中露軍艦の連携した対日侵略行動と戦わない反日売国の安倍首相/英国のEU離脱が意味するものは西側自由世界の対露中安全保障の弱体化である

●中露軍艦が連携して尖閣接続水域に侵入するが、全く戦うことをしない安倍政府

 ロシア海軍の3隻の艦艇は6月8日午後9時50分、尖閣諸島の南から接続水域に侵入し、久場島と大正島の間を北へ向って航行して、6月9日午前3時5分に接続水域を出た。中共のフリゲート艦1隻は9日午前0時50分に、久場島北東沖の接続水域に北側から侵入し、南下して久場島の領海に侵入する手前で東に向きを変えて航行し、大正島の接続水域に入り、そこから北に進路を変えて、ロシア艦艇が接続水域を出た5分後の午前3時10分に接続水域を出たのであった。中共とロシアの4隻の軍艦は、9日の午前0時50分から午前3時5分までの2時間15分もの間、共に尖閣の接続水域内を航行したのである。

 斎木外務省事務次官は9日午前2時頃に、中共の程駐日大使を外務省に呼んで、「一方的に緊張を高める行為だ」として強く抗議し、接続水域から出るよう要求した。程大使は「尖閣諸島は中国の領土。日本の主張を受け入れることはできない」と反論した。日本政府はロシアに対しては、「必要な注意喚起は行った」(菅官房長官)のみであった。「中国とロシアの行動は区別して対応する」(斎木次官)。

 今回の中露海軍軍艦の行動だが、事前(6月5日以前から)にしっかりと申し合せて行ったものであることは明白である。ロシアと中共は2012年から毎年、日本海などで対日米の合同軍事演習を実施してきているではないか。またロシア国防省のアントノフ次官は6月5日、アジア太平洋諸国などの軍高官が集まる「アジア安全保障会議」で、「軍事協力を積極的に進める第一の相手は中国だ」と表明し、「中国との合同海上演習は大きな関心を呼んでいる」と語っていた(6月10日付け読売新聞)。すなわちその具体化として中露海軍は6月9日に、合同演習ではないものの尖閣接続水域を連携しつつ航行したのである。中共がロシアに、外洋で訓練していたロシア軍艦を尖閣接続水域を通る形で母港ウラジオストクへ帰ってもらえないかと持ちかけて、プーチンが快諾したということである。ロシア海軍艦艇はいつもは尖閣の西側公海を通って戻っている。

 だが防衛省は6月9日、「中国艦艇はロシア艦艇と海自護衛艦に合わせるように接続水域に入ってきた。このため現時点では両国が連携した動きとは考えにくい」と分析していた(6月9日付け読売新聞夕刊)。現実を正しく分析できない、また正しく分析しようとしない防衛当局の姿がここにある。

 これには確固たる理由がある。独裁侵略者プーチンに深い友情を抱く反日売国の共産主義者の安倍首相(保守派に偽装しているが)は、2013年12月に日本で初めての「国家安全保障戦略」を閣議決定し、そこでロシアに関して「東アジア地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、安全保障及びエネルギー分野を始めあらゆる分野でロシアとの協力を進め、日露関係を全体として高めていくことは、我が国の安全保障を確保する上で極めて重要である」としたからである。安倍首相は「日露の戦略的パートナーシップ」を唱え、中国をけん制するために日露安保協力をすすめると言う。

 官僚も政治家も安倍首相のこのロシア認識と戦略に規定されて、現実を直視して正しく分析することができなくなっているのである。これらに反する分析はしたくないのだ。反する分析をすれば、安倍首相らににらまれて昇進等が不可能になるからである。だからそちらの方向は思考停止になってしまう。保身である。

