侵略国家ロシアの工作員・中西輝政京大教授

●わずか一年で「保守」に転換することは不可能一中西輝政京大教授はロシアの工作員

 私は前回の論考「左翼は偽装して革命を遂行する一民主党とロシアの赤い工作員・中西輝政京大教授」で、中西氏を正面から糾弾したが、その続きを書いておきたい。

 彼は京都大学時代、「社青同(=現在の革労協)のゲバ学生」であった(中川八洋氏『民主党大不況』2010年7月7日刊。287頁)。「中西は、『諸君!』誌で2003年、『日本国核武装への決断』と題して、日本は核武装すべきだと16頁の大論文を発表した・・・だが、中西はほんの10年前までは(土井たか子のグループの一員であって)核武装に反対していた。しかも、日本共産党の浅井基文らと、朝日新聞社の雑誌において、仲良く鼎談して、『日本が自らの非核のコミットメントを守るためには、この(非核2.5)原則でよかったと思います』と、日本の核武装に反対していた」(中川八洋氏『皇統断絶一女性天皇は皇室の終焉』2005年5月1日刊。255、256頁)。この「雑誌」とは、月刊『ASAhi』1990年6月号(103頁)である。

 中西輝政氏は1996年においても、「日米安保なき日米関係」(『潮』1996年5月号)、「日米安保解消の時代がやってくる。日本は自衛隊の通常兵器だけで十分」(『諸君!』1996年6月号)と、反日共産主義の立場からの主張を展開していたのであった。ところが1997年になると、「(彼は)『保守』演技への転換」を図ったのである(中川八洋氏『悠仁天皇と皇室典範』2007年1月19日刊。51頁参照)。

 中川氏が鋭く見抜かれたように、中西氏は「保守派に偽装する」ことになったのだ。私が今、「した」ではなく、「なった」と表現したのは、上からの指示だと考えるからである。  中西氏は1996年から97年の間に「保守の思想になった」わけだが、本当の「転向」をわずか1年間でなすことは100%不可能であるから、これは「保守の演技」「保守の偽装」である。100%の確率である。以上は、私の転向体験から自信を持っていえる。

 私は長い間、反日左翼であったが、1978年か79年には、中共とソ連共産党を独裁国家権力ととらえて、その打倒を主張していた。その他の共産主義国家も、全て独裁国家だとして否定して、その国における真の革命を主張していた。このように異端派の私であったが、自分の考える革命に対して最初の疑問を抱いた1982年から、革命を否定して保守の入口に辿り着く1997年5月頃までには、15年もの歳月を必要としたのである。この間に私の思想は大きく、様々に変化していった。私はその都度、反省や自己批判をした上で、それ以前の思想を批判していった。

 1997年5月頃私の思想は、自由主義(自由民主主義と市場経済)を支持し、日米同盟を支持し、憲法第9条を否定して国防軍を保有することを求めるものであり、反左翼であった。やっと保守の入口にまで辿り着いたのである。私はこの97年5月の末に、中川八洋氏の著書に初めて出会うことになり、大変なショックを受けた。私は執筆活動をやめて、中川氏のその他すべての著書を買い求めたり、コピーをしてもらって、1年以上猛勉強した。

 私は1997年から98年の間に、保守主義者に成長していくことが出来た。私は1998年10月20日に小冊子「大森勝久 論集1」をまとめて、様々な所へ送付してもらった。それは3つの論考、すなわち「私は真正な自由主義(保守)へ転換した一社会主義は自由ゼロの超不平等体制になる一」(1998年8月13日脱)、「戦前の『軍国主義時代』は社会主義時代だった一隠れ共産主義者による謀略の大東亜戦争一」(1998年8月29日脱)、「ソ連=ロシアの『大退却』戦略に騙されるな!一ロシアは21世紀にユーラシア大陸の制覇を狙う一」(1998年9月8日脱)を載せた小冊子であった。私は最初の文で改めて、永く反日左翼として日本と戦ってきてしまったことを自己批判して、謝罪した。

 永く反日左翼として戦ってきた者が、わずか1年間で「保守」に転向できるなどということは、太陽が西から登るのと同じく、絶対にない。転向した者は、人間的誠実さとして、自らの誤った活動、戦いを自己批判して謝罪をするが、もちろん中西氏はそんなことはしていない。彼は1996年以前からソ連と新ロシアのKGB(その中のSVR=対外情報省)の工作員として活動してきたのだといえる。そのことは前回の論考の引用文で明白だ。そして1996年から97年にかけて、KGB(SVR)から新しい指示が発せられて、今後は「保守に偽装」してロシアのために思想工作を続けていくことになった、ということである。 

