人格障害と、 DSM-IV 診断基準(10分類)(年齢に無関係)
米国精神医学会「精神障害の診断と統計マニュアル」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)
第4版 = DSM-IV が現在、精神医学の世界で最も大きな影響力を持った診断基準といわれている。
※)

1)分裂病質人格障害 (分裂病とは精神と現実の分裂であって、精神の分裂ではない)
 自ら社会的孤立を求める。他人や物事全てに無関心。幻覚妄想はない。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 家族を含めて、人と親しい関係を持つことを楽しいと思わず、持つ意欲がない。
2. ほとんど孤立した行動をとる。
3. 他人との性体験を持つことにあまり興味をみせない。
4. 趣味のような喜びを感じる活動にあまり関心がない。
5. 親、きょうだい以外に親しい人や信頼できる人がいない。
6. 他人の賞賛にも批判にも無関心にみえる。
7. よそよそしくて冷たい。感情の起伏がない。

2)分裂病型人格障害
 霊感などの奇妙な幻覚妄想がある。他人との関係に敏感。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 全てが自分に関係していると考える。人が話をしていると自分の噂をしていると思う。
2. 迷信深かったり、テレパシーや第六感を信じる。
3. 実際には存在しないはずの力や人物の存在を信じる。
4. 考え方や話し方が奇異である。会話の内容が、ずれてたり細かいことにこだわる。
5. 疑い深く、妄想じみた考えをもっている。
6. 感情が不適切で乏しい。身振り、そぶり、微笑みが滅多にない。
7. 外観や行動が奇妙で、風変わりである。 カルトに凝ったリする。
8. 親子関係以外では、親しい人や信頼できる人がいない。
9. 社会に対して過剰な不安を持っている。ほとんど妄想に近い不安であることが多い。

3)妄想性人格障害
 過剰な自己防衛で周囲に敵対的。周囲全てが悪意を持って自分を脅かすと考える。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 根拠がないのに、他人が自分を利用したり危害を加えようとしていると思い込む。
2. 友人などの不誠実さを不当に疑い、そのことに心を奪われている。
3. 何か情報を漏らすと自分に不利に用いられることを恐れ、他人に秘密を打ち明けない。
4. 悪意のない言葉の中に、自分をけなしたり、脅かすような意味があると思い込む。
5.侮辱されたり、傷つけられたことを深く根にもち、恨み続ける。
6.自分の評判や噂話に過敏に反応し、人から不当に攻撃されていると解釈し攻撃する。
7.根拠もないのに、配偶者や恋人に対して「愛人がいるのではないか」などと疑う。

4)反社会性人格障害
 嘘つき、詐欺師。社会道徳なし。独立心が極めて強く自分自身しか信頼しない。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 法を守る社会的な規範に従うことができず、逮捕されても違法行為を繰返す。
2. 人を騙す傾向がある。自分の利益や快楽のために嘘をつくことを繰り返す。
3. 衝動性が強く、自分の将来計画が立てられない。
4. 怒りっぽく、攻撃的である。
5. 向こう見ずで、自分や他人の安全を考えない。
6. 一貫して無責任である。仕事を続けられなかったり、借金を返さなかったりする。
7. 良心の呵責を感じない。人を傷つけたりいじめたり、人のものを盗んでも反省しない。

5)境界性人格障害(ノイローゼ=神経症 との境界:情緒不安定性)
 躁、うつ、怒、など喜怒哀楽の気分変動が著しい。自己否定感が強く1人でいること
に耐えられない。演技的自殺を企てる。

診断基準 以下、各項目で50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 見捨てられる不安が強いために愛情をつなぎとめるために必死に努力をする。
2. 他人を理想化したり批判したり、人に対する評価が極端に揺れ動き対人関係が不安定。
3. 同一性が混乱していて、自己像がはっきりしない。
4. 衝動的で、喧嘩、過食、衝動買いなどの浪費、薬物乱用、衝動的性行為などがみられる。
5. 自殺行為、手首を切るなどの自傷行為や自殺を思わせるそぶり、脅しなどを繰り返す。
6. 感情が極めて不安定。
7. たえず虚無感を覚える。
8. 場に合わない激しい怒りを表しコントロールできない。暴力をふるったりする。
9. ストレスがあると、妄想的な考えや解離性症状が生じることがある。

6)自己愛性人格障害
 自尊心が極めて高く自己中心的。ひたすらに自分の実績を誇示し、他人よりも重要な
人間であると思っている。自尊心の調節障害。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 自分は特別な人間だと考えている。
2. 限りない成功、権力、才能、美しさにとらわれていて何でもできる気になっている。
3. 自分が特別であり、一部の地位の高い人たちにしか理解されないものだと信じている。
4. 過度な賞賛を要求する。
5. 特権意識を持っている。自分は当然優遇されるものだと信じている。
6. 自分の目的をはたすために、他人を不当に利用する。
7. 他人の気持ちや欲求を理解しようとせず、気づこうともしない。
8. しばしば嫉妬する。または、他人が自分に嫉妬していると思い込んでいる。
9. 尊大で傲慢な行動や態度がみられる。

