左翼は偽装して革命を遂行するー民主党とロシアの赤い工作員・中西輝政京大教授

●野田民主党政権を反日共産党主義政権だと認識できない保守派

 北朝鮮の独裁者・金正日は、去年12月17日に急病死した。19日の昼にその死が公表されると、藤村官房長官は、午後の臨時記者会見の冒頭で、「金正日国防委員会委員長の突然の逝去の報に接し、追悼の意を表明したいと思います」と述べたのであった。野田民主党反日共産主義政権の姿が示された会見であった。「追悼の意」を表わしたのは、中国、ロシア、イラン、キューバ、ベネズエラなどの全体主義・侵略国家である。

 アメリカは去年11月17日、オバマ大統領がオーストラリアの首都キャンベラで、中国を包囲する新国家安全保障戦略を表明した。アメリカは、それと表裏一体のものとしてあるTPP(環太平洋経済連携協定)も推進している。しかし野田首相は、11月12日の胡錦濤との日中首脳会談で、「お互いの発展は両国のみならず、地域、世界にとって極めて重要だ」として、「両国の戦略的互恵関係を一層発展させる方針を確認した」のであった。そして11月19日には、韓国の李明博大統領、中国の温家宝首相との首脳会談で、「日中韓のFTA(自由貿易協定)の早期交渉入りを目指す」ことで合意したのである。このように野田首相は、全体主義の侵略大国中国を包囲する米国の新国家戦略を否定する行動をとっていったのである。しかし、このことを明確に認識する日本の保守派は、極めて少ない。

 野田首相はその後北京を訪問して、12月25日に温家宝と、26日には胡錦濤と首脳会談を行った。胡錦濤は「今回の訪問は両国の戦略的互恵関係をさらに深化させるものになる」と述べ、野田首相は「両国の関係強化は地域やグローバルな問題解決にとっても不可欠だ」と応じていた(12月26日付読売新聞夕刊)。反吐が出る首相の発言である。

 「日中首脳会談の要旨」によれば、「両国のハイレベル(首脳級)での接触を引き続き緊密に行い、相互理解を深めることが必要。東シナ海を平和、協力、友好の海にするという合意を具体的に実行するために協力する。来年の国交正常化40周年を大いに生かし、国民間の交流をいっそう促進する」「省エネ、環境、金融、航空、観光、知的財産などでの具体的協力を進める」「国際経済や欧州債務危機などでも日中が協力を深めていくことが重要。マクロ経済政策面での意見交換を強化していく」となっていた(同上)。温家宝は「東アジアの経済的一体化の推進を日中両国がともに進めていきたい」と述べていた(12月26日朝刊)。

 野田首相が、日中首脳会談(12月25、26日)で行ったことは、日本国家の安全保障政策の根幹である日米同盟(国是)の否定である。日米同盟の対象が、全体主義侵略国家の中国やロシアや北朝鮮やイランであることは自明のところである。しかし野田首相は、その中国と上記のような「政治・経済の友好協力関係」をより一層深化させていく、と言うのだ。これが、日米同盟の否定でなくてなんであろう。常識以前の問題だ。民主党は反日共産主義政党(違憲)であるから、野田首相がこういう行動をとることは、彼らとしては当然のことだ。問題なのは、保守派がこれを批判できないことである。読売新聞も批判せず、支えてしまっている。

 私は幾度となく、民主党などの左翼は、とりわけ民主党は体制内政党に偽装しているから、用いる言葉は「転倒語」(反対語)が基本であることを強調してきた。野田首相も、しきりに「国益」を言い、「日米同盟は我が国の外交・安全保障の基軸にとどまらず、アジア太平洋地域、そして世界の安定と繁栄のための公共財です」(2012年1月24日「施政方針演説」)と言うが、「転倒語」であって虚偽である。真の意味は、反日(日本滅亡)であり、米国を追放して、アジア太平洋地域は中国とロシアによって征服支配するということである。保守派は、左翼(民主党)を全く知らないのだ。そして彼らの「転倒語」に騙されてしまっている。