 1996年9月には、第一次「民主党」が結成されている。社会党=社民党の左派が、分からないように個人参加の形をとって、民主党結成に大挙して参加しているのだ。社会党=社民党の事務局員たち(左派)もまたそうであった。つまりこの頃に、反日左翼が「体制内政党(リベラル派)」=「民主党」に偽装して、徹底的に国民を騙して、「新しい革命スローガン」を用いて、反日革命を継続していくという路線が、実践されていくようになったということである。「男女共同参画社会の建設」とか、「ジェンダー・フリー教育」とか、「地方分権」「地域主権国家建設」とか、「新しい公共」とか、「外国人に参政権を認めよ」とか、「世界市民」とか、「東アジア共同体建設」等々の新しい反日革命のスローガンである。「保守派」を偽装して参加した左翼もいた。野田首相や前原氏などだ。広範な国民から支持を獲得するためである。

 ロシアや中共の情報機関が、これらの背後で暗躍したことは明かであろう。日本は「スパイ」天国である。中西輝政氏は、また別の役割を与えられて、1996年から97年にかけて「保守偽装」に転換していったということだ。

 中西氏は精力的に洗脳のための謀略の文章を発表しているが、在日ロシア大使館・領事館等に陣取るKGB(SVR)要員が、アイディアや骨子、またそのための資料を彼に提供して、彼が文章にまとめるという形で書かれる論文が多いだろう。発表する文が、相互に矛盾する内容になることが多いのは、そのためだ。

●小泉親米保守政権を罵倒して、民主党に一度政権を担当させるべきだと煽動した中西氏

 現在日本は、反日共産主義勢力の民主党政府に侵略されている。民主党政権は、悪法律によるのでさえなく、政府の一片の恣意的な「命令」で原発を停止させて、日本経済を破壊している。まさに無法である。それなのに、自民党も経団連も、抗議の大きなデモを組織することさえしない。できない。

 民主党政府の「社会保障と税の一体改革」も、国民を騙してデフレ経済と円高の下で増税して、日本経済を破壊するためのものだ。税収は減っていく。そもそも消費税を上げても、国民の社会保障は充実などしない。単に、年金・医療・介護分野の公的負担分の赤字を埋めるだけである。埋めるだけでも、消費税率はさらに引き上げられていく。しかも現在の社会保障制度は、若い世代の負担で高齢者世代を支える不公平な制度であって、持続不可能なものである。反日勢力(侵略勢力)が、日本国民のための政策などするはずはないのだ。

 日本経済が破壊され、衰退していけば、当然、国防予算は大削減され、防衛力は大きく弱体化していく。失業者が溢れ、彼らは反大企業、反金持ちの革命を求め、革命政府による救済を要求していく。日本はますます左翼全体主義国家になっていく。すなわちロシアと中国が、日本列島を侵略し分割支配(日本の滅亡)する上で、好ましい状況が創り出されていくことになるのである。

 民主党は反日共産主義政党であって、存在を許されない違憲政党であるのだが、保守派もそのことが認識できない。これを利用して、中西輝政氏は『諸君!』2003年11月号に、「『延命装置』小泉純一郎の罪」というタイトルの論文を寄せて、自民党政権から民主党政権への交代を煽ったのであった。彼は以下に引用するような嘘論法を用いて、親米保守の自民党政権を倒して、反日反米の民主党政権を誕生させようと、思想工作を行っていったのであった。

 「小沢一郎をはじめとして、日本の議会に『保守二大政党』が対峙する構図を確立すべきだという主張を持つ向きは少なくない。私も最終的にはその形が望ましいと考えるが、・・・対立軸はひとたびは『保守対リベラル』の形に集約されていくべきだ、と私は考える。そして、一度はリベラルに政権を担当させなければならない。できれば、早い方がよい、とさえ思える。・・・戦後の尻尾を残すリベラル達が必ず演じるであろう大失態を、国民に余すところなく明示することが重要なのである。菅直人が担うであろうリベラル政権は、必ずひどいカオスをもたらすだけの結果に終るはずである。・・・そして、真の保守革命はその後に訪れるのである」(46頁)。

 「日本社会にとって小泉政権が罪深いのは、当面、カオス状態までは招き寄せる恐れがないということであろう。・・・今日の日本にとって、小泉政権の持続よりも好ましいのは、案外、菅、小沢の変則的なリベラル政権であるかもしれない。ともかく一度、リベラル派が政権を担当し、その馬脚をあらわして決定的、最終的に消えていったのち、『保守二大政党』が出来上がるのが最も好ましい」(47、48頁)。

