地政学が要求する日米核同盟

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 「拉致」は日本国家の領域侵犯であり、国民を外国へ強制的に連れ去ることですから、日本政府には、北朝鮮に対して主権侵害を非難し、謝罪させ、拉致被害 者を全員帰国させ、賠償させる法的義務があります。国家としてやったことですから、北朝鮮を代表して金正日が謝罪し、賠償しなくてはなりません。

 金正日の北朝鮮が拒んでいる以上、日本国家として実力で拉致被害者を奪還し、謝罪と賠償を勝ち取らなくてはなりません。法的な義務ですから、放棄はでき ない。

「在外法人保護権」は国際法が主権国家に認めていることであり、そのための「軍事力の行使」を認めています。憲法は98条2項で国際法の遵守を命じ ていますから、これは日本政府の法的義務です。

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 しかし左翼はこうした主張はしません。だからマスコミは政府を攻撃しません。一方の保守派や一般国民は「政府とは争わない」とか「お上意識」ですから、 世論は盛り上がらず、だから政府も義務を放棄して動かないということで今日まで来たのでした。

 政府にも国民にも、法の支配の思想がなかった。そのような日本国民であったのでした。

 憲法9条の改正は保守派の旗のように言われていますが、単なるファッションのようなものでしかありません。政府や自民党の幹部の誤りを批判してでも改正 を実現するという姿勢などありません。「主権国家の自衛権の確立だ」とか高尚そうな言辞がなされようとも、売文や人気取りのためのファッションでしかあり ませんでした。保守派には思想というものがありませんでした。

 だからこそ、特定失踪者問題調査会代表の荒木和博氏が批判しているように政府は拉致を隠し続け、明らかになってからも安倍政権になるまでは経済制裁すら 発動できませんでした。政府非難の大きな国民運動は起きませんでした。そういう政府、政治を国民が許してきたのでした。一国の政治は国民のレベルに見合っ たものにしかならないというのは真理です。根は深い。

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 しかし人間は変わり得るし、保守の思想性と高潔な人格を有している人であるならば、真正な保守思想に接すれば、突きつけられれば、短期間で変わりうると 思います。今は誤った思想やどうでもいい思想があふれて、真正な思想がそれによって隠されてしまっていると思います。やはり保守言論界の潮流が変わること も(変えることも)とっても大事な課題と思います。

 首相や幹事長やその周りの人々に直接話せる立場にいる人々の奮闘を期待したいです。本来ならば、首相や幹事長やそのブレーンが、アンテナを張り巡らし て、この国の真の学者・知識人の主張を探し出して、招いて、その主張を聞き、政策を作り上げていくというシステムがつくられていかなくてはなりません。政 治は、政治家と官僚だけの私有物ではありませんから。

 文明国家の政治は、政治家と官僚が自由に、私物的に行ってよいものではなく、祖国とその法に支配されて行うものだという社会意識が作られなくてはいけな いと思います。だから、それが出来ない者は政治に携わる資格を失している者であるから、すぐに更迭されるという社会意識です。真正な保守思想とはそういう ものでしょう。保
守派から、保守思想に基づいた政府、議会批判がどんどん出されないとなりません。

 左翼が間違っていても行動するのは思想があるからですが、保守派には思想がありませんでした。ですから行動しません。保身。一般国民も同じでした。

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 北朝鮮は200基はあるといわれるノドンミサイルで日本を狙っています。核弾頭が5〜6基、あとはVXガスやサリン弾頭ということになります。これに対 しては、ブッシュ政権が打ち出した「自衛の予防的先制攻撃」が国際法(新しくつくられた。発見された)で認められています。日本の自衛権行使です。拉致被 害者の救出は、離島に隔離されているのであればともかくも、そうではありませんから、98条2項と国際法(在外法人保護権)に基づく自衛隊による軍事作戦 によっては解放できません。

 9条の自衛権を発動して金正日独裁政権を打倒する中で、救出するということになると思います。もちろん、その前には全面的制裁を実行し(総連解体、土 地、建物差し押さえ)、米国に協力要請を行い、核SLCMトマホークを緊急輸入します。非核3原則は閣議決定をもって廃棄します。NPT条約はとりあえず 一時的に脱退します。その後本当に脱退。

 「拉致被害者を全員解放せよ。ノドンミサイル、その工場、核施設をすべて破壊せよ」と要求します。「さもなければ核武装して攻撃する」と通告します。日 本の核武装を恐れる中共は、このような日本の動きを見て、核武装を阻止するために、金正日に拉致被害者を解放するよう圧力をかけることは大いにあることで す。

