憲法9条2項の解釈を直ちに1946年制定当時の正しい解釈に戻して、日本は自衛のための国防軍を保持するとせよ!

●日米を対象にした中露海軍の合同演習及び露軍の演習と、反日左翼の安倍首相 

  4月29日に行なわれた「日露首脳会談」を前にして、安倍首相とその周辺から、「対露関係を重視するのは、中国に対するけん制となるからだ」との嘘宣伝がなされ、読売新聞も安倍首相らやロシアSVR(ロシア連邦中央情報庁=KGB第1総局の後継組織)に完全に取り込まれ、そのような解説記事を書いてきた(4月30日付他。前々回論考参照)。

 だが中露は、7月に合同軍事演習(海軍)を展開したのである。中露は、中国海軍5隻とロシア海軍16隻で4000人以上が参加して、7月5日から7月12日までウラジオストク沖の日本海で、大規模な合同海軍演習「海上連合2013」を展開したのである。アレクセイ・アルバトフ国際安全保障センター所長は、「米国や日本がロシアと中国の立場を尊重せざるを得ない状況を作り出すこと」と、合同軍事演習の狙いを説明した(読売新聞7月13日付)。

 合同海軍演習を終えたロシア海軍は、北上して宗谷海峡を通ってオホーツク海へ向ったのだが、中国海軍5隻もそれに続いて北上し、宗谷海峡を通過したのであった。この地域での中国海軍の活動が確認されたのは初めてである(以後、中国は中共と表わす)。さらに中共海軍5隻は、日本を一周して7月25日、沖縄本島と宮古島間の海峡を抜けて東シナ海へ入っていったのであった(読売新聞7月15日付、7月26日付)。

 ロシア軍は、中共海軍との合同演習後、オホーツク海で7月14日から7月20日まで、21隻の海軍艦艇の他に、陸空両軍からも予告なしに将兵を招集して、3軍による大規模な合同軍事演習を実施している。東部軍管区(司令部ハバロフスク)の「即応体制」を調べる目的で実施された演習である(読売新聞7月15日付、7月23日付)。さらにロシア海軍は、8月9日から15日間の予定で、ウラジオストク沖の日本海とカムチャッカ半島沖の北太平洋で、30隻以上が参加して大規模な軍事演習を展開する(読売新聞8月10日付)。

 日本は地政学的に、世界の2大独裁・侵略国家のロシアと中共に挟撃される位置にある。中露の合同軍事演習も、ロシアの軍事演習も、同盟国日本を助けて戦う米軍と日本を対象にしたものであることは明白だ。ロシアと中共は同盟関係にある。ロシアは中共軍の近代化を支援している。ロシアと中共は、米軍をアジア・西太平洋から撤退させて、日本を侵略分割支配することを狙っているのだ。

 ところが安倍首相は、4月29日の「日露首脳会談」でプーチンに対して、「戦略的なパートナーシップの構築が必要だ」と述べたのだ。そして「共同声明」に、「安全保障分野における協力拡大の重要性を確認。外務・防衛閣僚会議(2プラス2)の設置。日本外務省と露安全保障会議事務局との定期協議実施」を盛り込んだのである。安倍首相は「保守」を語っているが、それは偽装用の言葉であり、彼の正体は反日左翼であって、ロシアの思想工作員である。もちろん安倍首相は、それらの軍事演習にも抗議しなかった。

 読売新聞は、冒頭の安倍首相やその周辺のプロパガンダが、中露の海軍合同演習によって、またそれに続くロシアの軍事演習によって、嘘であることがわかるはずなのに、批判の主張は全くなかった。読売新聞は、不都合であるために、思考を停止してしまっている。だから、中露の軍事演習に対する批判も全くなされていない。

 新聞の社会的使命は、政府から独立して、その政策を批判的に検証していくことだ。だが読売新聞は、安倍首相の「保守」演技によって、完全に洗脳されて思考停止状態にある。

 安倍首相の国際政治のブレーンは、中西輝政京大名誉教授であるが、中西氏は『voice』2011年11月号の論文で次のように主張した。「ロシアは昨今、メドベージェフ大統領による国後訪問、ロシア艦隊20隻による宗谷海峡の通過、さらにはロシアの爆撃機2機による日本列島ー周と、不穏な動きをみせている。だがこれは、日本に対する『求愛行動』なのである。・・・ロシア人は『北方領土を棚上げにして、日露軍事協議でも共同演習でもしましょう。われわれは表面上は日米同盟に対抗する名目で極東の海軍力を増強しますが、真の目的は中国の海洋進出の抑止です。・・・中国に共同対処しましょう』と、喉から手が出るほどいいたいのである」(61頁)。

