平成18年12月21日付意見書(思 想編)

共産主義は人間を奴隷化し他国を侵略する謀略思想である 他

              目次                            

意見書━確定審における政治的発言を全面否定する

一, 私は何故1,2審で執拗に政治的発言をしたのか
 
二, 私の現在の思想内容

(1、)共産主義は人間を奴隷化し他国を侵略する謀略思想である
 1) 虚偽レッテルを貼り付けて資本主義と資本主義国家を価値否定する
 2) 共産主義は独裁支配者を夢見た狂人がつくり出した謀略思想である
 3) 共産主義革命の正体は日本をロシア、中国に奴隷的に支配させること

(2、)日本など東アジアの征服を目指す中国
 1) 中国は百基の水爆で日本を狙っている
 2) 日本の核武装と日米の対中国2段階核戦争戦略 
 3) 中国の情報心理戦に敗北している日本
 4) 祖国とその法に忠誠を尽くし誤った政府と戦う

(3、)世界征服を目指すロシア
 1) 中国の10倍以上のロシアの対日核戦力
 2) ソ連の1991年8月政変は西側を騙す大謀略である
 3) この大謀略の目的は何か
 4) ロシアの情報心理戦(冷戦)
 5) ロシアの国家目標は不変−共産主義は衣にすぎない

(4、)直ちにロシアと中国に対する第2次冷戦を開始すべし
 1) 日米欧の対露2段階核戦争戦略態勢の構築
 2) 米国政府中枢にもロシア、中国のエージェントが侵入し政策を誤導している

  (ア)エージェント・キッシンジャーの謀略 
  (イ)エージェント・ライスの謀略
  (ウ)政府中枢に潜入して活動するフランクフルト学派系共産主義者
 3) 日本と自由世界を守るため保守思想を深めよう
  (ア)ゴルバチョフの大謀略を暴き共有化すること
  (イ)ロシアは国家テロルの恐怖が支配する全体主義国
  (ウ)反核運動は兵器を用いない侵略戦争中の戦争
  (エ)法の支配の思想の獲得
  (オ)西側の核兵器は平和を守る最良の兵器
  (カ)戦う保守派

(5、)革新勢力と共産主義グループに乗っ取られていた戦前の政府と軍部とマスコミ
 1) 革新勢力の思想と大東亜戦争
 2) 大東亜戦争を主導したスターリンの秘密指令を受けた共産主義グループ
 3) 大東亜戦争の開戦責任を問い裁く

意見書━確定審における政治的発言を全面否定する。


 私は、1,2審において、機会ある毎に政治的発言を繰り返した。私は今日では保守主義者(真正な自由主義者)になっているが、転向した時期は刑確 定後のことであったため、1,2審当時の政治発言は価値否定されることなく記録として残ってしまうことになってしまった。このような徹底的に誤った無惨な 発言を、そのままにしておくことは到底できない。ここで、全面的に否定しておきたい。

 といっても、単に「全面否定する」と言っただけでは、ほとんど思想的に意味をなさない。従って、左翼思想(反日亡国思想はそのひとつ)を全否定し ている現在の私の思想の一端を後述していきたい。もちろん、確定審時のように、別の立場から思想闘争をするという意思は全くない。

 その前に、私は何故1,2審において、執拗に反日亡国思想をアピールしたのかについて簡単に触れておきたい。

 一, 私は何故1,2審で執拗に政治的発言をしたのか

(1) 私は爆取3条違反容疑でデッチ上げ逮捕された。本件の道庁爆破事件の別件逮捕であった。乾電池、豆電球、消火器、セメントという「爆発物製造器 具」(後日、「爆発物の使用に供すべき器具」に改められた)を所持していた、という容疑であった。豆電球は取りはずされたものですらなく、小さな懐中電灯 (検623)に付いたままの小さな豆電球である。

 これらのものは、どの家庭にもあるものである。しかも加工されてもいない。爆発物の使用に供すべき器具とは、時限装置とか電気雷管を指すのであ り、上記のものは該当しない。少なくとも、それらのものを爆発物の使用に供すべき器具だと言うためには、爆薬が存在することが大前提条件になる。

 しかし高山捜査報告書の「塩素酸イオンの検出」部分は虚偽記載であることは証明されている。山平鑑定は存在しなかったし、誰であれ除草剤の付着と いう鑑定結果を出したものはいなかった。高山捜査報告書は、私の身柄を確保するためにデッチ上げられた報告書であったのだった。

 私は苫小牧港で逮捕され札幌の中央署へ連行されて、弁解録取調書をとられた。「デッチ上げである」とのみ述べた。その後、警察と検察の取調べが始 まったが、私は黙秘を貫いていった。接見に来てくれた弁護士も、「自分の身を守るには黙秘が一番の方法です。この事件では、やってないということも含め て、捜査側に一切情報を与えないで黙秘してください。大森君にとって、有利なことを言っても権力はそれをつぶしにきますから、情報を与えないで黙秘に徹す ることです」という趣旨のことを言ったし、私もそう思ったから黙秘を貫いた。

(2) 私は取り調べに当った警察官や検事の発言から、警察が目撃証言や鑑定書など証拠のデッチ上げをしていることを認識していたから、勾留満期の8月 31日には、道庁爆破でデッチ上げ再逮捕されるであろうことは覚悟していた。

 しかし8月31日は取調べ中に再逮捕されることもなく、早目の午後11時頃に取調べは終了して独房に戻された。私は9月1日午前0時を回った所で 再逮捕があるのだろうかと考えながら、寝てしまった。突然房の扉が開けられて目が覚めた。数名の札拘職員がいるだけであった。幹部職員が、「大森、君を釈 放する。今は丁度0時を回ったところだ。今夜は遅いので、朝になってから釈放の諸手続はするので寝なさい。以上。」と告げた。

 私はこの事態をどう解釈したらよいのか考えた。本当に釈放されるのか。釈放だとすれば、取調官が言っていた目撃証人とか鑑定書は私を脅すための発 言であり、実際には捏造できなかったということになる。だが警察はそんなに甘いものではないだろう。朝になれば、警察がデッチ上げ逮捕にやってくるのでは ないだろうか。その可能性が高い。私はこのように考えた。

 しかしその一方で、釈放を信じたいという思いと、それに伴う喜びも抑えがたくあった。「俺は黙秘で敵のデッチ上げ弾圧を粉砕したのだ。逮捕されて しまったことは自己批判しなくてはならないが、釈放を勝ち取ったことで反撃した。明日は弁護士にお礼を言いに行き、その後は東京へ向かおう。そして尾行を まいて地下に潜って戦いをめざしていこう。」このようにも考えた。ともかく朝を待とうと思った。

 朝になり朝食を終えても警察は来なかった。そのうち保安課へ呼び出されて、長い時間かけて領置物の返還手続をした。昼食をはさんで行った。この頃 には、札拘の門を出たところで再逮捕されるかもしれないとの危惧は抱きつづけたものの、釈放されるのだとかなり強く考えるようになっていた。どのようにし て尾行をまいたらよいのか等を考えていた。

 午後になり、「これで君は釈放だ」と告げられて札拘の玄関を出た。門の外の道路には人がいっぱいいた。マスコミも多く駆けつけてきていてさかんに フラッシュがたかれた。「釈放なんだ」と思った。だが、札拘職員が密着するようにして歩いてきたし、その緊張した雰囲気を感じて、「やっぱり門を出た所で デッチ上げ逮捕されるのだ」と直感した。門が開けられ、2,3歩出たところで、高山智二他数名の警察官に再逮捕され中央署へ連れて行かれたのであった。黙 秘を続けていった。

(3) 私は道庁事件で起訴され翌年2月から公判が始まった。裁判闘争をいかなる方針で戦っていくかについて私は考えた。デッチ上げを粉砕して無罪を勝ち 取ることは当然すぎる方針であり、ここでの意見の不一致は私、弁護人、支援者の間にはなかった。私の思想闘争を併行して展開していくことの是非に関して、 意見が分かれたのであった。

 弁護人はデッチ上げ粉砕一本で裁判闘争をすすめるのがよいという考えであった。支援者の多くは、反日はではない人々であったが、私が反日亡国思想 から思想闘争もすすめていくことは、黙秘闘争の成果を自ら否定することになるし、デッチ上げ粉砕の裁判闘争にマイナスだし、もし裁判で負ければ日本人民全 体の戦いにも大きなマイナスになるだろうと主張した。

 私は、自らの思想を裁判で表明することは、動機があったとして利用されていくであろうことは予想できたし、たしかにそれは黙秘の成果の自己否定と もいえることもわかる。しかし、それらを危惧して政治主張を封印すれば、何も出来なくなってしまう。私はデッチ上げ粉砕闘争に不利になることは甘受して、 反日亡国闘争も展開していくことが、一個の革命者としての責務だろうと考えた。また反日亡国闘争は日本人民全体の戦いとは関係がないものだ。

 私の考えを弁護人に伝えたが、弁護人はやはり政治主張は抑えてデッチ上げ粉砕に全力を尽くすのがいいと思うとのことだった。それで、冒頭意見陳述 では、デッチ上げ粉砕一本に絞った陳述を行った。しかし、その陳述をした後に、感じたことは、デッチ上げ粉砕にとって不利になることは一切しないというの なら、手紙にも思想を書けなくなってしまう。何年も続く裁判の間中、私は非人間的な生を送らねばならなくなる。そんなことは出来ない。自らの不利は引き受 けて、反日亡国闘争を少しでも発展させていくことが、革命者としての正しい在り方だし、私もそう生きたい、という強い思いと感情であった。

 もちろん、無実であっても証拠を捏造されてしまった以上は、たとえ一切の政治主張を抑えてデッチ上げ粉砕のみを全力で戦っていっても、日本の裁判 の現状から言って、無罪を勝ち取ることは容易なことではない、という認識もあった。

 だから私は、これから何年も続く裁判の場を私の反日亡国闘争の舞台だと位置づけて、積極的に利用していこうと考えていったのだった。私は反日亡国 の爆弾闘争の準備をしてきたものの、その途上において、所在をつかまれてデッチ上げ逮捕されてしまった。戦いを実践する前に捕まえられてしまった人間であ る。だからこそ、その自己批判としても、反日亡国の思想闘争を展開していく義務があるのだと考えたのであった。

 二, 私の現在の思想内容

 私は左翼時代の大部分を、ソ連、中国、北朝鮮、その他全ての共産主義国を否定して、活動していた。ロシア革命や中国革命などの共産主義革命を、共 産党の独裁国家、自由ゼロの独裁国家を造り出したものとして全否定していた。西側自由主義国よりもはるかに凶悪残忍な国家だととらえて否定していた。私は 反日反米を主張しつづけたが、前記の如く極めて異端派の左翼であった。

 私が左翼の「平等主義、祖国否定・憎悪主義」のドグマを自己否定して、その洗脳から脱出して、保守主義の入口に立てるようになったのは、1997 年の夏頃のことであった。私は獄中で1人でここまでたどり着いた。その後、中川八洋筑波大学教授の著書や論文に学んで、自ら考え、今日に至っている。
 以下に私の思想内容の一部を述べていくことにする。

(1、) 共産主義は人間を奴隷化し他国を侵略する謀略思想である

  1) 虚偽レッテルを貼り付けて資本主義と資本主義国家を価値否定する

 共産主義思想とは、人間を奴隷化し他国をも侵略し奴隷を拡大する思想である。しかし共産主義は、この目的を隠す。逆に、人間の解放、理想社会の建設 を掲げてインテリや人民を騙して、独裁国家の建設と世界征服の目的のために動員利用する。共産主義は謀略思想である。人類史上最悪の抑圧思想である。20 世紀における共産主義の犠牲者(死者)は二億人にのぼる。

 人間は現実(歴史)をとらえ解釈する際、一定の理論的枠組みを必要とする。共産主義は、資本主義経済を搾取経済だと理論化したが、これは虚偽理論で ある。共産主義は、資本主義国家を、階級国家、ブルジョア独裁国家だと虚偽理論化した。別言すれば、民主主義をブルジョア民主主義と規定し、それをブル ジョアジーの実質的な独裁支配だと虚偽理論化した。マルクスやレーニンや毛沢東らである。

 共産主義の創始者たちは、共産主義経済を搾取が廃止された理想的な経済システムだと虚偽理論化し、共産主義社会を、階級支配(階級国家)もなく、官 僚も存在しない、平等で自由な理想社会だと虚偽理論化した。

 創始者たちは人格的に狂った人間であったが、頭は良かったから、資本主義経済と資本主義国家=自由主義国家を、学問的装いをこらして上述の如く虚偽 理論化して、価値否定してしまったのである。祖国の価値否定である。

 創始者たちは、まず「不平等=悪、平等=善」をプロパガンダして人々を洗脳していった。「不平等=善、平等=悪」が真理なのだが、彼らはこれを転倒 させてプロパガンダしていった。

 人間は生まれながらにして不平等に出来ている存在である。不平等だから男性と女性があるし、それぞれの人間に個性がある。平等であったら統一規格の ロボットになってしまう。人間は社会をつくって生活を営むが、社会組織は必ず上下の秩序により形成される。不平等である。社会全体としても、個々の社会組 織たとえば国家の機関も企業などの中間組織も家庭も、全て上下の秩序でつくられている。平等を求めたら、あらゆる社会組織が否定され破壊される。平等を理 念化したら、人間は否定され人間社会も否定される。平等は反人間、反人間社会なのであるから、それが善であるはずはない。