 そうなったとき、日本は中共も金正日も騙してやればいいです。「拉致被害者全員の解放と謝罪と犯人の引き渡しがなされれば、核武装はやめてもよい」と 言ってやる。全員解放されたら、「ノドンと核があるので、核武装はやめるわけにはいかない」と主張すればいい。

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 日本は、核武装しなければ、中共、ロシアの征服から国の独立を守れないという厳然たる事実を、政治家と国民が認識するのが先決です。北の核や拉致解決の ためだけでは、核武装を決断できません。核超大国ロシア、核大国中国の日本征服という「極めて近い将来の現実」を見すえなくてはなりません。

 これを隠してしまうのが6ヶ国協議です。バカみたいなものです。中国とロシアへの幻想をつくりだす。米国政府の根本的な誤りです。隠れ左翼の工作があっ たでしょう。

 戦うと言う高貴な精神を持ったときでないと、他者(拉致被害者)のことも真剣に考えられないと思います。また戦う精神は(個別の人はともかく)国民レベ ルでみれば、自分たちの存在(国の存立、生命、財産、自由)が脅かされていると認識・実感したときに創られてくるものでしょう。ですから、対中国、対ロシ アという視座で日本の安全、独立を考え、その中に北の拉致、ノドン・核も組み込んで考えていくことが必要だろうと思います。両国と左翼の情報心理戦と戦っ ていかなくてはなりません。

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 地政学的に、日本は永遠に米国と同盟するしかロシア、中国の征服から国の独立を守れません。日本が核武装しても、米国の大量の核戦力と有機的に結合しな い限り、ロシアの核に対抗できないからです。ですから「自主防衛」というのは正確ではありません。文字どおりのそれをやることは、日本の滅亡への道です。 日本は核武装しても、日本一国ではロシアの核戦力と対抗しえません。核を特殊兵器と見て、相互抑止が働くので少ない核でもロシアと対抗出来るという論は誤 りです。ロシアは「核戦争を戦い生き残る、勝利する」ことを戦略にしています。産業も人口も分散しています。

 そしてロシアが全体主義国であることは決定しています。父ブッシュは騙されただけです。

 内陸国家のロシアと中国に接する日本は、生き残る(もちろん自由国家として生き残る)ためには、自ら核武装して米国と同盟するしか途がありません。これ は地政学によって決定した永遠の真理です。米国は自由の国です。これも決定しています。

 “自主防衛論者”には、反米主義者が非常に多いです。そしてロシアと同盟すればよいなどと気が狂ったようなことを言う人もいました。自由など考えてない し、ロシアとの同盟は日本の死であることすら認識しえていません。戦前の反米の国家社会主義の流れがあるのでしょう。当時も「日ソ連合」が唱えられたこと がありました。共産主義者が偽装した国家社会主義者だけでなく。その結果は「中立条約」を破っての日本侵略でした。

 日本は核武装しても米国と同盟して日本を守るのですから、自主防衛ではありません。「アメリカの核の傘には依存するしかないが、それのみではもはや日本 を守れない状況になっている。ロシアと中国。従って日本は核武装して、日米核同盟となり、日米合同の対ロ対中二段階核戦争戦略を構築して行く」ということ だと思います。

 ここに、日本の自主的な努力が求められますが、それを自主防衛と言うのでしたら問題はありませんが、これまでの経緯がありますから、自主防衛の用語はさ けるのが正しいでしょう。
 
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 日米核同盟(日米台核同盟が正しいと思います)をつくるには、「これまでの親米保守派(米国にただ従うだけ)」を厳しく批判していかなくてはなりませ ん。また米国側の誤った核政策についても、厳しく批判して改めさせていかなくてはなりません。従来の親米保守派は、日本独自の努力、日本の自主的な努力を 放棄してきたと言ってよいと思います。9条問題で明らかです。こんなものは一週間あれば正常化できます。左翼に負けてきただけです。中共にも媚を売ってき た。政治家に本当に保守思想がありません。だから拉致も隠してきたのでした。

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 一方の米国の核政策も誤っています。米国が核において絶対的優位であった60年代までならばまだしも、それ以降は日本の核武装は米国の国益でもありまし た。米国の核政策を反米的に歪曲してきたソ連や中共のエージェントのキッシンジャーのような人物の暗躍がありました。こういう連中が日本に核武装させては ならないと主張してきたのでした。国務省官僚や民主党議員にも多い。中共の影響です。