 この論文内容で判るように、中西氏もロシアSVRの思想工作員(偽情報工作員)である。安倍首相はこのような嘘プロパガンダをする人物をブレーンにしているのだ。

 安倍首相は中共については、「日中は最も重要な2国間関係のひとつである」「日中は戦略的互恵関係を目指す」と言う。中共は対内的には独裁国家、対外的には侵略国家であることが広く知られているから、安倍首相の対中政策は、安倍氏の思想を知らない人から見れば、「典型的な反日左翼の外交政策だ」と断ずるものである。ところがこれも、「保守の安倍首相」の主張だから、保守派はほとんどが批判精神が麻痺して思考停止になってしまうのである。洗脳状態である。

 人間は情報がなければ、手さぐりで現実を認識しようとするものである。ところが、誤った情報(「安倍首相は保守の大物政治家だ」)で洗脳されると、人間は「幻想」を持ってしまうから、現実が全く見えなくなってしまう。思考停止だけでなく、現実を「幻想」に合致するように、都合よく変えて解釈してしまうようになっていくからである。これが「洗脳」の恐ろしさである。

 安倍首相は、「8月15日に靖国神社に参拝するかしないか」について、事前に中共に「しない」と非公式に伝えていた。斎木外務次官が7月29日と30日、訪中して中共の外相と会談したから、この時に伝えただろう。首相は、中共海軍がロシア海軍と合同演習を行ない(7月5日から12日)、その後宗谷海峡を通過して日本を一周して帰港した直後のときに、伝えたわけである。まさしく、中共に迎合する反日左翼の行動である。それはまた、自らの「本当の立場」を中共に暗に知らせたということでもあろう。

 安倍首相の対中、対露外交は、「表面的な言葉」(「保守」の嘘言語)を剥取ってみれば、反日左翼のそれであり、両国の思想工作員のそれである。日本は取締る法制度が欠如しているため、中共、ロシア、北朝鮮のスパイと思想工作員の天国になっている。これは日々、情報的・思想的侵略戦が展開されているということだ。日本人の代理人は、内なる侵略者である。法制度を整備して取締っていかなければ、日本は情報国防と軍事国防(日米同盟の堅持を含む)ができない国家に内部から改造されてしまう。その先にやってくる事態は、ロシアと中共による共同した軍事侵略による日本分割占領支配である。日本滅亡である。

 保守派は批判精神と独立精神を高めて、安倍首相に対する「幻想」から脱却していかなくてはならない。現実を冷静に科学的に分析していけば、できるはずである。

 私たちはロシアと中共を、明確に「真正な敵国」と規定しなくてはならない。北朝鮮もしかりである。私たちは、防衛力増強と日米同盟強化に励んでいかなくてはならない。日本は地政学的に米国と同盟することによってしか、国の存続を守れないのだ。

●憲法9条解釈を正常化して、自衛の国防軍保持を認めるのではなくて、集団的自衛権を巡ってのみ9条解釈の見直しを行なうことの反国家性

 これまで、「日本は集団的自衛権は保有していても、行使することはできない」とされてきたのは、歴代内閣が「憲法9条は軍隊(戦力)の保持を禁止している」と誤って解釈してきたからである。

 国際法が各主権国家に認める自衛権(個別的・集団的自衛権)は、軍隊によって行使される。従って、軍隊を保持しない国家は、「国際法上の自衛権」を行使できない。

 日本では誤って、「日本は(国際法上の)個別的自衛権は行使できるが、集団的自衛権は行使できない」と言われている。しかし、日本が国防軍を保持していないのであれば、これは誤っているのだ。日本は「国際法上の個別的自衛権」も行使できないのである。

 しかしながら、軍隊の保持を禁止されているために、国際法上の自衛権の行使(国際法上の正当防衛行為)はできなくても、国内法において個人には、「緊急避難行為」が認められているように、軍隊を持たない国家にも、国際法上の自衛権行使=「正当防衛行為」と比べたら、より厳しい条件が付くが、個人の集合としての国家が「緊急避難行為」として「自衛行為」をすることは認められる。表現だけみると矛盾するようだが、抽象的に言えば、日本は「自衛権の行使=正当防衛行為」を、より強く制約を受けた形で行うことができる、ということになる。