 野田首相は温家宝に対して、(金正日の死を受けて)「朝鮮半島の平和と安定は、日中両国にとって共通の利益だ」と述べた。胡錦濤との会談でも、両名は「朝鮮半島の安定が日中共通の利益である」ことを確認している。これも、自由主義国家を代表する首相の言葉ではありえない。「朝鮮半島の安定」とは、中国が北朝鮮の独裁支配体制を守るために、食糧とエネルギー等を支援し続けるということだ。また自由主義陣営による、北朝鮮の独裁政権を追い詰める経済制裁と独裁体制の転換を、否定するということである。これらは中国の利益である。野田首相は、それを「日中共通の利益」と言うのだから、彼が自由主義陣営の側ではなく、中国共産党の側に立脚していることは、明白である。

 これを厳しく糾弾できない「保守派」は、保守派とは言えない。批判精神も思考力も失ってしまっている。中国が全体主義国家・侵略国家であり、日本などの侵略占領支配を国家目標にしていることや、中国と北朝鮮は同盟関係にあることは、保守派としての認識の初歩である。保守主義の難しい思想や理論を身に付けていなくても、ちゃんと考えようとしている人であれば、「野田首相は、保守派の仮面を付けて国民を騙しているのであり、その正体は反日共産主義の左翼であり、祖国日本を破壊して、日本を中共に売り渡す売国奴だ」と判定するだろう。

●拉致被害者家族会も支援者も、民主党政権を敵と認識して戦わなければならない

 金正日が死に、金正恩政権になったことを受けて、拉致被害者家族会や支援者等から、好機ととらえ、圧力を強化して、拉致被害者全員を取り戻すべきだ等々の主張がなされている。しかし、根本のところで誤ってしまっている。民主党政権の打倒を主張せずに、今の政権を前提に、提起されているからだ。

 冒頭に掲げた藤村官房長官の「追悼の意表明」会見や、野田首相の胡錦濤や温家宝との会談内容で、またこれまでに拉致問題担当大臣がコロコロと5人も交代してきたことで(野田首相が最初に任命した前任者の山岡氏は、拉致問題に携わったことすらなかったし、野党から問責決議を出される問題を抱えていた人物であった)、民主党政権は、北の独裁政権に強力な圧力を加えて追い詰めて、拉致被害者全員を奪還する意思など、最初から持っていないことは判るはずだ。

 前回論考で明らかにしたように、野田政権は、「女性宮家創設」の謀略作戦で国民を騙して、日本国家の本質である天皇制廃止の共産革命を推進している政権である。これは日本への侵略である。血が流されてないだけだ。民主党とは、日本の滅亡をめざす反日共産主義勢力(中国やロシアや北朝鮮の手先)である。そんな民主党政権が、金正恩政権を追い詰めることをする道理がないのは、論理的に明白だ。

 拉致問題は、国民的関心がそれなりに高い問題である。だから民主党政権も、支持率のために、「拉致問題解決のために全力を尽す」というポーズは取る。本年1月の野田改造内閣で、「拉致問題に熱心な」松原仁氏を拉致問題担当大臣にしたのは、そういうことである。拉致被害者家族会などからも、「期待」の声が上っていた。しかし民主党政権は、それ以上の謀略を行う可能性があると思われる。

 民主党はここ一年位、「拉致問題解決の定義」(何をもって解決したとするのか)について、しきりに「検討」してきた。つまり民主党は、北朝鮮と謀って、拉致問題は「解決」したとして早く幕引きをし、自民党政権時代から続いてきた北朝鮮に対する経済等の制裁を解除して、支援も行う。さらには2国間で、核・ミサイル問題についても、言葉の上だけで「解決」して、日朝国交正常化と大規模な経済支援を実現していきたい、と考えてきたということである。要するに、経済的に苦境に立っている北朝鮮の共産主義独裁体制への支援である。反日共産主義の民主党としては、当然のことである。