 しかし、共和党議員にも民主党議員にも「日本は核武装すべきだし、それは米国の国益にもなる」と正しく世界情勢を分析している人もいます。そういう人々 の主張こそ大いに日本に紹介していくべきです。日本の“反米保守派”の中には「日本に核武装させてはならない。それは米国の国益に反する」と主張するアメ リカの学者や議員や“保守派”のことばかりを紹介して、「反米」を扇動する者が非常に多いのです。

 そのように主張するアメリカ人は、真の保守派や真のアメリカ人ではない。キッシンジャーのように共産主義者の偽装や中共やロシアの影響を受けているアメ リカ人ですから、また誤ってしまっているアメリカ人ですから、それらの主張をもって、アメリカを代表さすのはペテンです。でも意図的にそうします。反米感 情が土台にあるからです。彼らは保守ではなく右翼です。

 私たちはそうではなく、同盟国の立場で、誤っているアメリカの核政策を理論的に冷静に批判して、説得していかなくてはなりません。これをやれば、大部分 のアメリカ人は日本の核武装を支持するはずですし、アメリカの国益にもなりますから。なおさら支持します。これをやれるのは、「真の親米保守派」しかいま せん。まず日本の保守派は、日本国民に核武装の必要性を説得しなくてはなりません。日米核同盟の必要性です。

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 ユーラシア大陸を支配する者はアフリカをも支配する。つまり世界島支配です。そして「世界島を支配するものは、全世界を支配する」。これは英国のマッキ ンダーの地政学(政治地理学)であり、米国のスパイクマンの地政学に継承されました。

 つまり、ランドパワーのロシア、中国にユーラシア大陸を支配させてしまえば、それはユーラシア大陸の周縁部(リムランド)の韓国、日本、台湾、フィリピ ン、インド、インドシナ半島、イギリス、仏、デンマーク、イタリア、トルコなどのことですが、これらをも支配さすことを許してしまうということですが、そ うするとランドパワーは巨大なシーパワーも建設して、アメリカを世界島から締め出すことになります。そうなると、米国は世界島の両側から包囲されることに なり、いずれ倒されて行くことになります。

 ここから米国の世界戦略として「リムランドの有力国と同盟して(NATOや日米同盟等)ランドパワーにユラーシア大陸を支配させないようにする」ことが 出てきます。それがアメリカの国益であると同時に、自由世界の平和になります。つまり、日本や英国などの国益は、米国の国益と一体です。アメリカの中に、 このことを正しく理解する真の保守派、真のアメリカ人がいます。共和党議員はほとんどの人が日本の核武装を支持します。民主党議員でもかなりが支持しま す。 日本の核武装は断固支持されるものです。こういう観点から、今の米政府の対中、対ロ政策の誤りを根本的に改めさせていかなくてはなりませんが、まず日本は 自分自身が異常な国家から正常な国家に脱皮することです。

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 9条の改正は、これを実施すれば現在よりも悪化するのは明白です。3分の2以上で発議ですから、民主党の意見を入れて、自衛権に制約がつけられるのは必 至です。自衛隊を軍と規定して、それに制約を付けたのでは救いようがなくなります(現在は自衛隊は軍ではない。実力組織ということで、最小限の武力行使と いう制約になっています)。

 閣議で「従来の9条2項の解釈は誤っていた。日本は自衛のための軍を保有できる。自衛隊は軍隊である」と是正決定し、裁判所が支持すればよいのです。 1946年の時点で連合国がそのように認めています。自衛権・軍に制約をつけるのは反国家行為です。違法・違憲行為です。国家と法に対する反逆罪です。

 上のようにすれば、日本軍は法的に米軍と同等です。安倍政権は直ちに国民を説得し、閣議決定でこれをやるべきです。もう時間の猶予はありません。反対す る勢力は中共・ロシアの手先(客観的に)の左翼であり、侵略勢力なのですから、そんなものに規制されたのでは目も当てられません。

 「解釈改憲」といいますが、反国家的に誤っていた従来の解釈、違法な解釈を正しいものに戻すのですから、うしろめたいことは何一つなく、そればかりか是 正しないことが誤りです。法の支配に反する。

 この正当な方法があるのに、「9条改正」を言うのは、日本を正常な国家にしたいと思っていないのが本心なので。

 改正すれば核武装はダメだとか、専守防衛に徹し海外派兵は認めないとか制約されてしまいます。

 軍はシビリアンコントロールすればよく、国際法と国際慣行に基づいて運用されるものです。自衛権と軍に制約をつけるのは反国家・違法違憲行為です。
(2007年5月17日記・6月21日掲載・28日誤字等一部修正)
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