「なぜ今、家系調査か」                                       

最近は自分の祖父母の名前を知らない人がいます。ましてや曾祖父母の名前など殆どの人が知らないのではないでしょうか。少し前までは、老人といえば智恵者であり、何かにつけて頼りにされ、敬意を払われたものです。自分に孫ができた時「おじいちゃんおばあちゃんの名前?知らないよ」と言われぬよう、家系図を作りませんか?「うちの家はよくわからない」それでも構いません。以下に紹介する方法に従えば、ある程度まで家系図を作る事が出来ます。

私達の祖父は、私達の孫からみれば高祖父(ひいひいおじいちゃん)です。私達の祖父母が生きていた時代は、概ね明治時代。その明治の話でも、詳しく書き留めていれば、孫の代では200年以上前の話(私達の感覚でいうと江戸の中期の話)になります。今書き留めている事が他愛の無いことであっても、孫の世代では「史料」となり、子孫にとって身近に触れられる「歴史」として役立つのではないのでしょうか。

また、現行の戸籍法では「コンピュータによる戸籍を含む現行戸籍の保存期間・・・戸籍に記載されている人全員が除かれるまで」とあり、最悪の場合、「自分の祖父母の名前をどうやって調べても分からない!」という時代がくるかも知れません。(この話はあくまで最悪の場合の予想です。私は戸籍法のプロフェッショナルではないので実際は違うかもしれません。)

さらに、生物学的に言えば、我々はご先祖から「獲得形質」が受け継がれています。父母、その又父母・・・と遡れば遡るほど、沢山の先祖がいます。どす黒い人間もいれば、まばゆいばかりの人間、平凡な人間、芸術の才能がある人間、変わり者・・・家系図を探れば自分のなかにどんな才能があるのか、どんな弱点があるのか、分かる事があります。「うちの親父の酒癖には参るよ。あんな親父にだけはなりたくないよ。この前ばあちゃんに聞いたらじいちゃん(父の父)もひいじいちゃん(父の父の父)も酒癖が悪かったんだってよ、まいるよなあ!」

こういう話を聞かれた事はありませんか。また、モーツァルトやベートーヴェン、バッハなど音楽家の親、子孫、親戚に音楽家が居た事は有名な話です。

話が脱線しましたが、家系図調査は、短所を修正し長所は伸ばし、よりよく生きる教科書にもなり得るのではないでしょうか。

ご先祖が凡人でも悲観する必要はありません。自らがまばゆいご先祖となったらよいのです。家系図を調べる事によって修身、身を修める=道徳の勉強をする事が出来るのではないでしょうか。何せ手本が身内です。これほど楽なものはありません。

獲得形質の話のついでに遺伝について考えてみましょう。

脳卒中の家系、心臓病の家系、糖尿病の家系・・・という話をよく耳にします。これは何を隠そう、自分の未来を表しています

「このまま行くと危ないよ、健康に気を使えよ!」と具体的に先祖が警告をして下さっているのです。受け継いだ部分によっては努力ではどうにもならない所もありますが、高血圧の家系なら塩分を控え、糖尿病の家系なら節制と運動をし、胃が悪ければ余り悩まず消化に良いものを食べる・・・など、具体的な対策を無言で語ってくれています。

社会的に考えてみますと、家系図調査を始めるという事は、新しい世界に飛び込むという事です。昨日までの生活では絶対に会わなかった人に会えます。一生行くこともなかった場所に行く事にもなります。

遊び感覚で行っても「家系図調査」です。訪れる全ての場所、会う人、触れる物が自分に何らかの形で関係のある事柄です。

「自分探しの旅」と言い換えても良いでしょう。どうですか?興味が湧いてきませんか?

家系調査を通して社会を別の側面から眺める事もできます。これもまたメリットの一つです。

勿論、調査中には嫌な事もあります。トラブルはトラブルとして経験や反省として活かせば良いでしょう。

しかしストレスを抱えてまで調査する必要は全くありません。その時は一旦調査中止して今まで調べた分で満足すればそれでいいと思います。ただ、自分で作成した家系図の空白を眺めていると、空白部分を調べたくなってくるものです。こうなればしめたものです。さらに、家系図は、人間が社会的な動物であるということを雄弁に物語っています。

「自分一人で生きているようでも、そうではない」という事を、家系図は強く訴えかけてくるのではないのでしょうか。

「人は自分自身に一番興味がある」という言葉があります。自分自身への興味を家系図調査という形で表現してみませんか?明日から新しい世界が開けるかもしれません。面白いか詰まらないかはご自身次第。調査をどの段階でやめるのも自由です。更に一緒に調査してくれる仲間を見つけられれば、楽しさ百倍、つらさ半減です。

系図調査の入口は広く、奥が深いです。歴史に興味がある方、物好きな方、何か新しい事に挑戦したい方、暇な方、自分に興味がある方、図書館が好きな方・・・。きっかけは何でも構いません!動機が不純であればあるほど長続きします!調査中に恋人を見つけた方もいらっしゃいます! さあ、積極的に先祖を調べてみませんか?御先祖様があなたをあの世から力強くバックアップしてくれますよ!!

先祖探しの座右の銘  

案ずるより

産むが易し

まずは両親や祖父母に家の歴史や先祖の名前、業績など尋ねてみましょう。「いや、私は自分の先祖について聞いたことがある」という方もいらっしゃると思います。しかし、意外と人の記憶はあやふやなものです。興味を持って積極的に聞くのでは情報量が違います。まずは先入観を持たず、まっさらな気持ちで聞くのが良いと思います。

昔は商人で○○屋という屋号だった、ひい爺さんは駆け落ちでひい婆さんと一緒になった…などなど。また生きた人間の声は書物や石塔よりも何倍も価値があり重みもあります。あなたのお婆さんが存命で色々な話を聞けたとします。そのお婆さんが小さい時にはそのお婆さんのお婆さんがいたことでしょう。お婆さんのお婆さんはほぼ間違いなく江戸時代の人物でしょう。ということは江戸時代の歴史、文化、風俗、慣習、などが祖母を通してリアルに分かるということです。そのようなことをあなたがしっかりと聞き、書物に記したり又子供に話伝えればその家の歴史や先祖の業績なども次世代に受け継がれることでしょう。人の記憶はいつかは忘却されるものです。しかし、書き記せば失うことがない限りそれは何十年、何百年と引き継がれていくものです。そしてその時代その時代の子孫が見て少しでも先祖を偲ぶことができればよいのではないでしょうか?ということで、両親(親しい親戚)に「うちに家系図あるの?」とたずねてみましょう。

<補足>
家系図に関わらず、自分の家にある資料を把握する事が大切です。

「家系図」はあるか?「過去帳」はあるか?

また、「香典帳」や「見舞帳」があれば、その当時の親戚がわかるので必ず役立ちます。 さらに重要なのは仏壇です。大切なものをしまう習慣があるので、仏壇の引き出しや戸棚を一度見直すのもいいでしょう。古文書が伝わっている家はそれも把握しておきましょう。 内容がちんぷんかんぷんでも構いません。大切に保存しておきましょう。必ず役立ちます。古文書の内容を活用して家系図をより素晴らしいものにする事もできます。