 自由は不平等を原理とする。美徳ある自由を始め様々な質の自由があるが、自由は人間や法人の自己主張であり、他者との差別化であるから、不平等が原 理である。平等の強制は自由の圧殺に他ならない。それは人間の否定を意味する。自由は、法の支配と法を執行する立派な国家機関がある文明国家において初め て成立するものである。従ってアナーキズム(無政府主義、無国家主義)も反自由のイデオロギーである。これも共産主義と同様の謀略思想である。

 共産主義の創始者たちは、人間と人間社会の真理、原理である不平等を、意識的に逆転させて、「不平等=悪、平等=善」だと人々に反復してプロパガン ダしていった。左翼はもちろんだが、マスメディアのプロパガンダによって多くの人々が、「不平等=悪、平等=善」をアプリオリに真理だと思い込んでしまっ ている。これを洗脳と言う。

 現実の国家社会が不平等であるのは真実であるが、彼らは人々の不平等=悪の観念と感情を十二分に利用して、それを「支配と被支配」「階級支配」とい う全く異なった概念にスリ替えて虚偽理論化し、プロパガンダしていったのである。階級国家論、階級支配論であり、資本主義経済=搾取経済論である。こうし て現存国会社会を価値してしまったのだ。

 Aという人間を否定したかったら、Aに薄情だとかのレッテルを貼り付けて繰り返し宣伝すればいい。Aが立派な人間であっても、否定的な虚偽レッテル を貼り付けてプロパガンダすれば、それが信じられていく。洗脳のテクニックである。資本主義経済と資本主義国家を否定したかったら、同じことをすればよ い。虚偽の否定的レッテルを貼り付ければよい。学問的な装いを凝らして行えば一層成功する。搾取経済だ、階級国家だ、ブルジョア独裁だとの虚偽理論とは、 そういうものである。

 Bという対象を全面的に否定すれば、Bの反対物は必然的に全面的に肯定されることになる。即ち、虚偽理論によって資本主義経済とその国家を全面的に 否定することにより、その反対物である共産主義経済とその社会は自動的に全面的に肯定され美化されることになる。これも洗脳の基本的テクニックである。

 マルクスもレーニンも共産主義社会に関しては、ほとんど書いていない。あれだけ膨大な著書があるのにほとんど書いていない。意識的にそうしたのであ る。だからこそ共産主義社会は美化、聖化されていった。洗脳のテクニックである。もし詳しく論述しようものなら、共産主義が必然的に、自由ゼロの独裁支配 国家を誕生させていくこと、ウルトラ搾取のウルトラ不平等社会になることを気付かれてしまうからだ。

 共産主義(やアナーキズム。いちいちアナーキズムと書くことはしないがアナーキズムも同類である)の創始者たちは、善人であり、理想的な社会に変革 したいとの善意を持って、その理論化の作業をすすめたが、結果的に理論化を誤ってしまったために、共産主義革命は独裁国家を誕生させることになったのでは ない。

 彼らはその国の独裁支配者になり、更には世界の支配者になることを夢見た狂人であり、そのためにインテリと人民を洗脳し動員利用することを狙い、自 覚的に謀略思想・理論として共産主義(やアナーキズム)をつくりあげたのである。嘘(虚偽理論)と洗脳のテクニックによって作られたのが共産主義である。

 共産主義やアナーキズムに洗脳された左翼は、日本の現実そのものによって、日本やその体制を否定しているのではない。共産主義やアナーキズムが貼り 付けた虚偽レッテルによって、否定させられているだけである。洗脳された者はこのように操られてしまう。かつての私もその一人であった。

 2) 共産主義は独裁支配者を夢見た狂人がつくり出した謀略思想である

 普通の人から見れば、私有財産(生産手段)の否定と国有化(共産主義化)は、財産の略奪の大犯罪であるが、共産主義を信俸する者にとっては、悪の経 済制度、不平等の経済制度を廃絶し、搾取のない平等な経済制度を創設するための核心になるものだ。だから彼らは、罪悪感などなく使命感に燃えて共産主義化 を実行していくことになる。

 この共産主義化を実行するためには、まず国家権力を選挙によってであれ、暴力革命によってであれ奪取して、プロレタリアートの独裁あるいは人民独裁 をしかなくてはならない。プロレタリアートの独裁とは、敵に対する無制限の暴力のことである。この革命は、普通の人から見れば、法の否定であり、民主主義 の否定であって大犯罪であるが、左翼にとっては、法はブルジョア法であって価値否定されており、民主主義もブルジョア民主主義(ブルジョアジーによる実質 的独裁)であって価値否定されているから、何ら意に介さないのである。レーニンは、真の共産主義者とはプロレタリアートの独裁を断固支持する者のことであ ると言っている。だから左翼は使命感に燃えてプロレタリアートの独裁をめざして戦っていくことになる。

 しかし真の共産主義の立場とは、彼が形式的にはプロレタリアや人民であっても、「共産主義と前衛である共産党の見解を支持できない者は、ブルジョア 思想に染まった者であって、真のプロレタリアや人民ではなく、「敵の手先」であるから打倒されなくてはならない」というものである。これによって、プロレ タリアートの独裁や人民独裁は、共産党指導部による他の全ての国民に対する独裁、無制限の暴力になる。

 共産党はまず資本家、地主、知識人を打倒するためにプロレタリアート・人民を利用する。だがその課題が終了すれば、プロレタリアートの独裁や人民独 裁の隠された真の目的である全国民に対する独裁支配、無制限の暴力支配が全面開花していくのである。共産党以外の革命勢力も共産党内の反対派も「敵の手 先」とされて弾圧されていく。「これはプロレタリアートの独裁ではなく、共産党の独裁だ。革命への裏切りだ」と抗議しようとする者も、国家テロルの弾圧の 前に沈黙するしかない。国民の権利と自由を守ってきたかつての法の支配と資本主義国家は、彼の言う革命によって既に破壊され廃絶されてしまっているのであ る。彼自身がその革命を担った。彼は多くの人々を弾圧し、自分自身をも弾圧する革命を狂信して実践していくのである。

 生産手段の私的所有を、不平等と搾取の元凶だとして否定し国有化し(=共産主義化)すればどうなるか。冷静に考えてみるならば、それは国家権力を独 占する共産党のみが全ての生産手段を独占所有することだとすぐわかるはずである。共産主義革命とは、国民の財産を強奪して共産党が独占私有することであ る。国民は共産党を批判したら生活の糧を得られなくなる。外に働き口はないのだ。そして共産党は政治権力も全て握るから、まさに国民の生殺与奪権を握るこ とになる。国民は共産党の奴隷と化する。

 生産手段の私的所有=財産権の保障は、法の一大原則である。生産手段の私的所有が保障されることが、自由の経済的基盤だからである。私的企業が無数 に存在し、個人事業も自由であるからこそ、国民の職業選択の自由が保障され、それゆえ国民の政治的自由も保障されるのである。

 天才であるマルクスやレーニンがこの理屈が解らぬはずはない。十分に理解していたからこそ、独裁支配者を夢見た狂人である彼らは、法を否定し、私的 所有と資本主義を否定し、共産主義を主張したのだ。彼らは、洗脳学(嘘を土台とする)を駆使して、インテリや人民に幻想を抱かせる謀略思想・理論として、 共産主義理論を作り上げたのである。インテリの善意や人民の妬みを利用していったのである。

 私的所有を原理とする資本主義社会において、資本家が労働者を雇う場合に、資本家が利潤を取得することは、価値を生み出す資本を提供しているのであ るから当然のことである。搾取などではない。労働は価値を生み出すが、単独では出来ない。資金、工場、機械、土地、材料等の資本と結合して初めて価値を生 む。これで解ることは、これらの資本も労働と結合して価値を生み出しているということである。それが利潤である。私は全く新しいことを主張している。

 マルクスやレーニンは当然、この真理を知っていた。しかし嘘を承知で、労働のみが価値を生み出すという「労働価値説」と「剰余労働論」をプロパガン ダして信じ込ませていったのであった。その目的は言うまでもなく、資本主義経済の搾取を“証明し”(デッチ上げ)、資本主義を否定するためである。

 共産主義、アナーキズムは嘘、嘘、嘘の謀略思想・理論である。

 3) 共産主義革命の正体は日本をロシア、中国に奴隷的に支配させること

 旧ソ連、中国、北朝鮮、旧北ベトナム等の共産主義国は他国をも侵略しまくり、今もそうである。自国民を侵略している(奴隷的に支配する)全体主義国 は、他国をも侵略する。ロシアは現在、日本を侵略占領中である。しかし日本人にはその自覚もない。北方領土である。

 旧ソ連、中国はかつて「革命」を連呼した。自国を労働者の天国だと嘘プロパガンダした。彼らは共産主義革命を宣伝したが、彼ら自身は共産主義がいか なるものかは知り尽くしており、革命など一片たりとも信じていない。「理想的な社会を創造する共産主義革命」の宣伝は、西側自由主義国内の共産主義に幻想 を抱く左翼とそのシンパを騙して、ソ連、中国の国益となる運動を実行させていくためのものである。反米闘争であり、反軍闘争・反基地闘争であり、反核運動 であり、平和運動であり、もちろん反政府闘争である。最終目標は、それらの国々をソ連、中国の属国にしてしまうことである。そうなれば日本でも何百万人が むごたらしく殺害され、他は奴隷的に支配されることになる。

 西側各国の左翼運動は、旧ソ連、中国と無関係に存在しているのではない。共産党、旧社会党は、両国の影響下にあるし、幹部はエージェントになってい る。旧ソ連、中国を批判している立場の左翼であっても、その運動の効果において、旧ソ連、中国の世界戦略における尖兵そのものとして存在しているのであ る。

 言葉の肯定的意味における「革命」は、単なる幻想である。存在しない。現実に存在するのは、旧ソ連=ロシア、中国に征服されて奴隷的に支配される “日本”である。これが共産主義革命の正体である。左翼のほとんどが、このことを全く認識していない。利用されている。

 私は正しいことを主張していると信じている。かつて左翼として、決定的に誤った戦いを長期にわたって実践してしまったことの自己批判をもこめて、日 本と自由世界を守るために全力を尽くしていきたいと念じ、真剣に考え続けている。

(2、) 日本など東アジアの征服を目指す中国

  1) 中国は百基の水爆で日本を狙っている

 今年の初め頃、麻生外務大臣が「中国の軍事力は日本にとって脅威である」と正しく批判したところ、当時の小泉首相は、「脅威とは思っていない」と 述べ、「私は日中友好論者であり、中国の経済成長は日本にとってのチャンスだと考えている」と論じたのであった。日本の保守派から激しい大規模な批判が巻 き起こって当然なのに、そのようなものはなかった。

 「小さな政府」であろうと、「大きな政府」であろうと、政府の第一の責務は国の安全、独立を守ることである。これは法的義務である。前記した前小泉首相 の発言は、氏が首相として失格であることを証明している。

 日本政府、政治家、また保守言論人は、中国が東風21号改など百基以上の核弾頭(すべて水爆)塔載の弾道ミサイルで日本の主要都市を狙っていることを 知っているのだろうか。その爆発威力は広島型原爆の二千発分に相当する。日本は中国に巨額のODAを供与して、日本を狙う中国の核武装を支援してきたので ある。中国の経済力の発展とは、軍事力発展である。核戦力の質的向上と量的拡大であり、通常戦力の近代化を保証していくものである。中国はロシアから近代 兵器を大量に購入している。ロシアと中国は同盟関係にある。

  中国は現在、東風5号・5号改、東風31号、巨浪2号(SLBM)というICBM、SLBMを保有している。対米攻撃用の戦略核戦力であ る。これらが数十基ある。中国はこれらの戦略核戦力で米国を逆抑止して、台湾や日本などアジア諸国を侵略征服する戦略である。

 米国は日本や台湾を防衛するために、中国に対して核兵器を使用する場合には、中国のICBMやSLBMが米国の大都市に発射されることを覚悟しなければ ならない状況になっている。すなわち現在は、米国の核の傘の信頼性は百%ではなくなっている。それなのに日本政府は、中国の核戦力の脅威について一切検討 していない。防衛白書には、日本を担う百基以上の中距離核(東風21号改、東風25号、東風3号改、巨浪1号)は出てこない。職務放棄の違法行為である。

 仮に米国の対中抑止力の信頼性が60%だとすれば、抑止の失敗の確率は40%となるから、日本としては抑止を百%にする方策を必死になって考え実施して いかなくてはならない。それは国防の責務を法的に負っている日本政府、政治家の義務である。国民の義務でもある。

2) 日本の核武装と日米の対中国2段階核戦争戦略

 それは日米同盟の絆の下で、日本の核武装を実行していくことである。米国から走行式弾道ミサイル・パーシング2改(射程二千Km)、地上発射巡航ミサイ ル・トマホーク改(射程4千Km)、海上発射巡航ミサイル・トマホーク改(射程二千五百Km)を購入する。核ボタンは米国との二重鍵とする(中川八洋教授 『日本核武装の選択』徳間書店2004年10月)。

 日本がこのような中距離核兵器で武装することによって、日米両国は共同して中国に対して、「2段階核戦争戦略」を構築していくことが出来るようになる。 これによって日米は、中国の日本侵略を完全に抑止できるようになるとともに、中国を完全に封じ込めていくことができるようになる。なぜそうなるのかを次に 述べよう。

 中国の国家目標、従って戦争目的は何なのか。中国は米国を戦略核で逆抑止して、日本や台湾など東アジア諸国を核攻撃して征服することを国家目標にしてい る。

 2段階核戦争戦略の第1段階は、核戦争の戦域を東アジアに限定して、米国本土を聖域化する「東アジア戦域限定核戦争戦略」である。中国が日本を核攻撃し て、日米と中国間で核戦争になっても、中国は戦域を東アジアに限定するしかない。米国本土を核攻撃できない。それをすれば、米国から大量のICBMらが飛 来して、中国は壊滅し、東アジア征服の国家目標、戦争目的に敵対してしまう。そればかりか、中国共産党と中国が解体してしまう。だから中国は戦域を東アジ アに限定して戦うしかない。