 歴代の内閣は、これを「自衛権発動の3要件」としてまとめてきた。個別的自衛権は行使できるが、強い制約を受けることになり、集団的自衛権は行使できない、としてきたのである。

 安倍政権の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(「安保法制懇」)は、これまでの「3要件」を見直す。すなわち、「自衛のための必要最小限度の実力行使(武力行使)」は継承するが、集団的自衛権も含めて「自衛のための必要最小限度の実力行使」はとらえられるべきだ、との立場である。これは、その限りでは正しい。

 しかし、安倍首相は根本が誤っているのだ。「憲法9条の解釈問題」の核心は、小見出しの通りである。憲法9条2項の解釈を1946年の制定当時のように、「日本は自衛目的のための軍隊は保持する」と、正しく解釈し直すことだ。閣議決定で直ちに見直すことである。それは、自衛隊を国防軍だと閣議決定することでもある。ー週間でできることである。日本国家の存亡がかかっている問題だ。

 自衛隊が国防軍になれば、日本は国際法上の自衛権を行使できる。権利というのは、完全に行使できるから権利であって、厳しい制約がついたら自衛権ではなくなる。自衛隊が国防軍の時に、日本は個別的自衛権も集団的自衛権も、米国や英国等と同等に行使できるのである。 

 国防軍を持たないということは、同盟関係を含めて、祖国防衛が十分できないということであるから、主権国家であることを自ら否定することだ。反国家行為である。歴代内閣は、本来の憲法9条2項に違反する、反国家行為をしてきたのである。万死に値するものだ。

 安倍政権は、集団的自衛権行使を巡る憲法9条の解釈の見直し論議において、従来の誤った解釈=「憲法9条2項は軍隊(戦力)の保持を認めていない」を堅持する。それを大前提にする。そして、国防軍を保持するためには、「憲法9条2項を改正しなくてはならない」とする。だがこの「改正」は、現実的には不可能である。だから、安倍政権のこの「見直し論議」は、日本に国防軍を保持させないためのものなのである。反国家行動なのだ。集団的自衛権行使を少しだけ認める代りに、憲法9条2項の誤った解釈を是正して、国防軍を保持することを否定する、反国家行動なのである。これによって、日本は永遠に国防軍を保持できなくさせられる。

 憲法9条2項が、侵略目的以外の軍隊の保持を認めたものであることを再び明らかにしておく。憲法9条2項の政府案(1946年6月。GHQの案をそのまま継承したもの)は、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」である。つまり、いかなる目的であっても戦力(軍隊)の保持を否定した条項であった。しかしこれは、「憲法改正小委員会」において、委員長・芦田均氏によって同年8月1日に修正されて8月24日の衆院本会議において可決されたのである。1946年11月3日に成立・公布された。

 芦田氏は9条2項の最初に、「前項の目的を達するため」の語句を挿入する修正をなしたのであった。この修正によって9条2項は、前項9条1項の「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」、この目的を達するために、陸海空軍その他の戦力を保持しない、国の交戦権は認めない、ということになった。従って、日本はそれ以外の目的であれば、陸海空軍その他の戦力を保守することができるし、交戦権も認められる、という条項に変わったのである。これが1946年11月3日に成立した憲法9条2項である。憲法9条1項は、侵略目的の戦争や武力による威嚇や武力行使を放棄するものであり、当然の条項である。

 芦田氏は、日本が主権を回復した時には、自衛権を行使する等のために軍隊を保持できるようにするために、先の修正をしたのであった。これは芦田氏自身が、1957年8月から始まった「内閣憲法調査会」に招かれて語っていることだ(西修氏『よくわかる平成憲法講座』78頁参照。1995年2月刊)。またこの修正は、芦田氏がGHQとひそかに協議して成したものである。

