菅民主党政権も亡国政権である

民主党・政権支持率のV字回復を許してしまった保守派

 私にとって民主党政権は、小沢・鳩山政権であろうと、菅政権であろうと、左翼亡国政権であることは明白である。しかし読売新聞のような巨大な保守系マスメディアが、民主党政権の本質を正しく認識できなければ、一般国民も同様になってしまう。

 5月末、自民党は政党支持率と参院選の比例代表の投票先で、はじめて僅かに民主党を逆転した。5月27日と28日に実施されたNHKの世論調査によれば、普天間飛行場移設問題の5月末決着の約束が守られなかったことで、鳩山首相は辞任すべきという人は51.2%、続投は44.4%であった。政党支持率では自民党が21.9%で、民主党の20.1%を逆転した。参院選比例代表の投票先でも、自民党は20.9%で、民主党の19.9%を逆転した。

 現状分析をした読売新聞は、「混乱の責任は鳩山首相にある」のタイトルの5月29日付社説で、次のように論じていた。「日本政治と日米関係を混乱させた末、『国民との約束』を簡単に破る。一応謝罪はするが、責任はとらない。これが鳩山首相の本質だろう」「辺野古移設は迷走の末、元に戻ったというより、政権発足前より悪い状況に陥ったにすぎない」「名ばかりの『政治主導』で、重大な失政を犯しながら、首相も担当閣僚も責任をとらず、民主党内から強い批判も出ないのは、あまりにもお粗末だ」。

 この社説の分析は正しいだろうか。誤りである。この社説の分析は、鳩山首相(当時)や民主党の虚偽言論、つまり「日米同盟を基軸とする」を、言葉どおりに受けとめてしまっていることから必然的に出てくるものだ。だから同社説は、「政府は、日米合意の実現に向けて、沖縄県や名護市の説得に全力を挙げるべきである」と主張するのである。民主党政権は、ポーズはとっても、真面目にそんなことをするわけがないのだ。

 保守系の読売新聞も騙されてしまっている。民主党は左翼が支配している革命政党である。亡国政党である。民主党は日米関係、日米同盟を破壊しようとしている。だから鳩山首相は、「普天間移設問題を5月末までに決着させる」と言ったが、決着させる意思ははじめから持っていなかった。5月28日の日米共同声明に「辺野古」と明記しても、決着しないように、民主党はそれまでさんざん「最低でも県外移設」と言って、沖縄内外の左翼(民主党はこれを「市民」と呼ぶ)を使って、沖縄県の反米軍基地運動を煽って激化させてきたのである。民主党の方針がそうなのだから、党内から強い批判が出ないのは、当然のことなのである。

 たしかに民主党国会議員には保守派もいる。しかし国家の基本政策中の基本である日米同盟を、破壊していく党と政府の行動に、断固とした批判を展開しないのであれば、その人たちは左翼民主党を支えているのと同じである。それだけではない。保守派の存在によって、民主党は左翼革命政党である正体を、国民や米国などに隠すことができる。そして選挙では、自民党に投票してきたような層からも、票を獲得できる。民主党を支配している左翼が、党内の保守派に与えている役割はこれである。それらの人々は、保守派を自認するのであれば、直ちに民主党を離党しなくてはならない。

 5月28日夜、鳩山首相は、政府の対処方針に署名しなかった福島大臣(社民党党首)を罷免した。それを受けて、社民党は5月30日に連立政権から離脱した。

 読売新聞が5月29日と30日に行った世論調査では、5月末決着を守れなかったことで、鳩山首相は辞任すべきが59%で、その必要なしの36%を大きく上回ることになった。内閣支持率は前回より5ポイント下って19%(前回は24%。カッコ内の数字は前回5月7日〜9日の読売の調査。以下同じ)、不支持率は75%(67%)。政党支持率は、自民党が20%(14%)で、民主党は20%(22%)。参院選比例代表の投票先では、自民党が19%(13%)に対して、民主党は14%(19%)に下げ、逆転したのであった。

 大きな影響力を持っている読売新聞が、もしも民主党の正体を正しく分析できて、国民に提供できていれば、国民の認識も深化し得る。共産党や社民党の支持率が数%であるように、民主党のそれも両党に準ずる数値まで下落するだろう。国民の認識が深化すれば、それは自民党を、国を守れる真正な保守政党へと変えていくことにもなる。だが読売新聞は前述のようであるから、国民も同じような認識になるしかない。だからこそ、世論調査の数値程度にしかならなかったのである。