 この第1段階の日本が中心となって戦う核戦争では、中国の主要な軍事基地と指揮中枢施設また北京などの重要都市は徹底的に破壊されてしまう。しかし米国 本土はその軍事力とともに無傷で残っている。従って、米国が中心となって戦う第2段階の米中全面核戦争での中国の敗北は決定してしまっている。中国は無条 件降伏するしかない。

 すなわち、日本が核武装して日米共同の対中2段階核戦争戦略態勢を整えると、中国はシュミレーションによって自らの敗北を悟るから、最初から日本への侵 略をあきらめざるを得無くなる。日米は、中国の対日侵略を抑止できるだけでなく、中国を完全に封じ込めることができる。日米は更に、この必勝の戦略態勢を 背景にして、全体主義国の中国に対して「自由中国」へ向けての圧力を継続して加えていくことができる。

 ここでわかることは、日本は核武装をしても、日米同盟を永続的に堅持して、米国の大量の核戦力による核の傘を必要とするという厳然たる事実である。日本 征服を狙うのはロシアでもあり、世界最大の核戦力を有するロシアの日本侵略を抑止し封じ込めていくためには、それがなお一層必要不可欠になるからである。

 世界銀行は実質購買力で計算すると、中国経済の規模は2016年〜2020年頃に米国経済より大きくなるだろうと予測している。当然、中国の実質軍事費 も米国のそれを上まわることになる。中国は現在、射程1万2千Kmの自動車搭載式ICBM東風41号の開発をすすめており、もうすぐ実践配備される。これ はMIRV弾頭(個別誘導多弾頭)であり、発射命令を受けてからたったの4分前後で発射できるとされているから、先制破壊することが困難である。

 すなわち、時間が経過すればする程、中国の核戦力は高度化し、量的に拡大し、対米逆抑止力は強化増大していくのである。その分、米国の核の傘の信頼性は 低下していく。日本は直ちに核武装に踏みきっていかなくてはならない。そうしなければ、15年後位には日本は確実にロシアと中国の属国となってしまうであ ろう。ソ連=共産ロシアの支配者は国民を6600万人も虐殺したし、中共は国民を8800万も虐殺している。日本が両国の属国になれば、確実に何百万人も の日本人が殺される。残された時間的余裕はもはや余りないのだ。

3) 中国の情報心理戦に敗北している日本

 中国を「全体主義の侵略国」「日本の侵略征服を狙っている国」と認識してこそ、日本を愛する正しき日本人である。だが日本政府や政治家は、「日中友好」 を唱えて恥じることがない。北朝鮮の核兵器、核開発を非難しても、弾頭数でその10倍以上、爆発威力なら数百倍の核大国中国の核脅威については一言もない ばかりか「友好」を唱え、与党も野党も毎年北京詣でをしている。核軍拡を支えるODAも供与し続けている。まさしく反国益の反日外交を日本政府自らが行っ てきたのである。

 兵器を使うことだけが戦争ではない。中国は情報心理戦という侵略戦争を一貫して日本に対して展開してきたのである。日本の中国専門家のほとんどは正体を 伏せた共産主義者であり、中国共産党(中共)のエージェントであるから、中国の対日核戦力などは決して明さない。NHKを含めて日本のマスコミのほとんど を支配しているのは、正体を伏せた左翼(共産主義者)であり、その中にも中共のエージェントが多くいる。中共の対日工作組の秘密文書は、マスコミの編集者 をエージェントにしろと命令している。日共や社民党は共産主義者だから当然のこととして、左派である民主党にも共産主義者は多くいるし、中共のエージェン トも多くいる。自民党、官僚、財界人にも共産主義者はかなりいるし、中共のエージェントも多くいる。左翼でなくても、女や金で弱みを握られて、また利権の ためにエージェントになる者もいる。

 中国は「教科書問題」「靖国神社参拝問題」で日本に内政干渉しているが、これは国際法では侵略行為である。中国は、日本が中国に対して頭が上がらないよ うにするために、また日本人の国を守る精神を解体するために、これらの情報心理戦を仕掛けている。日本の左翼もそれに呼応して戦っている。日本政府・与党 が、敵の情報心理戦、その尖兵たる国内左翼の戦いに屈服していく、敗北していくこと以上に、祖国に害をなすものは他にはない。

 こうして「日中友好」の世論と政策は作り上げられて(デッチ上げられて)きたのである。日本は中国の情報心理戦という侵略戦争に敗北してしまっている。 この先にくるものは、兵器(核)を使用する侵略戦争であり、日本の属国化、亡国である。

4) 祖国とのその法に忠誠を尽し誤った政府と戦う

 戦いの土台は思想である。祖国を愛し、祖国の安全と独立を守り、祖国の威信を確立し、祖国の永続を願う精神があれば、人間は正しき思想さえ獲得すれば短 期間で飛躍していくことが出来るものだと信じる。私は中川八洋教授に学んできた。

 私たちは、由緒ある天皇制の自由な日本国とその法に忠誠を尽くすのであって、時々の政府(政権)の政策に対してそうするのではない。政府や議会が、敵国 の情報心理戦と、その尖兵たる国内の左翼の戦いに破れて、誤った反日的な政策を採ることほど祖国とその法を裏切るものはない。日本国民には、祖国とその法 を守る世襲の義務=法的義務がある。誤った政府と議会に対しては、的確な批判を提起し、厳しく対決して是正していかなくてはならないのである。スパイ防止 法は議員立法で早急に成立させなくてはならない。不作為は法に違反する。

 政府はアプリオリに偉いのではない。祖国に忠誠を尽し、法に支配されて、なすべき法的責務、すなわち国防や国の威信の確立と向上、国内の法道徳秩序の維 持・向上、正しき教育や正しきマクロ経済政策の実施等を誠実、果敢に実行して、国と国民のために働いている政府だけが尊敬に値するのである。法的責務を果 たしていない政府(政権)は、その資格がなく、違法存在である。保守派と国民の前近代的政府観を払拭しなくてはならない。共産主義勢力が違法存在であるこ とは自明のことである。

 戦前の日本の政府と軍部とマスコミは、「反自由主義、反議会制民主主義、反・正しき個人主義、反資本主義、反米英、反ソ・反共」の革新勢力に乗っ取られ てしまっていた。彼らは今日、右翼だと信じられているが、革新勢力と自称したように、またそのスローガンで明白なように、共産主義とは別個の左翼であっ た。彼らは「天皇主権」を唱えて明治憲法の天皇制(立憲君主制)を否定した。彼らは法が支配する立憲君主国・自由主義国の日本を否定する反日勢力であっ た。この主勢力である革新勢力に偽装して正体を隠した共産主義グループが、政府、軍部、マスコミを乗っ取ったもうひとつの左翼勢力であった。これらの勢力 に対して少数派の保守勢力(昭和天皇、一部の重臣、一部の政治家、一部の資本家、一部の知識人)が抵抗していた。

 戦前の日本は左翼国家、反日国家になってしまっていたのである。だからこそ、軍国主義になり、祖国を亡国に導き、3百10万人もの国民をも犠牲にした狂 愚の大東亜戦争(1937年〜45年)を仕掛けていったのであった。この戦争を主導したのは、スターリンの秘密指令を受けた正体を偽装した共産主義グルー プ(近衛文麿首相や尾崎秀実ら)であった。日共や旧社会党は、歴史を偽造している。これらのことは後述する。戦前の革新勢力と大東亜戦争を支持するのが今 日の「右翼」である。保守勢力は左翼にも「右翼」にも敵対する。

 現在の日本政府は、戦前と異なって親米の保守勢力が握ってはいるが(もちろん左翼は正体を隠して多く侵入しているが)、思想的に弱く、それゆえ中国(や ロシア)の情報心理戦と尖兵の左翼の戦いに屈服、敗北してしまっている。

 誤った政府や政策を容認すれば、戦前のように国が滅びることになる。私たちは祖国と法に忠誠を尽すがゆえに、断固として政府に批判を提起し戦っていかな くてはならない。「日中友好」は誤りの極みである。中国の言う「友好」は「侵略」の意味であることすら認識されていない。「反核」「非核3原則」は 100%左翼の政策であるのに、日本政府が唱えてしまっている。洗脳でもある。

 立派な政治家、官僚は実に少ない。保守の言論人も政府の政策に反することは、自己保身から主張しない者が大半である。全ての自覚的な日本人が私益を捨 て、党益、省庁益を捨て、国益と法を守るために自己犠牲的に奮闘していくことが求められている。日米同盟を堅持し、日米同盟の絆の下で日本の核武装を政策 化し実行していかなくてはならない。もはや時間の余裕はない。

(3、) 世界征服を目指すロシア

  1) 中国の10倍以上のロシアの対日核戦力

 中国の軍事力(核)の脅威は一部の雑誌でとりあげられてはいる。しかし中国の10倍以上の対日核戦力を保有しているロシアの脅威については全く論 じられることがない。これはロシアが仕掛けている情報心理戦が、中国以上に巧妙であり、勝利している証拠である。それは後で述べることにして、ロシアの対 日核戦力をまず述べる。

 ロシアの対日核攻撃は、航空機からの核巡航ミサイル(ALCM)と潜水艦、水上艦艇からの核巡航ミサイル(SLCM)の2種類が主力である。最も脅威で あるのは、極東の137機のバックファイア爆撃機のALCMのAS−4(200キロトン。長崎型原爆の10倍の威力。射程300Km)である。1機で3発 も撃ち込める。ロシアは有事には日本に対してバックファイアを100機程度(300百発の水爆。威力は長崎原爆の3000発分)は投入するであろう。

 対日攻撃を任務とする太平洋艦隊のスラバ級巡洋艦一隻は、350キロトンの水爆をつけた巡航ミサイルSS−N−12を16基装備している。これだけで広 島型原爆の500発分の威力で日本を襲うことになる。 

 潜水艦発射巡航ミサイルで、日本にとっての最大の脅威はオスカー2級原潜とアクラ級原潜である。日本近海に各4隻が展開している。オスカー2級は一隻に つき威力500キロトンの巡航ミサイルSS−N−19が24基も搭載されているから、4隻が一斉に攻撃するとすれば、96個の500キロトンの水爆が日本 の都市に投下される。長崎原爆の2400発分に相当する。射程は500Kmもあるから、ロシアの制空権下で、かつロシアの攻撃型原潜が手ぐすねひいて待っ ている沿海州の沿岸近くの海域から発射されるので、日本の海上自衛隊の艦艇や対潜哨戒機で追尾して撃沈することは無理である。

 またアクラ級原潜がある以上、日本国内の海自の艦艇は核巡航ミサイルSS−N−15/16でひとたまりもなく蒸発してしまう。しかし日本の防衛庁ですら このオスカー2やアクラ級原潜をどう撃沈するかの検討をしたこともない。

 対日核攻撃には、戦略爆撃機も、機数はわずかでも必ず使用される。ベアH16が7機(AS―5A巡航ミサイルが112基)、ブラックジャックが2機 (AS−15B巡航ミサイルが24基)が使用されるとすれば、合計136基である。1基の威力は長崎型原爆の10倍だから、最初の発射で長崎型原爆の 1360発分の威力のものが日本に落とされる。Aの射程は2500Km、Bは3000Kmもあるから、旧黒龍江省の東シベリア上空から発射される。ミサイ ルが発射される前に撃墜すべきだが、自衛隊の航空機は航続距離が足りず指をくわえて見ていることしかできない。

 ICBMの一部も日本攻撃用にも使用される。それはSS−25(550キロトン)とSS−27(550キロトン)である。550キロトンは長崎型原爆の 27.5発分の威力である。

 シベリア軍管区と極東軍管区が管轄しているバックファイアを除く、核爆弾搭載可能な戦術航空機は総計470機であり、有事には偵察任務のSU−24も投 入されるとすれば489機である。1機が2個の核爆弾を搭載するので、戦術航空機の初回出動だけでも一千個の核爆弾を日本に投下できる。

 以上は中川八洋教授の『日本核武装の選択』から要約抜粋したが、このようにロシアはいつでも少なくとも1000発以上の水爆を日本に投下できる態勢にあ る。ウラジオストックの太平洋艦隊は日本の海上自衛隊に比すれば今でも100倍以上の戦力を保持していると中川氏は書いている。ロシアの情報心理戦が極め て成功を収めているということである。

2) ソ連の1991年8月政変は西側を騙す大謀略である

 西側で固く信じられている神話に次のものがある。「ソ連は、米国ら自由主義陣営との軍拡競争によって経済破綻に陥り、ペレストロイカを掲げる改革派の ゴルバチョフが現れ、次いで体制の転換をめざすエリツィン派が出現することになった。これに対して1991年8月、ソ連共産党保守派がクーデターを起こし たが、エリツィン派が勝利してソ連は崩壊し、西側と協調する市場経済と民主主義を志向する新生ロシアが誕生したのである。米国と自由主義陣営は冷戦に圧倒 的に勝利し、核戦争の危険は無くなった。しかもロシアは経済混乱と低迷から核超大国の道を自ら捨てた。強大な核戦力を維持する経済力が無くなった」という 神話である。