 芦田氏はこの「修正」について、GHQのケーディス大佐に相談したのであるが、ケーディス氏は1981年に、古森義久記者にその時のことについて次のように話している。「芦田氏はその修正によって二つのことを果そうと意図していたようです。第一には、日本がもし国連に加盟したあかつきには国連の平和維持軍に日本も参加、貢献できることを可能にしておこうと考えていた。第二には・・・、日本はなお自国防衛の権利は有しているのだということを明確にしておこうとした、と私は思いました。とくに、この自衛権については、私はそう言われなくても日本に固有の自衛権があることは考えていましたから、すぐにその修正には反対はない、と答えたのです」(西修氏の前掲書82頁)。GHQ(マッカーサー元師)が同意した「修正」であったのだ。ヨーロッパでは既に冷戦が始まっていたのである。

●連合国の全てが、日本は憲法9条2項によって国防軍を保持できると認識した

  1946年8月24日、衆院本会議で、芦田氏によって修正された憲法9条案が可決されると、そのことはすぐにワシントンの「連合国極東委員会」に伝えられ、同委員会の「第3委員会」(「憲法及び法制改革委員会」)で検討されている。連合国の全てが、これによって日本は主権回復後に、自衛のための軍隊を保有できるようになったと認識している。西修氏の『よくわかる平成憲法講座』(89頁他)を読めば明白である。

 憲法9条2項によって、日本は国防軍の保持が認められるようになったことを受けて、先の「第3委員会」は、「日本人は、かれらの憲法に、内閣総理大臣を含むすべての国務大臣は、シビリアンでなければならないという条項を入れなければならないことを主張すべきことを(極東委員会が合衆国代表に対して、マッカーサー元師に伝えることを)勧告する」との「声明」(1946年9月20日付)を発表している(西氏前掲書89頁)。

 9月21日に開かれた極東委員会会議では、第3委員会の「声明」をめぐって論議がなされ、支持されている。カナダ代表のパターソン博士は「この憲法が通過したのち、公的に承認された陸軍大将や海軍大将が出現するであろうことは、まったく考えられることである。もし全ての大臣がシビリアンでなければならないという条項が入れられれば、彼らが閣僚の地位に指名される可能性についての疑念はなんら存在しなくなるであろう」(同書92頁)と発言している。

 こうして、アメリカ政府から9月22日付で、「シビリアン条項」を入れるべきことがマッカーサー元師に電報された。元師は9月24日、ホイットニー准将とケーディス大佐を吉田首相のもとに派遣して、「シビリアン条項」を憲法案に入れさせていったのである(同書93頁)。憲法66条第2項の「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」が、これである。芦田氏の修正(GHQが承認した)による憲法9条2項によって、日本は国防軍を保持できるようになったから、66条2項の「シビリアン条項」が必要になり、挿入され、可決されていったのである。旧軍人のことではない。

 マッカーサー元帥は、1950年元旦の「日本国民に告げる声明」で、「この憲法の規定は、たとえどのような理屈をならべようとも、相手側からしかけてきた攻撃に対する自己防衛の冒しがたい権利〔自衛権〕を全然否定したものとは絶対に解釈できない」(同書48頁)と述べている。マッカーサー氏は、1957年8月から始動した「内閣憲法調査会」の会長・高柳賢三氏への書簡でも、「日本が他国から侵略を受けるような場合には、日本はあらゆる自衛措置をとりうるのであって、第9条のいかなる部分もその妨げとなるものではない。この解釈は憲法制定当時からの解釈であった」(同書86頁)と明言している。

 マッカーサー元帥はここで、「日本は憲法9条によって国防軍を保持できるのであり、侵略を受けたときには、国防軍によって自衛権(個別的・集団的)を完全に行使できる(あらゆる自衛措置をとりうる)のである」と明言しているのである。

 芦田均氏は、日本の主権回復が目前になった1950年12月に、憲法9条は自衛権行使のための軍備を禁じていないとして、GHQに、15師団20万人の地上軍創設を訴える「芦田意見書」を提出している。日本は主権を回復した暁には、20万人の陸軍を保有するということである。

 ソ連のグロムイコ外相も1951年9月、「サンフランシスコ平和条約会議」において、日本の軍備について、陸軍15万人、海軍2万5000人、空軍2万人の保有を認め、自衛の任務のためのみに供される、と述べている(曽野明氏『ソビエトウオッチング40年』46頁参照。1983年10月刊)。

 米国特使のダレス氏は1951年1月31日、吉田首相に対して、1954年3月までに陸軍戦力だけでも32万5000人から35万人の国防軍の創設を要請している。

 以上で、日本は憲法9条2項によって、侵略以外の目的で軍隊を保持できることは明白である。疑いを入れる余地は一切ない。当時の連合国を含めて全ての国が、そう考えている。そのように考えないのは、日本ー国だけである。日本人は「日本は主権国家ではありません」「国を守ろうとしない異常国家です」と言っているのに等しい。

