali
緑簾石(Epidote)
 32x23x7mm
Alchuri Shigar
 Pakistan
紅簾石(Piemontite)
 24x20x8mm
愛媛県 猿田峠(Ehime, Japan)
斜灰簾石結晶(Clinozoisite)
15.6x13.1x10.7mm

Badakhshan, Afghanistan

  化学組成(Composition) 結晶系
Crystal Form)
モース硬度
(Hardness)
比重
(Density)
屈折率
(Refractive Index)
緑簾石 Epidote  Ca2(Al,Fe)3OH(SiO)3 単斜晶系
(Monoclinic)
 6 - 7 3.40 1.72-80
褐簾石 Allanite  Ca(Ce,La,Y,Th)(Al,Fe,Mg)3OH(SiO4)3 単斜晶系
(Monoclinic)
3.3-4.2 1.72-82
紅簾石 Piemontite  Ca2(Al,Fe,Mn)3OH(SiO4)3 単斜晶系
(Monoclinic)
6−7 3.40 1.72-80
斜灰簾石 Clinozoisite  Ca2(Al,Fe)3OH(SiO4)3 単斜晶系
(Monoclinic)
3.20 1.70-74
 
緑簾石の名前の由来(About epidote's name)
  エピドートの名は1801年にフランスの鉱物学者アウイによってギリシア語の "epidosis=補充する"に因んで命名されました。
 さて、この”補充する”というのはどう言う意味なのか?随分長い間考えて、最近ようやく納得の行く答えに到達したので、こうしてめでたくアップロードした次第です。
 補充するとは,冒頭の写真の例のように、しばしば、柱状の結晶が扇を広げたように連なって成長している様子を表すのではないかと思います。 和名の緑簾石はその色と結晶の形状から命名されたもので,けだし名訳と言えましょう。

 アップロードして早速、名前の由来について、柱状結晶が非対称で一端が他方より長い事による、と教えていただきました。結晶の成長に従い、epidosisの英語訳のincreaseのとおり、一端が広がって行くので、連なった結晶が扇型になるのはこのためです。
 エピドートの柱状の結晶は,しかし結晶学的には卓面(Pinacoid)と軸面(Dome)の二つの面が発達したもので、正確には柱状とは呼べない、とは鉱物学の重鎮、Frederick Pough博士のコメントです。

 Epidote was named in 1801 by French mineralogist R. J. Haüy after Greek word "epidotos : increased" This name derives from crystal habit that one end of prismatic crystal increases to form an assymmetiric unfolded fan. Dr. Frederick Pough comments, however, that the crystal is not prismatic, to a purist. They weren't prisms and the habit was not prismatic because, technically, the elongated planes are pinacoids and domes.


緑簾石族の鉱物 (Epidote group minerals)

 緑簾石(エピドート)には同じグループに属する褐簾石(Allanite)、紅簾石(ピエモンテ石:Piemontite)があります。共通の化学組成としてX2Y3(SiO4)3OHで表され、Xの位置の元素は常にCaです。 
褐簾石の場合はCaの一部がCe,La,Y、Th等の希元素によって置換されます。Yの位置の元素は、AlとFe3+ですが、褐簾石では一部がMgとFe2+に、紅簾石では一部がMn3+に置換されて赤い色を帯びます。
 よく似た灰簾石・黝簾石はエピドートと全く同じ化学組成の鉱物ですが生成時の温度と圧力の違いで結晶系が斜方晶系となったもので別種の鉱物です。 

 斜灰簾石(Clinozoisite)

         
 1.26ct 8.9x5.4mm
Brazil
 3.57ct 9.7x7.9mm
Madagascar
 5.60ct 10.8x8.7mm
Warsak, near Zagi Mtn.Pakistan
 2.26ct 12.6x5.6mm
Afghanistan
1.12ct 6.0x5.1mm
Srilanka 