 1月22日付読売新聞に、松原拉致問題担当大臣のインタビュー記事が載った。松原氏はこう言っていた。「金正恩体制に移行した中で、1年近くにわたって北朝鮮に拘束されていた日本人2人(偽ドルと覚醒剤を購入しようとしたとされる)が帰国したということは、(日朝関係改善に向けた)一つのメッセージの可能性がある。また、私のこうした発言自体が、我々から北朝鮮へのメッセージになる」「北朝鮮が国際社会に受け入れられるためには、拉致問題解決を通しての人権問題の改善は必須だ。拉致問題解決が北朝鮮にとっても非常にメリットがあるとの判断に基づいた行動を取ってもらいたい」「時間の経過とともに制裁圧力は高まるという原則を堅持しながら、具体的な解決のための接触を北朝鮮からも求めたいという状況を作ることが私の使命だ」。

 松原大臣の主張には、北の核兵器もミサイルもない。ここで松原氏は、拉致問題が解決すれば、民主党の日本政府は制裁を解除し、かつ北朝鮮がのどから手が出るほど欲しがっている経済支援を行う、と言っているわけである(「拉致問題解決が北朝鮮にとっても非常にメリットがある」)。松原氏は、中井洽元拉致問題担当相とも面談して、問題解決に向けたアドバイスをもらったと言っていたが、中井氏は昨年、非公式に北朝鮮と接触していた人物である。

 民主党政権は、金正恩政権と謀って、北朝鮮が「拉致被害者の再調査」を行って、何人かの拉致被害者が見つかったとして、日本に帰国させる。日本政府も、これをもって拉致問題は解決したことを受け入れて、制裁を解除し、かなりの規模の支援をする、という計画を実行する可能性がかなりあるといえる。民主党政権は松原氏などが中心になって、拉致被害者家族会や支援者への工作もすすめていることだろう。彼らが大きな反対の声をあげなければ、それだけ計画を実現しやすくなるからだ。

 この「北朝鮮独裁政権支援」計画が実現された場合、帰国できる拉致被害者はあくまで一部分であって全員ではない。金正恩独裁政権は、日本からの経済支援によって体制基盤の強化ができるから、核・ミサイル開発・製造には拍車がかかることになる。これが日本の安全保障にマイナスになるのは明白だ。また、日本のこの経済支援は、金正恩政権による(政権を支える平壌に集められている核心階級は別として)2000万国民への奴隷的支配を、支援することである。まさに左翼政権の姿である。この行動は、日本が同盟国のアメリカや西側自由主義陣営から離れて、北朝鮮や中国やロシアにより接近していくことである。その10年先位には、中国とロシアによる日本列島占領分割支配(日本滅亡)が待っている。私たちは、この計画を断じて許してはならないのだ。

 野田首相は、先の北京での日中首脳会談(12月25、26日)で、北朝鮮問題で、「朝鮮半島の安定が日中の共通利益」で一致し、「日中間で協力」していくことを約した。「拉致問題の解決」についても、協力を要請している。野田民主党政権は、これらの問題をも利用して、全体主義国家・侵略国家の中国に接近して、日中の「戦略的互恵関係」の深化をめざしている。

 拉致被害者家族会も支援者も、民主党政権に騙されてはならない。民主党政権は、日本を侵略する反日共産主義勢力であること、中国、ロシア、北朝鮮(3国は同盟関係にある)の手先であることを、認識してもらいたい。あなた方が断固として、民主党政権を敵だと規定して糾弾していくならば、多くの国民も民主党政権に対する認識を変えていくことができる。国益を守る保守政権に、政権を交代させていくことも可能になる。