 世界最大の核保有国ソ連が、支配する東欧等から600kmも大退却したのは、米国・西側による単なる軍拡競争の結果ではない。米国が大核軍拡をなし、そ の核戦力によって、全面核戦争になればソ連の敗北が確定してしまう2段階核戦争戦略を構築していったからである。すなわち米国と西欧は、1983年から西 欧に米国のパーシング2弾道ミサイルと地上発射のトマホーク巡航ミサイルの配備を開始して、第1段階目の「欧州戦域限定核戦争態勢」を構築していったので ある。

 これが完成すれば、戦う前からソ連の敗北が確定してしまうことになる。そこでゴルバチョフは1986年からソ連の民主化(ペレストロイカ)を演出し、東 欧諸国からもソ連軍を撤退させていき(東欧革命)、ソ連が大きく変わったことを西側に印象づけた上で、1991年8月の「政変」の大演技を実行していった のである。ソ連共産党保守派のクーデターに対して、エリツィンが戦車の上に上がって、モスクワ市民に結集して抵抗することを呼びかけると、市民が続々とエ リツィンの周りに結集し、クーデター軍に抗議した。そのためクーデター軍は内部分裂してわずか3日で投降し、エリツィンが全権力を掌握したのである、とさ れているものである。

 これが大謀略であることを証明しよう。まず1000万モスクワ市民の大部分が街頭に出て抗議したのであろうか。ちがう。結集したのはわずか3万人であ り、他は何も知らず普通どおりの生活を送っていたのである。ソ連共産党は、3万人ほどを動員してテレビ画像と嘘宣伝によって、西側世界に対して全民衆の決 起という虚像を信じ込ませていったのであった。国家テロルの恐怖支配が貫かれる、言論の自由、報道の自由が禁止されている全体主義国ではこうしたことが可 能である。西側自由主義国では到底不可能なことだ。西側は無意識に自らの基準でソ連を眺めてしまうことでこの情報操作の嘘を見抜けず信じ込んでしまった。

 次に、クーデターの首謀者はソ連共産党保守派のクリュチコフKGB議長、ヤゾフソ連国防相、プーゴソ連内相、パブロフソ連首相、ヤナーエフソ連副大統 領、ルチャノフソ連最高会議議長、チジャコフソ連企業・建設・運輸・通信協会会長、バクラノフソ連農民同盟総裁らであった。このように国家のトップが全て 参加しているのである。なによりも秘密警察、軍、治安部隊という暴力装置のトップが参画している。ゴルバチョフソ連共産党書記長・ソ連大統領も、クーデ ター軍によって軟禁されたのである。一方のエリツィンロシア共和国大統領には、動かせる軍隊は一兵士たりとも無かったし、彼の周りに結集した市民も非武装 であった。クーデター軍は戦車と完全武装で出動していた。エリツィン派が一瞬で弾圧されてしまうのは明らかであろう。

 ところが、クーデター軍は3万人の非武装の市民の抗議の前に腰砕けとなり、内部分裂し、銃撃戦もなされることなく、わずか3日後に投降してしまったので ある。死者はたったの3人であった。上記の首謀者はロシア共和国の国家反逆罪で逮捕された。太陽が西から登るような、決して起こりえないことが起こったの であるから、大がかりな芝居であることはこれで証明されている。演出家はゴルバチョフソ連共産党書記長である。逮捕された首謀者たちは、その後暫くすると 恩赦で釈放された。今もモスクワで活動している。

 ソ連では、ソ連共産党指導者によって国民が6600万人も殺害されてきたのである。このような国家テロル支配の全体主義国で、もし本当に体制の根本変革 を志向する国民的な戦いが起こされたのであれば、大量流血の大弾圧になるのは必至である。そんなものは何もなかった。さらに1989年の「東欧革命」で起 こったような大規模な反政府デモが繰り返されることもなかったし、東欧であった国民の大脱走的な大量移民もなかったのである。芝居であることは明々白々で ある。

 しかしもし、いきなりこの「8月政変」が出現したのであれば、西側のエリートたちも疑ったことであろう。だから天才的戦略家のゴルバチョフは、まず 1986年からソ連の民主化(ペレストロイカ)を演出し、平行して「東欧革命」を演出して「民衆の力の巨大さ」を西側に印象づけ(洗脳し)、その上に「8 月政変=革命」を演出していったのであった。だから西側は、東欧で起こった民衆革命がついにソ連でも起こったのだと、見事に騙されてしまった。

 東欧諸国はソ連(ソ連共産党)の支配下にあった。東欧諸国の軍も秘密警察もその国の政府の支配下にはなかった。ソ連共産党とソ連軍とKGBの指揮下に あった。ゴルバチョフが、東欧諸国の共産党と軍と秘密警察に、「民衆デモを弾圧してはならない」と秘密命令を出したからこそ、東欧諸国の共産党政府は民衆 の戦いによって倒れることになったのである。この秘密命令がなければ、民衆の共産党政府打倒の革命(東欧革命)は、直ちに弾圧されて決して成功しなかっ た。ゴルバチョフが東欧革命を演出したのである。

3) この大謀略の目的は何か

  ゴルバチョフが、東欧からのソ連軍の撤退、東欧の放棄という犠牲を甘受して、「ソ連の崩壊と新生ロシアの誕生」の大謀略を実行していったのは、米国と 西欧が1983年から米軍のパーシング2とトマホークを西欧に配備して、「欧州戦域限定核戦争戦略態勢」づくりを開始していったからであった。この態勢が 整えば、ソ連は戦う前から敗北が確定してしまう。祖国滅亡の危機である。ソ連はこの配備開始に対して、1984年には有事の臨戦態勢を採っている。アンド ロポフ書記長時代である。

 もしソ連が「悪の帝国」(1983年レーガン大統領)のままであれば、米国、西側はこの必勝の戦略態勢(1988年にパーシング2とトマホークの配備完 了予定)を背景にして、ソ連に対して東欧からの撤退を要求してくるであろうとゴルバチョフは考えた。米国らが本気であれば、ソ連は撤退するしかない。それ は東欧の解放となる。しかし米国らの要求はそれで終わらないだろう。米国らは冷戦の勝者として、敗者のソ連に対して核戦力・通常戦力の大削減、解体を要求 してくるだろう。当然、欧州戦域限定核戦争戦略態勢をソ連が解体するまで維持していくことになるだろう。侵略の数々に対する巨額の賠償も要求されることに なる。さらに、ソ連の反体制派を支持して新たな政府を形成し、ソ連を解体しようとしてくるであろう。そうなれば、本当にソ連=ロシアは滅んでしまい、世界 征服は夢で終わってしまうことになる。

 ゴルバチョフはこのように考え、この祖国存亡の危機を回避し、西欧に配備された米国のINF(中距離核戦力)を全廃させてこの戦略そのものを廃止させ、 忘却させてしまうことを狙った。しかし決してそれだけではなく、米国、西側を冷戦に勝利したと信じ込ませて驕慢にさせ、油断させて、米国、西側に核戦力を 大削減させ、通常戦力も大削減させ、駐留米軍を欧州から大削減させ、対ソ同盟のNATOを解体させていくことをも狙って、ソ連の民主化(ペレストロイカ) と東欧からの撤退と「8月政変」という一連の大謀略を演出していったのである。今日では、ゴルバチョフが目標にしたことは全て実現してしまっている。

 レーガン大統領はゴルバチョフに騙されて、1987年に12月にINF条約(地上発射の米ソの中距離核戦力全廃条約)に調印してしまった。そして 1991年5月末までに全廃された。この条約は、13年間(2001年5月末まで)常駐査察することになっている。そして無期限の条約である。条約に拘束 される米国では、もはやパーシング2とトマホークGLCMの製造工場も廃棄されてしまって無い。しかしロシアではINFのSS−20(5000kmの射 程)の製造工場は維持されて、2001年6月以降は必要になればいつでも生産が再開できるようになっているだろう。

 ソ連(ロシア)を完全に封じ込めていた米国・西欧の「欧州戦域限定核戦争戦略」「2段階核戦争戦略」はもはや無い。そればかりか米国の指導たちには、こ の戦略の意義がそもそも自覚出来ていなかったと考えられる。米国のパーシング2、トマホークGLCMの西欧配備は、単にソ連のSS−20とバランスをとる ためだけに配備されたに過ぎなかったのである。

 ソ連はゴルバチョフの「ソ連民主化」の演出と「東欧解放」の演出によって、米国の父ブッシュ政権を騙して、対等の立場で、第1次戦略兵器削減条約 (START1条約)を1991年7月31日の米ソ首脳会議において署名していった。父ブッシュ政権はエリツィンロシア政権との間でSTART2条約にも 署名した(1993年1月3日)。ただしSTART2は米上院が批准を拒んだので発効していない。そして現ブッシュ政権は2002年5月24日に戦略兵器 削減条約(モスクワ条約)に署名し、2003年6月10日発効した。

 米国は冷戦に勝利したのに、ゴルバチョフの大謀略に騙され、ソ連に一方的な武装解除を要求するのではなく、対等な立場で、共に核軍縮することを取り決め た(START1条約)。しかしロシアは条約などはじめから守る意思を持っていないが、米国政府は条約に拘束されるから、米国こそが冷戦の敗者のごとく一 方的に戦略核兵器を大削減させられていくことになるのだ。モスクワ条約においても同様である。敵を知らず、敵との情報心理戦(冷戦)に破れた結果の致命的 な誤りである。

 米国は現在、戦略核兵器の運搬手段は1164基(機)、戦略核弾頭数はSTART1条約の上限数の6000発しか保有していない。モスクワ条約によって 米国は、2012年末までには配備する戦略核弾頭数を最大でも2200発まで削減することになる。残りの3800発は予備として保管するだろうか。一部を 廃棄してしまう可能性がある。2002年5月当時、保管するのは2400発だと言われたこともあった。米国には既に稼働している核弾頭生産工場はない。も し上院がSTART2条約を批准すれば、米国はそれに拘束されて、弾頭数は最大で予備も含めて3500発しか保有できなくなる。

 START2条約(未発効)は重ICBMとMIRV(個別誘導多弾頭)ICBMの全廃を謳っている。モスクワ条約はSTART2条約については不問に付 したから、ロシアは重ICBMもMIRV・ICBMも配備し続ける。だが米国は愚かにも重ICBMを破棄してしまった。MIRV・ICBMは単弾頭にして 使用することにしてしまった。米国は新型重ICBMのピースキーパー(MIRV弾頭)の配備も中止し、既に配備した50基は破棄してしまった。冷戦に完全 に勝利したのだと驕慢になり油断した結果の反国家的な誤りである。

 ロシアは将来の大反攻(大侵略)に備えて、戦略核戦力の運搬手段や中距離核戦力の運搬手段の生産能力を維持・拡充していくし、いつでも急増産できる態勢 を保持する。現在も稼働中の各種の核弾頭生産工場を維持している。もちろん大量の核弾頭を隠匿している。新型ICBMトーポリMも開発し1997年から配 備を開始している。

 START1条約は運搬手段(ICBM、SLBM、戦略爆撃機)の上限を1600基(機)、弾頭数の上限を6000発と規定しているが、ICBM、 SLBMについては基数と
は発射筒の数であり、予備ミサイル数は含まれていない。

 ロシアのICBMは2002年現在で735基、弾頭数は3159発であるが、735は発射筒の数である。ロシアは核戦争を半年以上継続するドクトリンに 立脚しており、ロシアの戦略理論では、予備ミサイルは原則2倍としているから、実際のICBMは発射筒の3倍の2200基ということになる。弾頭数も3倍 あるとみなくてはならないから、3159発×3で約1万発あると見なくてはならない(中川教授)。そして侵略戦争を開始する時には、更にミサイルも核弾頭 も急増産するのである。

 ロシアは「経済破綻した」「経済規模はポルトガルと同じになってしまった」等々と嘘宣伝を繰り返し、西側を油断させてきた。そして軍事超大国、核超大国 を支えるための経済力と最先端技術力の強化に邁進してきた。ロシアは石油 開発にしろ天然ガス開発にしろ製造業にしろ、ロシアの経済力強化(軍事力強化)のために西側を利用してきた。西側は喜んでそれを支援してきた。レーニンは 西側を「役に立つ白痴」と呼んだが、ゴルバチョフもエリツィンもプーチンも同様に思っているにちがいない。ロシアに進出している西側の資本は将来すべて収 奪されることになる。

 このままで時間が経過すれば、ロシアは戦略核戦力で米国に対して絶対的優位を確立することになる。中距離核戦力や短距離核戦力においても同様だ。格差は 益々拡大していく。そうなると、たとえ米国・西側が2段階核戦争戦略態勢をとっていくとしても、シュミレーションにおいて米国・西側は敗北が確実になって しまう。そのときロシアは大侵略を開始する。西方では東欧を再征服し、西欧全域を征服するだろう。東方では日本など東アジアを征服するだろう。南方では中 東を征服するだろう。アフリカもロシアに征服されることになる。

  4) ロシアの情報心理戦(冷戦)

 言論の自由、自由な報道が禁止されてる国家テロルの恐怖が支配する全体主義国ソ連=ロシア(や中国)では、嘘が外交の基本である。嘘をついても国 内で暴露されることがない。ロシア(や中国)では、兵器を使用しない情報心理戦が主要な侵略戦争形態である。偽情報を発信し演技も実行する。「ソ連の民主 化」や「8月政変」もこれである。もちろん全てを把握しているのはごく小数である。情報心理戦は、西側各国にいるエージェントとマスコミをふるに利用して 実行されていく。「ソ連民主化」も「8月政変」も「民主主義と市場経済という西側と共通の価値を志向する新生ロシア」も「経済破綻と低迷で大量の核戦力を 維持できなくなり核超大国の道を放棄したロシア」も、西側のエージェントの活動とマスコミの大量反復宣伝があったからこそ「真実」にデッチ上げられたので ある。西側のロシア専門家のほとんどはロシアのエージェントである。

