Send in the Clowns (道化師を出せ)

Isn't it rich, are we a pair
Me here at last on the ground
And you in mid air, send in the clowns.

Isn't it bliss, don't you approve
One who keeps tearing around
And one who can't move
Where are the clowns,
send in the clowns.

Just when I'd stopped opening doos
Finally knowing the one that I wanted was yours
Making my entrance again with my usual flair
Sure of my lines.
No one is there.

 Don't you love farce ?
My fault I fear,
I thought you'd want what I want
Sorry, my dear
But where are the clowns?
Quick, send in the clowns
Don't bother, they're here

Isn't it rich?
Isn't it queer,
Losing my timing this late in my career ?
Where are the clowns ?
There ought to be clowns.
Well, may be next year
 
 
すばらしいじゃないか 君と私のコンビ
とうとう  私は地上に 君は空中に
さあ 道化師をだしてくれないか

祝福しようじゃないか
一人は自由にとび回り 一人は動けない
さあ 道化師は何処 ?
道化師をだしてくれ

扉を開けようとしたその時
少しとどまったのは
本当に必要なのは君だとわかったから
台詞を正し
いつもの輝きに似た顔をして
もう一度 開いてみると
そこには誰もいなかった

道化芝居は嫌いなのか
思い込んでた
私が欲しいものは 君も欲しがるものと
許してほしい
道化師は何処 ?
いや ここに

すばらしいじゃないか 不思議じゃないか
この年になって タイミングを狂わせるなんて
道化師は何処 ?
道化師がいるはず
そうきっと 来年あたり


     
Ol' blue eyes is back 1973年  Johnny Hartman Live at Sometime
1977年 
Obelisk
Shahinian Acoustics  1977年
   
 
   
夏の夜は三たび微笑む 1955年 マディソン郡の橋  1995年

 人生の合間に、何の関連もないような、心を惹かれた様々な体験が50年近い年月を経て、実は密接な網目のように繋がっていたのだという発見に出会うことがある。
 冒頭の歌と5枚の写真はその一例。 不思議な出会いを通して、その間の忘れていた時間が蘇る。

 最初はフランク・シナトラのLPレコード
 
 この中に入っている ”Send in The Clowns ”を聴くために買ったレコードだ。
これは1973年の頃、シンガポール行きのフライトの中で繰り返し聴いて気に入り、到着して直ぐに入手した。
 当時のフライト・エンターテインメントは現在とは大違い。映画はボケボケのプロジェクターで1本だけ、音楽は8-トラックに収蔵された曲を、恐らくは座席内に収納された小口径のスピーカーからの音をヘッドフォンではなく、チューブを通した聴診器のような機器で聴くという代物。
 何しろウォークマンも出ていない時代、10時間ものフライトを過ごすのは大変な時代だった。
" Send in the Clowns " は当時、道化師がどうしたのか? 意味がよく分からなかったものの、シナトラの持ち歌らしくはない、抒情性に溢れる歌が気になって、シンガポールに到着後、LPを買ったものの、解説は何もなく、単に ”From A Little Night Music ”とあるのみで、曲の素性は不明のまま、時折、レコードを出しては聴いていたものだ。

 次にこの歌に出会ったのは1977年末のオーディオ・フェアにて、各社のブースを巡っていた時に、聴き慣れたこの曲が聞こえて来た。入ってみると、広い部屋の中に置かれたオベリスクの形のスピーカーから、シナトラとは全く異なるスタイルで歌う、いささか癖はあるが、輝かしい声の持ち主があたかもその場で歌っているかのように聴こえた。
 それがジョニー・ハートマンとオベリスクとの出会いだった。
これはジョニー・ハートマンが1977年10月に吉祥寺のライヴ・ハウスでの演奏を収録した、トリオ・レコードだった。
 冒頭の歌詞と日本語の訳は解説についていたもの。 
およそ詩の素人の翻訳だが、ともかく歌の意味はとれる。
が、意味は分かってもどういう歌なのかは依然として分からないままだ。
               
Obelisk from Shahinian Acoustiks Ltd.
   
