LNT仮説:Linear No Threshold 即ち、線形で、しきい値なしの仮説
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・平成11年9月2日、広島で開かれた第42回日本放射線影響学会の総会で佐々木正夫会長(京都大学放射線生物研究センター教授)
から提案された声明が満場一致で採択された。その中に書かれていること
「地球上の生物は、その誕生以来低線量の放射線に出会い、進化してきた。したがって、低線量放射線の影響は高線量のそれとは
本質的に異なる。」

原子力施設で1年以上働く約30万人を対象とした疫学調査では100mSv以下(平均20.9mSv)でも発癌リスクが増大する。
 (国際チーム.英医学誌BMJ 2015)

・200mSv以下で癌発生の確認なし。1mSvで癌発生0.0005%UP(日本放射線技術学会雑誌)
http://nv-med.mtpro.jp/jsrt/pdf/2002/58_10/1328.pdf

国際放射線防護委員会(ICRP)の見解: International Commission on Radiological Protection
年問100ミリシ−ベルト以下の被曝では、後々がんになる危険(晩発性リスク)が高まることを実証するデータはない。
年間被曝量が20ミリシ−ベルト以下なら他の発癌要因リスクと比べ充分低く、過度な心配は不要。むしろ過度な心配のストレスによる健康障害のほうが心配。
内閣府「低線量被曝に関する有識者会議」が2011年12月15日にまとめた報告はこれにならった。ただし、防御の観点から除染の継続は必要とした。

ICRPは「生体防御機構は、低線量にしきい値を生じることは ありそうにない」という見解と同時に LNT仮説を使わず
線量・線量率効果係数(DDREF)と呼ぶ係数を導入して、「影響をLNTの1/2にする」見解を示している。(上図も 小出 裕章)
http://www.geocities.jp/hokkaihankakuishi/koide2010.html

ICRPへの批判:
「このICRP見解には細胞生物学やゲノム(全遺伝情報)など最新の知識を反映していない」(児玉龍彦・ 東大アイソトープ総合センター長)
自然修復が困難なDNA2重鎖切断を人血リンパ球で試験した結果、10−100mSv短期被曝ではLNT仮説に従う。(上図右) (京大放射線生物研)
ラットの短期被曝試験では20mSvの低線量でLNT仮説を裏付けるDNAの損傷がみられる。

さらに不明確なこと: 長期間にわたる被曝で上記積算線量になった場合、
細胞の修復力が期待されるため同じ放射線量でも、概して一瞬で浴びた場合の半分くらいの害ですむという説がある。
例えば、500mSvを一度に浴びると白血球が減少するが1mSv×500日では減少しない。
ラットDNAでは、100mSv/7秒 では損傷が生じるが、 100mSv/5日間 では影響なし。
年間100mSv以下なら修復される。という説があるが明確でないので安全のため積算で同一効果とする規制が多い。

自然で20mSv/年が観察される地域では他地域に比べ健康への影響は全く観察されないが、DNAレベルでは変異がみられる。

疫学の立場と、基礎医学の立場の違い


 

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