 情報心理戦の核心は敵を騙すことである。自らを味方だと思い込ませることだ。それも力が拮抗する味方ではなく、経済的にも軍事的にも米国にたちうち出来 ない存在だと思い込ませることである。ゴルバチョフらはこれに成功した。

 米国・西側は確かにソ連=ロシアとの冷戦に一時的には勝った。国境線は欧州においては600kmも後退した。東欧諸国は解放され、バルト3国等も独立を 達成した。だがその直後から米国ら西側自由主義国はロシアとの情報心理戦(冷戦)に敗北を重ねてきている。米国は核戦力も通常戦力も大削減してきている。 西欧駐留米軍も4分の1に削減された。他の西側諸国もそうだ。日本もそうである。実際の戦争において、もし敵の一時的大退却を、降伏だと誤判断して自軍の 戦線を解き、同盟関係も解除し、戦力を大削減し、敵国を協力関係にある味方だと捉えるとすれば、近い将来侵略されて敗北することになるのは必至であろう。

 ロシアはイワン3世以来、大侵略と大退却と再大侵略を繰り返して領土を拡大してきた。ロシアの大退却は再膨張のためのバネにすぎない。ロシアの500年 史がそれを証明している(中川教授)。ロシアの1989年からの大退却も、30年後に大侵略して取り戻し更に領土を拡大すれば、おつりがくるというもので ある。ロシア人は時間の感覚が西側の人間と全く異なっているのである。私たちはロシア人のことをまったく理解していない。 

  5) ロシアの国家目標は不変−共産主義は衣にすぎない

 西側自由主義諸は核心的なところが全く認識できていない。ロシアが共産主義で国を作り運営した理由である。ロシアには「ロシアが世界を救済する (支配する)」という「ロシア・メシア思想」がある。世界を支配するのはロシア人の使命だと考えてきた。この思想を抱くレーニンが共産主義を採用したの は、共産主義がまず共産党を絶対的な独裁支配者にする思想であるとともに、共産主義がロシアをどの資本主義経済大国よりもはるかに勝る経済大国にできるの だと信じたからである。世界を支配するためには強大な軍事力がなければならず、それを保証するのは経済力であるからだ。資本主義国には定期的におとずれる 経済恐慌があり生産力が破壊される。共産主義経済はこれを克服できると考えたのだ。

 ソ連が共産主義を放棄したのは、西側に強制されたからではない。経済の非効率を痛感し、世界征服のためには、ひと足先に中国が開始していったような、国 家統制的な市場経済にするしかないと自覚していたからである。そして同時に、悪の帝国ソ連は冷戦に負けて崩壊し、西側と同じ市場経済と民主主義を志向する ロシアが誕生したのだと西側を騙して驕慢にさせ、油断させて、欧州戦域限定核戦争戦略を解体消滅させ、米国の核戦力・通常戦力を大削減させ、NATOもつ ぶし、ロシアの戦略環境を不利から有利・優位へと大逆転させるために、1991年8月の政変の大謀略で新生ロシアに戦略的に転換していったのである。

 従ってロシアは、共産主義という衣を脱いだだけである。世界征服というロシアの国家目標は不変である。世界征服のために好ましい衣に替えただけ だ。

 ここに書いてきたことは真理である。中川教授の著書から学び、それをもとに考えてきたことであり、世界的な意義をもっていることだと信じている。日本と 自由世界の安全保障のために、多くの人々に共有して頂きたいと切実に思う。もし天才の中川教授が、1980年代から90年代にかけて、米国政府の安全保障 政策の決定に参画できる立場にいたとすれば、世界史は変わっていただろう。

 時間を戻すことは出来ない。私たちに出来ることは、過去の西側の誤った認識と政策を自己批判して、現在と将来の対ロ政策(や対中政策)を正しいものにし ていくことである。

(4、) 直ちにロシアと中国に対する第2次冷戦を開始すべし

  1) 日米欧の対露2段階核戦争戦略態勢の構築

 対中国については既に述べたので、対ロシアについて論じてゆく。日本が配備する中距離核戦力のパーシング2、トマホークGLCM、トマホーク SLCMではロシアのヨーロッパ部は攻撃できない。しかし米国は、米国にも届く長射程のICBMは日本に売ってはくれない。だから米国のICBM部隊に日 本に駐留してもらうことにする。ロシアのヨーロッパ部の目標を攻撃する任務は、日本駐留の米軍ICBM部隊が担い、極東とシベリアの目標を攻撃する任務を 日本が担うというように役割分担するのである。

 中川教授はロシア、中国、北朝鮮の攻撃目標の性質と数との関連から、日本が米国に発注して購入するINFの種類と基数を、予備を含めて次のように主張し ている。核ボタンは米国との二重鍵にする。

 走行式弾道ミサイル「パーシング2改」(射程2000km)を100基、地上発射巡航ミサイル「トマホーク改」(射程4000km)を150基、海上発 射巡航ミサイル「トマホーク改」(射程2500km)を250基の計500基である。

 第1段階の核戦争は、日本とロシアに戦域を限定して戦われることになり、米国本土は聖域となる。第2段階の米露の全面核戦争において米国・日本が勝利す るようにするのである。このシュミレーションにおいて米国・日本が勝利するならば、現実の抑止が機能するということである。ロシアは封じ込めれてしまうこ とになる。

 日米が勝利するためには、米国が第2段階の全面核戦争で必ず勝利するだけの十分な核戦力を保有することが絶対的に必要となる。従って、米国は直ちに核軍 縮を止めなくてはならないし、核軍拡を開始しなくてはならない。そのためには米国はSTART1条約、モスクワ条約を一方的に破棄しなくてはならない。未 発効のSTART2条約は当然無視する。

 米国は欧州同盟国との間でも、2段階核戦争戦略態勢を構築していかなくてはならない。その第1段階目の「欧州戦域限定核戦争戦略態勢」を構築していく。 欧州諸国が米国に発注して購入したINFを配備するのである。欧米のこの戦略には、第1段階の核戦争でロシアの軍事・政治の中枢部を集中的に攻撃できると いう戦略的利点がある。第1段階でロシアの核戦力と指揮中枢施設をより多く破壊すればするほど、第2段階の全面核戦争でのロシアの敗北はより明確になる。 米国と日本と欧州は、東と西からロシアを挟撃する戦略を構築しなくてはならないのである。

 核戦争のシュミレーションにおいて、西側の勝利が確実ならば、現実においてもロシア、中国の侵略を抑止でき、完全に封じ込めていくことが出来る。 そしてこの必勝の戦略を背景にして、全体主義のロシアと中国に政治的・軍事的圧力を加えて、反体制派の自由主義勢力と連携して自由ロシア、自由チャイナへ と変革していくことも可能になるだろう。

 ケネディ大統領は、ICBM対露3倍論を唱えていた。米国はこれにならい、ロシアを圧倒的に凌駕する攻撃核戦力 を保持しなくてはならないのである。時間的余裕はもはや無い。

  2) 米国政府中枢にもロシア、中国のエージェントが侵入し、政策を誤導している

   ロシア、中国の魔手は米国政府の中枢にも及んでいる。戦前もスターリンの秘密指令を受けて、共産主義者が正体を隠して米国政府中枢に多く侵入してい た。あの「ハル・ノート」を作成したH・D・ホワイトもソ連(ロシア)のエージェントであった。ルーズベルト大統領の補佐官L・カリーもそうであった。 1945年2月のヤルタ会談にルーズベルトの側近として出席したA・ヒスもまたそうであった。側近NO1として出席したH・ポプキンズもそうであった(中 川八洋教授『大東亜戦争の「開戦責任」−近衛文麿と山本五十六』2000年12月二章参照)。

 第2次世界大戦はその戦後地図で明らかなように、東欧は全てソ連圏となり、アジアも中国、北朝鮮、北ベトナムがソ連圏となり、日本の北方領土もソ連に占 領されたように、ソ連のための戦争であった。米国はソ連に利用され奉仕させられたのであった。

(ア) エージェント・キッシンジャーの謀略

 戦後、マッカーシー議員らによる共産主義者を政府から追放する正しい戦いがあったが、ソ連=ロシアの秘密工作が継続されたことは明白だ。今も多くの共産 主義者が正体を隠して、ロシアや中国のために活動していることは間違いない。中川教授はキッシンジャーを隠れ共産主義者とみて糾弾してきているが、私も同 感である。彼は保守派の長老とみられており、その人脈は国務省、国防総省、ホワイトハウス・国家安全保障会議と深く広い。

 キッシンジャーは、「中ソ対立」という決して全面戦争に発展することのない親子喧嘩を利用して、ニクソン大統領を騙して「米中和解」へ誘導していった。 これによって、中国は国連安保理常任理事国の席を得ることになり、台湾は追放された。中国は米国に警戒されることなく軍拡を推進することが出来るように なった。日本政府も米国に倣って中国を承認し、さらに1980年から巨額のODAを供与したので、中国はその金で核軍拡に邁進していった。

 中国が強国に成長することは、ソ連の世界戦略にとって大いに利益になることである。なぜならば、米国がソ連と戦争に突入する場合、米国は戦力の全てをソ 連に向けることができなくなるからだ。一定の戦力を中国用に割いておかねばならないからである。だからソ連は「中ソ対立」中も一貫して中国に兵器を供与し 軍拡を支援してきた。キッシンジャーは全てを理解した上で、ソ連と中国を利し、米国と西側の安全保障を深刻に破壊する政策を、逆に西側全体の安全保障を向 上させるものだと理論づけて、ニクソン大統領を説得して実行させていったのである。ソ連と中国から見れば、米政府中枢にいる自分たちのエージェントのキッ シンジャーを使って、自らの戦略環境を飛躍的に向上させていったのである。

 キッシンジャーは1972年5月、ソ連と「戦略核兵器制限協定」(SALTI)を締結して、1970年までの米国の戦略核戦力の対ソ優位を、1970年 代半ば以降の対ソ対等から劣位へと大逆転させていったのであった。

 SALTIは、米国の戦略核基数を凍結する一方で、ソ連のみはICBMをさらに91基、SLBMをさらに240基も増強を認めるものであった。これによ り米国のICBM・SLBMは1710基、ソ連は2358基となった。米国は戦略爆撃機における優位とMIRV弾頭を開発していたから弾頭数の優位をもっ て、ソ連のミサイル数の優位にバランスし得るというのがキッシンジャーの主張であった。しかしソ連もすぐにMIRV化に成功したから、SALTIはソ連の 優位を保証するものであった(中川教授『核軍縮と平和』1986年参照)。キッシンジャーはそうなることを十二分に認識した上で、米国と西側を騙して SALTIを締結したのである。

 キッシンジャーは誤った核戦略理論であることを承知の上で、「相互抑止理論」、「相互確証破壊理論」、「十分性理論」を提唱して、SALTI協定を締結 していった。同時に「ABM(弾道ミサイル迎撃ミサイル)制限条約」も締結した。

 「相互抑止理論」とは、戦略核戦力の優位(米国)は劣位の側(ソ連)の先制攻撃を招くので、相互抑止に反する。優位は放棄すべきだと主張する謀略理論で ある。キッシンジャーはこの理論によって、米国の戦略核戦力の凍結と、ソ連のそれの増強を正当化したのである。

 「相互確証破壊理論」(MAD)とは、米ソ双方が防御を放棄して(ABM制限条約)、確実に破壊される状況にしておくことによって核戦争を抑止するとい う理論である。これは米国の防御の優位を否定しソ連に合わせて対等にするための謀略理論である。

 「十分性理論」とは、戦略核戦力の優位はソ連の先制攻撃を招くので不要であり、相互抑止が働くから全面核戦争はありえず、限定核戦争のみに対応する核戦 力を保有すればよいと主張するものだ。要するに、米国の戦略核戦力の凍結を合理化する理論であり、ソ連の優位をつくり出すための理論である。また「米ソ双 方の核軍縮条約」という形で、米国のみに核軍縮させてソ連の優位をより拡大していく理論である。米国は条約に拘束されるが、ソ連は拘束されないからだ。

 キッシンジャーは、ソ連も米国と同じ考え方をしている、を大前提にして論じている。もちろん彼は、ソ連は全く異なる考え方をしていることを熟知している が、平然と嘘をついている。ソ連=ロシアの核戦略思想は米国と全く異なっており、抑止思想はない。ソ連=ロシアの思想は、核戦争を戦い抜き勝利する思想で ある。だからロシアは、核の量的・質的優位、圧倒的優位を目指す。そして奇襲先制攻撃、大量攻撃を原則とするから、ICBM重視である。また核戦争を戦い 抜くために、防御にも全力を投入する。すなわちABMの配備、防空ミサイルの大量配備、防空戦闘機である。そして核シェルター、産業施設と人口の分散、疎 開という民間防衛も高度に完成している(中川教授『現代核戦略論』1985年参照)。

 抑止を前提にするとしても、抑止する側(米国)が攻撃力においても、防御力においても、また戦略においても、敵(ソ連=ロシア)に対して優位でなければ 抑止はできないのは余りにも当然すぎることだ。侵略を国家目標にしている国と攻撃力、防御力で対等ならば、抑止は到底成功しない。
 戦略核戦力おいて対米対等となった1970年代半ば以降、ソ連は、アンゴラ、モザンビーク、エチオピア、ニカラグア、アフガニスタン等々と一斉に侵出 し、南ベトナムもカンボジアも共産化した。