 「保守二大政党」を作るためには、まず一度はリベラル派に政権を担当させねばならないというのは、とんでもない嘘だが、日本の保守派はこんな主張もちゃんと批判できない。中西氏はまず、「反日反米・親中親露・共産主義」の民主党を、保守派に対して「リベラル」だと嘘宣伝していった。その上に立った思想工作である。彼自身の発意ではなく、ロシアKGB(SVR)の指示であろう。

 中西氏は、親米保守の小泉政権に、「器用に豹変」「無原則」「急場しのぎの手管に事欠かず」「外交問題に関心を持たない政治家」(47頁)等々と「虚偽レッテル」を貼り付け、悪罵を投げつけて非難して、「保守二大政党をつくるには、まずは一度は、菅・小沢の変則的なリベラル政権(民主党)に、政権を担当させることが必要だ。担当させねばならない」とプロパガンダしていったのである。打倒したい敵に、「虚偽レッテル」を貼りつけて信用を落とし、倒していく方法は、ソ連・ロシアと共産主義者の常套手段だ。

 既に保守派の中で絶大な名声を得るようになっていた中西氏の、こうした謀略の思想工作も大きな力となって、保守派は、民主党を根源的なところから批判していくことがますますできなくなって、その6年後に民主党は、国民を「マニフェスト」で騙したり、釣ったりして、自民党から政権を奪取することに成功したのである。中西氏のこの思想工作は、中共や北朝鮮の国益にも合致するものであった。

 中西氏はもちろん、民主党が政権を握れば、左翼マスメディアによる応援と、日本の民衆の政治意識レベルの低さから、民主党政府が「大失態」を演じても、政権が続いていくことを理解していた。民主党が政権を奪ってから3年目に入っているが、そのほとんどの期間で、民主党の支持率は自民党を上回っている。「たちあがれ日本」の支持率はほとんどゼロ%である。

 そして現在の状況は、この節の冒頭に述べたとうりだ。これは、「保守」の仮面を付けて思想工作を展開している反日反米共産主義者で、ロシアの工作員である中西氏が望んだものである。彼が民主党を批判したからといって、本心だと錯覚してはならない。それは「保守偽装」のためだけのものであって、民主党政権を打倒するためのものでは断じてない。

●中国の戦略核は2000発だと大嘘をプロパガンダして、日露同盟に誘う中西氏

 古森義久氏の著書から引用しよう。「アメリカ国防総省の同年〔2010年一大森〕の発表は、戦略核、戦術核のすべてを含めて、中国の核弾頭保有を300から400発以上だと推定していた。これらの数字はアメリカの核弾頭〔戦略核弾頭である一大森〕が最新の公表分でも5100発だから、比較としては量的にずっと少ないことになる」(古森義久氏『「中国の正体」を暴く』2012年2月6日刊。37頁)。

 「私はこのストークス氏が2010年春に発表した、中国の核弾頭管理についての調査報告に、驚嘆していた。・・・その報告書は次のようなことを明かしていた。中国は合計約450発(うち戦略核用が約250発)と推定される核弾頭の大部分を、平時は中央部の秦嶺山脈の太白山を中心とする広大な地下基地に保管している。この基地は『22基地』と呼ばれ」「人民解放軍のミサイル発射基地は瀋陽、洛陽、黄山、西寧、懐化、昆明の6ヶ所にあり、平時から各基地にごく少数の核弾頭をおいている。だがふだんでも『22基地』から、同基地を囲む形に位置する6基地へ、追加の弾頭を一般の鉄道や高速道路で頻繁に移動させている。・・・核攻撃を受けても、なお報復できる核戦力を保持するには、防御の弱いミサイル発射基地での核弾頭保管を最小限としている」(同40頁)。

 アメリカの戦略核弾頭数は5100発、中国のそれは250発程度である。ストークス氏は米空軍に20年間勤務した。現在は中国の軍事研究を専門とし、国防総省の中国部長を務めている(古森氏)。ところが中西輝政氏は、『voice』2012年3月号に掲載された論文「『キューバ危機』に陥った極東情勢一アメリカを震撼させた中国の核保有の実態」で、アメリカの大学の「専門家」が言ったというだけで、それを「事実」にしてしまい、「中国では極秘に地下長域といわれる総延長5000Kmに及ぶ地下トンネルが掘られていて、そこには戦略核弾頭ミサイル基地や核収容庫があり、高速鉄道が大陸間弾道弾を積んで地下の各地を移動している」「そのミサイルはもちろん、ワシントンもしくはモスクワを狙うためのものである」「ある専門家の言によると、トンネルが総延長5000Kmとすれば、戦略核弾頭は千から2千発はあるはず、という」(93頁)と書くのである。