 だが内閣支持率の20%割れは、危険水域と言われている。だからこのタイミングで、小沢幹事長らが動いた。参議員の改選組を中心に、一気に鳩山首相の辞任を求める大きな動きがつくりだされていき、6月2日の民主党両院議員総会で、鳩山首相は辞意を表明した。小沢幹事長も辞職することにしたのである。小沢氏たちは、いつ頃からは定かではないが、参院選挙前のしかるべきタイミングで、2人が辞任することによって、民主党と政権の支持率を回復させて、選挙戦に突入するシナリオを練っていたのである。

 6月2日と3日に実施された読売新聞の世論調査では、民主党は支持率を前回より9ポイントもアップさせて29%となり、逆に自民党は2ポイント下げて18%になった。比例代表の投票先でも、民主党は11ポイント上げて25%、自民党は1ポイント下げて18%になり、民主党は逆転を勝ち取ったのであった。

 6月4日の党代表選挙で、菅直人氏が新代表に選出され、午後の衆参両院の総理指名選挙で、新総理に指名された。菅氏は7日に民主党の役員人事を行い、8日に新内閣を発足させた。読売新聞が8日夜から9日にかけて行った世論調査では、内閣支持率は64%の高い数字になった。民主党支持率はさらに10ポイントアップして39%になり、自民党支持率はさらに4ポイント下がって14%であった。比例代表の投票先では、民主党はさらに11ポイントも上げて36%、自民党は5ポイント下げて13%と最低水準になってしまった。

 民主党とその政権の支持率のV字回復を許してしまったのは、保守派全体のたたかいの決定的な弱さのためである。たたかいの土台は思想である。

仮に小沢支配がなくなっても民主党の本質は変わらない

 6月9日付の読売新聞の社説は、「菅首相が閣僚・党役員人事を通して『小沢支配』排除の姿勢を打ち出したことは、民主党への支持を回復させ、『新しい政治』の期待を高めている」とし、「前内閣では、与党・社民党の存在が外交・安全保障政策の足かせとなった。社民党の離脱を機に、新内閣は、日米同盟の強化や自衛隊の海外活動の拡充に取り組むべきだ。この分野では自民党との連携もあり得よう」と、完全に誤った主張を展開している。保守系の読売新聞が、誤った「菅民主党政権像」を国民に流して、左翼政権を支えてしまっているわけである。

 仮に小沢支配を排除できるとしても、民主党の本質が変わるわけではない。社民党の存在が外交・安全保障政策の足かせになったというのも、とんでもない認識不足であり、民主党の表面的な言葉に欺かれてしまっている。民主党自身が、日米関係と日米同盟の破壊を目指しているのだ。民主党を牛耳る左翼は、より一層ずる賢いから、国民を騙して利用するために、正体や目的をカモフラージュする言動を駆使しているのである。

 鳩山首相は、6月2日の両院議員総会における辞任スピーチで、「アメリカに依存し続ける安全保障を、これから50年、100年続けて良いとは思いません。(・・・)だから鳩山がなんとしても少しでも県外にと思ってきたその思い、ご理解を願えればと思っています。その中に私は、今回の普天間の本質が宿っている、そのように思っています」と述べて、日米同盟否定論を展開した。それは、同スピーチでも述べられたが、日中韓が中心となる「東アジア共同体」建設と一対のものとして主張されている。

 菅直人氏も6月4日の民主党代表選挙に臨んだ演説で、次のように述べている。「きょうの鳩山内閣としての最後の閣議で、鳩山首相からメモをもらいました。『日米、日中、日韓、よろしくお願いします』と書かれていました。また首相から引き継いでほしいと話があった、地域主権改革、新しい公共、東アジア共同体、地球温暖化対策の4点に全力で取り組みます」。

 菅氏が鳩山内閣の、これらのまさに亡国政策を継承するのは明白であった。そして民主党議員は、菅氏を新代表に選出したのである。驚くことはない。それはずっと前からの民主党の内外政策であるからだ。菅首相は6月11日の「所信表明演説」でも、これらの政策を実行していくと主張したのであった。仮に小沢支配がなくなっても、民主党左翼政権の基本政策は変化しないのである。

 1996年9月に結成されたもともとの民主党(菅氏と鳩山氏が共同代表)は、「新党さきがけ」の鳩山氏と菅氏が社会党と手を組んで作った政党である。旧社会党やその系列の人々が大多数を占める政党である。党の事務局も、旧社会党のメンバーで占められている(伊藤惇夫氏『民主党』。42頁、186頁。伊藤氏は元民主党事務局長)。結成に際しては、自治労などの左翼大労組が資金援助をしたと言われている(同書42頁)。もちろん選挙運動を支えてきた。