 キッシンジャーは、ソ連の勝利と米国の敗北を目標にして、米国の誤った核戦略理論をつくり宣伝してきたのである。キッシンジャーが隠れ共産主義者であっ て、ソ連(ロシア)や中国のエージェントであることは疑いがないことだろう。

(イ)エージェント・ライスの謀略

 ライス国務長官もキッシンジャー派の一人である。父ブッシュ大統領時代のソ連・ロシア専門家として、対ソ・対露政策を主導した人物がライスである。 START1条約、START2条約(未発効)である。現ブッシュ大統領の下では、国家安全保障担当大統領補佐官としてモスクワ条約締結を主導した。また 2002年九月、米国の『新国家安全保障戦略』を中心になってまとめたのも彼女である。保守派で国家安全保障政策論の専門家でありながら、政策の効果にお いて明確に米国と西側の安全保障に敵対し、ロシアや中国の国益を強化する政策を推進しているのであるから、ライスも隠れ共産主義者で、ロシアや中国のエー ジェントである、という答えしか論理的にでてこないであろう。

 『新国家安全保障戦略』から抜粋しよう。「今日、国際社会は、17世紀に国民国家が出現して以降初めて、強大な国家が戦争に備える代わりに、平和の中で 競争できる世界を構築するという最良の機会が与えられている。今日の大国は、テロの暴力と混乱という共通の危機に対して団結し、同じ側に立っている。米国 は、こうした共通の利害を基盤として世界の安全保障を促進していく。共通の価値に基づく各国間の団結も強まっている。民主主義国家としての将来と、テロと の戦いにおけるパートナーを目指したロシアの歩みには希望が持てる。中国の指導層は、経済的自由が国富への唯一の手段であることに気付き始めている。中国 は早晩、社会的・政治的自由が偉大な国家への唯一の道であることにも気付くはずである。米国はこの二つの国家における民主主義と経済開放を奨励す る。・・・

 対ロシア関係の特徴が、対決から協調へと移行したことの利点は明らかである。両者を対立させていた恐怖の均衡は終了した。両国で過去に例を見ない核兵器 の削減が行われた。また、テロ対策やミサイル防衛など、最近まで想像もできなかった分野での協力が実現した。・・・ロシアの指導層は・・・冷戦時代のアプ ローチはロシアの国益に沿わないことを、そしてロシアと米国が多くの分野で戦略的利害を共にしていることを、さらに深く理解するようになっている」。

 私は徹頭徹尾、隠れ共産主義者でロシア、中国のエージェントがまとめた政治謀略文書だと考えている。現実と逆のロシア像、中国像、国際社会像をプロパガ ンダしているからだ。

 この文書は、21世紀の最大の脅威は国際テロリストと無法者国家(ロシア、中国は含まれていない)だと強調している。私はテロリストや無法国家を憎む。 テロ組織や無法国家と戦うのは当然のことである。しかし世界最大の核超大国ロシアと核大国中国によって、日本や台湾や欧州各国が征服されることは、もしこ のままでいくならば、近い将来現実のものになってしまうが、国際テロ組織や無法国家によって、そうなることは1%の可能性すらない。この文書や「対テロ 戦」のスローガンは、米国やその同盟国にとっての最大の脅威であるロシア、中国の脅威から目をそらさせ、隠し、両国が米国とその同盟国に出来る限り警戒さ れることなく、軍事力・経済力を増大していくことが出来ることを狙ったものである。

 2001年の「9.11同時テロ」は、ロシア、中国そして米国政府中枢に侵入している隠れ共産主義者で両国のエージェントである者たちによって、最大限 に利用されていることは間違いないところである。

(ウ) 政府中枢に潜入して活動するフランクフルト学派系共産主義者

共産主義者とは反祖国主義者である。米国の安全保障を否定することならどんなことでもする。それは、米国を敵だと考えている最も強大な外国(ロシア、中 国)の国益を図っていくことである。両国のエージェントでなくてもそうするが、エージェントならなおさらである。彼らは米国の対ロシア政策、対中国政策を 誤導している。ブッシュ大統領は騙されてしまっている。

 米国国防総省の文書『中国の軍事力2005』は「中国の将来イメージ」の項で、「中国は戦略的部分岐点に立っている」「台頭する中国の将来はまだその方 向性が定まったわけではない。米国の政策は、平和的で繁栄する中国の台頭を歓迎するものである」と記述している。中国の国家目標は不変である。台湾や日本 など東アジアを征服するとの国家目標は確定している。この部分は国防総省に侵入している中国のエージェントが書いたものである。「中国の将来はまだ方向性 が決まったわけではない」との米国政府の対中観は、中国に、核軍拡とその高度化そして兵器全般の近代化のための時間的余裕を保証してやるものになってい る。反米政策である。

 2006年3月に改訂された『国家安全保障戦略』は、イランを単独で最も脅威になりうる国だとした。ロシア、中国のエージェントの暗躍の結果である。イ ランの核開発を支援してきたのはロシアである。イランの弾道ミサイル開発を支援してきたのもロシアや中国である。反米国家(イラン)の核開発や軍拡は、米 国の軍事力がその分だけ割かれることになるから、ロシア、中国の世界戦略に裨益するからだ。また米国・西側の警戒心が国際テロリストや無法国家へ向うこと は、ロシア、中国の世界戦略にとって極めて有利である。

 ロシア、中国の情報心理戦は、米国に対してもここまで勝利してきていることを私たちは認識しなくてはならない。フランクフルト学派系の共産主義者は、政 府であれマスメディアであれ教育機関であれ、体制の中枢に深く潜入して戦っていく戦略をとっている。そういう左翼がロシアや中国の情報工作員によってエー ジェントにされていく。積極的にエージェントになっていく。私はキッシンジャーやライスをエージェントと書いたが、彼らはロシアや中国の正規の大物情報工 作員であるのかもしれない。政府から共産主義者・エージェントを直ちに追放しなくてはならないのだ。

 ともかく、米国においてもロシア、中国の情報心理戦に打ち勝っていかないことには、両国に対する第2次冷戦を開始できない。保守思想の深化が求められて いる。ロシアの様々な嘘プロパガンダにもかかわらず、米国議会には「自由を抑圧するロシアなどG8から追放せよ」との大きな声がある。また米国議会には ブッシュ政権の「対中・対台湾政策」を厳しく批判する超党派の多くの議員がいる。そういう人々の戦いに期待したいし、強力に働きかけていく必要がある。

3) 日本と自由世界を守るために保守思想を深めよう

(ア) ゴルバチョフの大謀略を暴き共有化すること

  自由世界はロシア(ソ連)との冷戦に一時的に勝利したものの、その後はゴルバチョフの大謀略に破れ、核戦力を大削減させられ(START1、2条約、 モスクワ条約)、通常戦力も大削減させられてきた。ライスがまとめた『国家安全保障戦略』(02年9月)に示されたような偽りのロシア観、偽りの中国観を 信じ込まされてきた。自由世界は、情報心理戦で敗北を続けている。

 米国の国防総省の『中国の軍事力2005』は、「中国は戦略的な分岐点に立っている。中国は、平和的な国際社会への統合と、穏便な競争という道を選ぶこ とが出来る。中国はまた、より広い領域において支配的な影響力を行使するような道を選ぶことが出来るし、こうした道の途上にすでに身を置いていると気付く かもしれない。あるいは、中国が自信を欠いて内向きになり、国の統合や中国共産党の正当性といった国内問題に力をそがれる可能性もある。台頭する中国の将 来はまだその方向性が定まったわけではない。米国の政策は、平和的で繁栄する中国の台頭を歓迎するものである」と、記述している。

 米国政府の中国観と対中政策が、このように全く誤ったものになっている理由は、「ソ連崩壊と新生ロシア誕生」の神話が真実だと信じられているからであ る。ソ連の末期にゴルバチョフという体制内改革派(ソ連の民主化派)が出現し、続いて「白色革命」を目指す反体制派のエリツィン派が現れ、8月政変=革命 となって、民主主義と市場経済を目指す新生ロシアが誕生したように、中国でも類似の根本的変革が起こり得るだろうと幻想を抱いているわけである。

 ロシアや中国はそのように嘘プロパガンダを続けるし、西側内のエージェントもそうした宣伝を繰り返す。米国ならば代表はライスだ。ロシア、中国の情報心 理戦は、西側エージェントと左翼マスメディアを中心とするマスメディア全体をまき込んで展開されるからこそ絶大な威力を発揮するのである。

 日本を含む自由世界の安全保障にとって第一に重要な政治課題は、ゴルバチョフが戦略的観点から実行していった「ソ連民主化(ペレストロイカ)」の演出、 「東欧革命」の演出、「1991年8月政変=革命」の演出の真相を究明し、暴き、広く共有化していくことである。戦いの土台は思想である。情報心理戦であ る。西側で1991年をもって、それ以降を「ポスト冷戦」と言っているが、ゴルバチョフの大謀略に敗北した結果である。冷戦は一貫して継続しているのであ る。

 日本の保守派は、日本政府と議会を批判して日本の核武装を政策化し実行させていかなくてはならないが、そのためには、米国の保守派や外の自由主義勢力と 共同して、日米両国政府の対ロシア政策、対中国政策の誤りを根本的に正していくことが不可欠になる。日本国の存亡がかかっている。日本だけでなく自由世界 全体の存亡がかかっている。私たちは命賭けで奮闘していかなくてはならないだろう。

 ブッシュ大統領は人格的に優れてはいるが、米国の安全保障そして自由世界のリーダー米国として自由世界全体の安全保障を守る仕事において、明らかに能力 が不足している。ブッシュ大統領は、隠れ共産主義者でロシアや中国のエー ジェントあるいは正規の情報工作員であるライスに誤導されてしまっているからだ。今年、チェイニー副大統領は一度は、「ロシアとの第2次冷戦の必要性」を 言葉に出した。後に撤回したが。対ロシア、対中国政策をめぐって、米国政府内部においても深刻な論争があることは確かである。米国議会にはもちろん、政府 に対する根強い批判がある。私たちはそういう人々・勢力と連携して、日米両政府の誤りを厳しく糾弾して、正していかなくてはならない。

 自由世界にとって第1の脅威はロシアであり、第2の脅威は中国である。両国は同盟関係にある。アルカイダや無法国家北朝鮮やイラン等が第1の脅威ではな い。こんなことは常識的なことであるのに、自由世界は騙されてしまっている。しかも、ライスがまとめた『国家安全保障戦略』では、ロシアも中国も対テロ、 対無法国家の戦いにおいて米国と同じ側にあるのだと、全く逆のことをプ ロパガンダしている。ロシアと中国は北朝鮮と同盟関係にあるし、イランとも準同盟関係にあり、イランの核開発、ミサイル開発を支援している。

 (イ) ロシアは国家テロルの恐怖が支配する全体主義国

「プーチン政権の強権体質」ということが最近は語られるようになってきたが、「新生ロシア」はソ連が名前を変えただけである。従って、ソ連時代の独裁組織 (ソ連共産党=KGBら)が、姿や名称を変えてまた「民主化」の演出をしつつ新生ロシアを独裁的に支配し続けているのだから、エリツィン政権、プーチン政 権が「強権体質」なのは当たり前のことである。西側は表面的な「民主化」の演出に騙されてきただけである。西側のエージェント、尖兵の左翼マスコミをまき 込んだロシアの情報心理戦の勝利である。

 新生ロシアになって、国民6600万人を殺害した旧ソ連共産党、旧KGB関係者は摘発されたのだろうか。否である。東欧諸国ではなされた。そればかりか ロシアではプリマコフ、ステパシン、プーチンと3代続けてKGBが名称を替えただけのFSB(ロシア連邦保安局)長官が首相になり、プーチンは大統領に なった。ソ連がロシアと名前を変えただけであることがこれで証明されている。国民が抗議の声を上げないのは、国家テロルの恐怖支配があるからだ。つい10 月も、英国に亡命した、プーチンを批判した元KGB=FSBの情報将校が放射性物質ポロニウム201で暗殺されている。

 2000年8月12日、原子力潜水艦クルスクの爆発沈没事件が起こった。8月18日、政府はクルスク乗員の遺族家族への説明会を開いた。会場で一人の母 親が激しく抗議したのだが、するとすかさず数名のFSB要員が彼女を取り囲 み背後から鎮痛剤の注射を打ったのである。彼女はすぐにグッタリと崩れ落ちてしまった。彼女が抗議をしている間、他の家族は誰一人同調して抗議の声を上げ る者はいなかった。彼女の憤怒の声だけが響いていただけであった。そればかりか、彼女が注射を打たれて連れ出される場面でも、他の家族は誰も抗議しないば かりか、顔をこわばらせて身動きもせず視線をそらしたままであった。この様子はロシアのテレビで流された。ロシア国民を恫喝するためである。その映像を8 月24日英国スカイテレビが放映し、英国タイムズ紙等も報じた。

 クルスクの遺族家族は、プーチン政府を批判、非難すれば自分たちが酷い弾圧を受けることになることを敏感に感じ取っているために、あのような態度になっ た のであった。8月25日、西側の報道機関は一斉に「母親、投与したのは心臓病の薬だったことを明らかにする」という記事を流した。「わたしは心臓病を持っ ており、わたしが興奮したので会場にいた夫がわたしの病気を心配して医師に頼んで注射を打ってもらったのです」との彼女の強要された発言を載せたのであっ た。その後の報道は何も無くなった。