 自衛隊は、多くの優秀な近代兵器を装備している。人員は少ないものの、それなりの規模ではある。日本以外の世界の国々は、自衛隊を軍隊と考えている。自衛隊を「軍隊ではない。実力組織である」と言うのは、異常な国家である日本ー国だけである。日本国民は自らを恥じなくてはならない。

 私たちは、反日左翼の安倍首相や反日左翼の菅官房長官を糾弾しなければならない。彼らが「私たちは反日左翼ではない。国を守る」と言うならば、「その証拠を見せろ。直ちに閣議で、従来の誤った憲法9条2項解釈を是正して、日本は自衛目的の国防軍の保持ができること、自衛隊は国防軍である、と決定せよ」と要求していかなくてはならないのである。私たちは、自民党議員やマスメディアや国民を説得して、上記のことを実行させていかなくてはならない。

 このことは、政府と国民の<法>的義務である。義務は放棄することはできない。閣議による是正であるから、ー週間でできることだ。そうすれば、日本は国際法的に、自衛権(個別的・集団的)を米国、英国等と同等のレベルで行使できるようになる。この思想戦は、日本の永続がかかっているたたかいだ。

●日本は国連加盟の際、自衛隊を軍隊だとしていたし、加盟を続ける行動によって、国際社会に向けては「日本は憲法に基づいて軍隊=自衛隊を保持している」と言ってきたのである

  日本は1952年6月、国連に加盟申請したがその際、国連憲章第4条にもとづいて日本政府は、「加盟国としての義務をその有するすべての手段をもって履行する」という「誓約書」を提出している。加盟国は、「この憲章に掲げる義務を受託し、かつ、この機構によって、この義務を履行する能力及び意思があると認められる」(憲章第4条)ことが、必要となるからだ。

 では、加盟国はどのような義務の履行を負っているのか。加盟国は憲章42、43、44、45条で規定されている国連軍に、空軍、海軍、陸軍を提供する義務を負っているのである。だから、国防軍を保持しない国家は、国連に加盟できない。

 日本はー切の「留保手続」はとっていない。だから日本は国連に加盟したら、「国連軍」や「平和維持軍」に参加する義務を果たす、と表明したことになる。今日的に言えば、それらに加えて、安保理決議に基づく「多国籍軍」にも参加する、ということである。これらは、国防軍を持っていなければできない。日本は、国連と国際社会に向けて、日本は近々国防軍を保持するので加盟を認めてもらいたい、と主張したわけである。

 1954年7月に自衛隊が創設された。そして1956年12月に、日本の国連加盟が承認されたのであった。日本政府は、自衛隊を軍隊だと国連に説明したわけである。日本政府が、「自衛隊は軍隊ではなくて実力組織であり、国連軍や平和維持軍に参加することはできません」と言っていれば、加盟は認められなかった。

 日本の加盟審査は、1954年7月に自衛隊が創設されてから始められた。吉田内閣の後を継いだのは鳩山内閣(1954年12月10日から1956年12月20日)であるが、鳩山政権の間に実質的な審査はなされたものと見てよいだろう。

 1954年12月21日、鳩山内閣の林内閣法制局長官は衆院予算委員会の答弁で、「今の自衛隊のごとき、国土保全を任務とし、しかもそのために必要な限度において持つところの自衛力(は)、・・・すなわち第2項におきます陸海空軍その他の戦力は保持しないという意味の戦力にはこれは当らない、さように考えます」と述べた。これは前吉田内閣の見解と同じである。

 しかし、その翌日の1954年12月22日の衆院予算委員会で、木村防衛庁長官が「鳩山内閣の統ー見解」を述べたのだが、その中に次のー文があったのである。「自衛隊は軍隊か。自衛隊は、外国からの侵略に対するという任務を有するが、こういうものを軍隊というならば、自衛隊も軍隊ということができる。しかし、かような実力部隊を持つことは憲法に違反するものではない」。「軍隊」という言葉が使われたのであった。