 斜灰簾石は緑簾石と比べてYの位置の鉄分が少し少ないだけで化学組成も結晶系もその他の特性も緑簾石に限りなく近い鉱物です。緑簾石の命名後から一世紀近く経った1896年に何故独立した鉱物として認められたのか不思議です。
 宝石質のルースは極めて稀ですが,近年,稀ではありますが美しい宝石質のルースが姿を見せるようになりました。

ブラジル産 1.26カラットは30年余り昔、サンパウロの日曜市にてモルガナイトとして入手しました。こんな色のモルガナイトはありませんが、長年正体が不明で、比重計と屈折率計を入手して、ようやく斜灰簾石と判明しました。
 マダガスカルとパキスタン産の標本は比較的に鉄分が少ないためでしょう、透明度の高い大きく見事なルースです。
とりわけ、ごく最近市場に現れたアフガニスタン産は、宝飾品として十分使えるほどに美しい色合いと透明度を備えています。 スリランカ産 1.12カラットのルースはエピドートとして入手しましたが、他の斜灰簾石同様、屈折率が 1.93−2.08と低く、明るい金色から、斜灰簾石と判断しました。

 一方、緑簾石グループの鉱物の殆どはいずれも濃く暗い色合いの結晶で,到底宝石になりそうもありません。

 The epidote group comprises several mineals with the general formula X2Y3(SiO4)3 ; in which X is commonly Ca, partly replaced by rare earth elements such as ; Ce, La, Y, Th in allanite, and Y is Al and Fe3+,partly replaced by Mg and Fe2+ in allanite and by Mn3+in piemontite. Zoisite has same chemical composition as epidote but has different crystal system under different crystal growth condition.
 A pinkish variation by manganese impurity is called Thulite upon the location of first find in northern Norway, Thule and is used for decoration purpose. The general characteristic of clinozoisite is very close to epidote, except lesser iron contents at Y position but was recognized as independent mineral in 1896, almost one century later than epidote. Top photo of faceted stone from Madagascar and Pakistan are the rarest gemmy example of this kind. In general, epidote group minerals have too dark color to be used as gemstone.

緑簾石族の成因 (Origin and Occurence of epidote group minerals)

 緑簾石族の鉱物はアルプス型の接触変成鉱床や熱水鉱床等に角閃石、柘榴石、曹長石、ヴェスヴ石等と共に発見される鉱物で、世界中で発見される、ありふれた鉱物です。
 冒頭に新たに追加した愛媛県,猿田の紅簾石は中央構造線、また静岡の桃簾石はフォッサ・マグナと、いずれも日本を代表する水平ずれ断層地帯に産出したものの研磨品です。
 代表的な緑簾石は極端な多色性を持示すことが特徴です。冒頭の写真のように角度を少し変えただけで暗褐色から暗緑色、さらに明るい黄色へと多様な色合いを示します。 一般に色が濃すぎるために宝石としてカットされることは稀で,滅多に市場で見かけることはありません。 冒頭のルースは比較的に明るい灰緑色の珍しいものですが,実はブラジルにてモルガナイトとして売られていたものです。 後に調べたところ、比重が3.38、屈折率が1.728〜755といずれも高い値を示しました。
これらの値は化学組成がほぼ等しいヴェスヴ石とは完全に重なり,色合いも似ているのですが、複屈折率が0.035と大きいためエピドートであろうと判断しています。あるいは緑簾石にしては色が薄いので、鉄分の少ない斜灰簾石としても間違いではないかもしれません。 
 これらの鉱物のルースはいずれも滅多に市場には出ませんが、肉眼ではもちろん、測定しても識別は大変困難です。

 Epidote group minerals occurs in schists and gneisses and in metasomatic rocks, together with garnet, idocrases and actinolite. Occurs occasionally in hydrothermal veins. Epidote group minerals are facetted only for collectors. Grayish colored 1.25ct stone on top photo was sold in Brazil as morganite, but density of 3.38 and refractive index 1.728-755 with high birefringence indicates this stone as epidote. Pale color suggests this stone might be clinozoisite.