 私たちがもし、民主党の正体を見破って打倒して、国を守る保守政権を誕生させていくことができないとしたら、つまりこのまま民主党政権の継続を許していくならば、そこには、前記計画で拉致被害者を取り戻したことによる支持率上昇も加わるかもしれない、日本は10年位先には、売国民主党政権の手引きで、中国およびロシアに侵略占領支配されることになるであろう。そうなったら、何百万人もの日本人が、中国やロシアに拉致(連行)されて、死に至る労働を強いられることになる。工作員の「現地化」教育の「先生」として、拉致されるのではない。死に至る労働力として拉致される。残された日本人も、今もチベット人、ウィグル人、モンゴル人がそうされているように、過酷に植民地支配されることになるのだ。

 左翼とは、実体として非日本人であり、思想は反日である。左翼にとっては、日本国民は騙し利用し支配する対象でしかない。昨年4月、公文書管理法が施行されたのに、政府の東日本大震災関連15組織のうち10組織で、会議の「議事録」を作成せず、原子力災害対策本部など3組織では「議事概要」も作成していなかったが、これは民主党の法否定・無法体質、隠蔽体質、陰謀体質、国家の私物化の現れである。彼らは違憲政党なのだ。

 民主党政府の「社会保障と税の一体改革」も、日本国民の福祉のためではない。狙いは、このスローガンで国民を騙して、デフレから経済を回復させる(名目GDP成長率を最低でも4%以上にすること。これは簡単にできる。日銀がお札を刷り、インフレ目標を設定して約束すればよい)ことなく増税して、日本経済を衰退させ、かつ国防費増額を阻止し、そればかりか大削減させて、日本の防衛力の弱体化を図ることである。それによって、中国とロシアの日本侵略占領を容易にさせることが目的である。

 私たちは、左翼は、民主党が特にそうであるように、偽装して戦う(国民を騙すことが基本戦術)ということをしっかり認識していかなくてはならない。この核心を主張する保守の論客はほとんどいないし、保守のマスメディア(雑誌、テレビ、新聞)には登場させてもらえない。左翼は内なる侵略勢力であり、左翼との思想戦(イデオロギー内戦)に負けたら、国は滅びるのだ。

 日本は1990年代以降、北朝鮮による拉致、核・ミサイル開発ばかりを問題にしてきて、真の脅威たる中国とロシアの脅威を見ない(認識できない)できた。真の敵を見定めることができない国は、滅びる。国防を第一に考えることができない国は、滅びる。

 こうした状況を許してしまったのは、保守派の弱さの結果である。この状況を許してきた保守派の高い地位にある人たちは、批判されて交替させられなくてはならない。当然のことだ。

●日米同盟を破壊して日露同盟に誘う、ロシアの赤い工作員・中西輝政京大教授の思想工作

  私が中西輝政氏を知ったのは、1998年か99年頃であったろう。彼の以前の主張は知らなかったから、私は最初は、彼のことを日米同盟を支持する保守派だと受けとめてきた。しかし途中から、反米主張が顕著になりだし、彼を疑うようになった。

 日本では、反米民族派が「保守」を僭称して保守性を否定しているが、それでも親米の保守派が大勢を占めてきた。中西氏は左翼であるが、親米保守に偽装して左翼の過去を消し去り、かつ保守派の中で名声を得て、親米保守派を、反米民族派に改造する思想工作活動を行ってきたのである。反米民族派とは「右の左翼」である。彼はそれによって、日米同盟を弱体化し、破棄することをめざすのだ。最近では、日露同盟に誘っている。ロシアによる日本侵略占領支配である。彼はソ連=ロシアからの指示によって、こうした活動をしているのだといえる。

 中西氏は2008年12月末に『覇権の終焉』という本を出した。中川八洋氏は中西氏のことを、「平成の尾崎秀実」と批判する。「日米同盟の破棄をアジリ、日本列島を中口両国の侵略下で分割させ日本国を破滅に至らしめる「逆送の外交」キャンペーン、それが『覇権の終焉』である(注8)。かつてスターリンの命令に従って、日本を亡国の淵に転落せしめた大東亜戦争をアジった尾崎秀実の生まれ変りといえる『覇権の終焉』の著者は、「平成の尾崎秀実」と称されるべきであろう」(中川八洋氏『地政学の論理』2009年5月31日刊。26、27頁)。