 さらに次のように述べる。「新START条約のレベルにまで米ロが核弾頭数を下げれば、中国は『世界一の核戦力国家』ということになる」「中国が秘密裡に2千発もの戦略核弾頭をもっているとなれば、世界の中国観が一変する大ニュースである。・・・本来ならキューバ危機以上の危機であり、連日大騒ぎになってもおかしくない。日本メディアの中国報道は、いったいどうなっているのか、といいたい」(93、94頁)。

 大騒ぎにならないのは、アメリカ政府がこの「専門家」の言を信頼性ゼロと断じているからだ。こうした大嘘を嘘と知りつつ、もっともらしくプロパガンダするのは、ソ連=ロシアの伝統であり、この中西論文の素案も、KGB(SVR)が作ったものであろう。もちろん工作員・中西氏も、そのテクニックを身につけて、共同作業として行っているわけである。嘘でも、マスコミが大騒ぎして反復して流せば、「真実」になってしまい、人々は洗脳されてしまう。後で、正しい情報が提供されても、人々の認識は元に戻らない。中西氏は、大嘘を「真実」にするために、日本のメディアが大騒ぎすることを願っているわけである。

 KGB(SVR)の工作員・中西氏が、この嘘プロパガンダで狙うことは何なのか。日本の保守派が、中国は米国に匹敵する核大国で、近い将来には米国を凌駕する核超大国になると考えて、日米同盟を信頼しなくなり、アメリカ離れを起こすようになること。と同時に、ロシアを頼ろうとする気持ちを醸成して、日露同盟を求めるようにしていくことである。「日露同盟」とは、かつての東欧諸国と同じで、ロシアによる日本侵略占領支配のことである。前回の論考で引用したように、中西氏は『voice』2011年11月号の論文で、ロシアは中国に怯えており、ロシア人は日本に、北方領土は棚上げして、日露軍事協議でも共同演習でもして、中国に共同対処しましょう、と喉から手が出るほど言いたいのだ、と大嘘をプロパガンダした。彼は2011年に、ロシア艦隊20隻が宗谷海峡を通過したことも、ロシアの戦略爆撃機2機が日本列島を一周したことも、ロシアによる日本に対する「求愛行動」だから、心配することはない、と言うのであった(61頁参照)。

 中西氏は2012年3月号論文でも、経済的に「おそらく今後十数年、アメリカは『冬の時代』を経験することになろう。中国指導部も、そう読んでいるに違いない。『アメリカをアジアから追い出す』というトウ小平以来の中国の悲願がいま達成されようとしている、と考えていることだろう」(95頁)と述べて、日本人の不安を煽りに煽っている。人間は不安に陥ると、思考停止になり、でたらめな行動をしてしまうからだ。中西氏は嘘プロパガンダによって、日米同盟を破壊して、日本人を日露同盟へ誘導しようとしているのである。

●中西論文(『voice』2012年3月号)の嘘を批判する

  中西氏は、自分の謀略の思想工作による洗脳力を高めるために、表現としは「日米同盟堅持」は言う。しかしこれは、「転倒語」だ。彼の文からプンプン匂ってくるのは、「反米感情」であり、「ロシアと中国による日本侵略分割占領支配願望」である。

 嘘を土台にする主張が、正しいわけがない。嘘とは意図の不純だから、当然のことである。中西氏の嘘宣伝の一部を批判しておく。

 (1)彼は、「江沢民時代の中国はアメリカ、『民主化したロシア』、日本によって包囲されていた」(90頁)と書く。そもそもソ連と中国は、根本的に対立したことなどない。西側が、両国の軽い兄弟喧嘩と演技に騙されただけである。中西氏が言う「民主化したロシア」も、高度な演出であり、事実上のKGB独裁国家である。そのロシアは江沢民時代の中国に、キロ級潜水艦、ソブレメンヌイ級・ミサイル駆逐艦、戦闘機のスホイ27、スホイ30という最新鋭兵器を売却して、中国の軍事力の近代化と増強を支援してきたのである。昨年夏に就航した中国の空母ワリャーグも旧ソ連製である。両国は今も共同軍事演習を行っている。ロシアの科学者、技術者が招かれて、中国で空母を建造中である。