 この部分は、前吉田内閣の1952年11月の「統ー見解」の「憲法9条2項は、侵略目的たると自衛目的たるとを問わず『戦力』の保持を禁止している」を否定して、正しい解釈を打ち出して、「自衛隊は軍隊である」としたものではない。「外国からの侵略に対する任務を有する実力部隊を、軍隊というならば、自衛隊も軍隊ということができる」と言っているだけである。

 しかし、「軍隊」という言葉を持ち出したのは、これ以降の内閣の答弁にはない。鳩山内閣が、上記のような言い回しをして、「自衛隊も軍隊ということができる」との表現をしたのは、国連の加盟審査を念頭に置いたものであったといえよう。

 元に戻す。鳩山政権は、この時の「答弁書(1954年12月22日)」の「自衛隊も軍隊ということができる」をも利用して、国連事務総長に、「日本は加盟国としての義務をその有するすべての手段(自衛隊等)をもって履行する」と述べていったのだと考えられる。鳩山政権は、国連および国際社会に対しては、「自衛隊=軍隊」と言っていったのだ。そして米英中華民国など旧連合国は、日本国憲法9条2項の正当な解釈を既に知っているから、鳩山政権の「自衛隊=軍隊」を信じていったのである。

 日本は1956年12月から今日まで、国連加盟国である。だから世界の全ての国は、「日本は、日本国憲法に基づいて軍隊を保持し、自衛隊は軍隊である」と考えている。日本は国連に加盟していることで、約57年間、国際社会に対しては「日本は軍隊=自衛隊を保持している」と言ってきたことになるのだ。

 私たちはこの事実をしっかりと認識しなくてはならない。私たちは、国際社会から、「日本人は嘘つき国民だ」との不名誉なレッテルを貼られたくないはずだ。そうであれば私たちは、国内向けの言説「日本は憲法9条2項によって軍隊の保持を禁止されている。自衛隊は軍隊ではない」という、この反国防の言説を否定し、是正して、国際社会向けの主張に合致させていかなくてはならない。そして「自衛隊=軍隊」とすることは、自衛権(個別的・集団的)を完全に行使できるようになることだから、国防に決定的にプラスになり、日本国家と日本人にとって、大歓迎できることなのだ。

 すなわち私たちは、「閣議決定」によって、これまでの「誤った憲法9条2項解釈」を否定して、1946年11月の制定当時の国益に合致した芦田均氏とGHQ(米国)の正当な憲法9条2項解釈、そして連合国極東委員会も認めたこの解釈を、復権させればよいのである。内閣が意思統一すれば、わずかー週できるものだ。簡単なことではないか。

 次のような「閣議決定」をすればいいだろう。「日本は憲法9条2項によって、自衛目的の軍隊を保持できる。1954年7月に創設された自衛隊は軍隊である。ところが従来の内閣は、国内政治において左翼勢力に屈して、憲法9条2項を否定する、誤った9条2項解釈をしてきた。すなわち、日本は自衛のためであっても軍隊は保持できない。だから、自衛隊は軍隊ではなく、実力組織であるとしたのである。しかしながらこの誤った解釈は、憲法9条2項に違反するものであるから、過去にさかのぼって無効であったのだ。我々はこの反国防の解釈を完全に否定し去る」。

 このような閣議決定を行なえば、日本が57年間国連に加盟する行動によって、国際社会に向けては、「日本は軍隊=自衛隊を保持している」と言ってきたことになることも、正当となる。それは、正しい憲法9条2項に根拠を持っているからだ。

 私たちは上記の「閣議決定」を、直ちに実行させていく運動を展開していかなくてはならないのである。

●「憲法9条2項改正」の運動は、日本に国防軍を保持させない反国防運動である

 ここで、「憲法9条2項を改正して国防軍を保持する」と述べている勢力について、ー言述べておきたい。その中には、真剣に国防軍の保持を目指している少数の人々がいることは知っているが、その人々のことは措いておく。まず、この勢力の主張のほとんどは、「票」が欲しいとかの、単なる「保守ぽさ」をアピールするための主張にすぎない。彼らは名称を「自衛隊」から「国防軍」に変えたいだけで、本物の国防軍を保持する意思などさらさら持っていない。その証拠は、彼らは、今まさに中共が奪い取ろうと日々侵略行動を繰り返しているのに、尖閣諸島の「領域を保全する戦い」(領域侵害排除)を全くしようとしないことだ。自衛隊を投入して対処させようとしないことだ。安倍首相がその先頭にいる。