(1)1996年頃までの中西輝政氏の主張

 私も遅ればせながら、中西輝政批判を書こう。私は古い資料をほとんど持っていないが、ここに友人にコピーしてもらった、1990年4月30日付朝日新聞の「論壇」に載った中西氏のエッセーがある。タイトルは「領土固執は大枠見落とす ーソ連をパートナーとする構想必要」である。これだけで、彼がソ連の工作員であることが明らかだ。

 彼はこう書いている。「世界が新しい国際関係の思考に傾斜する中で、ひとり(日本が)「領土」に固執する姿は・・・「山東半島」領有を主張し・・・孤立を始めた70年前の日本外交のスタンスと二重写しになってくる」「今、大切なのは「仕切り直し」であり、その中で欧米と提携を深めながら、ソ連をアジア・太平洋の重要なパートナーとして積極的に引き入れる「日本の構想」を明らかにしなければならない」。中西氏はここで「米と提携」と言い、「日米同盟」とは言わない。彼は新しい国際関係の下では、「同盟」は不要だから、日本は日米同盟は解消して提携に留め、北方領土にも固執せずに、ソ連を日本のアジア太平洋地域の重要なパートナーにすべきだ。そして日本はソ連を経済支援すべきだ、とソ連の代理人として主張しているわけである。

 「朝日」の「論壇」に書けるということは、「朝日」が彼を共産主義者として公認しているということだ。中川八洋氏の著書から引用しておこう。「中西輝政について、忘れている人もいるので復習するが、1990年代前半までは『世界』『朝日ジャーナル』『潮』『エコノミスト』などが公認する、社会党熱烈支持の過激マルキストとして活躍していた。例えば、『世界』では、社会党のイデオローグ山口二郎(北海道大学)らと対談して、「デモクラシーと軍隊の問題だが、より適切に取り扱えるポテンシャルをもっているのは社会党かもしれないと思う」などと、福島瑞穂の代理人のような発言をしていた(1991年7月号、53頁)」(中川八洋氏『悠仁天皇と皇室典範』2007年1月19日刊。50頁。私がこの本を入手したのは今年1月になってしまった)。

 中西輝政氏は、その他にも「対ソ連支援の足がかりは作った。日本の政経不可分は修正すべき時が来る」(『エコノミスト』1991年8月6日号)、「北方領土は要らない」(『文藝春秋』1992年10月号)、「基地なき日米安保」「日米安保なき日米関係」(『潮』1996年5月号)、「日米安保解消の時代がやってくる。日本は自衛隊の通常兵器だけで十分」(『諸君!』1996年6月号)と主張していたのである(中川八洋氏の前掲書50、51頁参照)。私たちはこれらをしっかり認識しよう。

 中川八洋氏によると、中西氏は1997年に入ると「保守演技へ転換」する。私は苦労を重ねて左翼から保守に転向したが、ホームページに自分の誤りを自己批判した文をちゃんと公表している。転向した者の責任だ。中西氏はそんなことはしていない。保守に偽装しただけである。保守の仮面を破って、ロシア、中国に日本を侵略占領させる反日共産主義革命を続けるためである。ロシアからの指示であろう。同じ頃に、社会党の極左が参加して民主党が結成されている。背後で、ロシアと中国が暗躍したことは、想像に難くない。