ユナカイト(Unakite)

 緑やピンク,白が混じった不透明な石がエピドートとして売られているのをみかけることがあります。これはアメリカ、テネシー州とノースカロライナ州境にあるユナカ脈で採れるユナカ石(Unakite:エピドート、長石、石英,緑泥石等が混ざった岩)をカボション・カットしたものです。ピンクの部分はチューレ石ではないかと思われます。現在ではロシア産も市場に流通しています。
 Opaque stone used in jewelery, in green, pink and white color are sold as epidote. This is actually a mixture of epidote, feldspar, quartz and chlorite etc., called as Unakite, mined from Unaka Mts. along Tennessee and North, Carolina, U.S.A. Pinkish part seems to be thulite. Unakite is now mined in Russia, too.

 

エピドート結晶の産地 (Epidote localities in the worlds)

 エピドートが宝石としてカットされることは殆どありせんが,見事な結晶標本は鉱物ファンの間で垂涎の的となっています。 とりわけ下記の産地は素晴らしい結晶で有名です ;

 Although rarely faceted as gemstone, fine epidote crystals from following localities are highly praised ;

オーストリア・アルプス ウンターズルツバッハタール(Untersulzbachtal)
 クナッベンヴァント(Knappenwand)鉱山
,Austria

ガソリン駆動ドリルでの採掘 1930's 
Drilling with gasoline jackhammer
坑道内からの眺め 1930's 
Working top of Knappenvand cave
結晶 18x8cm
ロスアンジェルス
自然史博物館
Natural History Museum
Los Angeles, U.S.A.
Byssolite(針状透閃石)を
含有する燐灰石結晶 5.5x3cm
Apatite crystal with byssolite
D.Eidhal Collection
  クナッペンヴァント(鉱夫の壁)のエピドート結晶は1865年に地元の山岳ガイドによって発見されました。
 ザルツブルグの南方凡そ100kmのこの一帯は昔から登山やスキーでも有名なリゾート地帯です。最近、日本の中学生のグループの一行がスキーの合宿で登山電車の火災により大勢亡くなったキッツビューエル(Kitzbühel)はこの近くです。 
 また谷を一つ超えた西にはエメラルドで有名なハーバッハタール,さらにその西側には巨大なアルマンダイン柘榴石の結晶で名高いツィラータ−ル、と典型的なアルプス型鉱物産地の名所でもあります。
 クナッペンヴァントのエピドートは最大50x8cmという巨大さと、180を越す多彩な結晶形とでたちまち有名になり、当時のヨーロッパで一種のブームとなっていた鉱物コレクション熱の最中に市場では大変な人気となりました。時のオーストリア皇帝、フランツ・ヨーゼフはウィーン自然史博物館に命じて直接,結晶の採掘と収集を行った程で、鉱山は現在でもウィーン自然史博物館の管理下にあります。博物館では最近,重機を投入して写真のような巨大な坑道をさらに奥深く採掘する計画が進められています。
 クナッペンヴァント鉱山はエピドートに加えて素晴らしく透明で完璧な姿の燐灰石の結晶も鉱物ファンの垂涎の的となっています。 発見から100年を越えた現在でも鉱脈が枯渇することなく、新たな標本が未だに市場に出てくるのも驚異と言えましょう。

 The world famous epidote locality Knappenwand, about 100km south from Salzburg, in Austria Alps was discovered by a mountainguide in 1865. The brilliant rodlike epidotes often associated with transparent apatite crystals is highly prized by collectors, as the "most beautiful epidote ever found". Giant crystals grown to 50cm in length and 8cm in heights, with 183 different crystal forms caused sensation in Europe, in the midst of mineral collection boom and Austrian Emperor, Franz Joseph ordered Natuaral History Museum of Vienna to mine the tunnel for a large collection. Knappenwand mine is yet under control of the Museum of Vienna today and projects to further expand the mining, using heavy equipments are yet on the way.