 ロシアは独裁侵略国家である。2014年3月のウクライナのクリミヤ半島を侵略しロシア領にしてしまったことでも十分証明されている。安倍首相はロシアの尖兵であり、上記のように日露関係を規定することで、日本の対露国防を解体してロシアに北海道を侵略占領させようとしている。謀略政治である。またロシアと中共は同盟国の関係にあり、安倍首相が言う「ロシアによって中国をけん制する」も真っ赤な嘘で、謀略政治である。

 中共とロシアの海軍は6月9日、尖閣諸島奪取をめざす中共のために、連携して両軍艦を尖閣の接続水域内を2時間15分も航行させる侵略行動を展開したのであった。

 中共は既に公船によって、尖閣領海内のパトロールを常態化している。安倍内閣は「口先の抗議」をしているだけで、戦う姿勢などゼロである。海上保安庁の巡視船は中共の公船に対しては、警告射撃すらできない。国際法がそう定めている。だから単に「領海外へ退去せよ!」と言葉で言うだけである。巡視船は、中共公船を強制的に領海外へ退去させることができないのだ。

 つまり安倍首相は尖閣諸島を守る考えを持っていなく、中共に貢ぐつもりである。中共は尖閣諸島を奪うだけではなく、南西諸島(沖縄、奄美)の侵略占領をめざしている。だが「国家安全保障戦略」」(2013年12月)はそんな独裁侵略国家の中共について、「日中の戦略的互恵関係の構築・発展」と述べるのだ。これは日本を中共の属国にする「戦略」である。これが日本の国家安全保障戦略であるわけはない。安倍首相は中共の尖兵でもある。日本国民は安倍首相の謀略政治と反倫理によって教育・洗脳されて、安倍首相を批判できない奴隷のように従順な存在になってしまっている。

 私たちは「反日の国家安全保障戦略」を否定し破棄しなくてはならない。ロシア・中共の尖兵である反日売国の安倍首相とその仲間を倒していかなくてはならないのである。

●中共軍艦が鹿児島県沖の領海を国際法を否定して侵犯するが、抗議もしなかった安倍政府

 中共の軍艦1隻(情報収集艦)が6月15日午前3時30分から午前5時までの1時間30分にわたって鹿児島県沖の領海を侵犯した。日米インド3国は海軍の共同訓練を行っていたが、中共の情報収集艦は、参加しているインド海軍艦艇2隻を追尾して口永良部島の西から領海に侵入して屋久島の南から領海を出たのであった。中共の情報収集艦はさらに追尾を続けて、6月16日には沖縄県の北大東島周辺の接続水域内を午後3時5分から午後4時まで航行したのだった。

 国際海洋法条約は、軍艦であっても敵対的な行動をとらない限りは他国の領海を通過できる「無害通航」の権利を認めている。中共は6月15日の1時間30分に渡る日本領海通航を「無害通航」であると主張した。国際法を否定する侵略国家中共だ。

 中共の情報収集艦は、日本が自らの安全、防衛のために実施している日米インド3国の共同訓練の情報収集活動を日本の領海内で行ったのであるから、「有害通航」であるのは明明白白だ。国際海洋法条約第19条の2項(有害通航)の(c)は「沿岸国の防衛または安全を害することとなるような情報の収集を目的とする行為」である。これに該当する。中共軍艦は国際法に違反する領海侵犯をしたのである。だから日本政府は、中共情報収集艦が領海内に侵入した時点で、断固抗議しなくてはならなかった。そしてしかるべき実力措置を取らねばならなかった。

 ところが日本政府はこれをしなかったのだ。「日本の主権を脅かすような活動はしていないようだ」(政府筋)と見て、6月15日に「抗議」はせず、「懸念」を伝えるにとどめたのだ(6月15日付け読売新聞夕刊)。これが日本を中共の属国にするために「日中の戦略的互恵関係の構築・発展」を方針にする、中共の尖兵である反日売国の共産主義者の安倍首相が率いる日本政府である。読売新聞6月16日付けには、「日本国際問題研究所」の小谷哲男主任研究員の、「日本は、中国も含め他国に事前通知なしの無害通行を認めており、今回のケースは国際法上違法とは言えない」の意見が載った。政府も政府を批判できないマスコミも、こうして国民を洗脳していく。