 2002年10月の「モスクワ劇場人質事件」に対するプーチン政権の制圧作戦は、多くの人質の命などはじめから全く考慮しない致死性毒ガスを使用したも のであった。129名の人質が毒ガスで死んだ。テロリストに殺害された人質は逃げだそうとした者一人であった。これはロシア国民に国家権力の恐怖を植え込 むことをも狙った作戦であった。2004年9月の北オセチア共和国で起こった「学校人質テロ事件」に対するプーチンの突入命令も、人質の命は全く考慮され ていなかった。そして両事件でも、被害者とその遺族による、プーチン政権に対する説明を求めるささやかな行動すら起こされなかったのだ。法の支配があっ て、国民の権利が保障されている国であれば、このようなことは決してない。モスクワでは、西側に対する宣伝のために、官製の3万人の反テロ集会が行われ た。

 チェチェン人はソ連=ロシアの侵略に対して戦ってきた。西側政府も2001年9・11同時テロまでは、ロシアのチェチェン人に対する弾圧に批判の声を上 げてきた。しかし同時テロ後の西側の「反テロ戦争」のスローガンによって、侵略国家ロシアはチェチェン人に対して大手を振ってやりたい放題の弾圧を行える ようになったのである。このロシア政府の残虐行為を批判したアンナ・ポリトコフスカヤ記者は2004年9月、航空機内で出された紅茶を飲み、一度は意識不 明の重体になり、今年10月には自宅アパートのエレベーター内で射殺された。

 ロシアでは、電気工事、水道工事、ガス工事、電話工事、道路工事などは何の予告もなく説明もなく突然開始される。列車や飛行機が大幅に遅れても「都合に よる」の一言で済まされてしまう。そして国民は文句を言うこともなく黙々と従う。これがロシアである。ソ連からロシアと名前が変わったにすぎない。共産主 義経済を国家統制型の市場経済に変えただけで、国家テロルによる国内の恐怖支配も、外に対する侵略主義も不変である。プーチンが大統領就任式(2000年 5月)で各国大使を前にして読み上げた宣誓文、「憲法を守り、国民の権利と自由を守り、忠実に国民に奉仕することを誓う」が、西側を騙し洗脳するためのも のであったことは明白である。白々しい嘘を並べても国民から批判されることがない恐怖支配の国、それがロシアだ。

 「ロシア外交は『孫子』に忠実に、自らの本心を隠蔽する。「能(強大)なるも不能を示し、用(勇猛)なるも不用を示し・・・」である。この故に、ロシア は「核戦争遂行ドクトリン」を対外的に口に出すことはない。代りに「核戦争回避!」とか「核戦争防止!」とかの騙しの5文字スローガンを声高に逆宣伝す る。いわゆる偽計である。それによって、米国や日本などの国策を油断に誘い、その間に、ロシアはせっせと「核戦力の絶対優位」をめざして核兵器生産に全力 をあげ、「核戦争勝利」の準備を着々と進めるのである」(『日本核武装の選択』132頁)。 

 (ウ) 反核運動は兵器を用いない侵略戦争中の戦争

 私たちは、日本の左翼運動はロシア、中国の尖兵として存在していることを明確に認識しなくてはならない。日共、社会党・社民党の最高幹部はロシア、 中国のエージェントであり一般党員をも欺いている。日共は党綱領で「社会主義日本になっても自由と民主主義を堅持する。複数政党制と普通選挙制度と平和的 な政権交代制度を堅持する」といったことを記述しているが、真っ赤な嘘である。レーニンを断固支持していることで証明されている。本当の過激派、極左勢力 とは、ロシアや中国の尖兵として活動する日共や社会党・社民党等の左翼のことである。彼らは日本のマスメディアを支配している。政府中枢にも多く侵入して いる。

 共産主義者は内閣法制局や内閣府にも侵入している。「皇室典範改正有識者会議」の座長吉川弘之、座長代理園部逸夫は日共系学者であり、他のメンバーも天 皇制廃止論者の左翼ばかりであったが、彼らを選んだのは内閣府・内閣法制局の赤い官僚であった(中川教授『女性天皇は皇室廃絶』2006年2月参照)。左 翼は防衛庁上級職にも侵入している。「ロシアの脅威を可能な限り低く見積れ!どんな嘘も構わない!というのは『防衛白書』を担当する防衛庁の公然たる方針 である。現在の革労協の前身「社青同」の暴力革命学生であった西広整輝が事務次官になった1990年代前半の頃から、『白書』は改ざん数字だらけになっ た。この西広イズムが今も生きているのである。防衛庁の上級職(1種)官僚は、全共闘の極左が主流である」(『日本核武装の選択』126頁)。

 ロシアは1950年から日共に反核運動をさせてきた。その後社会党にもさせてきた。今では左翼の「核廃絶」「非核3原則」の主張が、日本政府の政策に なってしまっている。反核運動こそは、兵器を使用しない侵略戦争中の戦争である。ロシア、中国が尖兵の日本の左翼を使って行う情報心理戦である。日本は敵 (ロシア、中国、左翼)のこの情報心理戦に完全に敗北してきた。国を守るための日本の核武装を阻止されてきたのである。「専守防衛政策・戦略」も、日本を 武装解除させるための左翼の中間政策である。こんなに無惨な状況でもロシア、中国に侵略されないできたのは、日米同盟と米国の核戦力(核の傘)があったか らである。だから彼らは日米安保条約の廃棄を一貫して追求している。

 (エ) 法の支配の思想の獲得

 ロシア問題、中国問題は、日本の安全保障問題である。両大陸国家の隣に位置する日本の避けられない問題だ。日本の安全と独立を守るためには、日本人 がまず立ち上がらなくてはならないし、対ロシア、対中国の日米関係においても日本こそがイニシアチブをとらなくてはならないのは当然のことであろう。こん な当たり前のことがこれまでの日本にはなかった。いかに日本の指導層の思想性が低レベルであるのかの証左だ。東大出であろうとも真正な学問をしていなけれ ば大衆人である。文明国の政治は、その資格を有する真正なエリートが祖国とその法に忠誠を尽くして行うものであるが、日本には英米系の「法の支配」の思想 がない。誤りのドイツ系の治法主義しかない。真正な軍事思想もないし、大学には講座もない。

 法とは古くから伝承されてきた伝統、慣習、コモン・ロー(慣習法)のことで、永遠の真理であり、人が制定するものではなく発見するものである。国 王、政府、議会、裁判所、国民は法の下位にあり、その支配を受けなければならない。制定法(法律)は法に合致していなければならず、反するものは無効であ る。これが法の支配である。法の一部を明文化したものが準法である憲法となるが、法に反する憲法条文は無効である。例えば国民主権を謳った1条(法に基づ く統治がなされる文明国内においては主権は存在しない。主権は独裁支配を生むもの)、「国会の議決した皇室典範」とある2条(皇室典範は法であり、憲法の 上位にあり、国会は関与できない)、第20条(1項の前段以外の条文)、88条等である。

 憲法9条も左翼が喧伝するものであれば、国防という法の第1原則に反しており無効である。しかし9条は1946年の芦田修正によって、自衛のための戦力 保有が認められたから、日本の自衛権(個別的・集団的自衛権)は法的に米国や英国等と同等である。これは当時の連合国極東委員会(13カ国)も認めている ことだ。ソ連もである。(曽野明『ソビエトウォッチング40年』1983年10月、46頁)。従って総理大臣が「従来の9条解釈は根本的に誤りであった。 是正する」と閣議決定すれば一日で解決することである。裁判官が判示してもよい。

 (オ) 西側の核兵器は平和を守る最良の兵器

 私たちは思想戦において敵に絶対に負けてはならない。戦いの土台は思想である。軍備、そのひとつの核兵器の問題は、米国や英国や仏国や日本など自由主義 国が保有する軍備・核兵器は「自由ある平和」を守る兵器であって善であり、ロシアや中国や北朝鮮など全体主義国が保有する軍備・核兵器は侵略の兵器であっ て悪である、という単純な問題である。兵器そのものが悪や善なのではない。警察官が所持する武器は犯罪を抑止し、犯罪者を捕らえる善なる武器であり、テロ リストや凶悪犯の武器は悪である。自由主義国の核兵器ほど、「自由ある平和」を守る兵器は外にない。もしも、ロシア、中国の尖兵たる左翼の反核運動に敗北 して米国が核兵器を全廃したとすれば、ロシアと中国が直ちにこの地球上を侵略し占領し独裁支配することになる。この真理を認識する日本人は一体どれほどい るだろうか。

 中国では、江沢民、胡錦濤の戦略的な反日洗脳教育によって、「核攻撃で日本をせん滅したい」という言葉は、若者たちの日常会話でごく普通に飛び出してい る。『人民日報』のインターネット「強国論壇」や「中国論壇」には、「核兵器、化学兵器、生物兵器を使ってでも、この地上から日本民族を徹底的に消滅さ せ、日本を地図から完全に抹殺せよ」等々の罵詈雑言が氾濫している(黄文雄『中国「反日」の狂奔』2003年3月。30,21頁)。左翼はこれでも中共に 利用されていることに気付かないのであろうか。

 (カ) 戦う保守派

 西側全体がロシア、中国、左翼の情報心理戦に負けて、米国の核の信頼性が低下している現在、保守派は自らに対して一層厳しくあることが求められる。闘う 保守派(合法的に)でなくてはならない。左翼政党・団体は違法・違憲存在であるから、政府、議会は早急にそれらを非合法化する立法措置をとらなくてはなら ない。不作為は法・憲法に違反する。公職選挙法11条の「資格」、国家公務員27条、38条および地方公務員法13条、16条の「平等取扱の原則」と「欠 格条項」は、違法・違憲条項であるから改正して、左翼を公務員から排除する義務がある。思想をチェックして左翼の官僚、議員を追放していかなくてはならな い。彼らは内なる侵略者である。

 現在、指導者としての資格を欠く者が余りにも多く与党や官僚になっており、国防等の法的責務を放棄して、いわば政府や議会を“私物化”し、日本国を“私 物化”している。法に基づく国益ではなく、私益や党益・省庁益に基づいて行動している。所属する組織内での保身と栄達に汲汲としている。左翼が政府に侵入 するのも放置している。選挙で勝ったからよいという問題ではない。国家公務員試験に合格したからよいという問題ではない。とりわけ政府、議会、裁判官は法 に支配されて行動する義務を負っている。この義務の放棄や否定は、政治的犯罪である。国民が思想的、政治的に未熟ゆえに黙認されているだけである。

 私たち保守派は祖国と法に忠誠を尽くす立場から、左翼と戦い、「右翼」と戦い、また「反核」「非核3原則」「専守防衛」「平和国家」や「日露友好」「日 中友好」「日朝友好」を唱える軟弱な保守系政治家、官僚、政府と戦い、日本を立派な国にしていこう。日本の核武装を国民に提唱しない政治家は、国を守る能 力が欠如している政治家である。日本の核武装は米国の国益をも飛躍的に向上させるものである。

 私たちは、好運にも中川八洋教授という天才を持っている。優れた人から真摯に学ぶのは当然のことである。多く人々に学んで欲しいと切実に思う。私たちは 心ある日本の保守の政治家や官僚に訴えるだけでなく、米国の議会や民間また 政府内の保守派やその外の自由主義者にも、ロシアの正体、ゴルバチョフの大謀略、ロシアの国家目標、中国の国家目標を訴え説得して、米国政府の対露、対中 政策を正しいものに引きもどしていかなくてはならない。

 日本の核武装と米国の核軍拡、また日米欧共同の対露、対中2段階核戦争戦略態勢を構築していかなくてはならない。第2次冷戦の開始である。

 これに勝る重要な政治課題は外にはない。日本の亡国を救い、自由世界の破滅を救うことであるからだ。米国の同盟国の日本だからこそ出来ることなのだとの 気 概を持って戦っていこう。

 なお、米国の現在の対露、対中政策は保守派の政策ではなく、保守派に偽装した左翼でロシア、中国のエージェントがつくり出した政策である。米国本来の政 策 ではない。私たちがその政策を批判するのは、私たちが反米派になったからではない。あくまでも親米だからこそ、米国の保守派やその外の自由主義派と連携し てこの「反米政策」と戦っていくのである。ここを間違わないで欲しい。

(5、) 革新勢力と共産主義グループに乗っ取られていた戦前の政府と軍部とマスコミ

  1) 革新勢力の思想と大東亜戦争

 今日の「右翼」は、戦前の日本政府・軍部・マスコミとその大東亜戦争(1937年から45年の日中戦争と太平洋戦争)を支持する。戦前の日本政 府・軍部・マスコミを乗っ取った革新勢力は、「国家革新」「国家改造」を主張し上からの革命を実行していった。彼らは「反自由主義、反議会制民主主義、 反・正しい個人主義、反資本主義、反米英、反ソ・反共」を掲げた。彼らは当時も「国家主義運動」「右翼」と見られていたが、彼ら自身が「革新派」を自称し たように(保守の反対語が革新)、また前記したスローガンで明白なように、左翼であった。共産主義とは別個の左翼であった。

 彼らは「皇国」「日本主義」「天皇親政」を連発して民族派を装ったが、法と明治憲法を否定した。「天皇主権」を唱えて明治憲法の天皇制(立憲君主 制)を否定した。彼らは法が支配する立憲君主国日本・自由主義国日本を否定した。彼らは反日勢力であった。

 軍部内の彼らは「統制派」と言われていた。リーダーの陸軍省軍務課長永田鉄山が1931年に書いた『皇政維新法案大綱』は以下のような内容であっ た。天皇大権によって、一切の政党を禁止する。既成言論機関を閉止する。全国に戒厳令を布告し、憲法を停止し、両院を解散し、資本の私有を禁止し無償で国 有とする、こういうものであった(竹山道雄『昭和の精神史』1998年、83頁)。共産主義とほとんど同じ思想である。