アラスカ Prince of Wales Island ; Copper Mtn.& Green Monster Deposit., Alaska
Copper Mtn.の鉱山跡
Jumbo mine debris on Copper Mtn. 
1925年 Alaska
虻除け網をつけての採集 1977年7月
Green Monster Mtn. Alaska
 Epidote結晶 9X5cm
Prince of Wales Island Alaska
Smithsonian Institution Collection
 アメリカ西海岸、カナダのプリンスルパートに近いアラスカ最南端に近い,恐ろしく辺鄙な島、プリンス・オブ・ウェールズ島に銅の鉱脈が発見されたのは1902年の事、銅山は21年間採掘された後に鉱脈が尽きて1923年に閉山となりました。 その後交通も途絶えた無人のこの島に、時折、夏の間,水上飛行機をチャーターした人々が訪れることがあるのは,知る人ぞ知る、この島に二つの世界的なエピドートの鉱脈があるために他なりません。 銅鉱脈の発見に先立つ1900年、この島のCopper Mtn.とその後ろのGreen Monster Mtn.との2ヶ所にエピドートの鉱脈の露頭が発見されたのです。 風化された岩の間や草原の至るところに、単独の,あるいは結晶群が転がっていて,ただ拾われるのを待っていたというわけです。 結晶は大きなものでは長さが10cm、重さが1kgという記録的な大きさが報告されています。オーストリア・アルプスに次ぐ大きなエピドート結晶の産地として,その後熱心な鉱物コレクターが訪れる場所となりました。 しかし余りにも不便な事、恐ろしく強暴で刺されると世にも痒い虻がいる為、この島を訪れるには十分な時間と資金と,そして重装備が必要なのは言うまでもありません。

 One of the world's most inaccessible collecting area is Prince of Wales Islands in southern Alaska, which harbours two neighboring epidote deposits ; Green Monster and Copper. These peaks stand near the head of the fjord, hetta Inlet. Copper Mountain, home of the Jumbo copper mine which operated from 1902 until 1923 , is abandoned. In 1900, a prospector discovered epidote crystals on Green Monster Mountain back of Copper Mountain. Crystals were lying all over a portion of the mountain just waiting for the first discoverer to pick them up . Ages of weathering away the rock had left the epidoted crystals and wonderful groups up to a great size, partly exposed on the surface.
 
イタリア Val Malenco(マレンコ渓谷), Italia
Veins of Chiareggio, Val Malenco
     キアレッジオ渓谷の鉱脈

1 エピドート,水晶とブルース石の鉱脈
2 水晶と輝水鉛鉱の鉱脈
3 エピドート脈
4 セリウム褐簾石と斧石を含むペグマタイト脈
5 エピドート鉱脈
6 緑柱石を含むペグマタイト脈

       
1. Epidote, quartz and brucite veins 2. Quarts and molybdenite veins 3. Epidote veins
4. Pegmatite of allanite and axinite 5. Epidote veins 6. Pegmatite of beryls
 スイス・アルプスのサン・モリッツのベルニナ山群の南斜面のイタリア側にデマントイド・ガーネットで名高いマレンコ渓谷があります。マレンコ渓谷は東西、南北ともにおよそ20kmの広がりを持つ大きな渓谷で東,北,西を3000〜4000m級の山々で囲まれています。
この一帯は先カンブリア紀(5.7億年以前)に遡る昔から繰り返し激しい地殻変動を受けてきたため、殆どの岩石の博物館のような多彩な地層があります。そこへ新生代のアルプス造山運動により隆起した山岳地帯のため、典型的なアルプス型の熱水鉱床、接触交代鉱床、ペグマタイト鉱床等,多様な鉱床が形成されて、鉱物採集にはうってつけの場所となっています。
 アルプスの高山ですから、採集には熟練した登山技術が必要なのは言うまでもありませんが、中腹までなら,天候さえよければ快適なアルプスの光景を楽しみながらの鉱物採集は可能です。
 