 世耕官房副長官は6月15日の記者会見で、「中国は(尖閣諸島を)自分の領土という独自の主張をする中での(6月9日の尖閣)接続水域航行とは対応に差があってしかるべきだ」と説明した(6月16日付け)。これは、「戦略的互恵関係を構築し発展」させていくべき中国様だから、抗議はしません。国際法違反の領海侵犯であっても、中国様だからそうだとは言いません、ということだ。

 国際法を守らない安倍政府のこうした対応が、中共とロシアの更なる日本侵略行動を促進させる。私たちは法の支配を守らなくてはならない。日本国憲法第98条2項は、「日本国が締結した条約および確立した国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」であり、国際法の支配を定めている。安倍内閣は憲法違反を実行している。98条1項は、国際法に違反する法律、命令、国務に関するその他のすべての行為は無効だとしている。憲法違反の行為は無効なのだ。安倍内閣の「反日的な憲法9条解釈」も、国際法は国内法(憲法を含む)の上位の法であるから、軍事に関する国際法に違反していて無効である。これが法の支配だ。日本国民は「法の支配」を全く理解していない。

●「海上警備行動」(自衛隊法82条)を発令しても、海自艦は他国軍艦と公船に対しては武器を使用した強制措置を取ることはできない!

 日本政府は尖閣諸島の領海に中国軍艦艇が侵入した場合は、海上自衛隊に「海上警備行動」を発令し艦艇を派遣する方針を決めている(2015年5月閣議決定)。だがこの海自艦は中共軍艦をまた中共公船でも武器を使って強制的に領海外へ退去させることなどができないのだ。安倍首相はこれを国民に隠している。騙しているのだ。

 閣議を開いて自衛隊法82条の「海上警備行動」を発令しても、これは国内法に基づいた警察活動であるから、自衛隊法93条(海上における警備行動時の権限)の2項、3項によって、この時の自衛官の職務は海上保安庁法によって律せられる。そして海上保安庁法は、他国の軍艦や公船に対して武器を使用した強制措置を定めていないのである。なぜならば国際法が公船(海上保安庁法に従う公船)には、他国の公船や軍艦に対する武器を使用した強制措置を行う権能を認めていないからだ。警告射撃すらできない。国際法は国内法に優位する。国際法の支配だ。

 海上自衛隊の艦艇に、領海侵犯を行う中共軍艦や公船を武器を使用して領海外へ強制排除させるためには、国際法が各国に認めている「平時の国防」である「領海侵犯対処規定」(領海保全侵害排除規定)を自衛隊法に盛り込む必要がある。誤っている自衛隊法の改正である。

 昨年の「安全保障法制国会」の審議において、海上自衛隊に「領海侵犯対処任務」を加える新たな法整備(領海警備法)をする必要があるのではないかと民主党から質問されたとき、安倍首相は「海上保安庁と自衛隊が密接に連携し、いかなる不法行為にも切れ目のない対応を確保する態勢が整備したので、新たな法整備が必要とは考えていない」と答弁した。安倍首相は国民を意識的に騙したのであった。

 安倍首相は自衛隊法に国際法に基づく「領海侵犯対処規定」また「領土侵犯対処規定」を盛り込む法改正を拒絶してきた。憲法98条違反の行為である。つまりロシア・中共の尖兵である反日の安倍首相は、平時において日本の領海・領土・領空を侵犯から守る意思を持っていない。それを否定するのだ。当然、有事においても日本を守ることはない。彼は打倒されなくてはならない人物なのだ。私たちは安倍首相らを打倒して、平時の国防と有事の国防の法制度を整備するとともに、軍事予算を大幅に増額し、軍備を増強しなくてはならない。尖閣諸島には直ちに陸上自衛隊部隊を常駐させて、ミサイルを配備していかなくてはならない。

