6カ国協議の合意文書について

 米政府は、イラク政策の失敗を北朝鮮政策における成果でもって相殺して、政権の支持率を回復させようとしたのであろう。

 IAEAの査察官が北朝鮮に入り、寧辺の核関連施設を停止・封印することになる。確かに稼働停止・封印にするのであるからブッシュ政権は成果だとアピー ルできよう。しかし、それとひきかえに、現在なされている国連加盟国による経済・金融制裁は解除されていくことになる。金正日が狙ったのはこれがその一つ である。中国・ロシアが解除を主張するようになるのは明白である。

 「無法行為に褒美を与えることはしない」との米政府の原則は、曲げられてしまった。重油5万トンが金正日に与えられる。
 合意文書は、北朝鮮が望む、米朝国交正常化の協議の開始、北をテロ支援国家指定から解除する作業の開始、北に対する対敵国通商法の適用を終了する作業を 進めること等を、30日以内に実施すると謳っている。「無法国家と交渉しない」の原則も投げ捨てられ、米政府は敗北を喫した。日本政府は、「テロ支援国家 指定から解除する作業の開始」を米政府に入れるようにしてもらったと報道されている。米政府は拉致をテロだと認定しているから、この指定解除のためには拉 致問題を解決しなければならなくなる、との読みからであろう。なんて甘いことだろう。

 「解除する作業の開始」となっている。「解除の是非を検討する作業の開始」ですらないのだ。解除が前提になっている。米国外交、日本外交の敗北は明白 だ。、北は拉致問題は解決済みとの立場である。、「指定解除」は北朝鮮が切望していることだから、日米は拒絶しておけばよいのに、「行動対行動の原則」 (05.9の共同声明)に拘束されて、盛り込むことになったのであるが、大譲歩(屈服)であることは明らかである。

 ライスは「解除作業開始に適切な時期だと思う」(2/19付朝日)と述べている。米政府においては、隠れ左翼で中国・ロシアのエージェントのライスがこ の協議を主導しているのであるから、こういう合意文書になるのは必然だとも言える。ブッシュ大統領の責任は重大である。政権から「ネオコン」は去ってい る。

 金正日は核兵器、核開発を放棄することは断じてない。それなのに、05年9月の共同声明(すべての核兵器及び既存の核計画を放棄する)を信じようとして いる日米は、根本が誤っている。

 リビアと北朝鮮は全く異なっている。

 金正日にとっての核兵器とミサイルとは、韓国に優位(スカッドミサイルに搭載)できる兵器であり、韓国を併合する際の武器であり、韓国や日本を核脅威で 人質にとって国家の安全を保障する兵器であるとともに、自らを将軍様に祭り上げさせて独裁支配体制を維持するための武器なのである。

 核兵器の放棄は、この自己否定である。金正日の破滅である。そんなことをするはずがないではないか。金正日は国民を何百万人も餓死させて核開発をすすめ てきたのである。経済制裁をされようとも放棄しない。

 共同声明も合意文書も、西側に幻想を抱かせて騙し、戦略環境を改善させるためのものである。

 今回の合意文書は核兵器は等閑に付している。もちろんノドンミサイルと化学兵器も対象にしていない。日本にとっての脅威は、全く減じていない。つまり共 同声明からもさらに後退した。

 それなのに、「核問題が解決の一歩を踏み出した」ということになってしまっている。拉致問題と核問題は6カ国協議の中で連関している。5カ国が核問題が 進展していくと言うことになれば、日本にとって第一の問題である拉致問題は後景化させられていく。米国政府においてである。さらに、日本にもエネルギー、 経済支援が求められてくる。

 日本は米国に

金正日は核を放棄することはないこと。
6カ国協議はまやかしであること。
見返りを与えるのは反正義であること(放棄しないから見返りでもないのだが)。
6カ国協議は、日本、アジア、ヨーロッパの征服を狙う中国・ロシアの正体を隠すことになり、征服の危険性を著しく拡大してしまうことになること。
日米が把握していない核施設は他にもあること。
北はそこで核兵器製造、核開発を続けること、

 を説得しなくてはならない。

 無法国家とは交渉してはならない。敗北するだけだ。「無交渉の交渉」にすべきである。経済金融制裁を断行することである。

 そして日本は、日米同盟の強い絆の下で早急にロシア、中国、北朝鮮に対して核武装していかなくてはならない。金正日独裁支配体制を打倒して、拉致被害 者全員を救出することは日本政府と国民の義務である。(2007年2月19日記)

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