 このように民主党は左翼が支配する政党なのである。ただし、共産党や社民党のような「表現」は用いない。要するに、国民を騙して政権を奪取することを目指してきた政党だということである。先に述べたように、保守派も党内に入れて、自民党支持層からも支持者を奪い取ろうとしてきた政党だ。このような基本路線を持つ民主党(96年の旧民主党と98年の新民主党)の結成には、旧ソ連=新ロシアや中国の有能な工作員が暗躍したはずである。

 自由主義国の議会政治は、もちろん祖国の安全と独立を守ること、自由を守ることを、基本原理とする政党によってなされるものである。民主党は失格である。またもちろん有権者である国民を騙してならず、真実の言葉(政策)を語らなくてはならない。民主党は失格である。左翼政党の言葉は、国民を騙すことが基本になっている。民主党は違憲政党なのだ。

菅首相も日本国家の解体をめざす革命家である

 獄中では多くの物を居室に持てないので、雑誌などは必要な論文を切り取って保管することが多い。2日かけて、昔切り取ったものの中から、菅直人氏に関する論文を探し出した。菅氏を理解するのにうってつけのものがあった。『文芸春秋』1998年11月号の遠藤浩一氏の「証言構成―菅直人 憲法を変える、日本を壊す」である。

 1998年の金融システム不安の時のことである。都内で開かれた研究会に、民主党代表の菅氏が招かれ、金融専門家が日本の金融システムがいかに危険な状態にあるかを説明した後に、菅氏に対して、「もし野党があくまでも突っ張って国会が空転すると、日本の金融システムそのものが崩壊の危機にさらされることになるが、それでもいいのですか」と質問したのである。そのとき菅氏は次のように述べた。引用する。

 「菅は、平然と言い放った。『それでもかまわない。日本は焼け野原になって、再び『8月15日』からやり直せばいい。今のやり方を変えずに、微調整を繰り返しながら低空飛行を続けても、その間に有為な人材がいなくなってしまう。それより一回飛行機を落としてしまって、二十年後に復興させればいいじゃないか』

 出席者は、菅のあからさまな<破壊への意志>を目のあたりにして、唖然とした。さらに別の学者が『菅さんは左の小沢一郎という声もありますが、話を聞いていると、あなたは織田信長みたいな独裁者になるのでは?』と質したのに対し、『民主主義というのは、交代可能な独裁なんです。選挙で政治家や政党を選んだ以上、任期いっぱい、その政治家や政党の判断に任せるべきだ。私は、強力な中央集権のもとで地方分権をやりたいのです』と、答えたという」。

 菅氏は現在のような日本は、一度焼け野原になって、そこからやり直すのがよいと言っているわけだが、もしそうなったならば、国民は貴重な財産を失い、無数の国民が命を落とすことになる。菅氏には、国民のそうした悲惨さへの視点は皆無だ。というより、日本を破壊することに快感を抱いている発言である。1998年の日本をとりまく国際環境で、日本がもしそのような壊滅的な状況になったならば、20年後の復興などありえない。そればかりか、左翼が国家権力を奪取して、中国やロシアと手を組んで、日本は両国に分割支配されることになる。植民地化される。日本の亡国である。最初の発言は、菅氏が日本の国家社会体制を徹々的に否定し、憎悪しているからこそ、出てくるものである。超過激な左翼の精神構造が、そこに現れている。

 菅氏はその雑誌で、自分がやりたいことは、「自立した市民が共生する社会」をつくることだと発言している。また「日本の国の形を民主的な幕藩体制に戻す。というより新たに創ることです。中央政府の権限を限定して分権連邦国家という形に日本の国の形を変える」ことだと言っている。6月11日の「所信表明演説」では、「市民自治」「新しい公共」「地域主権の確立」という表現で言及されている。民主党の「政策集」の「インデックス2009」には、「地域主権国家をつくる」とうたわれている。

 しかし菅氏や民主党の左翼がめざすものは、分権連邦国家や地域主権国家というような生易しいものではない。菅氏や民主党の左翼が言う「主権を持った市民」とは、国民のことではない。「国境を越えた市民」「地球市民」(1996年、民主党の「民主党の基本政策」より)のことである。つまり国家を価値否定している左翼運動家のことなのである。民主党が外国人に地方参政権を与えようとしているのも、日本列島は日本国民だけのものではなく、定住外国人のものでもあると考え、国家を価値否定しているからである。民主党は、「地域主権国家」をつくっていくと宣伝して、国民を騙して、日本国家を解体することを目指しているのである。その行き着く先が、「東アジア共同体建設」だ。共産主義の主張こそないが、かつての左翼の世界革命と同じである。