 中露は毎年、対日米の合同軍事演習を実施している。ロシアと中共は遠くない将来において連携して、北と南の両方から同時に日本を軍事侵略してくるということだ。私たちが日本の安全を守り抜いていくためには、現実を直視して勇気を持って反日売国の安倍首相とその一派を糾弾していかなくてはならないのである。〈法〉の支配の根源の地平から行う的確な厳しい政府批判によってしか、心ある国民の根源的な変革は実現しないし、状況を根本的に変えていくことはできないのである。共産党や社民党や民進党あるいは反米民族派だけが、打倒対象ではない。何よりも国家権力を握って、「保守」に偽装しつつロシア、中共、北朝鮮に日本を侵略させようと謀略政治を実践している安倍首相とその一派を、打倒しなくてはならないのである。

●英国のEU離脱が意味するものは西側自由世界の対露中安全保障の弱体化である

 1、英国は6月23日、EU残留か離脱かの国民投票を実施した。離脱が1741万742票で51.9パーセント、残留が1641万1241票で48.1パーセントで、離脱派が勝利した。その差は3.8ポイント、126万9501票であった。政府が結果を受け入れて、英国のEU離脱が決まった。英国民は自らの首を絞めることをしたのだ。

 2、国民投票は代議制の否定である。大衆が直接判断する国民投票では、大衆を扇動し大衆に迎合する政治(ポピュリズム)が極めて大きな力を発揮する。大衆は扇動政治に弱い。代議制の理念は、国民代表である専門性を有し人格的にも優れた議員が、できる限りの情報を集めて、冷静に多角的に検討して(科学的に検討して)、判断していく政治ということになる。国民代表である議員たちが理性的、科学的に検討し判断するということだ。これは誰にでもできることではない。言葉の正しい意味での「エリート」にしかできない。大衆にはできない。この理念としての代議制の対極にあるのが、扇動政治(ポピュリスム)である。非理性的、非科学的、情緒的なプロパガンダ政治である。ポピュリズムは代議制にもあるが、大衆が直接判断する国民投票ではより一層大きな力を発揮することになる。

 現EUに大きな問題があるのは事実だ。EU加盟国からの労働者(移民)は無条件に受け入れなくてはならないし、EU法の肥大化がある。経済大国のドイツが推進する財政規律一点張りの緊縮政策などなどだ。要するにEUは統合の「一体化」を進めすぎたのだ。各加盟国の主権の問題は極めて重要なのである。しかし英国はEUに留まってたたかい、内部から改革していくしかなかったのだ。

 英国の離脱派は、英国がかかえている今日の経済・政治・社会問題は、EU離脱によって全て解決し、良き英国を取り戻せると扇動したわけである。離脱することによって起こるマイナスにはどういうことがあるのかは語られなかった。国民大衆は、一方の一面的な情報に基づいて情緒的に判断していった。だから今、「どうせ残留すると思って深く考えずに離脱に投票した」「まさか本当に離脱になるなんて」などの書き込みも続出している(6月27日付読売新聞)。「英国ではEU離脱を選んだ多数の市民が地元メディアに『離脱の意味をよく考えなかった。後悔している』と答え、扇動に踊らされたと嘆いている」という(6月28日付)。

 保守党のキャメロン首相が、彼はEU残留派であるが、この代議制否定の悪の国民投票で、EU残留か離脱かを決めることを公約にして(2013年1月)、今回の国民投票の実施になったのである。キャメロン首相の歴史的といえる罪は極めて重い!