 (2)中西氏は、「新START条約は戦略核弾頭数を1500発まで引き下げるので、米ロが実行すれば中国が世界一の核戦力国家ということになる」と書く(93、94頁)。これも意識的な嘘である。新START条約は、配備する戦略核弾頭数の上限を1550発と決めたのであり、保有弾頭数(保管も)の規定はない。だからアメリカは配備と保管で5100発を維持することになる。中国は米国の20分の1でしかないのだ。

 START(1)条約は2009年12月に失効したため、保有弾頭数6000発の上限規定は無くなった。ロシアは戦略核弾頭を増産していく。ミサイルも秘密裡に増産していく。アメリカも増産しなくてはならないし、そもそも新START条約など、脱退しなくてはならないのだ。もちろん中西氏はそう主張することはない。アメリカにこの条約を誠実に履行させることで、ロシアが圧倒的優位になることを促がそうとするのだ。

 米国は核トマホークSLCM(海上・海中発射巡航ミサイル)を、バージョンアップして現役に復帰させていかなくてはならない。日本はこの開発費を負担しなくてはならない。米国はロシアとの「INF全廃条約(地上発射の中距離核戦力全廃条約)」を破棄して、日本など東アジアと欧州にパーシング2弾道ミサイルと核トマホークGLCMを再配備していかなくてはならないのである。日本も自らの中距離核戦力を保有しなくてはならない。

 (3)中国の対日核戦力は、弾道ミサイルの東風21号改や巨浪1号(SLBM)など100基余りである。戦術核である。しかし、ロシアの対日核戦力はその10倍はある(中川八洋氏)。だが中西氏は、日本にとっての第一の脅威であるロシアの対日核戦力のことは言わない。逆に、「ロシアも中国が怖いのだ。ロシアは日本と一緒に中国に対処したいのだ」と嘘を言うのだ。ロシアの戦略核も戦術核も、中国の何十倍である。ロシアは中国など恐れていない。だからこそロシアは、中国の軍事力の近代化と増強を支援することができるのである。両国は同盟関係にある。中西氏がロシアの工作員であることは明白である。

 (4)「キューバ危機」と言われた1962年10月当時の、米国とソ連の戦略核戦力の格差は10対1であった。そのためソ連は1957年頃から、西側ジャーナリストを招いて、嘘の爆撃機用エンジンが工場狭しと並んでいる光景を、100mも離れたところから観させたり、ジュラルミン色のペンキを塗った実物大の木製のICBMがずらりと並ぶ、嘘のICBM工場を観させて、彼らをして「米国は負けた。ソ連の爆撃機は米国の数倍になるし、ICBMは米国の10倍も大量生産している」と報道させていった。これは米国内で、一般国民には信じられていった。米国政府が、1961年に入ってから、正しい情報を流しても、一部の軍人や諜報機関を除いて、本当の米ソ格差は周知されなかった(中川八洋氏『地政学の論理』2009年5月31日刊。228、224頁参照)。

 ロシアのKGBとその工作員・中西氏が、先の論文でやろうとしたことは、米国の20分の1の戦略核戦力の中国を、「世界一の戦略核戦力国家」に捏造することであった。ソ連の1950年後半からの詐術の、応用編である。

 (5)「キューバ危機」とは、米ソが核戦争の瀬戸際まで行ったという意味である。しかしこれは、ソ連とその指示を受けた各国共産党や社会党が、その後に、捏造した「世紀の嘘」である(中川氏)。10分の1の戦力しかない以上、ソ連は初めから米国と核戦争する意思がなかったのである。もしそうなれば敗北は必至であるからだ。米国が本気で核戦争をするぞという覚悟を示したら、ソ連は直ちにキューバから中距離核戦力を全て撤去したのであった。この間わずか13日間であった(中川氏前掲書の第5章第2節参照)。

 (6)中西氏は「日本国の存立を懸け、日本人の覚悟がいま問われているのである」(97頁)と言うが、反日反米・親中親露の民主党政府の打倒を言うのではなく、この民主党政府に対して、「『内閣の命運を懸ける』というなら、消費増税などというケチなテーマではなく、・・・この掛け値なしの国家的危機のなかで、こうした国家としての歴史的な選択にこそ命運を懸けるべきではないか」(96頁)と言うのであるから、彼が日本国の防衛など全く考えておらず、日本の滅亡をめざしていることが判ってしまうのである。

 多くの方々が中西輝政に騙されてきた。冷静になって考え、批判をしていってくれることを願っている。彼の謀略の思想工作は、刑法88条の「外患誘致予備罪」に該当する。

2012年2月24日脱

大森勝久


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