上記の写真は、マレンコ渓谷の西側に広がるシッソーネ山とキアレッジオ山と、その中腹の多様な鉱物産地の説明です。
ここで採れる鉱物は、いずれも宝石質ではありませんが種類の多彩な事と、特にエピドートは形や色彩が独特の味わいがあります。
またエピドートとほぼ同一の組成と特性を持つ稀な鉱物、斜灰簾石(クリノゾイサイト)も発見されます。

 On the southern slopes of Bernina Peaks of St. Morits, Swiss Alps, in Ilalian side, lies Val Malenco, renowned locality of demantoid garnet.
Val malenco is a huge valleys extending both 20km from north to south and from east to west and east, north and western part are surrounded by 3000 - 4000m peaks. This area has been formed through repeated diastrophism since Pre-cambrian era, we encounter almost all kinds of strata and geological features, which were lifted to be the present Alps by the recent orogeny, resulting in the formation of alpine-type hydrothermal veins, contact metamorphic veins, pegmatite veins etc., everywhere. Photo and figure shows an example of varieties of mineral veins found in Val Malenco.
緑簾石マトリクス(Epidote Matrix)
 12x11cm
Val Sissone, Val Malenco
緑簾石と緑泥石(Epidote & Chlorite)
 幅7cm
Val Malenco
斜灰簾石(Clinozoisite) 20mm 
Pizzo Tremogge
 Val Malenco

ブラジルの緑簾石(Brazilian epidotes)

 一般に暗緑褐色で、カットされても全く見映えのしない緑簾石ですが、近年ブラジル産のルースには多少は見られるものを見かけます。もちろん緑簾石ですから殆ど黒い塊に近いのですが、角度によっては鮮やかな緑、緑褐色等々、なかなか味わいのある石を年に一度くらいは見かけるようになりました。

 In general, faceted dark brownish green epidotes are not attractive at all. Recently, however, epidotes with varieties of hues, fresh green to yellowish green appeared from Brazil, although very few occasion.

パキスタンとアフガニスタンの緑簾石
と斜灰簾石(Epidote and clinozoisite from Pakistan and Afghanistan)

 パキスタン最北西部のアフガニスタンと国境地帯からも緑簾石が採集され,市場で良く見かけるようになりました。結晶はオーストリアのクナッペンヴァント産と形状や色合いがそっくりですが,2〜3cmと、余り大きくはありません。
 少し傾けただけで暗褐色から暗緑色へと顕著な二色性を示し、透明度も高い美しい結晶です。
 冒頭の写真の5.60カラットの斜灰簾石(クリーノゾイサイト)はごく最近、ペシャワールの北北西、ザジ山脈に近いワルサクで採集されました。やや暗い色合いですが、斜灰簾石としては稀に見る大きく透明度の高いルースです。
 ごく最近、正確な産地は不明ですが、アフガニスタンの新しい産地から斜灰簾石としては稀に見る美しい結晶が発見されました。写真の2.26カラットの金色のルースがそれです。 宝飾品としても十二分に通用する美しさです。


 Epidotes from Pakistan and Afghanistan are recently abandunt in mineal markets.
Crystals from these localities resemble that of Knappenwand, Austria both in color and in form and shows clear dichroism from dark brown to dark green.   
 5.60ct faceted clinozoisite on top right photo is a rare example of golden color with high transparency, recovered from Warsak, near Zagi Mtn.

 Quite recently, in 2016, although detailed locality is unknown, superb gem quality clinozoisite crystals were recovered. 2.26 carat golden color faceted stone is that example.