 3、EU離脱によって英国は当然経済的に大きなダメージを受ける。スコットランドはEUに留まるために、英国(英連合王国)からの独立の是非を問う住民投票を再び実施したいと動き出している。北アイルランドも同様である。英国政府が認めなければこの住民投票は実施できないが、英連合王国は混迷を深めていくことになる。そういうことで英国は内向きになっていく。世界政治における英国の影響力は低下し地位の低下は避けられない。EUからの離脱も加わって英国の安全保障は弱体化する。

 4、英国のEU離脱によって、EU加盟国のオランダ、デンマーク、フランス等でEU離脱を主張してきた政治勢力が、国民投票の実施を求める声をますます高めていくことになる。EUは一層不安定になっていく。EUの外交・政治力の低下となる。

 英国はEUの中で外交・安全保障政策をリードしてきた。英国はEUの中で米国の利害を代弁する役割を担ってきたのだ。ロシアのクリミア半島併合に対して、EUに米国と共同して対露経済制裁を実施させていったのも英国の力であった。ドイツ、フランス、イタリアはロシアとの経済関係が深く、対露経済制裁には慎重であったのだ。その英国がEUから離脱する。それによってEUと米国との関係も弱められる。世界におけるEUの政治的地位は低下し、EUの安全保障も弱体化することになる。

 5、米国からすると、「米国はEUに対する影響力の最も重要な手段(英国)を失うことになる」(リチャード・ハース米外交問題評議会会長)のである(6月26日付け読売新聞)。米国が必要とする強いEUは失われて、弱いEUになる。弱い欧州になる。米国は欧州と同盟して独裁侵略国家ロシアと対峙してきたが、その力が弱くなる。西側自由主義国の対露安全保障は弱体化していく。英国のEU離脱は米国にも打撃になるのだ。

 6、英国のEU離脱とそれが作り出していく政治・軍事・経済状況を大歓迎しているのは、侵略国家ロシアである。ロシアはこの状況を更にロシアに有利になるように工作を行っていく。中共もまた大歓迎している。英国のEU離脱によって、ロシアと中共という世界の2大独裁侵略国家の力が相対的に大きくなっていくのである。西側自由世界の安全保障は弱体化していく。

 7、第2次世界大戦において米国は欧州と北アフリカにおいてはナチス・ドイツと戦い、ナチス・ドイツが英国を含む欧州全域を侵略占領支配することを阻止し、ナチス・ドイツを打倒した。しかしながら共産主義に幻想を抱き、それゆえ共産主義に親和的なルーズベルト大統領は、スターリンの考えと行動を批判するチャーチル英国首相の努力にことごとく反対して、ナチス・ドイツが軍事占領した東欧、南欧、バルト諸国を、スターリンのソ連軍が進攻しドイツ軍を撃退して支配するのを許したのであった。そして1945年2月の「ヤルタ協定」となった。ヤルタ協定はソ連に一時的占領を認めただけで、各国民に自由選挙を実施させることを定めていた。だがスターリンは当然のこととして、これを守らなかったのだ。ルーズベルト大統領のこの深刻すぎる誤りは厳しく糾弾されねばならない。ヒットラーは1945年4月30日自殺し、ナチス・ドイツは5月7日に無条件降伏した。

 ルーズベルト大統領が死去し(1945年4月12日)、副大統領のトルーマンが大統領になった(4月12日)。暫くの間、トルーマン大統領(民主党)もルーズベルト大統領の誤った政策を踏襲したが、1946年3月3日、米国ミズリー州フルトンにおける英国チャーチル前首相の「鉄のカーテン演説」(ソ連の拡張主義と東欧の独裁支配を糾弾したもの。「これはどう見ても我々が戦った解放ヨーロッパの姿ではありません」。チャーチルは演説の中で、ドイツの最も重要な部分をアメリカがソ連に譲り渡してしまったことも指摘した)を経て、1947年3月12日に、ソ連のギリシャ、トルコへの侵略を許さないとして、「トルーマン・ドクトリン」を発表したのであった。「ソ連との戦いは自由主義体制と独裁体制の闘争だ」とした。対ソ封じ込めである。

