方解石(Calcite)

 

2.02 - 88ct

 

33ct 19x19x16mm
Burma ?
29.13ct 26.5x14.8x13.5mm
産地不明(Locality unknown)
88ct 31x31x35mm
Evenkiya Siberia
31ct 25x21x16mm
Oregon U.S.A.

Faceted by Art Grant


154ct 23x23x23mm 4.12ct 14.20x8.10mm 2.02ct Ø8.4x5.0mm コバルト方解石 5.23ct 17.6x9.5mm
Mato Grosso, Brazil Mexico Tanzania Mashamba West, Zaire
 
双晶と複屈折で虹のような万華鏡効果を見せる方解石
1,156ct 75x44x48mm 
Faraday Mine, Faraday Township, Hastings Co., Ontario, Canada
Faceted by Art Grant
双晶がカットされた方向と
光の屈折と反射の進行の様子


化学組成
(Composition)
結晶系
(Crystal system)
モース硬度
(Hasrdness)
比重
(Density)
屈折率
(Refractive Index)
複屈折
(Bi
refringence)
CaCO3 三方晶系
(Trigonal)
3 2.71 1.486-658 0.172
 
 方解石の日本語名は、三方向に完全な劈開をすることから名付けられました。
Calciteの名は鉱物としては珍しくラテン語の " Calx=石灰" に因みます。
 日本語でもカルキと呼ばれるますが、これはオランダ語で石灰を意味する ”kalk” に由来します。
 石灰岩は、かつて地球創世時に原始大気の大半を占めていた二酸化炭素(炭酸ガス)が淡水や海水に溶け込み、同じく水に溶けていたカルシウムと結合して堆積したものです。
 石灰岩が変成作用を受けて多結晶となったものが大理石で、さらに単結晶として成長したものが方解石です。
 また海水中では珊瑚や放散虫,有孔虫等の生物の骨格となり、その膨大な堆積物が後の地殻変動により石灰岩の山となりました。石灰岩の地層はさらに浸食作用で鍾乳洞を作ったり、カルスト地形となったり、広域変成作用により多結晶の大理石となったり、山水画で名高い中国の桂林等々、世界の広範な土地で独特の光景を生み出しました。 
 方解石は熱水鉱床、堆積鉱床、変成鉱床、火成鉱床など多様な条件下で生成され、世界中に広範に存在します。 
このため、実に多彩な姿の結晶が各地から産出し、方解石結晶専門の収集家が居るほどです。。
 またアイスランドからはかつて 7x7x2m、重さが254トンと鉱物結晶としては三番目の記録的な大きさの結晶を産出しました。さらに1968年、米、ニューヨーク州のセント・ジョーズ鉛鉱山ではおよそ1トンに達する、巨大さと透明さとで記録的な結晶が発見されました。
 方解石はモース硬度が3と柔らかく、その上完全な劈開性を持つことからカットするのが極めて難しい鉱物です。
しかし慎重にカットされた時は、本来の高い複屈折率としばしば双晶による二重の屈折との相乗効果とで、虹のような光のスペクトルの大きな分散をもたらして、万華鏡効果と呼ばれる虹色に煌くファイアーを見せます。 
 カナダのファラデイ鉱山産の1156カラットとアメリカ、オレゴン州産の31カラットのいずれも虹色の光彩を放つルースは方解石や蛍石等、柔らかく、強い劈開性があり、最もカットの困難な宝石にかけては史上最高の手腕を持つアート・グラントの手になる傑作です。
 こうして腕に自慢の宝石カッターの手に成るルースは世界各地の博物館や個人のコレクターの秘蔵の逸品として珍重されます。 
 傷つき易く、しかも劈開し易いために方解石は宝飾品としては実用にはなりませんが、純粋に眺めて楽しむ宝石です。
なかなか得難い品物ですが、しかし実用にならない点が幸いして値段はカラット当たり50セントから10ドル程度と、コレクターにとっては容易に入手できるのが何よりです。

 さて、方解石の結晶といえばフランスの鉱物学者、アウイが19世紀初頭に結晶構造理論を提唱したことを忘れるわけには行きません。何故ならばアウイが結晶構造を微細な結晶の集まりであると考えたのは、床に落とした方解石が、全て相似形の小さな結晶の破片になったことがヒントになったと言われているからです。
アウイの肖像 アウイの考えた結晶構造 6角柱のカルサイト結晶構造 菱面体カルサイトの結晶構造
○ : 酸素  ● : カルシウム  炭素

方解石の結晶形の例

単結晶(Single crystal)
双晶(Twin crystal)
 
 世界各地の方解石結晶の多彩な色と形 ;



紫水晶中の方解石結晶 36mm
Artigas, Urguay
螢石上の方解石 90x80mm 40mm 35mm
Cornway, Cumbria, UK Frizington, Cumbria, Wales UK
95x80mm 74x55mm 58x42mm 69x60mm
Poona, India Dalinegorsk, Russia

 

5.0x4.0x2.5cm Zacatecas 氷州石(Iceland Spar) 9.6x6.6x5.2cm 12.5x8x5cm 10x8cm
Mexico Elmwood Mine, Tennessee,U.S.A.

  

 緑の孔雀石結晶を含む方解石 15mm Cobalt Calcite 35mm 40x28mm
Mashamba West Mine, Zaire

 

50mm 25mm 25mm コバルト方解石 110x70mm
St. Andreasberg, Herz Teufelsgrund, Bayern Schwaben, Bayern Richelsdorf, Hessen
Germany


70x40mm  140x90mm 75 x 65mm 60x40mm
Morfasso, Piacenza La Union、Cartagena Naranco, Oviedo Villabona, Asturias
Italia Spain


70x64x45mm 62x52x40mm 2.6x2.4x2.2cm N'Chwaneng II
Kuruman Rep. of South Africa
Bou Azzer, Morocco

 

 美しい方解石の結晶は主に銅、鉛、亜鉛,錫等の金属鉱山で発見されます。
イギリス、カンブリア地方、スペイン北部のアストゥリアス地方、南部の La Union鉱山、ザイールの  Mashamba 鉱山、ドイツ南部の St.Andreasberg 鉱山地帯、アメリカ、テネシーの Elmwood 鉱山等はいずれも古来から有名な金属鉱山です。
 ロシアの沿海州にあるダルネゴルスク地方も同様に、錫、鉛、亜鉛等の重金属鉱山地帯です。この地ではマンガン発色に因る淡いピンクの他にも透明で淡黄色の方解石を産します。 
 一方ブラジル南部のリオ・グランデ・ド・スルと国境をこえて南側のウルグアイのアルティガスでは巨大な晶洞中に群生する紫水晶が発見されますが、そこにしばしば方解石の結晶が同居していることがあります。
 一般に方解石は白色または無色透明ですが、微量の鉄やマンガン、コバルト等また孔雀石等、他の鉱物を含んで美しい色合いを見せることがあります。
 また透明度の高い方解石の結晶は最初にアイスランドの火山岩の空洞中に発見されたため、氷州石 (Iceland Spar) と呼ばれるようになりました。 非常に透明度が高いためニコル・プリズムとして、偏向顕微鏡用のプリズム等に使われます。 

 

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