(2)「多極化する世界」を嘘プロパガンダして、日米同盟破棄をめざす中西氏

 中西氏は『覇権の終焉』(2008年12月12日刊)で、2008年8月のロシアによるグルジア侵略が嬉しくてたまらなくて、「ロシアは・・・グルジアに大規模な軍事力を行使することによって、アメリカが主導する世界体制の終りを宣告し、棺に最初の釘を打ったのである」(36頁)と書いた。ロシア・メドベージェフ大統領は2008年8月31日に、グルジア侵略を嘘で正当化した「5つの外交原則」を打ち出した。そのひとつが「ロシア人が多く住み、歴史的にもつながりの深い親口地域には、ロシアは特別な権利を持っている」というものだが(南オセチア地区、アブハジア地区にはロシア人は少ししか居なく、嘘である ー中川八洋氏)、中西氏は批判することなく、容認する(41頁)。これは、北海道にロシア人をいくらか移住させれば、軍事侵略も正当化されるということである。もちろん日本の北方領土は、ロシアのものだ、となる。

 「5つの外交原則」には、「多極化世界実現」が入っている。中西氏は「多極化世界の実現は、ゴルバチョフ時代からポスト冷戦時代の外交目標として、ロシアが一貫して掲げてきたものである」と書く(41頁)。中国も同様である。そしてロシアの意を受けて中西氏は、「(今)多極化した世界の姿が噴出している」(26頁)、「紙切れの基軸通貨ドル」(28頁)、「(アメリカの)1極支配体制は裸の王様だった」(41頁)、「多極化へ向う自然の流れを、あえていえばアメリカが「乗っ取り」、無理やり「一極体制」を世界に押し付けようとしたのが、(1991年の)湾岸戦争の本質だった」(64頁)、「基本的に多極化の時代に入るということだ」(76頁)等々と、「世界は多極化する」と現実を歪曲・捏造するのである。なお中西氏は、イラクの侵略・占領からクウェートを解放した米国主導の西側・アラブ連合軍の解放戦争を、1991年の論文で、「米ソ関係を修復不能なほど変質・悪化させた」「愚かな戦争」だと非難した(208頁)。

 中西氏の言う「多極化する世界」とは何なのか?この著書の発行と同じ頃に書かれた彼の論文「日本自立元年」(『諸君!』2009年2月号)は、次のように書く。「いままたソ連の場合と同じようにアメリカが自壊の道を辿っている」(24頁)。「今後、現出する『多極化世界』とは・・・参照すべき歴史上の事例は・・・1920年代、30年代に求めるしかない」(30頁)。「同等の国力を持つ多数の国々がひしめきあい、血みどろの戦いを演じていた」(30頁)。「多極化世界とはいかなるものかを垣間見せる事例は、つい最近もあった。2008年8月、ロシア軍はグルジアに大挙侵攻し、軍事占領したグルジア領の一部を分離独立させた」(30頁)。

 「自分の運命は自分で決めるしかない多極化の時代はそこまで来ている」(34頁)。「もし今後、日本がその多極化のなかの『一極として立つ』決意を固めるならば、アメリカのことも、『所詮はワン・オブ・ゼム』にすぎない、という眼を持つべきなのではなかろうか。実際、この金融恐慌を境に、人知れず多くの日本人がすでに『アメリカなき世界』を考えはじめている。その事実を、日本政府に、そしてアメリカ人に知らしめなければなるまい」(34頁)。「『パックス・アメリカーナ』の終焉という新たな事態」(36頁)。

 これで分かるように中西氏が主張する「多極化する世界」とは、自由を保障する国際秩序とそれを守る自由主義国家アメリカ、この戦後秩序を破壊して、地域や世界を侵略支配したい、全体主義侵略国家のロシアや中国の世界戦略を婉曲的に表わしたものである。中西氏はまた、「世界は多極化に向っている」「アメリカは所詮ワン・オブ・ゼムにすぎない」「アメリカなき世界」と、現実世界を歪曲し捏造して、日本の保守派を日米同盟から離脱させようとしている。親米保守派を反米民族派に転向させようとしているのである。

 日本が米国との同盟関係を破棄したらどうなるか?米国は前方展開基地を失い、アジアから去り、ロシアと中国が日本をはじめとする東アジア地域を侵略支配することになる。ロシアのエージェントの中西氏が狙っているのは、これである。「反米民族派」も反米において、左翼の別働隊でしかない。