 菅氏は1998年当時、党代表として「常時駐留なき安保」を唱えていた。かつ先の雑誌でも、「中国は(・・・)日米、日中、米中のトライアングル関係がきちんと構築されれば、軍事的脅威は心配ないと思う」と、親中発言をしている。民主党は日米同盟を否定する左翼亡国政党なのである。

菅首相も独裁支配をめざす

 先の雑誌の2つ目の菅氏の発言、「民主主義というのは、交代可能な独裁なんです。選挙で政治家や政党を選んだ以上、任期いっぱい、その政治家や政党の判断に任せるべきだ」は、小沢一郎氏が主張してきたことまったく同じである。選挙で主権者から政権与党に選ばれれば、政権与党はどんな政策でも立法化し実行していくことができる。野党の意見など聞く必要はない。独裁的に実行できる。菅氏もこう主張しているのだ。菅氏も小沢氏も民主主義者ではない。左翼は、全員、民主主義者ではありえない。独裁主義者である。

 菅氏は『大臣 増補版』(2009年)で、「現行憲法の原則は『国民主権』であり、三権分立の規定はどこにもない。(・・・)国会で多数を得た政権党が全責任をもってその党のリーダーを総理とする内閣をつくるのが、国会内閣制である。(・・・)国会で多数を与えられた政権党は次期選挙までは『立法権』と『行政権』との両方を国民から託されたことになる。(・・・)『平成維新』と呼べる大改革が可能だ」と述べている。

 国民は政権与党に立法権を託していない。託していると考える菅氏は、ソ連共産党や中国共産党と同じ「党主権」(=党独裁)の考え方をしている。独裁政党の体質なのだ。日本国憲法は「立法権は国会にある」と規定しているのであり、政権与党にあるなどとは断じて言っていない。国会で与党と野党が論戦をする。国民もそれを見て、読んで、野党の主張が正しいと判断したときには、与党を批判する。そういう中で法案の修正がなされることも出てくる。国民が注視している中で、十分な審議をした上で、採決していく。これが立法権の在り方である。菅氏ら民主党はこれを否定する。また国会には「国政調査権」がある。三権分立だ。民主党は憲法を否定しているのである。

 民主党は、永住外国人に地方参政権を付与する政策を、「政策集」(2009年)には記載したが、「マニフェスト」には載せなかった。しかし政権を奪ったら、その法律案を国会に上程しようとした。これは一例に過ぎないが、民主党が「国民は立法権を民主党に白紙委任した」と考えている証拠である。

 それは、民主党が「国民と党との関係」をどう考えているのかを如実に示している。つまり「党が主権者だ」(党独裁)ということである。民主党は「国民主権」とか「市民主権」と言うが、それは、「反対語」(嘘)なのである。左翼の言葉は、国民を騙す嘘が基本である。民主党が言う「市民自治」ももちろん反対語である。市民が左翼運動家の場合でも、あくまでも党が主体、主権者であり、左翼運動家は党の決定に従うだけである。

 民主党の国会運営は、自民党政権時代とは様変わりで、数の暴力で、一方的に短期間で強行採決してしまうものである。立法権と行政権は党にある、と憲法を否定する考え方をしているからだ。もし民主党が参院選で単独過半数を獲得すれば、どんな憲法違反の悪法律でも、数の暴力で通過させていくことが可能になる。

 そうなれば、国家機関は民主党の下部機関に改造されていく。正統な野党は存在できないようにされていく。保守系のマスメディッアも同じ運命をたどることになっていく。国民の自由は圧搾されていく。日本は、プーチンのロシアのような、実質的な独裁国家に改造されていくことになってしまう。「交代可能な独裁」などありえないのだ。そしてその先に、中国とロシアによる分割植民地支配が待っている。亡国だ。

 民主党は 亡国政党・政権である。「脱小沢」になっても、党の本質は何ひとつ変わらない。たたかいの武器の基本は思想である。私たちは民主党の正体を見抜き、それを行動によって国民に広く知らしめて、参院選挙で民主党を大敗北に追い込んでいかなくてはならない。

大森勝久

(2010年6月13日記・6月30日掲載)


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