ネットを外したオベリスク 20cmウーファーと背後に20cmのパッシブ・ラジエーター、ピラミッド型の上面に2個のツィーターと
4個のスーパー・ツィーターを持つ 
 高さ75cm 幅38cm 奥行 33cm 重量 23㎏

 アメリカのシャヒーニアン社が1977年に発表したオベリスクというスピーカー。
写真のようにオベリスク型の上部のピラミッド部分に四方に音を拡散する合計6個の中高音用のユニットを配した、いわゆる音場再生型のスピーカーだ。
 オーディオ・フェアでの日本デビューを兼ねた、出来立てのライヴ録音でのデモンストレーションに出会ったのだ。 まさにライヴ・ハウスでの聴いているかのような臨場感あふれる素晴らしい音質で鳴っていた。
 実はオベリスクを聴いたのはこれが最初で最後だ。素晴らしいスピーカーではあるが、当時の値段で50万円近くと高価である上に、狭い部屋の壁際に置く例が大半の日本の住環境では、このタイプのスピーカーは実力を発揮しにくい。 
 30畳を超える広さにソファーが何セットも置かれているような居間の、何処に座っても2つのスピーカーの中間にピタリと歌手が定位しているかのように聴こえる環境に置かれるのが相応しいスピーカーだ。
 そんなわけで、日本では殆ど売れずに早々に撤退してしまったが、現在でもこのメーカーは健在でオリジナルに加えて様々なラインアップが現在もアメリカでは売られている。

映画 マディソン郡の橋

 1992年に発表されたロバート・ジェームス・ウォラーの小説は世界的なベストセラーとなり、1995年 にクリント・イーストウッドが監督、主演、メリル・ストリープとの共演で映画化された。
 1960年代のアメリカ・アイオワ州・マディソン郡が舞台となる映画で、アイリーン・クラール等々、当時の音楽がふんだんに背景に流れていたが、冒頭の写真の場面で流れていた歌声が忘れもしないジョニー・ハートマンの声だった。
ハートマンの歌はこの "I'll close my eyes" の他にも "It was almost like a song" "Easy living" と3曲も使われている。
 クリント・イーストウッドは主題曲の " Doe eyes" も自ら作曲するほどの才人ぶりを発揮している。

ミュージカル " A Little Night Music "

 さて、この " Send in the Clowns " が " A Little Night Music " からと、シナトラの LP の曲名に括弧つきで出ていたものの、それが何か分かったのは、インターネットでありとあらゆる情報を調べることが可能になった、ごく最近のことだ。
 この曲は Stephen Sondheim が 1973年にブロードウェイのミュージカルのために作曲した曲であること、そしてこのミュージカルは、なんと イングマール・ベルイマンが1955年に作った映画 ”夏の夜は三たび微笑む”をミュージカルに仕立てたものであると。

 そこでようやく歌の意味が判明した。

これは女優のデジレーが昔の愛人とのよりを戻すべく、思いを打ち明けている歌なのだと。

"Send in the Clowns" の意味もようやく判明した。 これは本来サーカスで使われた言葉だ ; 
曲芸などの失敗で舞台が白けた際に、急きょ道化師が登場してその場を取り繕う、という事例から、次第に 
”緊急時の助け舟”を求めるという場面で使われるようになった、とのこと。

 もともと、ベルイマンの映画が舞台劇を映画化したといった内容なので、舞台での再現は格好のテーマだ。
事実、美しい節の主題歌も相まって、このミュージカルは世界中で上演され、ジーン・シモンズ、グレン・クローズ、ジュディー・デンチ、キャサリーン・ゼタ・ジョーンズ、エリザベス・テイラー等々、錚々たる女優たちがデジレーを演じる空前のヒットとなった。
 ミュージカルだから、デジレー役の女優は皆この主題歌を歌っている。 エリザベス・テイラーの歌はご愛敬としても,その他の女優たちの歌の上手さには驚かされる。 とりわけキャサリーン・ゼタ・ジョーンズの歌唱力は圧巻というしかない。
 You Tube でこうした舞台を全て見られるというのも、すごい時代になったものだ。
 飛行機で聴診器で音楽を聴いていた時代から半世紀足らずして、今や、例え辺鄙な田舎に住んでいようと、世界のありとあらゆる音楽や、オペラ、演奏会や映画を好きな時に好きなだけ聴けるようになったとは、凄い世の中になったものと、感慨が深い。
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