 (3)日米同盟を破棄させるために、「米国は日本を放棄し焦土とする戦略を採る」と嘘プロパガンダする

 中西氏は日本人が軍事に疎いのを利用して、中国を圧倒する軍事力を有している米国を、逆に、中国軍に怯える米国として描き出して、プロパガンダする。中西氏は、中国の対艦弾道ミサイルの配備によって、米軍はもはや空母等を日本の基地に入港させることはできない、と嘘を主張する(中西論文「挙党一致政権で国滅ぶ」。『voice』2011年11月号。56から57頁参照)。米軍は、重大な損害を覚悟しなければ防衛目的を果たせなくなれば、「当然のことながら米軍は日本から出ていくほかなくなる。まさに中国がアメリカをアジアから『平和的に追い出す』のである」(57頁)と嘘を書く。

 中西氏は、米国は危機になれば、核トマホークSLCMを再配備した原子力潜水艦等がいつでも中国の軍事目標に何百発の核ミサイルを撃ち込めることを隠す。もちろん大量のICBMも撃ち込める。また中国は1989年以降、核弾道ミサイル・東風21号改を配備して、日本列島の大部分を射程に入れているが、在日米軍は撤退などしないのだ。

 中西氏は東西冷戦時代の米国・NATO諸国の戦略は、「焦土戦術」だったと真っ赤な嘘を捏造する。「軍事バランスで優位に立つワルシャワ条約機構軍(ソ連・東欧軍)が侵攻した際には、NATO軍は西ドイツをいったん放棄し、ずっと西の後方拠点まで下る。そしてイタリアや南フランスあたりに反撃拠点をもち、ソ連軍を西ドイツに引き入れたのち、イギリスから集中的に反撃し、失地を回復していこうという一種の焦土戦術であった」(58、59頁参照)。

 そして中西氏は、現在の米国の対中戦略は、それの「アジアへの応用版である」とするのだ。「つまり(米軍の)『エアシー・バトル』とは、アメリカが西太平洋で中国より劣勢と判断すれば、いったん日本を放棄して後方に下がり・・・日本を越えて、さらに西太平洋に侵攻する中国軍の後方補給線に攻撃を加える、というものだからである。・・・言うまでもなく、そこでは当然、中国軍の後方にある日本が戦場となるのである」(59頁)。

 中西氏は以上のように、米国の戦略は日本をいったん放棄して、焦土にするものだ、と嘘プロパガンダして、日本の保守派の戦う気力を削いで中国に屈服させたり、あるいは保守派に反米意識を植え付けて、日米同盟の破棄を狙っているのである。

 東西冷戦の事実はこうである。アメリカは1983年から85年にかけて、西独に核弾道ミサイル・パーシング2を108基、84年から88年にかけて核巡航ミサイル・トマホークを96基配備し、また配備を予定していったのだ。オランダにはトマホークを48基、ベルギーにはトマホークを48基、英国にはトマホーク160基、イタリアにはトマホークを112基を配備し、また配備を予定した。しかし全てを配備する前に、ソ連は屈服して、1987年12月に「米ソINF廃絶条約(地上配備の中距離核戦力全廃条約)」が締結された。ソ連のINFの方が米国・NATOのそれを上回っていた。しかし米ソ連には「地理の非対称」があり、ソ連は屈服するしかなかったのである。中川八洋氏が明らかにしたことである。

 つまり、「欧州戦域限定核戦争」が起った場合、アメリカ本国は無傷で残るため、次の段階の米ソ全面核戦争を考えた場合、戦う前からソ連の敗北は決定してしまう。こういうことがシュミレーションで分かってしまうために、ソ連は屈服したのである。そして東欧は解放され、ワルシャワ条約機構は解体され、ソ連自体が消滅することになった。中西氏の嘘は明白である。これは彼がロシアの工作員であることを示す証拠である。中西氏は『正論』2012年2月号の論文「米軍が日本から消える日 米中対峙最前線という決断」でも、同旨の嘘プロパガンダをしている。