マダガスカルの緑簾石と斜灰簾石 (Epidote & clinozoisite from madagascar)

 市場で稀に見かけるエピドートのルースの大半はマダガスカル産の暗緑色のものです。 日にかざして、やっと不透明でないことが分かるくらいの暗い色合いでお世辞にも魅力的とは言えません。これでも珍しいのでカラット当り20ドルの値がついています。
 冒頭の最初の写真の斜灰簾石は最近入手した稀に見る大きく美しい灰簾石です。素晴らしく透明度が高く完全に無傷のルースです。10年前に一度だけネット上で見かけた前述のパキスタン産と比べて全く遜色がありませんが、値段は10分の1と、ごく普通の見映えのしない緑簾石ルース並でした。こういう稀少石の場合、値段の相場はあってないようなものです。
 Most of facetted episodes we see in the market are dark green color from Madagascar origin. They are too dark to cofirm they are transparent only through storong lighting. But thanks to the rarity, fetches relatively expensive level of US$20/ct. Faceted golden clinozoisite on the top photo is my recent aquisition. This stone should is classified as a museum piece for its color, percection and large size of this rarest gem. This is equivalent with before mentioned Pakistan specimen, but price is as low as one tenth. This fact tells that there are no world price standard for rare stones.

スリランカのエピドート (Epidote from Srilanka)

 スリランカは数十種類の宝石を産しますから、エピドートがあっても不思議ではありません。冒頭のルースはこの種のものとしては大変美しいものです。カラット当り200ドルは美しさと珍しさからすれば妥当な水準かと思います。しかし8カラットでは1600ドルと思わず唸ってしまう値段です。博物館でもないと手が出ません。 
最近入手したルースはしかし、 1.12カラットと小さいながらすばらしく透明度が高く、金色の煌めきが見事です。 
屈折率が
1.724 と低いので、ひょっとすると灰簾石なのかもしれませんが、専門家による分析でもしない限り、緑簾石と灰簾石の区別は不可能です

 No wonder the rich Srilankan veins produce fine gem epidote, like 8.25ct pretty stone on top photo. The price per carat US$200 for this stone seems to be qwuite reasonable. But total price of US$1650 for a single stone is that for very rich collector only.
  Recently aquired 1.12 carat faceted golden stone is extremely transparent and does not look like epidote. I checeked and it showed low R.I of  1.724, that might be clinozoisite.

福島県塙町矢塚のエピドート (Epidote from Yazuka, Hanawa Town, Fukushima, Japan)

 
福島県の矢塚のスカルン鉱床からは灰礬柘榴石と世界的な水準の緑簾石結晶が採れるので、熱心なアマチュアの鉱物コレクターの採掘で巨大な坑道が掘られているほどです。
 ここからのカットされた緑簾石は暗い色合いで包有物が多く、美しいルースとは到底言えませんが、しかし、世界的にも美しい緑簾石のルースは皆無に近いのが現実です。 
 極めて稀ではありますが、カットに値する結晶が採れたという事実だけでも大変なことなのです。

 Skarn veins of Yazuka, Fukushima is well known for its superb dodecahedron grossular and epidote crystals, as large as over 6cm.  Recently acquired faceted epidote looses are dark and highly included and not attractive, as gemstone. However, the fact that  facetable crystals were recovered from this locality.


緑簾石族ルースの価格水準 (Faceted epidote's value)

 エピドートのような宝飾品に用いられることのない鉱物のルースに興味を示すのは稀少宝石ルースの収集家のみです。 そういったルースは主にコレクター専門の業者が扱い、美しさよりは希少性に基づいて、相当高価な水準で取引されることが一般的でした。 
 しかし近年は、ネット市場の発展により様々なルートで扱われるようになったため、かつてと比べると驚くほど妥当な水準で入手できるようになりました。
 因みに冒頭のブラジル産のルースはサンパウロの日曜露天市場で低品質のモルガナイトとして売られていたものですから,1個 3ドルと、ただのような値段でした。 
 素性の知れない色石を集めていると,こんな掘り出し物にぶつかるときがあります。 もちろん逆につまらない石を高価で掴まされることの方が多いのですが。


 Only rarestone collectors show interets to faceted epidotes. Depite its unattractive appearance,  faceted epidotes fetches relatively high pices simply for its rarity.  Although epidote crystals are abundant, facetable stones are extremely rare.  Gray colored 1.26ct pear stone was sold as morganite for US$ 3.00 at Sunday market in San Paulo, Brazil.