7)演技性人格障害(ヒステリー人格)
 人の関心をひく芝居がかった演技をする。積極的に他人をあてにして自分を防御する。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 自分が注目の的になっていないと楽しくない。
2. しばしば不適切なほどに性的に誘惑的・挑発的態度をとる。
3. 自己脚色が多く、他人への配慮が欠け、傷つきやすい。
4. 自己中心的で、虚栄心が強く、わがままで、子供っぽい性格。
5. 感情表現がオーバーなわりに内容が乏しく変わりやすい。
6. 芝居がかった大げさな感情表現で人の関心を引こうとする。
7. 周りの人からの暗示や環境の影響を受けやすい。
8. 対人関係を実際以上に親密なものと思い込む。
9. 時として難聴や身体マヒが生じる。

8)回避性人格障害
 社会的な刺激に対して過敏で傷つきやすい。自分を脅かすものを探し、それにおびえ
る。人から批判されたり恥をかくことを極度に恐れ社会的に孤立する。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 人からの批判、否認、拒絶を恐れ、人と会うことを避けることが多い。
2.「好かれている」と確信できる人としか、つきあおうとしない。
3. 恥をかいたり馬鹿にされることを恐れて、親密な相手に対しても遠慮する。
4. 社会の中で批判されないか、拒絶されないかと、そればかり考えてしまう。
5. 自分は人とうまく付き合えないと思っているため、新しい対人関係がつくれない。
6. 自分は長所がなく劣っているので社会の中でうまくやっていけないと思っている。
7. 恥をかくことを恐れ、新しいことをはじめることに消極的である。

9)強迫性人格障害
 過度な良心性があり、秩序正しく、極端な倹約家で、完全癖があり頑固。優しい感情
の表現がない。事実や知性を優先し空想は好まない。
道徳的な原理に厳密に従う「超正常な人格」の持ち主。失敗や批判への恐怖心が強い。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 細かいこと(規則、秩序、序列、構成、予定など)にこだわる。
2. 必要以上に完璧主義にこだわりすぎて、達成できないことがある。
3. 娯楽や友人関係を犠牲にしてまで、仕事にのめり込む。
4. 一つの道徳、倫理、価値観に凝り固まっていて、融通がきかない。
5. 必要がないのに、使い古したもの、価値のないものを捨てられない。
6. 他人が自分のやり方に従わない限り、仕事を任せることができない。
7. 金銭的に自分に対しても人に対しても倹約家で貯金を重視する。
8. 頑固である。

10)依存性人格障害
 他人に盲従し依存する。従順さ、受け身性、非主張性を持つ。暗示を受けやすく簡単
に他人に騙される。自分自身で何かしたり1人でいることに恐怖を持つ。

診断基準 以下、各項目の50%以上があてはまると、人格障害に相当する。
1. 日常のことでも、他人からのアドバイスがないと決められない。
2. 自分の生活上の重要なことでも、他人に責任をもってもらいたがる。
3. 嫌われたり避けられたりするのが怖いため、他人の意見に反対することができない。
4. 自分の判断や能力に自信がないために、自分自身で計画したり行なうことができない。
5. 人から愛情や支持を得るために、不快なことまでやってしまう。
6. 自分自身では何もできないと思っているため、ちょっとでも1人になると不安になる。
7. 親密な関係が途切れたとき、自分をかまってくれる相手を必死に捜す。
8. 自分が世話をされず、見捨てられるのではないかと言う恐怖に異常におびえている。


上記DSM-IV 10分類は大分類クラスターに分けられる

DSM-IV は下の5軸の情報を記載する。

第1軸 臨床的症状に基づく精神障害(統合失調症、大うつ性障害、不安障害、身体表現性障害、解離性障害など)
第2軸 人格障害、精神遅滞
第 3軸 一般身体疾患
第4軸 心理社会的および環境的ストレス
第5軸 全体的評価

クラスターA:エキセントリック(変人)の一群。 ノルアドレナリンが低い。

1)分裂病質人格障害
2
)分裂病型人格障害 
3
)妄想性人格障害

クラスターB:演技的、情動的混乱を示す。 ドーパミンが高い。

4)反社会性人格障害
5
)境界性人格障害
6)自己愛性人格障害
7)演技性人格障害(ヒステリー人格) 

クラスターC:不安や恐怖心が強い。 セロトニンが高い。

 

8) 回避性人格障害  
9
) 強迫性人格障害 
10
)依存性人格障害 

 

 

  下図は個人の人格。 周辺ほどその性向が強いことを示す。濃色領域が人格障害
1   2
 

 

上図 診断例の数値 シンダン (MAX 100)
  A分裂病質
80
  A 分裂 ブンレツ ビョウ カタ
65
  A 妄想性 モウソウセイ
50
  B ハン 社会 シャカイ セイ
10
  B 境界性 キョウカイセイ
15
  B 自己 ジコ アイ セイ
30
  B 演技性 エンギセイ
45
  C 回避 カイヒ セイ
45
  C 強迫性 キョウハクセイ
45
  C 依存性 イソンセイ
20
     
※)2013年5月に「DSM−4」が19年ぶりに改訂され、第5版の「DSM−5」になる。神経発達障害の分野では、自閉症やアスペルガー障害などを包括的に「自閉症スペクトラム障害(ASD)」と新たに定義したのが大きな特徴。
アスペルガー障害は、「社会コミュニケーションの障害」かつ、「限定した興味や反復行動」に絞られる。

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