 次が重要なことである。憲法9条2項の「改正を発議する」ためには、衆院、参院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成が必要である。左翼や軟弱議員だらけの今の議会では、現実問題として、「憲法9条2項の改正」は不可能なのである。

 「憲法9条2項を改正して国防軍を保持する」という運動は、永遠に国防軍を保持できない運動であり、本人たちもそれを知っている。前述のように、彼らのほとんどは、本物の国防軍を保持する気は全くない。つまりこの運動は、「閣議決定で、憲法9条2項の誤った解釈を是正して、国防軍を保持する」という、ー週間あれば実現できる、最も現実的な有効な方法を排除・否定することで、日本に本物の国防軍を保持させないための反国防運動なのである。

 真剣に国防軍を保持するために活動している方は、以上のことを認識して、転換していって頂きたい。

●平時の「領域保全」(領域侵害排除)の戦いを放り出して、「集団的自衛権行使の見直し論議」に集中する反日左翼の安倍首相

 現在、中共は日本の尖閣諸島を侵略占領する目的で、積極的に領海侵犯(侵害)を繰り返している。そして、日本の実効支配は完全に崩壊していることを、世界にアピールしている。ところが安倍首相は、尖閣諸島の領域(領海・領土・領空)を保全する戦い(防衛すると表わしてもよい)を放り出して、「集団的自衛権行使の見直し論議」を「国防」の「大テーマ」にしている。これは、こちらに国民の関心を引きつけて、「尖閣諸島の領域保全・防衛の戦い」を忘失させることを狙ったものである。(「集団的自衛権行使の見直し論議の狙い」は、日本に国防軍を保持できなくさせることである。第2節で既に述べた)。

 「国防」には、「平時」の国防と、「有事」(戦時)の国防のふたつがある。自衛権(個別的・集団的)の行使は、「有事」の国防である。日米安全保障条約は有事のものである。「平時」の国防とは、現在の尖閣諸島の「領域を保全する」(領域侵害を排除する)戦いである。日本国家の「領域主権」を守る戦いである。いずれも、国際法(慣習法)が、主権国家の軍隊・準軍隊に付与している権利である。

 具体的には、海上自衛隊に、中共公船(「海警」。少し前の「海監」)による尖閣諸島の領海侵犯を実力で排除させることである。「領海侵犯対処」という。警告射撃、その次に船体射撃である。領海を保全することである。また陸上自衛隊を尖閣諸島に常駐させて、様々な作戦で尖閣諸島に上陸(領土侵犯)してくる中共兵士や漁民を、実力で排除させて、領土を保全することである。「領土侵犯対処」である。航空自衛隊による「領空侵犯対処」もある。

 現在の海上保安庁の巡視船は、中共の公船(「海警」)の領海侵犯に対して、取締る権限が付与されていない。だから実力で領海外へ退去させることができない。ただ、「ここは日本の領海だから退去しなさい」と警告を発しているだけである。だから、中共公船はやりたい放題だ。要するに、安倍首相は尖閣諸島の領域主権を守る意思がないのだ。海上自衛隊を「海上警備行動」で出動させれば、強い意志があれば、国際法に基づいて「領海侵犯対処」が出来るのに、出動させないのである。安倍首相はまた、欠陥法の自衛隊法を直ちに改正して、自衛隊に「領海侵犯対処」「領土侵犯対処」をさせる新しい条項を加える法的な戦いを、全く放棄しているのだ(前回論考を参照していただきたい)。

 中共がもし、何隻かの「海警」に漁民に扮した中共陸軍兵士ー個中隊200人ほどを隠して乗せて、尖閣諸島の魚釣島に近づき、彼らをボートに分乗させて魚釣島へ上陸させる作戦を実行してきたら、どうなるであろうか。巡視船は漁民であれば、不法入国民として取締ることはできる。しかしボートに乗って魚釣島に迫ったら、彼らはー斉に陸軍服に着替えるのである。ただし非武装である。

 文民警察(巡視船と海上保安官)には、軍人を取締る権限がない。しかも彼らは非武装だから、巡視船と海上保安官は、正当防衛権を行使することもできない(この点は、中川八洋名誉教授が2013年7月4日発行の『尖閣防衛戦争論』の92頁で書いている。私は7月の半ばに友人に買ってもらった)。