 彼らが「反ソ・反共」を唱えたのは、ソ連が日本侵略を狙い、共産主義が天皇制打倒をかかげているからである。革新勢力は確かに、ソ連を祖国としな い点、天皇を廃止しない点で共産主義と決定的に異なるが、その外のことは共通している。彼らはプロレタリアートの独裁の替りに、天皇にスターリンになって もらい独裁主義、全体主義を敷き、資本主義を否定するのだから、共産主義に近似した極左思想であった。永田が死んだ後は、東条英機が統制派のリーダーを継 承した。

 革新勢力が「反米英」を叫んだのは、米英が法の支配を堅持する自由主義、議会制民主主義、資本主義、正しい個人主義の国であるからだ。革新勢力の 革命思想と敵対する思想の国であったからである。左翼革命国家(反日国家)日本の国家目標、すなわち大東亜共栄圏建設から見ると、米国や英国は「日本に敵 対する悪の帝国主義国家」であったからである。こうして「反米英」が叫ばれた。革新勢力の革命思想は、ファシズム=全体主義とか天皇制社会主義とか国家社 会主義と呼称された。軍部には統制派の外にほぼ同じ革命思想を持つ「皇道派」もいた。

 真正な保守主義者=真正な自由主義者であられる昭和天皇は、法と明治憲法を厳守なされたから、「天皇主権」に断固反対されていた。天皇は1936 年の2・26事件(クーデター)を起こした皇道派を憎み、またこの事件を軍部支配のために利用していった統制派を批判されていた。

 統制派や皇道派などの革新勢力は、ナチス(ドイツ国民社会主義労働者党)信俸者と同じで、自らの誤った革命思想と誤った理想を妄信していたから、 理想の追求、実現こそが第一義であり、日本国と日本民族がどうなるかは第二義的問題であった。また彼らにとっては国際法は、米英ら旧世界が創ったものであ り、否定するのが当然であった。だから既に中国との戦争を4年以上も戦っていたにもかかわらず、日本が滅ぶ危険性があったにもかかわらず、世界一の工業大 国米国と英国とオランダに、「不戦条約」を踏みにじって侵略戦争を仕掛けていったのである。

 大東亜戦争(1937年から1945年)を回避しようと思えば、いつでもできた。革命思想を狂信していた軍部、政府、マスコミにその意思がなかっ ただけである。310万もの日本人の尊い命も失われた。「自存自衛の戦い」と言われるが、当事者たちが責任逃れや自己正当化のためになした歴史の偽造であ る。

 この統制派、皇道派などの革新勢力と大東亜戦争を支持するのが今日の「右翼」であるが、彼らは革新勢力が、共産主義とほぼ同じ全体主義・侵略主義の革命 思想を信奉していた極左勢力であったことを認識しているのであろうか。 また自称「保守言論界」の過半を占めていると思われる「右翼」、に影響されてしまっている保守派は、こうした認識を持っているだろうか。

2) 大東亜戦争を主導したスターリンの秘密指令を受けた共産主義グループ

 ただし大東亜戦争を主導したのは、スターリンの秘密指令を受けた共産主義グループであった。近衛文麿首相や尾崎秀実・ゾルゲグルール等であった。彼ら は日本の体制を支配する革新勢力に偽装して正体を隠して、政府や軍部やマスコミ中枢に潜入し、革新勢力の戦略目標を利用しつつ自らの戦略目標を実現するべ く政治謀略活動に全力を傾注していったのである。

 獄中の共産主義者も1933年、「天皇制社会主義」に偽装転向して次々と釈放を勝ちとっていった。「天皇制打倒はやめた」と言えば、資本主義、自由主 義、議会制民主主義を否定していても釈放された。体制の思想が革新思想であったからだ。治安維持法は全く機能していなかった。釈放を勝ちとった彼らは、近 衛首相のブレーン集団や企画院や陸軍省軍務局や参謀本部あるいはマスコミ等に採用されていった。そこで謀略活動を精力的に展開していったのである。この革 新勢力に正体を偽装した共産主義者グループが、戦前の政府と軍部とマスコミを乗っ取ったもうひとつの革命勢力であった。

 彼らは近衛首相を筆頭に、祖国ソ連の防衛、中国共産党の救出と中国の共産化、アジアから自由主義勢力の英米仏蘭の追放と共産化(ソ連圏の拡大)、日本の 敗北と敗戦革命による日本の共産化という戦略目標を実現するために、政治謀略を実行し、大東亜戦争(1937年〜45年)を主導(近衛首相による) していったのである。歴史の示すとおり、日本の共産主義国化を除き外の目標は実現された。スターリンの秘密指令であった。

 日本を支配する革新勢力が反米英仏蘭であり、英米系の蒋介石国民政府に敵対していたから、近衛たちはそれを利用したのである。

 日中戦争は、スターリンと中共(毛沢東)と日本の共産主義者の共同の謀略戦争でもあった。すなわち日中戦争を勃発させ、和平をつぶして長期戦に持 ちこむ。近衛首相の「蒋介石国民政府を相手にせず」声明もこれであった。この戦争によって、壊滅寸前にあった中共を救出し、日本軍と蒋介石国民政府軍に長 期戦を戦わせることで、中共が漁夫の利を得られるようにしたのである。中共軍は前戦で日本軍と戦うことはせず、勢力・軍事力を温存し、国民政府軍が日本軍 に敗北し退却した地域を中共の支配地域にして勢力を拡大していったのである。

 日中戦争の勃発と長期戦化は、日本軍の北進を阻むからソ連の防衛になる。日中戦争の長期戦化は、日本と蒋介石政府を支援する米英との対立を激化させ、戦 争へ発展させていくことを可能にする。ソ連やその指令に従う共産主義者から 見れば、敵国同士を戦争させることは、ソ連と共産主義勢力にとって大きな利益になるのである。なぜならば、ソ連の敵国同士が戦争すれば、双方ともソ連を侵 攻することは出来なくなり、ソ連の防衛に益するし、敗北した国では共産主義革命が勃発する可能性が高くなるからである。

 ソ連と共産主義者にとっては太平洋戦争は、日本を敗戦に追いやり、敗戦革命で日本を共産主義国にするための謀略戦争であった。敗戦革命とは、第1次大 戦でドイツに敗れることになるロシアにおいて、1917年のロシア革命が勃発していったことを根拠にしたレーニンの革命論である。1928年のコミンテル ン第6回大会決議は、共産主義者にとっては戦争反対運動は誤りであり、帝国主義国同士の対立を激化させて戦争に発展させ、敗戦革命で共産政権を樹立するこ とが正しい戦略だとしている。日本の共産主義者はこれを知っている。共産主義者が大東亜戦争に反対したというのは真っ赤な嘘であり、歴史の偽造である。

 近衛首相らは、敗戦革命で日本を共産主義国にするべく、「対英米戦準備を整え、南方の進出態勢を強化す。対英米戦を辞さず」との国策要綱(南進政策) を1941年7月2日の御前会議で決定するなど、日米英戦争に向けて最大限の努力を払っていったのであった。もし日本軍が要衝の地であるインドシナ半島南 部(サイゴン)へ進駐(同年7月28日)しなければ、米国の石油禁輸制裁(8月1日)もなく、日米英開戦へ至らなかった。

 この御前会議の決定は、6月22日に日本の同盟国ドイツがソ連に侵攻したその直後のことであった。近衛首相ら共産主義者と日本帝国海軍は、日本の「北 進(つまり日独によるソ連挟撃)」を阻止するために急遽、「南進政策」を決定していったのであった。「「日本をしてソ連との戦争をさせないために、英米と の戦争をする」親ソ・共産主義者グループと、「英米との戦争をしたいがためにソ連のとの戦争をさせない」海軍とが暗黙に結合して、日本政府の最終的な意思 となったのである」と中川教授は述べている(『近衛文麿とルーズベェルト−大東亜戦争の真実』63頁、1995年8月。改題『大東亜戦争の「開戦責任」− 近衛文麿と山本五十六』2000年12月)。この決定は、ソ連防衛のためでもあった。

 「対米英開戦」という日本の政策が決定した後の1941年10月15、  ソ連のスパイ・情報工作員グループ「尾崎・ゾルゲグループ」が一斉逮された。 近衛首相は慌てて別の嘘理由で翌日辞表を提出し、統制派リーダーの東条英機陸相に首相職を譲った。反米英の極左の革新派で対米英戦強硬派の東条は、近衛が 敷いた路線を突き進んでいったのであった。

 日本共産化プランが成功しなかった理由は、次であろう。まず尾崎秀実グループが摘発され、近衛首相も首相の座を去ることを余儀なくされて、国家権力 を行使できる日本共産化革命の秘密指導部がなくなったことである。そしてまた、米軍の急北上と昭和天皇の御聖断によって、ソ連軍の対日侵略・日本本土上陸 の前に終戦となり、米英軍が保障占領のために日本本土に上陸したからである。

 3) 大東亜戦争の開戦責任を問い裁く

 歴史の真実を知る義務が私たちにはある。戦前の昭和時代の日本は、共産主義を摂取して成立した「右の左翼」の革新勢力と、「左の左翼」の共産主義グ ループによって、政府と軍部とマスコミが乗っ取られてしまっていた。後者は主勢力の前者に偽装して正体を隠した。当時の日本は、左翼革命国家、反日国家に なっていた。だからこそ、軍国主義になり、亡国に至る大東亜戦争を実行していくことになったのである。

 しかし、私たちは次のことを忘れてはならない。日本には少数派ではあるが、日本国とその法・明治憲法に忠誠を尽くす保守主義勢力(真正な自由主義勢 力)がいて、最後までこれら革命勢力に抵抗していったのである。昭和天皇と鈴木貫太郎首相らの一部の重臣、そして一部の政治家や資本家や有識者たちであ る。何よりも昭和天皇の御存在と明治憲法の存在が大きい。そのために日本は、準・全体主義体制で留まることができた。また、終戦することができたのも同様 である。

 大東亜戦争を主導した共産主義者たちは、戦後は日共や社会党左派に入党していったから、両党の幹部は歴史の真実を知っている。だが彼らは決してそれ を明らかにすることはしない。そして戦前の体制と大東亜戦争に反対した昭和天皇をはじめとする保守勢力をも侵略戦争実行の犯人にデッチ上げ、自分たちは侵 略戦争に一貫して反対してきたと、歴史を偽造したのである。もちろんスターリンの指令は隠蔽した。

 一方の戦前の革新勢力も、反米英、反ソ・反共以外の自らの思想を隠蔽し、かつ責任回避のために、また自己正当化のために、「自存自衛の戦い」論を流 布し続けていった。

 私たちは日本国民自身の手で、国民に310万人もの犠牲を強いた狂愚の大東亜戦争(1937年から45年)の開戦責任を明確にして裁いていかなくて はならなかったが、日本国民はこの最重要の政治課題を放棄してきたのであった。そのために国民は思想的・政治的に強くなれず、国民全体に法の支配の思想は 全く獲得されなかった。政府や議会が法を無視した政治をしても許してしまう「お上に弱い国民」から脱却することが出来ないできた。国民の愛国心も国防心も 希薄化していった。だから、国防や国の威信などの国益と国民の利益を守る責務を実行し得る政治家や官僚は極めて少なく、私益や党益や省庁益と保身と栄達に 汲汲とする政治家や官僚が余りに多いことになっている。それを国民も許して受け容れてしまっている。また左翼も右翼もばっこし、中国からは「歴史認識問 題」「靖国神社参拝問題」で不当な非難をされ続けることになっている。

 大東亜戦争は、その担い手が右と左の反日勢力(革命勢力)であったから、論理の必然として国益に敵対するものであったし、国の存立そのものを否定す る戦争であった。断固非難されなければならない。

 日中戦争は、現在、日本の脅威になっている中共を救出し、中共が支配する中国を誕生させるための戦争であった。スターリン、毛沢東、日本の共産主義 者が共同して謀略をなしていったのである。だから1960年代に佐々木更三を団長とする日本社会党が訪中した際、佐々木が「日本は戦争により中国に多大な 迷惑をおかけしました」と謝ると、毛沢東は「なにも謝ることはない。日本軍は我々に大きな利益をもたらした。日本軍のおかげで中国共産党は中国を手に入れ ることができた」と答えたのだ。

 確かに、日本は、「誤った革命政府」の行為だとしても、蒋介石国民政府の中国を侵略したのであるから、日本国民はそのことを深く反省しなくてはなら ない。だが前述の如く、日中戦争は中国を共産化するための戦争であったから、中共政府に批判される理由は一片たりともない。いわゆるA級戦犯は、中共から すれば中国共産化の功労者なのである。中共は全部を理解した上で、真実の歴史を知らない日本政府と国民を屈服させるために攻撃を続けているのである。情報 心理戦(思想戦)で絶対に負けてはならない。

 大東亜戦争(日中戦争と太平洋戦争)は完全に誤った戦争であった。だからこそ阻止できなかった反省をこめて、総理大臣はより一層靖国神社に参拝して 御霊に哀悼の意を表さなくてはならないのである。「A級」は心の中で除外しておけばよい。遊就館の思想(自存自衛の戦いとか反米英思想)は完全に間違って いる。批判して正していかなくてはならない。

 私たちが大東亜戦争を反省する、裁くということは、この戦争を推進した共産主義勢力と、革新勢力の流れをくむ今日の「右翼」(反米勢力)を批判し、 解体していくということである。またこの戦争が誕生させた共産中国を解体していくということである。中共は中国国民を8800万人も殺害している独裁政党 である。

 私の思想の一端を述べた次第である。今後も自由ある祖国日本のために全力を尽くして戦っていきたいと思っている。
(平成18年12月4日脱稿・12月21日付)

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