 欧州に対して言えたことは、東アジアにおいても同様に言える。つまり、米中には「地理の非対称」があるのだ。だから日本が核武装し、また米国にINF条約を破棄してもらって、米国の核を日本に配備すれば、中国はソ連と同じように、日米に屈服するしかないのである。ロシアもしかりだ。だから私は日米同盟の堅持、日本の対中、対口核武装、日米核同盟を力説してきた。日本が核武装すれば、北朝鮮の拉致被害者を取り戻すことも容易にできる。

 (4)日米同盟を否定して日露同盟に誘う思想工作

 中西輝政氏は『voice』2011年1月号に載った論文「多極化する世界に日本の大義を掲げよ」で、次のように主張する。

 「多極化の時代には、以前に取り決めた枠組みは何の意味ももたず、力関係によっては、どんな値引きも、また全部をご破算にすることさえありうるのである」(59頁)。「今回の尖閣事件で、日中間には長期にわたり固定的な敵同士の構造があることが非常にはっきりとした。だが、ロシアはそうではない。ロシアの本音をいえば、『日本も中国が怖いのでしょう。われわれも怖い。だから手を結ぼうではありませんか。4島一括返還というのは、ロシアとしては苦しいから、中国が怖いもの同士、お互い妥協しようよ』ということなのだ。ロシアからすれば、領土問題を早く片づければ、日口は本当に親密な同盟関係、真の戦略的パートナーになれるという思いがある。・・・日口で『中国包囲網』を作り、ロシアとしては日本の技術や資本をどんどん入れて、中国に負けない市場経済化を進めたい。その代り、ロシアには資源が豊富にあるから、これを中国に優先して日本に売ってあげますよ、ということである。  多極化時代では、国益の総合的バランスが重じられるから、何でも交渉ずくの世界なのだ。冷戦時代のような、自己の存在をかけた敵との対立ではない」(59、60頁)。

 彼がロシアの工作員であることは、これで明白である。日本の技術と資金を利用して、ロシアをより強国にして、日本を侵略占領する、ということである。ロシアの核戦力は、中国をはるかに上回る。ロシアは中国など怖いと思っていない。なによりも中口は同盟国である。中西論文が、書く毎に言っていることが違っているのは(『諸君!』2009年2月号論文では、多極化時代は「血みどろの戦いを演じ」る時代だと述べていた)、事実や真実を主張するのではなく、洗脳のための嘘プロパガンダであるからだ。

 『voice』2011年11月号で、中西氏は次のように述べる。「ロシアは昨今、メドベージェフ大統領による国後島訪問、ロシア艦隊20隻による宗谷海峡の通過、さらにはロシアの爆撃機2機による日本列島一周、と不穏な動きをみせている。だがこれは、日本に対する『求愛行動』なのである。18世紀のピョートル大帝時代以降、こういった手法はロシア外交の常套手段なのだ。ロシア人は『北方領土を棚上げにして、日露軍事協議でも共同演習でもしましょう。われわれは表面上は日米同盟に対抗する名目で極東の海軍力を増強しますが、真の目的は中国の海洋進出の抑止です。・・・中国に共同対処しましょう』と、喉から手が出るほどいいたいのである。」(61頁)。

これを日本に対する「求愛行動」と言うのであるから、彼の言うことは一切信用できず、すべては、日本人に日米同盟を破棄させるための思想工作、また日露同盟(日本侵略占領)へ誘導する思想工作である、ということである。嘘が基本である。

 中西輝政氏はロシアの工作員であり、日本の親米保守派を反米民族派(右の左翼)に思想改造し、日米同盟を破棄させようと活動している。また日露同盟に誘導しようと活動している。彼は反日共産主義者であり、偽装して戦っているのである。

 多くの人々が彼に騙され、誤った情報や思想を植え込まれてきたはずである。多くの人が中西輝政を批判していくことを願っている。

2012年1月31日脱

大森勝久


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