 トルーマン大統領の米国は、ソ連の侵略と関接侵略(西側の共産党を使った革命闘争による体制転覆)から西欧を守るために、西欧の経済復興を援助するために「マーシャル・プラン」を1947年6月に発表した。巨費が投じられたのは1948年からである。そして米国は1949年4月にはNATO(北大西洋条約機構)を創設したのである。軍事同盟だ。NATOは米国の歴史における初めての平時の軍事同盟である。トルーマン大統領は米国の「孤立主義」(民主党も共和党もそうであるが、共和党は特に伝統的にそうである)を行動として自己批判して否定し去ったのである。「マーシャル・プラン」とNATO創設は、スターリンのソ連と戦えず東欧等をソ連に与えることになってしまった米国(ルーズベルト、トルーマン)の大きな誤りを行動として自己批判した政策でもあった。但し、対ソ封じ込め戦略では不十分すぎた。攻勢してソ連を解体(東欧解放)していく戦略が正しかった。

 8、EUの最初の形は1952年創設のECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)であるが、それはソ連の侵略と関接侵略から欧州を守るための共同体であった。米国に軍事的・経済的に支援されて存続してきたものである。

 軍事同盟NATOの上部の欧州の政治経済共同体がEUである。その長い歴史を持つEUが英国の離脱によって弱体化していく。当然にもNATOの結束も弱体化することになる。

 9、もうひとつの極めて重大な問題がある。米国共和党の大統領候補に確定しているポピュリストのトランプ氏が、時代遅れの「孤立主義」「米国第一主義」を主張していることである。

 英国のEU離脱についても、国民投票があった翌日の6月24日、トランプ氏はスコットランドのターンベリーを訪問して、記者会見で、EU離脱派の勝利を「素晴らしいことが起きた。英国民は国を取り戻した」と称賛したのだ。

 国際政治学者のジョセフ・ナイ氏が読売新聞(5月29日付け)の「地球を読む」に次のような文を寄せていた。「米大統領選挙で共和党候補になることが事実上確定した実業家ドナルド・トランプ氏は、米国が持つ同盟関係の価値に深い懐疑を表明してきた。同氏の世界観は正に、19世紀の遺物そのものだ。・・・/1930年代に米国がどの国とも同盟関係を持たずにいたため、経済的不況と大量殺りくと新たな世界大戦をもたらす悲惨な10年間につながってしまった。/不吉なことに、トランプ氏が行った最も詳細な外交演説は、同氏が正にこの孤立主義と「米国第一」主義的な感情が渦巻いていた時代から着想を得ていることを示唆する。・・・/トランプ氏の政策によって起こりうるのは米国の同盟関係の弱体化であり、それでは同氏の言う『米国を再び偉大にする』道には程遠い」。

 正確には覚えていないが、トランプ氏はNATOに関しても、〈米国が払ってきた多大な犠牲に比べると、欧州が払っている犠牲は余りにも小さい。そのようなNATOを私は支持しない〉と、こういうような発言をしていた。日米同盟についても、「日本は在日米軍の駐留経費の全額を負担すべきだ。それができないなら在日米軍は撤収させる」と言っていた。トランプ氏は「米国が借金を背負ってまで同盟国を防衛する時代ではない。日本への『核の傘』も例外ではない」とも述べた。

 トランプ氏は、米国が結んでいる同盟関係と同盟国での軍事駐留は、米国自身の国益のためで(も)あるということが、全く分かっていない。このとき、トランプ氏から見て「不満な状況」があれば(たとえばEUの弱体化、欧州のNATOの弱体化もそうであろう)、同盟関係は廃止となり、駐留米軍を撤収させていくことにもなっていきうるであろう。もしそうなれば、ロシアと中共が世界を侵略支配していくことになる。米国の国益は激しく深く破壊されて、米国も衰退していくことになる。だから独裁侵略者プーチンはトランプ氏を高く持ち上げるのである。トランプ氏には、大統領候補の資格が全くない。

 2016年6月30日脱

大森勝久

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