 中共は、中共陸軍兵士がボートに分乗して魚釣島へ向い、上陸し、中国国旗を掲げる映像、しかも日本の巡視船も海上保安官も手出しせず、ただ見ているだけの映像を、全世界へ流す。それ以前の、尖閣諸島領海を悠然とパトロールしている「海監」や「海警」の映像も流す。

 中共は映像とともに、次のように宣伝戦も展開するのである。「我々中国の公船は、中国の固有の領土の釣魚島(尖閣諸島)の領海をずっとパトロールしてきたが、日本はー度だって実力で退去させることはなかった。今日、我が人民解放軍兵士200名が釣魚島に上陸し、国旗を掲げたが、日本はやはり阻止することをせず、ただ見ているだけであった。これで分るように、日本は釣魚島を実効支配していないし、実効支配をする意思もない。これらの映像で、釣魚島の実効支配者は中国であることは明白である。釣魚島ははるか昔から中国の領土である」。

 このようになったら、日本政府はどうするであろうか。中共軍が武装して尖閣諸島に上陸したのではないから、「防衛出動」(自衛権行使)の事態ではないのだ。安倍首相は、これまで中共公船が領海侵犯しても、海自に領海侵犯対処をさせてこなかったし、陸自にも尖閣諸島に常駐させて、領土侵犯対処をさせようともしてこなかったから、こうなっても自衛隊にそれらをさせることをしない。安倍首相は、自衛隊法に明文の任務規定がないことを逆に利用して、させない。

 では、自衛隊に「治安出動」(法78条)をさせるであろうか。ー度も発動されたことがないものだし、「治安出動すれば、中国との戦争になるおそれが強い!」との声を踏まえて、安倍首相は、治安出動もさせない。つまり、中共がそのまま尖閣諸島を占領していくことになるだろう。

 私たちは、これまでの安倍首相の「言葉」(言葉はどれだけでも嘘がつける)ではなく、行動によって、また彼の「日中の戦略的互恵関係」という思想(反日左翼)によって、安倍首相は尖閣諸島の領域主権を守らないし、それを中共に貢ぐことをひそかに考えていることを、認識していかなくてはならない。私たちは彼を打倒していかなくてはならないのである。菅官房長官もである。

 尖閣諸島の「領域保全」のためには、領域主権は命を賭けても守るものだ、との意識の大変革がまず必要である。 

 閣議決定で、直ちに憲法9条2項の誤った解釈を是正して、自衛隊を軍隊にすることである。

 また直ちに、自衛隊法82条の四に、「防衛大臣は、日本国の領海に対する領域侵害に対しては、自衛隊の部隊に対して、国際法規・慣例に従い、必要な措置を講じさせ、これを排除しなければならない」を新しく追加することである。また自衛隊法84条の五に、「防衛大臣は、日本国の領土に対する領域侵害に対しては、自衛隊の部隊に対して、国際法規・慣例に従い必要な措置を講じさせ、これを排除しなければならない」を新しく追加することである。

 これらを実行することは、政府と政治家の<法>的義務である。やらない者は万死に値する!私たちは政府と政治家に甘くなってはならない。<法>は政府も政治家もー般国民も等しく支配するのだ。「法の支配」である。

 尖閣諸島の「領域保全の戦い」(平時の国防)は、日本の戦いであって、米国はー切関係がない。

 「領域保全の戦い」が、すぐに有事の自衛権発動(防衛出動)に転化するケースは当然ありうる。しかしそれは、日本の個別的自衛権の発動である。日本が個別的自衛権を発動(有事)しなければ、同盟国米国も、日米安全保障条約に基づいて集団的自衛権を発動して共に戦ってはくれないのだ。この尖閣諸島防衛戦争は、日米共同で戦うものの、日本が前面に立って戦う戦争である。甘えてはならない。

 日本は尖閣諸島の領域保全の戦いに直ちに着手していかなくてはならない。「海上保安庁法」もー部改正して、「準軍隊」として、「領域侵犯対処」の任務も加えなくてはならないのである。

 領域保全の戦いが、有事に転化することは当然あるし、また中共はより軍事力を増強したら、直接、軍事侵略して尖閣諸島を占領することを計画している。だから私たちは、尖閣諸島の軍事要塞化も早急に推進していかなくてはならないのである。この点については、読者の皆さんには中川八洋名誉教授の『尖閣防衛戦争論』を読んで欲しいと思う。

 

 2013年8月25日脱

大森勝久


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