愛犬ミミ 2006/4


スーパーで催された「捨て犬の里親探し会」で出会ってから我が家の一員となった愛犬は耳の大きさだけが目だつ痩せ犬だったので「ミミ」と名づけた。 
とてもイジケた犬だった。 押し売りがきても吠えず、たまに旨い肉をやると、その場で食べず、庭の隅まで喰わえて行き、取られるものかと、こちらを上目使いで警戒しながらガツガツと食べた。 散歩先で他の飼い犬に吠えられると私の影にかくれた。 近くの学校の管理人が飼っている大きな犬「ゴロ」がいつも私達に激しく吠えついた。 その度に「ミミ」はおびえて尾を下げた。

ある時、ゴロをからかってやろうと私自身が「わんわん」と吠えてやった。 ゴロはますます怒り狂った。 私はゴロの鎖の長さを目測し、安全距離を確認した後、「わぉー」と走り寄って襲う格好をしてやった。 不意をつかれたゴロは2、3歩後ずさりした。 その瞬間である。 思わぬ出来事が起きた。 私の影にいたミミが、「ガォーッ」っと自分の2倍の大きもあるゴロに襲いかかったのである。 2、3回転したかと思うと「キャイン」と悲鳴をあげて逃げたのはゴロだった。 その時以来ミミの態度はがらりと変わった。 上目使いで私を見ることはなくなった。 飼い主を守ったという誇りからか、堂々と餌を食べるようになり、押し売りにも吠えるようになった。

成犬となったミミは脱走が得意となった。 高い塀も乗り越えたし、狭い隙間も忍者の如くすり抜けて脱走した。 そして、食事どきには何事もなかったように帰宅した。 ある夏、大きな雷が近くに落ちた時、飛び出したミミはそれっきり帰ってこなかった。 もっと頼りがいのある主人を求めて旅にでたのかも知れない。


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